第2857話 比較試験をしましょう。(特殊コンテナ搭載馬車の特注に向け動こう。)
第八兵舎の外。
アズパール王、クリフとローナとニール、第3皇子一家、王都守備隊、総監局幹部、財政局幹部、第二研究所 試験小隊一同が集まっていた。
「「「うーむ・・・」」」
アズパール王、クリフ、ニールが目の前の物を見ていた。
「さ、組み立ててください。」
王都守備隊総長が3人に言う。
「ははは・・・」
マイヤーが総長の隣で乾いた笑いをしている。
「うむ・・・いや、総長・・・あー・・・これを?」
アズパール王が総長に聞く。
「はい、正直、今回の特殊コンテナ搭載馬車(個室)を私は陛下用に買いたいです。
頑丈で設営する作業も早く、使い勝手も良い。
ですが、総監局辺りから『作業時間の問題なら高いのでテントで良いのでは?』という我々が作業をサボりたいと思われている風な感想が出るのがわかっています。
なので、陛下にテント設営を体験して貰い、どれだけの違いがあるかわかって貰おうと思って企画しました。」
「・・・我の所に計画書来てないが?」
「急遽、企画し、オルコット宰相殿に許可は得ています。
さ、やってください。
あ、一応、説明書を渡しますし、部下を3名付けますが、陛下達にやって貰うのが前提なので補助のみです。」
「「「ううむ・・・」」」
3人がテントがバラされた状態の物を見て言い淀んでいる。
ちなみにアズパール王たち三人が居る所の少し横に同じようにバラされたテント一式があり、財政局と総監局の若手幹部達が絶望した顔をさせながらいたりする。
「さーって・・・展開させるかぁ。」
アンダーセンがコンテナ搭載馬車を見ながら言う。
「これなんですか?
比較ですか?」
ブルックが呆れながら言う。
「あー、なんかマイヤー殿が総長と話していたぞ?
ほら、総長達にお披露目の際の展開して室内を見ている時だ。
どうやったら売れるかとか、どうすれば了承されるかとか・・・総長はこれを入れたいようだ。」
アンダーセンが言う。
「・・・ひっそりと計画していたんですね。
でも、良く総監局と財政局が来ましたね。」
「特別予算になるだろうからな。
あくまで王都守備隊は警護兵だ。
陛下の備品は総監局の管轄だし、財政局が源泉だからな。
経験して貰って、テント設営が大変であり、警護するのに防御が足らないというのを知らしめたいのだろう。
ほら、慣例の戦争で魔王国陛下が来た際に皆で焚き火の周りで所長が言っていただろう?
『上の者が自ら欲しがらない限り、需要が発生しない』とな。
あれをマイヤー殿が総長に言ったんだよ。」
「総長が所長の言に同調したという事ですか。」
「・・・所長が実際に警護する者の意見をわかっているという事だろう。
総長も経験しているだろうから本来はわかっていたが、組織の上に立ってその事を奏上する程の事ではないと忘却したんだよ。
で、目の前に今回のコンテナ搭載馬車を見せられ、部下達も見て意見集約をしたら・・・皆が欲しいと言ったんだろう。」
「所長やマイヤー殿の目論見通りに進むと。」
「少ないかもしれないが・・・注文を取って来る事に意味があると俺も思うぞ。
上手く行けば、国内唯一の馬車工房になり得て、継続的な仕事になるかもしれないと。
あの工房を大きくさせる為の第1歩だな。」
「隊長も商売人になってきましたね。」
「・・・俺はあくまで研究所の実験部隊長だ。
ただ、俺でさえわかるような利点を強調して売り込んだらどうなるか。
そのぐらいは俺でもわかる。
所長ならもう少し先の展望を言ってくるだろう。」
「先の展望ですか・・・それは所長が戻ってから聞きましょう。」
「そうだな。
それに私達は総監殿に命令された通りに特殊コンテナ搭載馬車(個室)をいつも通りに展開するだけだ。
あとの交渉は総監殿がするさ。」
「ま、そうですね。
私達は部隊員です。
命令を即座に実行させましょうか。」
アンダーセンの言葉にブルックが言うのだった。
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エルヴィス爺さんとビエラに宛がわれた部屋。
「うむ・・・今ごろは王都守備隊の所でテントと特殊コンテナ搭載馬車の比較をしておるだろうの。」
エルヴィス爺さんが窓の外を見ながら言う。
「エルヴィス伯爵殿、目論見通りですか?」
オルコットが聞いてくる。
「うん?そっちはタケオの管轄じゃよ。
それにしても良く比較試験に許可を出したの?」
エルヴィス爺さんがオルコットを見る。
「はは、あれほどの物が来たのです。
陛下のお命を守るのに重要な装備品になるでしょう。」
「・・・地方領での製作でもかの?」
「そこは何とも。
良い面も悪い面もありましょう。
ですが、地方領の優れた技術を取り込むのも王城としては必要な事かと。
なんでもかんでも王都が一番というのは・・・そういう時代ではもうありません。
この特殊コンテナ搭載馬車が王都の各工房の奮起を促せられれば良い事でしょう。」
「ふむ・・・素材はまだ秘密じゃからの。」
「はい、キタミザト殿関連というのであればそれ相応の素材でしょう。
今は詮索はいたしませんよ。」
「ま、当面はそれで頼むの。」
オルコットの言葉にエルヴィス爺さんが頷くのだった。
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