第3334話 武雄の試作は失敗、鈴音の試作は成功。(丸ゴムが出来た。)
第二研究所の3階 所長室。
武雄が執務机で買ってきた額の底面にある板と額との隙間をSL-05液で塗らし、ファイアを指先に出して、塞いでいる。
「~♪」
「タケオ、言われた通り研究室のスズネから細い木の棒を貰って来ました。」
初雪が入室してくる。
「はい、ご苦労様です。
机の端に置いてください。」
「はい。」
初雪が執務机の端に細い角材を置く。
「タケオ、何をするのですか?」
「んー?
SL-05液の薄い板を作ろうと思っているんですよ。」
「薄い?
タケオやヴィクターの机に敷いてるのは?」
「SL-04液の白とSL-05液の黒を混ぜて焼いた敷板ですね。
厚さは1㎜程度でしたが、あれの半分かもっと薄くしたいんですよ。」
「・・・で、この木の枠を使うと。」
「そうなります。」
「・・・タケオ、薄い板を作るのですか?
何に使えるのですか?」
「いえ、薄くすれば、ガラスのように向こう側を見れるのかなと思いましてね。」
武雄が初雪に言う。
「・・・どうなるのですかね?」
武雄の作業を初雪が見守るのだった。
・・
・
「出来なかった・・・」
武雄がガッカリしながら言う。
「薄いSL-05液の板ですね。
で・・・あ、割れた。」
初雪が武雄が作った薄板を団扇のように振ると持っている所がバリっと割れる。
「強度もないですね。」
「タケオ、ごめんなさい。」
初雪が謝ってくる。
「大丈夫ですよ。
んー・・・何に使えるかな?」
武雄が一部欠けた板を見ながら言う。
「タケオ、薄い板の使い道はないですか?」
初雪が聞いてくる。
「今の所ないですね。
んー・・・薄くても板状になるのは確認が出来た・・・で終わりですね。」
「残念です。」
「まぁまぁ、使い道は今は無くとも将来にはあるかもしれません。
思い立った物を試作していけば、1つぐらい何かに転用出来る物が出来ると思いますからね。
地道に確認していく事が大事ですよ。」
武雄が言う。
「し、失礼します!
武雄さん!出来ました!」
鈴音が所長室に駆け込んでくる。
「・・・鈴音、そんなに急いで来なくて良いですよ?
走ったら怪我をする確率も高くなりますからね。」
「はい!出来たんです!」
鈴音が言ってくる。
「何が?」
「結束バンド・・・に繋がるであろう柔らかいゴムです!」
鈴音が武雄の前に長さ8cm程度、直径3mmのゴム紐を置く。
「・・・ほぉ・・・」
武雄が持ち上げてしげしげと見る。
「伸縮性は、ほとんどありません、引っ張るとちぎれます。
ですが、柔軟性が出ました。
指で潰すと少し凹む程度に柔らかくなりました!」
「うん、良くやりました。
・・・うん、商品化出来るでしょう。」
武雄が感触を確かめながら言う。
「ありがとうございます!
あ、武雄さん、商品名はどうしますか?」
「・・・丸ゴムとします。」
「丸ゴム・・わかりました!」
「配合を含む製作方法と製品特性の報告書、回覧する50cmの品物を作りなさい。
私とヴィクターで確認してからになりますが、配合はキタミザト家の所有とし、製作・販売をする所と契約をして、売り上げの一部を入れて貰うようにしましょう。
鈴音、製作工房との契約交渉を許可します。
鈴音には製品化のご褒美で追加で報奨金を出します。」
「ありがとうございます!
契約はモニカさんやラルフさん達としているやつですよね?
同じ内容で契約します!」
「ええ、どこと契約するか・・・まぁ、鈴音なら今の協力工房のどこかでしょうが。」
「はい!モニカさんかキャロルさんの所です!」
「2つしかないか・・・まぁ、ダメなら他の所を探せばいいだけでもありますし、好きにして良いです。
それにしても・・・少し硬めのシリコンのような感触になりましたね。」
「びっくりしました。」
「開発者の鈴音が驚かれると私も困りますが・・・ま、わかる気がします。
配合はSL液ですか?」
「正確なのは報告書に書きますが、SL-01、02、05液と片栗粉です。」
「うん?片栗粉?」
「はい。」
「・・・うーん・・・確かに片栗粉は料理で使うととろみが出ますが・・・不思議な物ですね。
鈴音、報告書を作成を。
これは売れるでしょうね。」
「結束バンド・・・ですか?」
「建築資材としても優秀ですよ。
扉の開閉の時に扉本体と三方枠との隙間に配置すれば、閉める際の音の軽減や密封性が高まるので、室内温度の低下軽減が出来るでしょう。
それは窓も一緒です。
室内の密封性が高まるので・・換気の概念も教えないといけないでしょうかね。」
「なるほど、なら、モニカさんの所に持って行った方が有効活用されそうですね。」
武雄の言葉に鈴音が言う。
「・・・そうですね。」
武雄が考えながら言う。
「モニカさんならSL液の扱いもわかっていますし、契約書も慣れていますよね!」
「・・・まぁ、慣れているね。」
「モニカさん、喜んでくれるかなぁ?」
「うん、喜んでくれると思いますよ?」
武雄が鈴音に言うのだった。
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