第2849話 他国に来ての収穫はというと。(蕎麦とゴボウ。)
魚屋から始まり、干物屋、青果屋、精肉店で今は穀物や豆を置いている店に来ていた。
「・・・キタミザト殿、一体いくら使っているんだ?」
ヴァレーリが聞いてくる。
「ふふっ。
人生最大の散財ですね。」
武雄がニヤリと笑う。
「・・・相当なんだな。」
ヴァレーリが呆れる。
「・・・小麦が少し高めですね。」
アンナローロがボソッと言う。
「主ー!」
「ぎゅー!」
ミアとリーザが戻ってくる。
「おかえり。」
武雄がにこやかに出迎える。
「聞いてください!
小さいけど尖った実が売ってました!
あまり美味しくないけど粉にして薄生地で食べれるんですって!
主なら美味しく出来るんじゃないですか!?」
「ぎゅ!ぎゅー!」
「ほぉ。」
ミアとリーザの報告に武雄の目が再び本気になって行く。
「「・・・」」
ヴァレーリとアンナローロが「また!?」と思うのだった。
「美味しくはないが食べれるというのは良いですね。
それに穀物なら輸入も出来やすいでしょうし、価格も抑えれそうですね。
ミア、リーザ、何処ですか?」
「あっちでーす。」
「ぎゅー。」
武雄が行動し始める。
・・
・
武雄はミア達に連れられて見た実を手に取り、屈んで確認していた。
「・・・タケオ、形状は蕎麦の実にも似ていますか。」
チビパナが武雄の肩で実を見ながら言う。
「そう言われると蕎麦の香りがしなくもないですが・・・正直に言えば蕎麦は好きですが、実を購入した事はないですから実物かどうかは・・・
合っているかは食べないとわかりませんね。」
「なら購入ですね。」
「ええ、もし蕎麦だったら収穫が種まきから2か月半という短期間で出来ます。
土壌も痩せていても良いと思いますから・・・北町用ですね。」
「伯爵に土産が出来ましたね。」
「ええ、ここで何と言われているか知りませんが、蕎麦として根付かせてしまいましょう。」
「なら戻ったら専門家に見解を貰いましょう。」
「そうですね。
で・・・この下の種なんですけどね?」
「・・・浜辺近くの畑の周りに撒いて土の流出を防ぐために・・・嘘でしょうね。
そんな作物はありません。」
チビパナが断言する。
「根が真っ直ぐ下に伸び、3m近くになるので短い間隔で植える事で可能になる。」
武雄が気になる文言を読む。
「・・・タケオ、気になる点は?」
「根が真っ直ぐ真下に。」
「・・・ゴボウでしょうか。」
「私が知っているのは80cmくらいでしょうか。
3mなんてありえるのでしょうか。」
「確か、タケオやスズネが食べているのは種をまいて5か月程度の物では?
昔の日本は2年くらい植えて3m程度にしていたと思いますよ。
なので、渋みも最高潮になっていて、水に浸けての灰汁抜きと皮を削ぐ必要があったと思いますが。」
「その言い方だと、私が食べていたのは灰汁抜きと皮剥ぎが必要ないと言っているように聞こえますが。」
「ええ、必要ないですよ。」
チビパナがキッパリと言う。
「え?そうなのですか?」
「はい、私も専門家ではないですが、タケオ達が食べているゴボウが5か月の物であれば泥を落とす程度で皮付きで調理して良いですし、水に浸けての灰汁抜きをしたら栄養価が抜けるだけだと思いますけど。」
「知らなかった・・・」
「昔の2年物のゴボウの調理法が受け継がれていたのかもしれませんね。」
「・・・と言う事はとんでもなく調理が楽になりますね。」
武雄が考えながら言う。
「そうでしょうね。
買いですか?」
「買いましょう。
ふふふっキンピラが出来る。」
武雄がにやける。
「後足らないのはなんでしょうか・・・」
「色々ありますが、今欲しいのはゴマですね。」
「ふむ・・・油用に出回っていても良いのですが・・・
見当たりませんね。」
チビパナが言う。
「オリーブオイルが出ているからゴマは見向きもされなかったのでしょうか。」
「そこは何とも。
ですが、ゴマは収穫後の分別作業がとんでもなく大変です。
どこかに委託した方が良いのでは?」
「・・・高価な食品になりそうですね。」
「そこはしょうがないでしょう。」
「んー・・・欲しいですが、生産を他国に委託して高いのもなぁ。」
「ですが、タケオ、エルヴィス伯爵領でも作業費はかさむと思いますが?」
「・・・」
武雄が腕を組んで考えるのだった。
少し離れて観察しているヴァレーリとアンナローロは。
「おい・・・キタミザト殿が悩んでいるぞ?」
「はい・・・どういう事でしょうか。
調理が難しい食材なのか栽培が難しいのか・・・どちらなのかによって、この後の出方が変わりますね。」
「ううむ・・・調理が難しい程度であれば我が国の料理として取り入れたい物だが・・・」
「え?ダニエラ様、キタミザト殿が悩む食材を魔王国で・・・ですか?
途方もない挑戦になるのではないでしょうか。」
「だが、キタミザト殿が手を出さないというのに価値がある。
それに魔王国でやるかブリアーニ王国でやるかは本人達のやる気次第だ。」
「それはそうですが・・・」
ヴァレーリとアンナローロも悩むのだった。
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