第1697話 寄宿舎に向かおう。(コートニーは良い娘だ。)
宿舎からの道。
「ったく・・・うちの息子は・・・ラックの娘の覚悟になんて事を・・・申し訳ない!」
マイヤーが怒りが収まらないのか唸っている。
「いやぁ~・・・青春だね~♪」
武雄は嬉しそうだ。
「ははは、マイヤー殿、大変そうですね。」
「まぁ男なんてそんなもんですよ。
この手の工作は女性の方が上手いもんですよ。」
「あ~?」
「?」
ビエラと夕霧が首を傾げている。
と道の先に人影が・・・コートニーが居る。
武雄達はにこやかにコートニーの所で止まる。
「あの・・・キタミザト様。」
「私じゃないでしょう。」
武雄がそう言ってマイヤーを見る。
「コートニーお嬢さん、息子が迷惑をかけてすまない。」
マイヤーが頭を下げる。
「え?あの?」
「窓からの侵入だけじゃない、ラックの店まで同伴しているとも聞いている。
他にも世話を焼いてくれているんだろう・・・コートニーお嬢さんはうちの息子に対して相当の覚悟を持って好意をアピールしているにも関わらず・・・我が愚息は・・・本当にすまん!」
マイヤーが再び頭を下げる。
「あの・・・私達まだ・・・私の独りよがりかも・・・」
コートニーが弱々しく言う。
「あ~・・・そこはさっきルーク君に言っといたから。」
「そうそう、覚悟がないなら今のような密会はするなとね。
・・・もしかしたらコートニー嬢の意に沿わない結果になるかもしれないけど・・・」
オールストンとブレアが優しい目をさせながら言う。
「ふぅ・・・大丈夫です、私粘り強いんです!
それにそうなっても今はですよね?
3年後はわかりませんよ。」
コートニーが空元気を見せ、そして言い放つ。
「そうか・・・コートニーお嬢さんは強いな。
これからいろいろと息子が世話になってしまうだろう。
出来れば根気強く相手をして欲しい。
息子をよろしく頼む。」
「ええ、お義父さん、こちらこそお願いします。」
コートニーが頭を下げるのだった。
・・
・
コートニーと別れて。
「さて、じゃあ私は寄宿舎に行きますね。
飲み過ぎないようにね?」
「「はーい。」」
「うぅ・・・ラックの娘は出来た娘だなぁ・・・」
ブレアとオールストンが返事をし、マイヤーはコートニーをべた褒めしている。
「あ~・・・いいや、マイヤーさんの事よろしく。
遅くならないうちに王城に帰るんですよ。」
「わかっていますよ。」
「この後ラック殿も参加するんですけど・・・面白かったら報告しますね。」
「それ絶対面白くなりそう。
報告楽しみだなぁ。
ではね~。」
武雄とビエラ、夕霧がマイヤー達と別れて寄宿舎の方に歩いていくのだった。
・・
・
寄宿舎の玄関にて。
「いらっしゃいませ、ご主人様。」
ジーナがそう言い綺麗なお辞儀をして出迎えてくれた。
「・・・えーっと・・・ここ寄宿舎だよね?
うん、ジーナ、お疲れ様。」
「はい、ありがとうございます。
机と椅子だけで良いとの事で準備は終わっております。
料理はエルヴィス伯爵邸で済まされているのですか?
一応、鍋が何個か置けるように厚手の敷物も用意しています。」
「ええ、大丈夫ですよ。
敷物もありがとう。
会場に行く前に職員の方に挨拶をしたいんだけど。」
「はい、こちらになります。」
ジーナが武雄を先導するのだった。
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寄宿舎の会議室。
「ん~・・・タケオ、着いたけど遅いわね。」
アルが扉を見ながら言う。
「お腹空いたね。」
スミスが苦笑しながら言う。
「主、空腹は料理を最高に美味へと昇華させるもの。
ここはじっと待っておくしかない。」
マリは机に座り目を瞑り、じっと待っている。
「そうよ。
ドネリーもソワソワしないで。
タケオさんにお付きで紹介するんだから。
いつもの調子はダメよ?ちゃんとしてね。」
「いや・・・だって今更ながら陛下も食べた事ない料理が出ると思うと居ても立っても居られないです。
その・・・あの・・・大丈夫なんでしょうか?」
「平気よ。
お爺さまがいじける程度でしょう。」
「それは一大事と言うのでは?」
と扉をノックしてから武雄とジーナが入ってくる。
スミス達が立ち上がって出迎える。
「?・・・エイミーさん、なんでエイミーさんが立ち上がっていますか?」
「タケオさんの料理が頂けますので、これは当然です。」
「そうですか。
そちらが?」
「はい、私のお付きの。」
「キタミザト子爵様、お初にお目にかかります。
アリシア・ドネリーと申します。
今回は我が儘をお聞きくださりありがとうございます。」
ドネリーが綺麗な礼をする。
「良いんですよ。
ジーナがお世話になっていると報告されていますし、何やら完璧なメイドさんとお聞きしていますよ。」
「いえ、私などジーナ様に比べましたら大した事はございません。」
「ジーナ、王家のメイドさんは凄いんですね。
謙遜しながら一流と売り込みもされました。」
「はい、ドネリー様は一流のメイドになります。
ですが、ご主人様、その言い方では私も一流となりますが?」
「何を言っているですか?ジーナは一流ですよ。
ジーナの努力も知っていますからね。
キタミザト家としてどこに出しても恥ずかしくないメイドです。」
「ご主人様、ありがとうございます。」
ジーナも綺麗な礼をする。
「うん、では座って少し待ってください。
今取り出しますからね。
ジーナ、ビエラとパナ、夕霧と磯風を席に案内してください。
その後、配膳も手伝ってください。」
「はい、畏まりました。」
ジーナがビエラ達を席に誘導始める。
「マリ、今日は丼物ですよ。」
「ほぉ・・・エルヴィス家の面々はどうだった?」
「もう大量輸入する気満々ですよ。
今魔王国に掛け合っています。
ベルテ一家もやる気出してくれています。」
「これは期待が出来るな。」
「まぁ久しぶりの米を堪能してくださいね。」
武雄はそう言いながら大袋から料理を取り出し始めるのだった。
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