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第1056話 夕霧到着。1(まずは通路を作ろう。)

買い物から兵舎に戻ったブルックと、兵舎で留守番をしていた初雪が武雄と合流し、城門横の森と街道の縁でのんびりとお昼兼お茶をしていた。

「ん~・・・暇ですね。」

「タケオ、もうすぐ。」

「所長、夕霧殿が来るとは聞いていませんが?」

「・・・ええ。急遽決まったのでね。

 途中まで来ているのに帰れとは言えませんよ。」

「まぁ。そうですけど・・・

 あっ、さっき走って取って来たアニータの旅の服の予備ぐらいしかないですよ?」

「同じ体け・・・大丈夫ですよ。」

と、森の奥の方で何か動いているのがわかる。

「主、夕霧が着いたみたいです。」

ミアが森の奥を見ながら言う。

パナも感付いているようで顔を向けている。

「ん。タケオ、お待たせ。」

森の奥から真っ裸の夕霧がやって来る。

久しぶりの裸です。

「あぁ!夕霧殿!服!服!」

ブルックが慌てて服を抱えて夕霧の元に行く。

・・

「改めて。夕霧、久しぶりですね。」

「ん。タケオも久しぶり。

 伯爵の方は何事も無く、アリスとジーナは毎日夕方にクタクタになるまで戦っている。」

「うん。良い事ですね。」

武雄が頷く。

「ん。ハツユキ。」

夕霧が初雪を呼ぶ。

「はい。」

夕霧と初雪が手を繋ぎ、静かに情報の交換を始める。

とすぐに終わる。

「・・・ハツユキ。人間と同じように物を食べるようにした?」

「はい。タケオにスライムとバレないようにと言われたから。」

「なるほど。面白い事を考えましたね。

 私もしてみましょう。」

「ユウギリは魔王国との関に行った?」

「ん。アサギリ達の仕事を見て来ました。

 たぶんタケオの言う通り出来ている・・・はず。

 目標よりも早く終わりそうでした。

 タケオ、こっちは終了。どうする?」

「そうですね・・・夕霧、欲しいものはありますか?」

「ない。」

夕霧がきっぱりと言う。

「なら・・・4月からスミス坊っちゃんとジーナが通う寄宿舎に行ってみますか。

 夕霧達にはスライム用の通路を作って貰わなくてはいけませんから。」

「ん。わかった。」

夕霧が答えると初雪も頷く。

「移動ですね。」

ブルックが先導するのだった。

・・

寄宿舎にて。

武雄達はジーナの部屋に来ていた。

夕霧が窓の方を見ている。

「・・・タケオ、あれは?」

夕霧が顔を一回も向けずにクローゼットの上を指す。

クローゼットの天井部分が開き、白蛇(白い大蛇)のロロが首を出していた。

「くっ!」

ブルックが夕霧と初雪の前に出る。

「ブルックさん。平気ですよ。」

武雄が朗らかに言う。

「・・・わかりました。」

ブルックが臨戦態勢を解く。

「あれはこの寄宿舎に住んでいる魔物ですが、私達の敵ではありません。

 同居人か隣人と言った所でしょうか。」

「・・・」

ブルックは何も言わずにロロを見ている。

「さて。ミア。仕事ですよ。」

「はい!主、通訳ですね。」

ミアが胸ポケットから出て武雄の肩に止まる。

「さて・・・こちらの事は知っていますね?」

武雄がロロに向かって言う。

「シャー」

「主。わかるそうです。

 ジーナの上司というのも見当がついているそうです。」

「そうですか。

 いきなり来てすみませんね。

 前にジーナから聞いていると思いますが、スライム専用の通路を作る事にしています。

 すみませんが、協力してくれますか?」

「シャー」

「問題ないそうです。」

「そうですか。

 夕霧、初雪、スライムを使って森の通路の出口まで拡張してください。」

「ん。タケオ。

 まずはあの街を囲っている壁の向こうまで通路を作る。

 地中に作るから・・・建物がこれだけ多いと少し深くしなくてはいけないかもしれない。

 問題ない?」

「・・・今の想定よりもう少し深くにしなさい。」

「ん。わかった。

 とりあえず・・・何体か、屋根に行かせて壁までを見て来る。」

と、夕霧が掌に5体の黒スライムを出す。

「白蛇、案内平気?」

初雪が白スライムを掌に出しながらロロに聞いて来る。

「シャー」

「付いて来いと言っています。」

ミアが言う。

「ん。

 屋根から全体を見たら2体ずつ戻って来ること。

 行け。」

夕霧がそう言うと、黒スライムと白スライムがロロの居る天井裏に入って行き、ロロも姿を引っ込めるのだった。

「タケオ。

 たぶんこの建物の人が来ない所から、一直線に壁まで通路を作っていく。

 途中に建物の地下とかに当たったら迂回で良い?」

初雪が聞いて来る。

「それで構いません。

 余裕があるなら通りと建物の縁、もしくは建物と建物の間も狙い目かもしれません。

 建物の境界線の真下を作っていくと発見はされ辛いと思います。」

「建物の裏同士の隙間。

 なるほど。一直線だと今後の建物が建てられる際に発見される可能性があるのですね。」

夕霧が頷く。

と白と黒のスライムが2体ずつ帰って来る。

それを夕霧と初雪が吸収し、目を瞑る。

「・・・なるほど。

 タケオの言う建物同士の隙間が、丁度この建物がある地区から道を挟んだ向かい側がなっている。

 そこを・・・深さ3m程度で通路を掘る。

 壁の向こうはどうも森になっているように見えるから、そこから街道まで伸ばして伯爵の所から通した通路に繋げる。

 タケオ、それで良い?」

「構いませんよ。

 極力見つからないように。

 見つかったら道筋を変える事。」

「わかっている。」

「問題ない。」

夕霧と初雪が頷くとそれぞれ30体のスライムをその場で作り、突貫工事で寄宿舎から城門、そして森までの通路を作る事を決定していたようで、ぞろぞろと天井に去って行った。

ちなみに、次から次にスライムを作り出す光景を見たロロが一番驚いていた。

ブルックは「まぁこうなるわね」と達観し、武雄は「やる事が早くて助かるね」と楽観していたりする。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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