表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
437/3626

第428話 移動を開始しよう。

武雄はクリフと一緒に詰め所を出ると。

「クリフ殿下!キタミザト殿!」

と、アシュトン子爵が走り寄って来る。

「ん?どうした?アシュトン。」

クリフが不思議そうな顔をする。

「キタミザト殿の隊にラジコチカが居ます!」

「コラとモモですね。」

武雄が頷く。

「いやいや!ラジコチカです!魔物です!」

「・・・タケオ、どういった経緯でいるのだ?」

クリフが武雄を見る。

「えーっと、ミアの部下にしました。

 何でも国境間の縄張り争いで敗れたのだそうで行き場を無くしたと相談されまして。

 ミアの部下ですが、私の指示にも従って貰えるようになっています。

 今は人間を襲ったりしない事を命令しています。」

「そうか。ミア殿の・・・エルヴィス領で面倒を見るのだろう?」

「はい。部下の部下を置いていく事はしたくないですね。」

「そうか。じゃあ、問題はないだろう。」

クリフと武雄はのんびりと話しているが。

「いやいやいや、あの巨体を王都まで連れて行くのですか!?」

「はい。

 あ・・・小さくはできませんから想定よりも多くの食費がかかってしまいますね・・・」

「食費は私の方で半分は見ても良いぞ?」

武雄の不安にクリフが答える。

「殿下!?そういう事を言っているのではありません!」

アシュトン子爵が声を荒げる。

「ん?何が問題なのだ?

 アズパール王国は法を順守してくれるならば国民と認めているではないか。」

「それは人間種や特定の魔物に限った話です!」

「そんな規定があったか?

 あくまで法を順守し納税をきちんと行う事が国民として認めることだったはずだが・・・」

「ラジコチカは納税ができません!」

「ふむ・・・タケオはどう考える?」

「金銭や物納をコラ達には求めていません。

 コラ達の仕事はエルヴィス邸がある街の周囲30kmの魔物の管理と異常事態が発生した際の情報提供です。

 ほら、つい最近襲撃を受けたではないですか?

 なので、早期警戒網を構築するのにコラ達を使うのです。

 この情報提供は領民の生命と財産を守る為の大切な物です。

 十分に納税に値すると考えています。

 それにコラ達には領民を襲った時は討伐する事を伝えてあります。」

「タケオの試験結果次第ではこの辺もするか考えるか。」

クリフが腕を組む。

「いやいやいや!どうやって意思疎通をするのですか!?」

「あ、ミアの紹介がまだでしたね。

 ミア、おいで。」

「はい、主。」

と、ミアが武雄の胸ポケットから出て武雄の肩に降りる。

「妖精!?」

アシュトン子爵が固まる。

「はじめまして、主タケオの部下のミアです。」

ミアは挨拶をする。

「主!?・・・あ・・・うむ。アシュトンだ・・・です。」

アシュトン子爵が困惑しながら挨拶をする。

「ミアを介してコラ達とは意思疎通が出来ます。」

「ですが!万が一の際には!」

と、再び抗議をアシュトン子爵がしてくる。

「ご主人様、皆さま、歓談の最中に失礼いたします。」

と、ジーナが武雄に近寄って来る。

「ジーナ、どうしましたか?」

「はい。ご主人様達が歓談されている間に私とお父さまでコラとモモを躾しておきました。

 ミアとご主人様の命令には絶対服従するようにしましたのでご報告に。」

「わかりました。ご苦労様です。」

「はい。では、皆さま失礼いたしました。」

と。ジーナは礼をして下がっていく。

「ふむ・・・あの娘、首輪をしていたな。

 タケオ、これはどういう事かな?」

「その辺は馬車の中で。」

「そうか。

 まぁとりあえず躾をしたなら問題はないだろう。

 タケオ、一応もう一度領民や兵士とイザコザを起こさせないように命令をしておいてくれ。

 私はアシュトンと先に馬車に乗込んでおく。」

「わかりました、クリフ殿下。」

クリフ殿下はアシュトン子爵を連れて馬車に向かう。

武雄は待っている同行者たちの方に行くのだった。

・・

武雄の隊がある一角が少し騒めいている。

「ヴィクター、ジーナ、ご苦労様。

 どうやって躾けましたか?」

武雄は皆の所に戻って2人に聞く。

「あぁ・・・キタミザト殿。ヴィクター殿とジーナ殿が魔眼を使いまして・・・」

マイヤーが苦笑する。

「ふむ、威圧しましたか。だから少し周りがざわついているのですね。

 で?大人しくなりましたか?」

「というより元々こちらの命令には従っていましたので、大人しかったのですが。」

マイヤーがそこで言葉を区切る。

武雄は不思議に思いコラとモモを見ると。

2匹は伏せの態勢をしているが・・・うな垂れていた。

「・・・何でしょう・・・哀愁が漂っていますけど?」

武雄は苦笑する。

「ヴィクター殿とジーナ殿の魔眼は一瞬のみの発動でしたが・・・

 2匹がうな垂れてしまいました。」

「そうですか。」

武雄はコラとモモに近寄ると首の辺りを撫で始める。

「コラ、モモ。

 もうアズパール王国に入っていますからね。

 兵士や領民に対して暴れると退治されてしまいますよ?

 町にはコラやモモのような者はいませんので、物珍しさから人々が近寄って来て触るかもしれませんが、エルヴィス領に帰るまで耐えてくださいね?」

「「ニャ・・・」」

2匹が頷きながら弱々しく返事をする。

「悪さをしなければ平気ですよ。

 触られたり少し引っ張られたりしても心穏やかにしていなさい。

 危害を加える意図はありませんからね?」

「「ニャ・・・」」

再び弱々しい返事が返って来る。

「ふむ、まぁ良いでしょう。

 で、マイヤーさん、ブルックさんとフォレットさんの用意は出来ましたか?」

「「出来ております!」」

マイヤーの後ろに2名が立っており返事をしてくる。

「2人ともすみませんね。

 アリスお嬢様とクゥを連れてきてください。」

「「はい!」」

「あ、そうだ。」

と武雄は幌馬車の一台の荷台からバスケットを取り出して中の何品かを袋に入れ始める。

「あのキタミザト殿?」

ブルックが聞いてくる。

と、武雄は詰め終わったのか2人に渡す。

「はい、昼食とおやつの干し肉を入れています。

 道中の休憩の時にでも食べてください。」

「ちなみに今日の昼食は何だったのでしょうか?」

「ハムとタマゴのサンドイッチですよ。」

「ありがとうございます!」

ブルックが嬉しそうに礼を言いながら受け取る。

「では、2人とも気を付けて。」

「「はい!」」

と、ブルックとフォレットが騎乗する。

「しっかりな。」

マイヤーも声をかける。

「はい!では!」

とブルックとフォレットが駆けだす。

武雄とマイヤーは2人の背中を見送るのだった。

「さてと、とりあえず今日は私は殿下達と馬車で移動だそうです。」

「面倒そうですね。」

「ええ。ですが拒否する事でもないでしょう。」

「まぁ、そうですね。」

マイヤーがため息をつく。

「あの!キタミザト様!」

と、サリタ達が近寄って来る。

「皆さん、どうしました?」

「いえ、先ほどキタミザト様が殿下と呼んでいた方はどなたでしょうか?」

「ん?・・・アズパール王国第1皇子のクリフ殿下ですよ。」

「「第1皇子・・・」」

皆が驚愕の顔で固まる。

「まぁ、次期国王陛下ですね。」

「そ・・・そんな方がキタミザト様を迎えに?」

「ねぇ?暇なんでしょうね。」

武雄は苦笑を返す。

「はぁ・・・」

「まぁ、追々わかっていくでしょう。

 今は第1皇子の騎士団が私達を守るとだけ思っておけば良いですよ。

 あ、そうそう、すみませんが、昼食は移動中に勝手に取ってください。

 今日は関の隣の町まで移動します。

 私はこれからあの殿下とおしゃべりをしてこないといけないのでね。

 皆とは別行動です。

 マイヤーさん、よろしく。」

「わかりました。」

マイヤーが返事をする。

「エリカさん達は来ますか?」

「ええ、もちろん。楽しそうですから。」

「入国手続きは終わりましたか?」

「はい。待っている間に。」

「わかりました。

 ようこそ、アズパール王国へ。」

武雄がにこやかに言ってのける。

「ふふ、その言い方も何だか不思議ですが・・・

 アズパール王国に来ました!人生を楽しみますよ!」

「はい、その意気です。

 では、後は全体と動きを合わせてください。」

「はい、わかりました。」

カサンドラが答える。

「アーキンさん達もよろしく。」

「はい、心得ています。」

アーキンが答えると武雄は頷き馬車に向かうのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ