第1369話 夕食前の説明。1(子供達に今状況について説明しよう。)
アリスの説明が続いている。
「では、何が問題かというとですね。」
「「「うんうん。」」」
子供達が頷いている。
「そもそもまったく関係のない人間が見た場合、奴隷商が入国していたのに発見が遅れ、尚且つゴドウィン伯爵家が対応するべき内容なのに他領に拠点を置く貴族が処理した事が問題となるでしょうね。」
「まぁ・・・そうですね。」
アリスの説明に武雄が頷く。
「「「??」」」
子供達が首を傾げている。
「あ~・・・つまりはさっきのお兄さんとお姉さんがタケオ様がやる前に貴方達を助けないといけなかったのよ。」
アリスが子供達向けに簡単に説明する。
「ん~・・・
でも、伯爵様も奥様もここに居るんだから私達の事はわからないんじゃ?」
「男の怪我は院長もお手上げだったよね?
院長達、俺達の事も隠してくれたし、良くキタミザト様は俺達の所まで来れたよね。」
「あれはキタミザト様やパナ様だからでしょう?
でも町に着くまでは大変だったよね。」
「そういえば関通ってないよね?」
「ほとんど誰にも会わなかったよね?」
「村も町も無かったし、ひもじかったよね。
伯爵様も奥様もあんな所まで見れるわけないんだから伯爵様達は怒られる事はないんじゃない?」
「「「そうそう。」」」
「遠くの事がわかるわけないのに怒られるわけないよね。」
子供達は話し合っている。
「タ・・・タケオ様、子供達が賢いです。」
アリスが驚きながら武雄に言う。
「でしょう?
ジーナやミルコ、アニータ達を見てきましたが・・・やはり長寿の種族は見た目以上に賢いですね。」
「あ~・・・そうですね。
この子達は人間種ではなかったんですよね。」
「部族の中では子供でもそれだけ長い年月を生きていると所々甘いですが、物の考え方はしっかりするのでしょう。
私達はここにアズパール王国での教養を学ばせて仕事をさせようとしていますけどね。」
「ジーナちゃんが優秀なわけだ・・・」
「まぁこの子達の親達からすれば幼少期に何を教えるんだと言われるかもしれませんけどね。」
「確かに。
この子達の年齢を種族的な寿命からの割合で見ると私達でいう未成年。
未成年に仕事を教えるというのは・・・良い顔はされないでしょうね・・・」
「ですが、生きる為には仕事をしないといけないというのは確かな事です。」
「ええ・・・あ、まだ説明が終わってないですね。」
アリスが気が付くのだった。
「はいはい、では、続きですよ。」
「「はーい。」」
「まず大前提として今回の事は関を通らないで入国している為、不法滞在となります。
この場合、強制退去が原則です。
また、アズパール王国では奴隷商を見つけた際には魔王国側に帰って貰っています。」
「「うんうん。」」
子供達が頷いている。
「タケオ様、この子達に奴隷契約をしている理由は言いましたか?」
「国防上の理由としか言っていませんね。」
「なるほど、ならばもう少し詳しく言いましょう。
なぜ貴方達を15年間預かるかというと貴方達が戦争の理由になる可能性があるからです。」
「「「戦争?」」」
「はい、理由はどうあれ貴方達は魔王国方面から来ました。
子供で奴隷です。
これをなんの準備もせずに魔王国に向かわせると『強制的に連れ去った』という事を言われて戦争になる可能性があります。」
「私達、キタミザト様にも伯爵様達にも痛い事もされてないですよ?
救って貰いました。」
「そうだよ。」
「うんうん、キタミザト様は恩人、恩人と戦争はしない。」
「だよね。」
子供達が反論してくる。
「ところがですね。
大人というのは時として汚いのです。
子供達がアズパール王国から戻って来たという事実だけで『子供達を強制的に連れ去った』という理由を作れてしまうのです。
この際に貴方方の話の真偽は関係ありません。」
アリスが先生調で話をしている。
「「「えー!?」」」
「汚い!」
「ずるい!」
「そうですね。でも世の中そんなものです。」
アリスがうんうん頷く。
「さらに貴方達をここで奴隷から解放し、魔王国との関に向かわせたとして、私達の護衛はアズパール王国側の関までとなります。
魔王国側では護衛等々を自分達で雇わないといけないのですが・・・まぁ子供ですからね。
大人達に良いように言われ、気が付いたらまた奴隷の馬車に乗っているかもしれません。」
武雄が続きを言う。
「「ん~・・・」」
子供達が否定できないのか唸っている。
「なので、まずは15年真面目に働き、お金を貯め、知識を蓄えましょう。
15年の内に旅をする為の最低限の武器の扱いや交渉術の習得は出来るはずです。
そして領地を治める領主様に越境許可を貰ってから故郷に帰る事を目指しましょう。
また故郷に帰らずにアズパール王国に残りたいというのであれば、職業の斡旋はしますよ。
工房に入りたいというなら紹介しますし、商店で働きたいというならこちらも紹介をしましょう。
何の職業に就くのも自由ですからね。」
武雄が補足する。
「なんにでもですか?」
「あ、一部出来ない事はあります。」
「なんですか?」
「領主にはなれません。
これは国王陛下から任命されなければ出来ませんからね。」
武雄がにこやかに言う。
「そこは目指さないよ~。」
「無理無理。」
「私達じゃ出来ないよ。」
「もっと現実を見ているもんね。」
「堅実に稼げる方が良いなぁ。」
「お腹が満たされればなんでも良いなぁ。」
子供達が武雄に「そこまで夢を見ていない」と言い出すのだった。
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