第2747話 武雄達のみで雑談。(部下が皆顔が良いのはたまたまです。)
マリスとヤリスを自分のテントに戻させ休憩をさせる事にした武雄達は2人の成獣状態を確認してから、与えられたテント内で雑談をしていた。
「つまり、魔王国で獣人と言うのは3種類居ると。」
「そういう事らしいですよ。
あのマリスさんとヤリスさんはああいう出で立ちですが、あれは稀なんだそうです。
人間に変身出来る獣というのはヴィクターやジーナ、変身しない獣人は魔王国のパーニ伯爵、獣人に変身できる獣には会ったことありませんが、種族としてはこの3つが最大勢力という事でしょう。」
「そうなのですね。」
ブレアが頷く。
「ですが、アスセナさんのように人間へ変身は出来ないけど、パーニ伯爵のような獣の特徴を色濃く残していない。
簡単に言うと人間種にケモミミ等があるだけという、どちらかというとマリスさんやヤリスさんの状態で変身が出来ない型の者や王都守備隊に放り込んで来たテーアさんのように人間から虎の獣人に変化する型の者も居るというのは私達は知っています。」
「つまり?」
「大多数以外の獣の特徴を持つ者は『獣人系のその他』として扱われているという事です。
たぶん、ダニエラさん達も完全に把握していないでしょうし、そもそも少数なのでしょう。
把握したとして意味はないと獣人という括りで終わらせている可能性があります。
そもそも見た目が多少違う程度の差別はあっても迫害まではしていないような口ぶりでしたしね。
多種族国家の魔王国は些細な違いまで気にしていないというのが気風なのでしょう。」
「差別は少ないという事ですね。」
「地方領ではあるでしょうけど、今までの感じでは魔王国の中枢たる王軍にはなさそうです。
ですが、デムーロ国では、その少数の者を迫害するという政策を取っていたという事です。」
「迫害ですか。
難しい政策ですね。」
「要は国民の下に奴隷や奴隷以下の生きているだけで害悪があるという最下層種族を作り、国民に優越感を持たせるという政策です。
国民は不満の捌け口が用意される事で多少の政策への不満は我慢し、その最下層に向けて暴力的な事をする事で発散するという事ですが・・・
これは施政者からすれば甘美な政策です。」
「そうなのですか?」
「支持率は上がりますし、国民の満足度も上がる。
虐げられるのは国民の中の数十から数百。
その程度の犠牲で国内が安定するのです。
楽ですよ、この政策は。」
武雄が難しい顔をさせて言う。
「「ふむ・・・」」
ベイノンとブレアも難しい顔をさせる。
「アズパール王国が同一の政策をしたのなら、私は反対票を投じますけどね。
キタミザト家の従業員はそういった者達を集めているのです。
一番、対象にされやすい者達なのです、彼らが迫害されるような事があれば私が耐えられません。
実施されれば、私は貴族位はさっさと返上して、皆で夜逃げですね。
受け入れてくれそうな所は、今の所ありますし。」
武雄が言う。
「「確かに。」」
「クリフ殿下はそういった政策をしないとは思いますけど、人気取りでする可能性もあります。
王都の貴族会議や文官、武官の動向は注視しておかないといけないでしょう。
まぁ、今の所、王都の文官連中は異種族に温和ではありますが、世情によって変わる可能性もあります。
ベイノンさんとブレアさん、試験小隊の面々も地方領から王都に出来る範囲内で良いので情報を取るようにしてください。」
「「はい。」」
ベイノンとブレアが頷く。
「で、主。
あのマリスとヤリスは獣人なのですよね?」
ミアが言ってくる。
「ええ、綺麗な顔立ちで耳と尻尾が可愛いですね。
あの母娘をまた王都に連れて行って、皆に報告して保護するように言っておきますかね。
あれだけの見た目です。
保護欲を突いて、受け入れをしてくれそうです。」
「また、所長が変な事を考えていますね。」
「ちょっとずつ異種族を皆に紹介していかないと、いきなり来ては王都の文官達も困るでしょう。
なので、見目麗しい者を見せて行って、奴隷は綺麗な者達が多く、迫害されているので保護し、国民として扱っていきましょう。
と、少しずつ刷り込んでいかないとね。
この刷り込みをしないで、いきなり入れるから面倒になるんです。
ちょっとずつちょっとずつ、労力を惜しまず、それでいて異種族も真面目に働く姿勢を見せ、交流を持たせて行かないと。
これは数世代に渡ってやって行かないといけない事です。」
武雄が言う。
「・・・ちなみに所長、ヴィクター殿とジーナ殿は見た時どうだったのですか?」
ブレアが聞いてくる。
「うん?綺麗な顔でしたよ。
まぁ、その時の販売の人が奴隷商組合の副組合長だったのは後々知りましたが。」
武雄が思い出して苦笑しながら言う。
「所長、さっきもマリス殿とヤリス殿を見て、綺麗な顔立ちと言っていましたが、ヴィクター殿やジーナ殿も綺麗な顔立ちだから買ったのですか?」
ブレアが聞いてくる。
「ミアの推薦があったからというのが第一ですが、どうせ王都でお披露目するかもしれないからというのは頭の片隅にありましたよ。
綺麗な顔の方が皆に受けいれて貰える可能性は高いでしょう?」
「・・・ちなみにベルテ一家やアスセナ殿は?」
「皆綺麗な顔ですよね、たまたまですよ。
知っているでしょう?皆境遇が違うのです。
毎回、顔が良い者を選んでいる訳ではありません。
たまたまです。
ま、王都で見せた時の評判は上々なんですけどね。」
武雄が明後日の方を見ながら言うのだった。
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