バトル本番
転移させられた感覚はあるが、引き続き真っ白空間だ。
「そういやダンジョンバトルって結局なにすんの」
「配布されたポイントをもとに即興でダンジョンを造り上げ、互いに攻略する速度を競うものです」
今は建造ターンってわけか。
「配布されたポイントは?」
「50万ポイントです」
「余興にしては大盤振る舞いだな」
「神は自らの楽しみのためであれば力を惜しみませんので。力量差を鑑みてポイントに差を付けることもありますが」
「俺たちはまだまだってことか」
「新人にしてはやる方かと」
「これ俺のダンジョンそのままコピるのはダメなのか?」
「いえ、ポイントさえ規定内であれば問題ありません」
「じゃあそれで」
※ ※ ※
──双方、準備完了。
──攻略側、先手、エルガー。
「行くぞー」
「はい」「おー」「ん…」
返事バラバラすぎるだろ。個性だな、ヨシ!!!
「てかお前参加して良いのか」
トーチを見ると外出時の全身甲冑ショタ姿にチェンジしていた。師匠、喜んでくれてるかなぁ。
「事前に申請しておきましたので、この程度なら、と許可をいただきました」
やだ…俺のスライム有能すぎ…?
「主、そこトラップあるから気を付けろ」
「お、ありがとう。お前<罠感知>もできるのか」
「マァ生前はAランク冒険者だったからな。一応一通りのことはできる」
「彼は謙遜してこのように言っていますが、Aランク冒険者でも役割分担はします。スヴェンのようなソロ冒険者は極めて稀です」
本当に俺運良かったんだな…
「む…わたしも、ご主人様の役に立つ…<ウィンドカッター>」
対抗心を燃やしたのか、ケーニがずいっと一番前に出て突進してきたデケェ猪を<風魔法>で両断した。
「ふふん…ご主人様、褒めて」
「ケーニ~~~~~~~~!!!!お前はかわいくて強くて最高だな~~~~~~~~~!!!!!よ~~~~しよしよしよし」
「えっへん」
どさくさに紛れてケーニ撫で回す。ふわふわの髪の撫で心地も素晴らしい…最強の存在かな??
「良いんですか、スヴェン。露骨なひいきが目の前で行われてますよ」
「いや、あのかわいがり方を俺にされても困るし…」
「まぁ、はい」
思ったよりサクサクだな。もっと苦戦するかと思った。
「普通は本物のダンジョンに回す召喚モンスターを連れてきているのと、その二人ともSSR級なのが要因でしょう」
想定より過剰戦力なわけか。
『待って待って待ってなんでそんなガンガン進んでるのなんで英霊とハーピィがいるの!??!?』
「あ?なんの声だ」
「対戦相手です。ダンジョンが攻略されていく悲鳴を聞くためや、反対に自分のダンジョンに苦戦する相手を煽るために対戦相手及び観客席の声は聞こえるようになっています」
悪趣味だな。そういうの大好き。
「主、このトラップ<罠解除>できねぇから多分ダンジョン製じゃないぞ」
「そういうのは壊して進む」
『イヤーーーーーーーーーーッ!!!』
美しい悲鳴だ。芸術点、百点。
「ダンジョンと痛覚共有でもしてるのか?」
「いえ。手塩に掛けて作ったダンジョンを破壊されるというのは精神的苦痛だと言うダンジョンマスターもいるようです」
人間が人間を殺すのを躊躇うみたいな感じか?ちょっと違うか。
うちのダンジョンは良く破壊されるので、やられてもメンタルに来ないが。
『あ、あ…それ、手作りだったのに…うあ…』
精神が崩壊していらっしゃる。
『ひ、ひでぇ…』『あいつは悪魔か?前世が悪魔だったのか??』『血の色青そう』
うるせーぞ観客。
「あ、そこのトラップも壊しといてくれ」
「…そういうとこだと思うぞ、主」
勝てば官軍じゃーい。
…あれ?ふと思ったが、この動物と罠ばっかのダンジョン、もしかして…
「あんたってさ、"弄牙の"ダンジョンマスター?」
『え、あ、はい!』
「マジか!いやぁ、会えるとは思わなかった。あのときはあんたのおかげで助かったよ!」
『え、いや、どのとき?』
「俺、あんたのダンジョンに遊びに行ったことがあるんだよ」
『そ、それはどうも…?』
ヤな冒険者を食ってくれた例のダンジョンだ。あのキメラの無駄に綺麗な食い方は彼の躾の賜物か。
恩人にやっと会えたみたいな気分だ。嬉しい!嬉しいからさぁ、
「お礼に、楽に殺してあげるね」
※ ※ ※
以下、相手攻略側の発言集。
「は???????」
「オイふざけっ──こっち来んなぁ!!!!!」
「なにこのダンジョン人間様お断りなの??????」
「~~~~~~~~~~~ッッ!!!!ア゛ァ゛!!!!ムカつく~~~~~~~~!!!!!」
「なんでこんなひどいことするの…?」
「死ねーーーーーーーーーーーーッッ!!!!!!!」
「もうやだ!!!!!!!!!!!!!ギブアップ!!!!!!!!!!!!!!」
要するに、俺が勝った。
ダンジョンバトルでは各々のテーマに縛られず自由にダンジョンを創ることができるのではっちゃけるヤツが多いが、この二人は律儀にテーマ通りに創った




