第3309話 昼食後の歓談。4(空白地帯の大まかな筋書きが出来ました。)
「・・・空白地帯の件は一度、戻って魔王国とブリアーニ王国で検討して回答を・・・いや、意向を伝えよう。
キタミザト殿はその返答を持って、アズパール王国に説明するんだな?」
「はい、そのつもりです。
ただ、エルヴィス伯爵の立場を鑑みると、ブリアーニ王国側からの提案があって、『どうせ取られるのなら、採掘権は諦めて、所有権を確保するように努めた』という説明にしたいです。
先の提案をそのまま説明すると、国土を売ったように思われるので・・・
無用な政争をする気はありません。」
武雄が言う。
「まぁ、確かに。
アズパール王は今の説明だけでも平気だろうが、取り巻きが何というかわからないか・・・良いだろう、キタミザト殿、この件はブリアーニ王国から提案を受けたという事にしてくれ。
背景に魔王国の武力を得て空白地帯を奪取出来るが、穏便に話を進めたいから説明に来たという風な感じでな。」
ヴァレーリが言う。
「ありがとうございます。
悪役を引き受けてくれて何よりです。」
「何、うちにも利益があるみたいだからな。
カールラもそれで良いな?」
「はい、今の流れで問題ないかと。
私達は異動して来たばかりです。
今までの事は気にせずに周囲を見た場合、空白地帯が隣接している事に不安がある為、併合する気で居るが、デムーロ国との戦争時に知り合ったキタミザト殿と隣接のエルヴィス殿に連絡しに来たとしてください。」
ブリアーニが言う。
「なるほど、その相談を受けた我らは、今まで購入はしていたが、ブリアーニ王国が乗り出すのであれば、雇用の創出と根こそぎ採掘する事による国内鉱山の温存にメリットを感じて協力するとするか。」
ヴァレーリが言う。
「そうね・・・だいぶ私達に有利な条件よね?」
「そうだな。
もう少し詳しく聞きたい所だが・・・
エルヴィス殿、この話はエルヴィス殿から聞かされているが、大筋を考えたのはキタミザト殿ですね?
というより、今まで何もなかったのに急にこの話になっている時点で、キタミザト殿だと思うのですが?」
ヴァレーリがエルヴィス爺さんに聞く。
「・・・」
エルヴィス爺さんが目線も動かさずにヴァレーリと目線を合わせている。
「・・・えーっと、領主なので、エルヴィス伯爵がお話しているんです。」
武雄が言ってくる。
「それは・・・まぁ、そうだろうな。
キタミザト殿は貴族とはいえ、王立の研究所の所長でしかない。
領主はエルヴィス殿だ。
貴国がどのように指示をしているかはわからんが、この地はドワーフ王国が領有権を放棄し、3か国が手を出さない土地でもある。
つまりは魔王国とアズパール王国で互いに『所有権を宣言したら相手が何を言ってくるかわからない土地』だから何も行動をしない。
そんな土地の話を領主でもない一貴族がした所で信用はされない可能性がある。
で、エルヴィス殿に説明をして貰っているんだろう?
そんな所か?キタミザト殿?」
ヴァレーリが言う。
「・・・キタミザト殿、やはりお二方は騙せんだろう、代わってくれ。」
エルヴィス爺さんが項垂れながら言う。
「はぁ・・・体裁が・・・」
アリスが諦め顔をさせて呟く。
「非公式なんだからその段取りで良い。
体裁を整えようとするから面倒になる。
あ、でも、我とカールラだからこう出来るとも言えるか。
非公式でもカストとかならエルヴィス殿がした方が良いかもな。」
ヴァレーリが言う。
「はぁ・・・一生懸命、エルヴィスさんに覚えて貰ったのに。」
武雄が諦める。
「ははは、少なくとも我とカールラにそういった事は不要だよ。
もちろん正式な文書、会談等々では、そうもいかないだろうがな。
で?確かに奴隷関係に打撃を与え、ウィリプ連合国との戦争で有利に進めるのには今の話は重要だ。
だが自ら採掘権を手放すまでの話かというと、少し疑問が残る。
ウィリプ連合国との件は我らも関心を持っているし協力はしよう。
今の話を聞けば、更なる協力も視野に入れるかもしれないな。
だが、確かに一貴族としてウィリプ連合国の件は重要な位置を占めるだろうが、我ら魔王国とブリアーニ王国側の貴族がそこまでしないといけない状況ではない、それもまだ数年ある段階ではな。
そしてこの話はアズパール王にこれから説明するという。
まぁ、要はエルヴィス殿の我らに見せている利益が少なすぎる。
ここがカールラが引っかかる所だ。
なぜ、そこまでこちらに有利な条件を提示する?」
「「・・・」」
エルヴィス爺さんとアリスが武雄を見ている。
「・・・なぜだと思いますか?」
「・・・わからん。
あの山はドワーフ王国と接してはいるが、鉱山という魅力以外はないと思っている。
なのに、なんであの土地の所有権のみで良いんだ?
富を全部、我らに渡すんだぞ?」
「・・・お宝があるから皆が手を出したがるのです。
なら、無くなってしまえば、ただの土地でしょう?
誰も居ない土地を所有したいだけですよ。」
武雄が言う。
「それはさっきも聞いたな。
あそこに何があるんだ?」
「特にないですよ?」
武雄が言うが、ヴァレーリとブリアーニは訝しく武雄を見るのだった。
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