第2745話 さぁ、スカウトに向かいましょう。(はい、従業員ゲット。)
保護された2名が居るテントに調査しに行った小隊長に連れられて、武雄が来ていた。
「・・・」
武雄の目の前に銀髪の狐のケモミミとケモ尻尾を持った獣人の女性と女の子が居た。
「「・・・」」
2人共恐縮しながら武雄を伺っている。
「うん、そう恐縮しなくて平気ですよ。
何もしませんからねぇ、今、うちの部下を呼びに行って貰っていますから。」
武雄がにこやかに言う。
「「・・・」」
2人は何も言わずに恐々としている。
「失礼します。
所長、お呼びと伺いました。」
ベイノン達がやって来る。
「お、来ましたか。」
「所長、何をされたのですか?」
ブレアが聞いてくる。
「私は何もしていませんよ。
で、リーザが感知した所にこの2人が居たそうです。」
「「へぇ~。」」
ベイノンとブレアが言う。
「さて、全員入りましたね。
では、まず私達の自己紹介からしますね。」
武雄が話し始めるのだった。
・・
・
自己紹介と現状の話、雇いたいという事を武雄が2人に話し、2人から自己紹介も聞き出していた。
「なるほど、マリスお母さんと、ヤリスお嬢ちゃんですね。
年齢は104歳と34歳と。
種族的に300年程度ですね。
ふむふむ。」
武雄がメモを取りながら言う。
「はい、その、助けて頂いてありがとうございます。」
「ありがとうございます。」
2人が頭を下げる。
「私はリーザが感知したので魔王国の方に動いて貰っただけですよ。
まぁ、それにしてもご家族や集落の方は残念でした。」
「「はい。」」
2人が項垂れる。
「で、どうです?
人間種が主なアズパール王国に来てみませんか?
うちの従業員として働いてみてはどうですか?ちょうど人手が足りないのです。
お給金は・・・あまり高くないですが、ちゃんと生きていけるだけの費用は出しますよ。」
「えーっと、先ほどの話ですね。
ですが、私も娘も・・・その・・・」
マリスが難しい顔をさせる。
「あー、同系種族内で色々とあるようですね。
ですが、アズパール王国はほぼ人間種のみなのです。
どちらかというと獣人だとかの種族を問わずに他の異種族全てが差別の対象になります。
たぶん、貴女方の差別意識はアズパール王国にはないですね。」
武雄が言う。
「そう・・・ですか・・・」
マリスが顔をしかめる。
「はい、というより人間種同士でさえ、産まれた地域や親の職業での差別はありますからね。
それはどうしようもないですよ。
『弱者を作る』というのは治政において、やりやすい方法なのは確かですから。
種族関係なくあるものです。」
「そういうものでしょうか?」
「はい、そういう物だと思います。」
武雄がキッパリと言う。
「で、私が貴族という立場に居るので、私の部下であれば、差別されても酷い事はされずに暮らせますよ。」
「差別はなくなりませんか。」
「なくなる訳がありません。
ですが、少なくは出来ているというのが現状ですね。
それに先ほども言いましたが、私の部下達は色んな種族がいますし、元奴隷やスラム街での混血児も居ます。
迫害、差別・・・存在と尊厳を否定されるような経験をして来た者達ですから、貴女達も普通に受け入れるでしょう。
今の所、うちに居る部下達に住民達から何か差別的な事をされたというのは聞いていません。
種族として人間種より上だと傲慢になられるのも困りますが、迫害されていたと卑下する事もありません。
一アズパール王国の国民として、隣人と仲良くし、お金を払って物を買い、お風呂に入って、食事をして、ゆっくり寝てくれれば何よりです。
もちろん、従業員として仕事はして貰いますが、しっかりとしてくれれば私は何も言いません。」
武雄が言う。
「確かに・・・私達はもうどこにも棲み処がないというのはわかっています。
ですが、本当に私達を雇うのですか?」
マリスが聞いてくる。
「はい、何かあるのですか?」
「呪われていると言われ続けていますので。」
「この地ではでしょう?
アズパール王国で言われていませんよ。
そもそも異種族がほぼいなかったのですから呪いとか言われても。
ちなみに呪われていると何があるんですか?」
「え?」
「いえ、呪われているというからには実害があるのでしょう?
何があるのですか?」
「えっと・・・それは・・・」
「言ったでしょう?
『弱者を作る』というのは為政者からすれば楽な方法なんです。
たまたま選ばれたのがマリスさんやヤリスさんの種族というだけだと私は思います。
本当に実害・・・例えば周囲の人間が死ぬとかというのであれば、迫害なんかせずに隔離する方向に動くでしょう。
なのに、住民に負の感情をぶつけさせるようにワザとそれなりの距離に残しているという時点で本来は何もないのですよ。」
武雄が言う。
「・・・私達は生きて良いのでしょうか?」
「生きて普通の暮らしをしたいというのなら我が国に来るべきと私は思います。
ですが、先ほども言いましたが、多少の差別は覚悟して貰います。
対処はしようと思いますが、絶対になくなりません。
なので、少々我慢はして貰わないといけないでしょう。」
「少々の我慢程度であるのなら無いに等しい物です。
キタミザト様、よろしくお願いします。」
「お願いします。」
マリスとヤリスが深々と頭を下げるのだった。
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