第2746話 とりあえず食事を与えよう。(いつもの光景が広がります。)
第2大隊の大きいテント。
「陛下、キタミザト殿は大丈夫でしょうか?」
「何がだ?」
大隊長の言葉にヴァレーリが聞き返す。
「いえ、キタミザト殿からすれば異種族ですし、それに中隊長が言っていましたが、獣人系住民間で何やら噂が立つ者達のようですし。」
「・・・うむ、真っ当な意見のような気もするが・・・大丈夫だろう。」
ヴァレーリが言う。
「そうですね。
ある意味、魔王国に入れるよりもキタミザト殿が引き取ってくれた方がデムーロ国相手に楽な交渉が出来そうですし。
国内の住民に亀裂を入れるような事にならないのは、我が国にとっては良い事ですね。
キタミザト殿が厄介事を持って行ってくれたと考えられますが。」
アンナローロが言う。
「アンナローロ、そうじゃない。
キタミザト殿の配下を知っていれば、そんな言葉は意味がない。
そもそもキタミザト殿がその程度の迫害内容を気にもしないからな。」
「・・・そうでしたね、ドラゴンにエルフに獣人に魔人でしたね。」
「そうだ。
それにほぼ奴隷の首輪をされていた者達で、その内のエルフの一家は強姦に強制戦闘にと地獄を見た者達、さらにはどっかのアホがやってくれた獣人と人間の混血児も引き取ったんだぞ?
キタミザト殿にとっては種族内の迫害なんて、どうでも良いと思うだろうよ。」
ヴァレーリが言う。
「キタミザト殿のご配下の方々は経歴が特殊過ぎですよね。」
「あそこは真っ当なのが居ない家だからな。
たぶん、アズパール王国でもキタミザト家は特殊な位置を占めているだろうよ。
国益になっているのだろうが、扱いに困るようなな。
ま、我らにとっては、差別意識が希薄な交渉相手ではあるし、相談に乗ってくれて助言もしてくれてありがたいのは確かだな。
こちら側で交渉をする者も人間種に差別的な意識が希薄な者を用意するのは言うまでもない。
キタミザト殿に差別意識があるものを差し向けると、とんでもない事をし返してくるという予感はある。」
「「確かに。」」
大隊長とアンナローロがヴァレーリの言葉に頷く。
「そういう者達を雇う術は、我らよりキタミザト殿の方が上手いだろう。
どうやるかはわからないが・・・少なからず、この間見たメイド見習いの子供達は楽しそうだったから条件は良いのだろう。」
ヴァレーリが言う。
「確かにあの子達は元気で仕事をしておりましたね。
影が何もなかったのは充実していたのでしょう。」
アンナローロが考えながら言う。
「はぁ・・・我が国の国民が奴隷にというのは気持ちが良い物ではありませんね。」
大隊長が言う。
「だな。
見方を変えれば、今、キタミザト殿がしている事はこれに似ている。
デムーロ国が真っ当なら良い気分はしないだろう。」
「迫害をしているのにですか?」
「迫害をしているからこそだろう。
最下層の者がいなくなると新たに作ることが必要になるのだからな。
こういう楽な施政をする者は同じことをするさ。」
「そういう物でしょうか?」
「そういう物と思わなければ、我が国もなってしまう。
一度、手を出すとやめられないだろうからな。
決して最下層という迫害される種族を持って統治などしてはならん。
その為に外敵を用意しているのだしな。
あ、本格侵攻はするなよ。」
「わかっております。」
大隊長が頷くのだった。
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武雄達のテント。
昼食を武雄が作って、部下達にコロッケパンと野菜炒め、食後のスイーツにフレンチトーストを振舞ったのだが。
「「・・・」」
いつか見た光景の如く、土下座しているマリスとヤリスが居た。
「・・・もうお馴染みの光景なんですけど・・・・」
武雄が苦笑する。
「キタミザト様。この度は拾って頂きありがとうございます!
お仕事を頑張らさせて頂きます!」
「こんな美味しい食事は初めてでした!
生きていて良かったです!」
マリスとヤリスが言う。
「ぎゅー!」
ついでにリーザもいつの間にか土下座していた。
「ははは、いつもの光景ですね。」
「わかります、わかります。」
ベイノンとブレアが頷く。
「私達の結束はこれですよねー。」
ミアが言う。
「タケオ、食器の清掃終わりました。」
初雪が食器を片付けながら武雄に言う。
「はぁ・・・別に今日だけの食事ではないですし、住処であるアズパール王国にくれば高い頻度で食べれますから、そう畏まらなくて平気ですよ。
さ、ちゃんと座ってください。」
武雄の言葉に3人が席に着く。
「とはいえ、私が住んでいる所に戻るのはもう少しかかります。
当面は王軍と共に旅をしますので、そう考えておいてください。
大丈夫です、私達は戦闘をする気はありませんし、例えなったとしても生き残れますから。」
「「はい。」」
マリスとヤリスが返事をするのだった。
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