第3330話 額を買いに来たのです、何に使うかは秘密で。(魔王国では会議が連日実施のようです。)
「展示即売会の話はわかりました。
で、その話だけをしに来たわけではないですよね?」
イーリーが武雄に聞く。
「ええ、額ってありますか?」
「・・・絵画用ですか?
風景画用のはありますが、何か絵画を買ったのですか?」
「いいえ、ちょっとね。」
「??・・・まぁ、うちだと小さいのは有りますが・・・
ちょっと待ってくださいね。」
イーリーが席を立つ。
「えーっと・・・ここだったはず・・・あ、これですね。」
イーリーが棚から写真立てサイズの額を持って来る。
「・・・ふむ、わかりました。
これください。」
「・・・絵があるわけではないのに買われるのですか?」
「ええ、ちょっとしたい事があって。
前にハワース商会で家具を作る際の端材を貰いに行ったら、そのまま会議室に連れて行かれて、やりたい事没収されたんですよ。」
武雄が難しい顔をさせながら言う。
「はは、それは、ご愁傷さまでした。
でも商品化すると思ったからハワース商会が動いたという事でしょう。」
「ええ、試作品を作っている最中です。
はぁ、なので、今回はイーリーさんの所に来て、実験に使えそうな物を買っていくんです。」
「それが額ですか。
まぁ、使用用途は購入者が決める物ですから、何をされようとしてるのかは・・・怖くて聞けませんが、キタミザト様の実験が上手く行く事を願っています。」
「・・・たぶん上手く行かないのですけどね。」
「あ、キタミザト様にしては弱気ですね。」
「いつも弱気ですよ。
やる気のある工房方の手にかかって製品化しているだけです。」
「そういう事にしておきましょう。
他に何か買われますは?」
「あ、キセルの葉を1kgください。」
「はい、わかりました。」
イーリーが頷くのだった。
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魔王国 王城の会議室。
室内には各軍の指揮官、指揮官補佐、補佐官1名、大隊長1名、中隊長1名が勢揃いしていた。
アンナローロだけはヴァレーリについている為、不在だった。
また、カスト、ボナ、ボニートの領主が居る。
扉を開けヴァレーリとブリアーニ、アンナローロが入室して来る。
「ヴァレーリ陛下、ブリアーニ女王陛下入室!起立!」
号令がかかり皆が椅子から立ち上がる。
「連日の会議、ご苦労。
アズパール王国への方針がとりあえず固まったという事で、カールラを連れてきたぞ。」
ヴァレーリが席に座りながら言う。
「皆さん、すみません。
お願いします。」
ブリアーニもヴァレーリの横に座りながら言う。
「では、王軍内での会議の検討結果からの報告をします。
第1軍指揮官殿、お願いします。」
アンナローロが議事進行を始める。
「はい、私から報告します。
アズパール王国エルヴィス伯爵殿よりの提案である空白地帯の所有権をアズパール王国が有し、採掘権をブリアーニ王国が所有する。
そして通行等に際しての強化をする件につきまして、王軍はブリアーニ王国を支持する物とします。
要請があれば、優先的に対処するべき事と考えます。」
フレッディが立ち上がって言う。
「ありがとうございます。」
ブリアーニが頭を下げる。
「うむ、では、基本的な所はエルヴィス殿の提案を受け入れるという事だな。
会談で話した、ブリアーニ王国側からの提案の体を取る事で王軍も問題ないな?」
ヴァレーリが聞く。
「はい、先の会談での内容を全面的に王軍は支持します。
なので、この会議後に第1軍指揮官補佐兼第7軍指揮官補佐のアンナローロに伝言を頼み、エルヴィス伯爵殿に面会をして来て貰おうと考えています。」
「うん、わかった。
アンナローロ、頼むな。」
「はっ!」
アンナローロが頷く。
「で?・・・キタミザト殿とエルヴィス殿の思惑はわかったのか?」
ヴァレーリが皆に聞く。
「それが・・・陛下方の会談での説明の議事録は見ましたが・・・確かにその通りなんです。
資金、人材、経験が不足しているから手を出す気はない。
で、今後鉄の需要が高まるから、別方向からの輸入もしたい。
キタミザト殿の言葉は、正しいです。
ですが、ここまで手を引くのが・・・鉱山を手放す事へのあっさりとした対応が不気味です。
真意がわかりません。」
幹部が言う。
「ふむ・・・困ったものだが。
真っ当に受け止めれば、我らにかなりの利益をもたらしてくれるという事で、隣接する我らとブリアーニ王国からの圧力を弱める外交交渉をした・・・んだよな?」
ヴァレーリが言う。
「まぁ、そうなりますが・・・それに何かあれば、今は連絡を入れるようにしていますので現状でも圧力は最弱だと思うのです。
・・・今執る政策ではないと思われますが・・・ですが、こちらとしても根こそぎの採掘を許容するという破格の提案を拒否する理由もない訳ですので、少々の疑念はあろうとも乗る事によるメリットが多いと結論が出ました。」
フレッディが言う。
「まぁ、そうなるわな。」
「ですよねー。」
ヴァレーリとブリアーニが半ば呆れながら言うのだった。
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