彼は平凡
R-15や残酷描写は念の為です。作者にその様な文章作成能力はありませんのであしからず。
それは唐突だった。何のことは無い。どこにでもいる、某都会の一会社員である彼には何の取り得も無かった。
何か趣味があるわけではない。女遊びが好きなわけではない。見た目を気にしているわけでもない。100人いれば100人が彼を凡人と呼び、飲み会があれば風景になり、同窓会があれば忘れられる。
リアクションが人一倍い大きいわけも無く、逆に小さい。身体的特徴にも何の不備も無く背の低い順から並べば、必ずといっていいほど真ん中になってしまう。
そんな彼は、今日も今日とて上司の言われるがまま馬車馬の如く働いていたある日のことだった。
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何のことは無い。それは唐突でいきなりであんまりだった。彼自身が何かをしたわけではない。ただ、契約先の会社からの帰り道、部下から冗談半分で後ろから押された。ただ、それだけだったのだ。
だが、残念なことに運は彼を見捨てていた。それは、季節が冬だったからかもしれない。それはたまたま工事中の現場付近だったかもしれない。それは、周りに何も障害物がなかったからかもしれない。
後ろから押された。結構な勢いだったのかかなりの距離を片足けんけんで行かされ、気付いたときには眼前に蓋の開いてしまった、マンホールがあったのだ。
夏場ならば、止まる事が出来ただろう。だがしかし、繰り返すようだが季節は冬なのだ。マンホールの付近には氷が張り巡らされ彼の足は止まる事が出来なかった。軌道修正も出来ない。その自然の摂理に近い状況の中、彼の身体はまるで吸い込まれるかのようにその口の開けたマンホールへと落ちて行った・・・。
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「いてててっ・・・・・・」
ここはどこだ?彼がそう呟き見渡すも、そこは仄暗い穴倉のような場所で全体像は見えない。確か俺は、あの生意気な部下に背中を押されてマンホールの中に!そこまで思い出して、彼はここがマンホールの中、つまり下水道だと一先ず思った。一先ずというのはあの下水道独特の臭いが感じられないからだ。
「よっこら、せっと・・・」
若干若者らしくない呟きと共に、彼は立ち上がる。上がったつもりだったのがだ、何やら天井付近であることを感じる。
もしかしてと思い、腕を伸ばすとそこにはやはり天井があり、自分は何処から落ちてきたんだ?という思考に彼は無理やり戻された。
とりあえず、自分のいる場所の全体像を図ろうと彼は腕を伸ばした。すると、とても残念なことが分かってしまった。
彼が今いる場所、それは四方を囲まれているということだった。さらに加えるならば、途轍もなく狭かった。彼の身長は167cm。腕を上に伸ばして2m弱。横に伸ばして2m50cm弱。そんな彼が腕を横に伸ばしきれない。つまり、2m50cm以下ということになる。
「マジかよ・・・。狭いな・・・」
彼は落胆する。特別狭い場所が嫌いなわけではないが、別段好きというわけでもない。そして、ここがマンホールの中ではないことに気付いた。
穴がないのだ。つまりここは何かしらの箱の中ということになる。つまり自分は気がつかない内に誰かに不評を買ってしまい、この中に閉じ込められたということになるのだ。
「あいつか・・・?」
彼の頭の中には自分の部下の姿が思い浮かぶ。しかし、即座に否定した。いや、正しくは否定されてしまったのだ、とある声によって。
【やあ、諸君。今君たちはとても混乱していることだろう。だが、安心して欲しい。ここは、君たちが一度は夢みたことのある異世界だ。だが、とても残念な事に君たちは勇者じゃない。ましてや魔王でもない。かといって勇者の質問に答え続ける村人Aでもない。君たちはダンジョンの主。つまりは、中ボス的な立場というわけだよ。まあ、出来立てのダンジョンなんて簡単に攻略されてしまうからね。君たちに1年と言う期限を与えよう。その期間の内に自分ともいえるダンジョンを大きくし給えよ。詳しくは各自で調べたまえ】
言いたい事だけを言い残し、その声は消えた。それだけで、男は納得してしまった。ああ、なるほど、と。
彼も学生の頃は憧れたものだが、彼もそろそろいい歳なのだ。夢みる時間は既に終わってしまっている。だが、来てしまったものは仕方がないと、彼は適応した。彼は普通故に適応してしまった。
彼は、このダンジョンで何が出来るのかを調べた。
1.ポイントを消費して、ダンジョンの主を強化する。
2.ポイントを消費して、ダンジョン内に魔物を配置する。
3.ポイントを消費して、ダンジョン内に罠を仕掛ける。
大まかに言うとこんな所のようだ。しかし、彼は何度も言うように普通なのだ。彼は普通故にダンジョン経営なんて技能は持っていない。
ダンジョンなんてものを強化しても信用にはならない。配置するにしてもどうせ勇者なるものに倒されてしまう。罠にしても、あまり意味がないように思える。ならば、いずれ来たる勇者に倒されてしまうのなら徹底的に嫌がらせに近いことをするのがいい。彼はそう考えた。
「えっと、今のポイントは・・・・・・」
・残存100000pt
10万ポイントほどあるらしい。
これで何が出来るかは知らないが、それなりにあるのだろう。嫌がらせをするのなら罠を極めるべきだろう。ダンジョンは一切操作せず、罠の一覧を調べた。
Lv.1
・落とし穴(10pt消費)
今現在ではこれしかないようだ。記録によると、これに誰かが掛かることによって、レベルが上がり罠の種類が増えていくらしい。一度仕掛けた罠はこちらが操作しない限り消えないらしい。レベルが上がる度にポイントも増えるようだ。なら、掛かり続ければいいのだ、自分自身が。
この小説は、10話以内に完結する予定です。内容も短めにし、展開も早めにする予定ですので、箸休め程度に読んで頂けると嬉しいです。




