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第429話 移動中の会話。

クリフ殿下及び武雄達一行は順調に町に移動をしてる。

「むぅ・・・」

アシュトン子爵は腕を組んで悩んでいる。

「タケオの作るサンドイッチは美味いな。」

「ありがとうございます、クリフ殿下。」

武雄とクリフは武雄達一行の荷台からサンドイッチを取り寄せて食べていた。

「クリフ殿下、何を呑気に軽食を取っているのですか!?

 先ほどのキタミザト殿の報告を聞いてなかったのですか?」

アシュトン子爵が抗議をしてくる。

「一緒に聞いていただろう。タケオの話を総合すると。

 1.カトランダ帝国とウィリプ連合国間で全品目の輸出入が可能になった

 2.カトランダ帝国の東町で大規模な再開発事業が始まった

 3.自動人形(オートマタ)という兵器の開発が進んでいるらしい

 以上だな。」

「その後のキタミザト殿と王都守備隊員との考察の方です!」

「タケオの考察はカトランダ帝国が目論んでいるのはウィリプ連合国への進攻という事だな。

 マイヤー達の考察は軍事同盟により1地域に2か国分の軍隊を集結させるという事だったな。」

「はい!

 先の考察では我らを当て馬にしての領土拡張です!

 もう一つは我らの領地に侵攻してくるという事です!」

「タケオが結論を結んでいたろう。

 結局は負けない事が重要だと。

 私もその意見で良いと思っている。

 父上や王家、王都は他国への進攻をする気がない。

 そしてカトランダ帝国がどんな思惑であろうとも我々は領地を明け渡すことはしない。」

「ですが・・・こちらから何かしないのですか?」

「何が出来るのだ?

 アシュトン・・・まさかカトランダ帝国に宣戦布告をして侵攻作戦をしろとでも?

 確かに現状の国中の兵士を招集すれば勝てる可能性はあるだろう。

 だが、周りを良く見ろ。

 カトランダ帝国、ウィリプ連合国、魔王国。

 3か国に面している我らはどこかに兵士を集中することが出来ない。

 いや・・出来るかもしれないがどこかに集中するという事はどこかが手薄になるという事だ。

 圧倒的に兵力が足らん。最低でも全地方貴族や王都の兵が今の2倍は用意出来なければ侵攻作戦なんて出来ん。

 さらに他領土を占領したらそこで政策を施さなくてはならん。

 そんな費用がどこにある?

 アズパール王国の財政ではもう1か国分の財政を支える事は出来ない。

 なら現状を維持し領土を守り切る事が肝要なのはわかり切っているだろう。」

「ですが!何か手を打たなければ負ける可能性があります!」

「手は父上が打とうとしているだろう。

 タケオとアルダーソンに研究所を運営させて新しい防具等の研究を始めるのが1手目だ。」

「それでは遅い可能性があります!」

「それは致し方ないだろう。

 こっちはやっと研究所を作って研究を始める段階に対して、向こうはもしかしたら大規模工房を作る動きを見せているのだ。

 もうこの時点で遅い・・・だが致命的遅さではない。

 タケオ達に敵方の兵の数が2倍までは何とか対処できるだけの防具を作って貰わないといかんがな。」

「クリフ殿下、そう簡単に2倍もの戦力に対処できる方法などないですよ?」

武雄は呆れながら言ってくる。

「そうなのか?・・・タケオでも?」

「この間のオーガ・ゴブリンの襲撃では約同数の進攻でした。

 ですが、これが倍だった場合は・・・さて、どうしましょうか・・・

 さらに私が遭遇したのは500対500です。

 対してこちらは1万対5000で規模が違います。

 防具のみでどうにかなる物ではないでしょう。

 まぁ今よりかは長持ちしそうな盾はご用意出来そうですけども。」

「そうか・・・戦術の考察もするのだったか?」

「いたしますが・・・まずは近郊の地理の理解から始めないといけないかと考えています。

 それにこちら方面はたぶん私の管轄ではないでしょう。」

「そうだな・・・タケオは魔王国方面の研究に励んだ方が良いだろうな。

 アルダーソンに戦術の考察をして貰わないといけないか。」

「それがよろしいかと思いますね。」

武雄は頷く。

「アシュトン、なのでこの案件はアルダーソンや王都と一緒に考える事だ。

 タケオに聞いても埒が明かないだろう。」

「・・・わかりました。」

アシュトンが難しい顔をさせながら頷く。

「それと・・・あの2名の執事だがな。」

クリフが武雄を見ながら言う。

「はい、殿下。」

「確かに元伯爵という所は眉唾だが・・・それでも人間から狼に変身する獣人というのは高位の魔物らしいからな。

 タケオが危惧しているように、勝手に越境をしてアズパール王国からの宣戦布告と取られてはいけないという考えも正論だと思う。

 なので、タケオがしっかりと契約を守り25年で解約するのであれば現状の奴隷契約は王国でも認められると私は考えている。

 ただし、出来る限りの魔王国の実情を報告することが求められるだろう。」

「生きた情報ですからね。

 ただ元伯爵でも知っている事と知らない事があると思います。

 また・・・王都側からこの情報は知っていると勘繰って強引に尋問されるのは避けたいのですが。」

「そうだな、タケオ的にはもう部下だからな。

 部下が尋問されるのは耐えられないだろう・・・

 ふむ。なら王家と王都守備隊、それと総監局と外交局の幹部のみの合同での聞き取り調査で良いのではないか?」

「それなら無理やりはあまりないでしょうが・・・

 やってみないと何とも言えないかと。」

「そうだな。

 とりあえずこれは王都でも限られた者のみが出席することを父上にお願いしてみる。」

「クリフ殿下、よろしくお願いいたします。」

武雄が深々と頭を下げる。

「タケオ、平気だ。任せておけ。

 まぁ私としてはタケオが2人に言った『折角、領主や貴族というしがらみから解放されたのだからいろんな経験をして楽しんで働け』との言葉の方が重みがあるだろうとは思う。

 ふふ、2人の新たな人生が良い物であって欲しいな。」

クリフは楽しそうに呟く。

「クリフ殿下、陛下に笑い方が似ていますね。」

武雄が苦笑しながら言う。

「ん?・・・あそこまで楽しそうには私は出来ていないと思うがな?

 これでも結構苦労しているのだぞ?」

クリフが苦笑を返す。

「やはり親子ですね、似ていますよ。」

「ふむ・・・喜んで良いのだろうか?」

「さて?ですが、良い顔です。」

「そうか。部下の前では良い顔で接してやりたい物だ。

 しかめっ面の国王というのは堅苦しそうだからな。」

「はい。クリフ殿下のされたいようにされた方が良いかと思います。」

「そうだな。

 私も父上と同様に皆の前では出来るだけ笑顔でいたい物だ。」

「それだけ平穏が続くように努力しないといけませんね。」

「そうだ。

 だが、その一端をタケオにも担って貰うからな?」

「微力ながら。」

武雄は微笑みながら目礼をする。

アシュトンはそんな2人を訝しがりながら見つめるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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