第3335話 丸ゴムの契約や使用用途は?(動産収入が増えそう。)
鈴音が去った所長室。
「失礼します。
スズネ様が勢い良く入って行き、嬉しそうに出て行かれたようですが?」
ヴィクターが入って来る。
「ヴィクター、新素材が出来ましたよ。」
「ほぉ、どのような?」
「これ。
丸ゴムと言います。」
武雄が鈴音が置いて行った試作品を持ち上げる。
「失礼します・・・紐・・・でしょうか?」
「SL液の配合で出来た紐です。
少し柔らかくなっていて、衣服の袖口、扉や窓の建材、文具・・・使用用途は多岐に渡ると考えます。
でも、見ての通りの紐なので、単価が安く、利益は少なめだとは思いますけどね。」
「原材料がSL液であるのなら、狭霧や初雪様のご協力があれば、他の材料での採取、採掘の費用分安くなりますから、ただの紐よりかは十分な利益になるでしょうね。」
ヴィクターが言う。
「今、鈴音が報告書と試作品を作っています。
鈴音はハワース商会に持って行くようですよ?」
「主、背中にはご注意を。」
「・・・気を付けます。
それで契約書の話になるでしょうが、補助をしてあげてください。」
「わかりました。
では、マリスにさせましょう。
契約としては、いつも通りの内容でしょうが、良い経験になるでしょう。」
「ハワース商会の方がやり手なので、やり込まれないようにね。
ま、するとは思えませんが、慣れ程恐ろしい物はないので、毎回、新しい気持ちで対応していきましょう。」
「はい、そうですね。」
「ちなみに、これは薄利多売商品ですが、腐る心配がないので、他領にも輸出出来そうです。」
「まずはこの街、もしくは領内で製品の拡大をして、どこかの段階で広める手立てを考えないといけないでしょうね。」
ヴィクターが言う。
「認知させる方法としては。
・紙媒体等に商品の特性を記載し配布する
・同業者を集め、取り付けた商品を見せる
・有力者に見せ、この街から輸送し、中継する店からジワジワと口伝てに世に広める
他にはあるでしょうかね?」
武雄がヴィクターに聞く。
「主は3つ目のやり方を良く使いますね。」
「まぁ、私のコネを使うと3つ目が一番早く、その後の展開も広がりを見せるのでね。
ですが、今回は建材です。
そして薄利多売製品です。」
「耐火板とは違うという事ですね?」
「割れないからね。
今の街道の整備状況だと耐火材は輸送に適していませんし、領内の需要で供給が満たされています。
無理に不良在庫を抱える必要はないでしょう。
丸ゴムは違います。
輸送しても壊れる事がなく、用途は建材だけでなく他にも色々使えるでしょう。
なので、一般に卸して、後は各々で勝手に商品化して行けば、素材の需要が高まるという訳です。」
「ふむ・・・どれかというよりどれもするというのが正しいでしょうか。」
「・・・領主や上位文官達、雑貨屋や家具屋、家具を作る工房が集まるような所で、製品を見せて、紙の資料を渡す・・・ですかね?」
「そうなりますが・・・同業者への告知はハワース商会に任せれば良いでしょう。
なので、主は領主達や王城の方々向けに製品を売り込み、資料を配れば良いとなります。」
ヴィクターが言う。
「今と変わりませんね。」
「主の得意な方法ですので。
無理に違う事をするよりも今成果が上がっているやり方で売ってくる方が、売り上げは良いでしょう。」
「まぁ、確かにその通りですね。
ふむ・・・陛下や局長よりも気を使っている人達に売り込んでみましょうか。」
「気を使う・・・メイドや執事方ですね。」
「ええ、それとエルヴィス家にも売らないといけないでしょうね。」
「むしろエルヴィス家で試験しながら評価をしないといけないでしょう。
とはいえ、この丸ゴムの用途は主の頭の中にあるだけで、私は完成形がわかりません。
どういう風に使うのか、主も文字等にして私達に示さねば、私達が動けません。」
「はーい。
簡単な絵に書いて、鈴音の報告書に添付しておきます。」
「お願いします。
・・・ハワース商会が受けてくれれば良いのですが。」
「断ったら断ったですよ。
他の工房を見つけに行きましょう。」
「わかりました。
その際は、早急に決めるように動きます。
それにしても・・・この紐の使い方・・・んー・・・主、例えばどんな物でしょうか。」
「そうですね・・・例えば、女性の髪留とかに使えるかもしれません。
長い髪をまとめるのに使えそうです。
丸ゴムの端を結べば輪になりますからね。
それにレース等の布をあしらえば、手間があまりかからずに髪をまとめる事が可能になると思いますよ。」
「なるほど、髪留めですか。
どんな商品が出されるのか楽しみです。」
ヴィクターが言う。
「ま、紐状の物ですが、簡単な見た目だからこそ、何にでも使えるのかもしれませんね。」
武雄が言うのだった。
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