第1058話 夕霧到着。3(武雄達の準備。)
武雄達は第八兵舎に戻って来ていた。
会議室には武雄達一同が揃った形だ。
「さてと・・・こっちは夕霧と言います。
まぁ今日の夜に先行して帰りますから、改めてエルヴィス家で会うと思います。
この子がエルヴィス領で一番上のエルダームーンスライムです。」
「ん。ユウギリです。以後お見知りおきを。」
夕霧が挨拶をする。
試験小隊の面々は何も感じていないがベルテ一家は「え?エルダームーンスライムが3体?異常じゃないの?」と驚いていたりする。
「明日の出立準備はどうなっていますか?」
武雄がマイヤーを見る。
「食料は問題なく買えました。
旅の食器類も問題なく、幌馬車の点検も終わりました。
こちらも問題ありません。」
「追加で買う物はありませんか?」
「特には。
所長の方からはありますか?」
マイヤーが聞いて来る。
「第3皇子一家のエリカさんとカサンドラさんがエルヴィス伯爵領に一緒に向かいます。
それは構わないですね?」
「日程的にそうなるのではと思っていたので問題はありません。」
アンダーセンが言ってくる。
「アーキンさん。幌馬車に御者は問題なく?」
「はい。私とブルックがアニータとミルコに教えながらしようと考えています。」
アーキンが言ってくる。
「ドナートさん達は何かありますか?」
「いえ・・・特にはありませんが・・・
ご一緒される方はどういった方なのですか?」
「第3皇子一家の相談役です。
私の挙式に殿下達の名代で来るんですよ。」
「あ。殿下方が身籠ったばかりだから。」
エンマが呟く。
「ええ。
挙式参列して私の料理を食べるのを楽しみにしていたようですけどね。
あ。それとエリカさんは元カトランダ帝国の良家の娘ですので、エルヴィス領に来るのも初めてになります。
感覚的には皆さんと一緒ですので色々話してみてくださいね。」
「はい。わかりました。」
フローラが頷く。
試験小隊の面々は「・・・アリス殿の説明は?」と顔には出さないが思っていたりする。
「さて。食料も幌馬車も問題ない。
ベルテさん達も問題ないですか?」
「はい。特には・・・追加で買った物と言えば服を数着ですけど・・・よろしかったのですか?」
「?・・・気に入ったのがあったのなら買って良いですよ。
好きなだけとは言えませんが、予算内なら問題ないでしょう。
ブルックさん。予算内ですか?」
「ええ・・まぁ・・・」
ブルックが目線を反らす。
「・・・いくら足らなかったですか?」
武雄が苦笑してくる。
「いえ。足りはしたのですが・・・エルヴィス領で生活をしてしまうと王都の物価が高くて・・・」
ブルックがため息交じりに言う。
「それは致し方ないでしょう。
地方と王都ではモノの値段が違って当たり前ですよ。
なら明日の出立の準備は終わったと考えて良いのですね。」
「はい。」
皆が頷く。
「では明日は早めに出て王都の東の町まで行きます。
さらに次の日が村、次の日が1日野宿、エルヴィス領に入って村、村、西の町、村、エルヴィス邸の8日の行程です。
アーキンさん達は問題ないですね?」
「前回と同じですので問題なく。」
アーキンが頷く。
「では。それで行きましょう。
王都に残る方はマイヤーさん。アンダーセンさん。皆さんの家族やトレーシーさんご夫婦と新人2名の移動はよろしくお願いします。」
「はい。順次出立する見込みです。
ジッロ殿はどういたしますか?」
「一緒に向かう事も考えていましたけど・・・また来るの大変そうですし、トレーシーさんと人事局に頼んで寮に入れちゃってください。
お金等々が足りないなら人事局から借りる事。
私が来た時に払います。」
「わかりました。
ドナート殿。問題はありませんか?」
「はい。
ジッロの事お願いいたします。」
ドナートが頭を下げる。
「さてと・・・以上で問題はないでしょうかね。」
「はい。
あとは寝るだけでしょうか。」
マイヤーが聞いて来る。
「皆さんはのんびりと過ごしていてくれて構いません。
ですが、私とマイヤーさんとビエラはこの後仮眠すること。」
「はい!」
ビエラが返事をする。
「何をするのですか?」
マイヤーが聞いて来る。
「今日の夜。この地のエルダームーンスライムと会ってきます。」
武雄は普通に答える。
「「!?」」
ベルテ一家が「まだ増やす気ですか!?」と驚いていた。
「所長。初耳ですが?」
アンダーセンが聞いて来るが他の面々も頷いている。
「今言いました。
前回王城に居た際に彩雲がこの地にエルダームーンスライムが居ないかスライムを方々に放っています。
その結果向こうから返事がありましたので会う事になりました。」
「・・・大丈夫なのですか?」
ブレアが聞いて来る。
「そこはわかりません。
なので今回夕霧が来た訳ですが・・・夕霧が危ないと判断したなら最悪その場で処理します。」
「処理・・・駆除するのですか?」
「ええ。夕霧や初雪、彩雲の方が私に取っては重要です。
それに夕霧が危険と判断するならそれは攻撃を仕掛けられたという時だけです。
この地のエルダームーンスライムまで擁護はしてあげれません。」
「わかりました。
所長。何時にどこに行けば良いですか?」
「12時に王城の城壁の門でお願いします。」
「わかりました。」
マイヤーが頷くのだった。
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