第2485話 出産準備中。(やれる事はやるよ。)
エルヴィス伯爵邸に続く道。
「・・・まさかゴドウィン伯爵夫人様が産気づくとは・・・」
キティが言う。
「元々、その予定だったしね。
まぁ、私もクリナが生まれる時ぐらいしか記憶にないけど、幼すぎて出産に立ち会ったという感じはしないわ。
今回が初めてよ。
キティは?」
「私は記憶にないです・・・話には聞いていますが、出産は大変だとしか。」
「うん、そうね・・・今回はこの地にいる全精霊が招集されているからなぁ。
大丈夫だろうけど。」
「ぜ・・・全精霊ですか?」
「王城より豪勢な出産よね。
ま、出産の指揮を執るのはアリス様の精霊のコノハ殿で妊婦の精霊らしいからさらに安心ではあるわ。
私達は見守るだけよ。」
「出産祝いの準備はしましたし、後は生まれてくるだけですね。」
「今回は個人としての祝いを用意したんだけど・・・これで良いのかな?
お店の方に勧められるままに買っちゃったけど。」
「フルーツ盛り合わせでしたね。」
「うん・・・これで良いんだよね・・・」
「大丈夫ですよ。
気持ちが大事ですし。」
「そうね、そう考えよう。
はぁ・・・今ごろ屋敷は大変な事になっているんだろうね。」
「ですね。」
エイミー達は話しながらエルヴィス伯爵邸に戻るのだった。
・・
・
エルヴィス伯爵邸の客間。
「・・・」
ジェシーが苦悶の表情をさせながら寝ていた。
「はぁ・・・陣痛の間隔が少し短くなっていますね。」
アリスが小声で隣に座るエリカに言う。
「そうですね・・・出産は大変だというのがこれだけでもわかります。」
エリカが頷く。
と、客間がノックされ、アリスが返事をするとルフィナが入ってくる。
「失礼します。
コノハ殿、出産用の部屋の用意が整ったとの連絡がありました。」
ルフィナが少しトーンを抑えて言う。
「うん、出来たね。
煮沸したタオルや天井から下げた綱は?」
コノハが実体化してルフィナに聞く。
「陣痛が始まってから煮沸し、干しているタオルが4枚、天井からの力む為に掴む綱はメイドさん2名がぶら下がっても切れない物を用意し終わっています。
また、ジェシー様が横になるベッドも清掃が終わっており、シーツも新品で煮沸をしてある物を使用しています。
今は、いつ出産しても良いように産湯を用意し始めています。」
「準備は順調ね。
あと、子供のへその緒を切るハサミの用意は?」
「2本用意しています。
両方、煮沸と水気の拭き取りを終えています。
・・・コノハ殿、切るのですよね?」
「うん、切るわよ。
切る時に子供側のへその緒の血流を止める物を用意したいんだけど・・・うーちゃんとだーちゃんがエルフの出産時に使う紐を持って来てくれるはずなんだけど・・・
ちょっと聞いてみるか・・・ん?弦?・・・あ、なるほどね。」
「どうしたの?コノハ。」
アリスが聞いてくる。
「うん?エルフ達の所もへその緒は切るそうなんだけど、子供側のへその緒の血流を止める為に弓の弦を使うんだって。
なんでも、『食うに困らないように』という願いがかかっているんだって。
アリス、この国に何か風習はあるの?」
「特にないわよ。
まぁ、私も聞いただけだから・・・大丈夫だと思う。
ゴドウィン伯爵領でも切っていると思います。
でも地域によってはへその緒を切らない所もあるのは知っていますよ。」
アリスが言う。
「あー・・・ロータスバースという出産方法か。
ま、私としては、あまりお勧めしないやり方だけど、方法としてはあるわよね。」
コノハが言う。
「コノハは好きじゃないの?」
「まぁ、ねぇ。
スズネやタケオの所ではへその緒を切らないで放置しておくと、頭に障害が出たりする可能性が高くてね。
泣き始めたら、さっさと切ってしまうのよ。」
「障害・・・それは大変ですね。
切ってしまいましょう。」
アリスが言うとエリカも頷く。
「うん、あとは・・・メイドさん達にお願いしてあるから段取りはOKと。
フレデリックも今は庁舎に行ってしまったし、ジェシーと一緒に来た兵士の一部は戻って途中まで来ているであろう乳母のお迎えに行って貰っているし・・・」
「ゴドウィン家は乳母を雇うんですね。」
アリスが言う。
「1日中、子供の面倒は見切れないと思ったのかもね。
3、4時間ごとに母乳を与えるからね。
夜は寝て貰って、昼間はジェシーが与えるという方針みたいね。
ま、アリスとエリカは今回のジェシーのやり方を見て自分なりに考えるのが良いと思うわ。」
コノハが言う。
「そうですね。」
「わかりました。」
アリスとエリカが頷く。
「・・・ん・・・寝てたか・・・」
ジェシーが目を覚ます。
「おはよう、ジェシー。
気分はどう?」
コノハが聞く。
「気分は最悪、結構辛いわ。
あー・・・あれね、実家で良かったわ。
これ嫁ぎ先だったら悪態吐きそうよ。」
ジェシーが疲れた顔をさせる。
「なら、ジェシー、おっぱいマッサージしようか。」
コノハが言う。
「うん?なんです?それ?」
「母乳を出しやすくするためのマッサージよ。
あとでも良いけど、今は気分転換に丁度良さそうだしね。
パンニューキスやペイトーにも教えたいし。
あ、そろそろ搾乳もさせないといけないかなぁ?
まぁ、それはまた後で良いか」
「なら、教わろうかしら。
パンニューキス、大丈夫?」
ジェシーがパンニューキスに聞く。
「大丈夫です。
皆でおっぱいマッサージの講習ですね。」
パンニューキスが頷くのだった。
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