第2853話 342日目 魔王国にたらこスパゲッティ。(ご当地グルメが出来るのか?)
旧デムーロ国 王都隣の港町の宿。
「「美味しっ!!」」
「ぎゅー!」
「これも良いで・・・海藻の紙が口の中の上に!!」
「美味しいです。」
「お母さん!これ美味しいよ!」
「ええ、本当に。」
「美味いな。」
「「「美味しい!!」」」
ヴァレーリとアンナローロ、武雄達が今日泊まる宿の食堂で武雄作のたらこスパゲッティを堪能していた。
ちなみに護衛達はバター不足と時間がない事と消費量が多いだろうからと武雄が断った為、食べれなかった。
まぁ、今バクバク食べている一同を見れば、武雄が言った事が正解だったとわかるだろう。
「・・・美味しいなぁ。」
ヴァレーリが何度目かになる感想を呟く。
「満足いただけたようですね。」
武雄が聞く。
「満足!満足!
アンナローロも気にい・・・アンナローロ、頬張り過ぎてないか?」
ヴァレーリが隣で食べているアンナローロを見るがリスのように口に入れすぎて膨れている口元を見て呆れていた。
「ひょんひゃことない・・・んっ!そんな事ないですよ。
それにしてもバターとツブツブの卵とこの海苔と言うのが、丁度良い感じですね。
これは流行りますよ!」
アンナローロが言う。
「そうですか・・・レシピ、いりますか?」
武雄がそう言って四つ折りにした紙を人差し指と中指で挟んでヴァレーリの顔の前に見せる。
「ぐぬぬぬぬ・・・」
ヴァレーリが苦悶の表情をさせる。
「あ・・・ああ・・・あ・・・」
アンナローロがヴァレーリと武雄を交互に何回も見ながら不安そうな顔をさせる。
「まぁ、これが無くても作れるでしょうね。
バターとタラの卵の塩漬けがあれば出来るんですから。
調理は簡単ですよ。」
武雄が言う。
「・・・」
ヴァレーリが目をギュッと瞑り、下を向きながら手をプルプルさせて伸ばしてくる。
「・・・」
アンナローロが見逃さないようにジッと見ている。
「・・・はい、毎度ありがとうございます。」
武雄からヴァレーリが紙を受け取るとそんな事を言う。
「・・・」
ヴァレーリが紙を握りしめながら机に突っ伏している。
「ダニエラ様!やりましたね!正式なレシピです!」
アンナローロが言ってくる。
「・・・何もそこまで・・・苦渋するほどの決断ではないでしょうに。」
武雄が呆れながら言う。
「いや!キタミザト殿にとってはそうでも我らにとっては違うんだよ!」
ヴァレーリがガバッと起き上がって言う。
「はいはい。」
「ここは王軍管轄なんだ。
占領し、上前だけ取っていくと住民から不満が出るだろうが、王軍の方から新しい地域限定のレシピが公開されれば幾ばくかは魔王国寄りの意見が出てくれるだろう!
治安維持の為に大々的な特産品に繋がるレシピを入手出来たのは大きいんだ!」
ヴァレーリが言ってくる。
「そうですか。
レシピの報酬はいつも通りお任せで。」
「はーぃ・・・集計が怖いなぁ。」
ヴァレーリが小声で答える。
「ですが、キタミザト殿、レシピの公開はよろしかったので?」
アンナローロが聞いてくる。
「別に私は痛くも痒くもないですからね。
食材はエルヴィス伯爵領では手に入らない物なので輸入するにしても高額になりますし、アズパール王国内で探すにしてもそれなりに輸送料がかかる。
どう転んでもエルヴィス伯爵領では高価な食材ですよ。
屋敷内で楽しむだけなので大掛かりな輸入品にはなりませんしね。
私個人が楽しむための輸入品になる程度です。
別にこのレシピは秘匿するような類ではないですから。」
「まぁ、キタミザト殿が大丈夫というならありがたいですが。」
アンナローロが頷く。
「気になるのは食材価格の変動ですね。
最初は供給が追い付かずに高騰して、その後、増産に動けば価格が低くなり、現状維持なら高めのまま。
どうなるか。」
「普通に考えれば高騰してから下落だろうな。
だが、下落するにもどのくらい増産したかに依って変わるだろう。
どの程度流行るか・・・見当もつかんな。」
ヴァレーリが言う。
「・・・流行りだしたら輸出出来るか声をかけますね。」
「キタミザト殿はすぐに乱高下すると思うか?」
ヴァレーリが聞いてくる。
「流行りとはそういう物でしょう。
むしろ流行後をどうするか・・・ですね。
その辺のやりくりはエルヴィスさんが知っていますよ。」
「・・・ピザだな!
そうかキタミザト殿のレシピが普及した時の実績がこんなに近くに。」
ヴァレーリが光明が見えたような顔をさせる。
「・・・まだ集計中だと思いますけどね。」
「え?・・・んー・・・よし!引継ぎ項目にあげておこう。」
ヴァレーリが言う。
「・・・その交渉私じゃないですよね?」
武雄が聞いてくる。
「もちろんキタミザト殿宛で!
次の国王が誰になるかで聞けるまでの期間が長いか短いかしそうだな。」
ヴァレーリが笑顔で言う。
「知り合いならやりやすいですけど。」
「そうだな、そこは結果次第だ。」
ヴァレーリが言う。
「案外、ダニエラさん再選が現実味を帯びてそうですけどね。」
「断固拒否してやる!」
「出来れば良いですね。」
武雄が言う。
「・・・予備案を用意しておくか。」
ヴァレーリが考えるのだった。
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