歌姫
「なんで君たちは王様が託した魔召石を取り出そうとしてるんだ?」
「それは……」
女はまるで己の恥を告白するのを渋るかのような態度を見せた後、質問に答えた。
「実は代々魔召石を受け継いできた王族は何処かで性格が豹変しているのです」
「そのせいで我が国の歴代の王の中に最後まで暴君と呼ばれない王はいなかったの」
「私達はミューラ様にああなってほしくはないの!」
「そうか、王がみんな暴君と呼ばれたということはこの王女様の父親は暴君だったのか」
「もしかして戦争の前から王は性格が豹変していてそれが理由で近隣の大国と戦争することになったのか?」
「うっ」
「お、そろそろいいかな」
海斗が魔力ドレインを止めるとミューラはすぐに目を覚ました。
「わ、私は」
「ああ、そう」
「また」
「礼を言わせて頂くわ農民の方?」
「農民で間違い無いぞ」
「それはそうと君も魔召石を取り出すことに賛成でいいのか?」
「言ったの?」
「はい、姫様に確認せずに教えてしまい申し訳ありません」
「いいわ」
「ええ、私は自分の中の魔召石を取り出すことに賛成しているわ」
「じゃあ俺が取ってやろうか?」
「取れるの?」
「ああ、時間をくれれば取ってやれる」
ミューラは少し考えた後、先ほどまで海斗と話していた女性の顔を見て頷くのを見ると口を開いた。
「分かりましたあなたを信じましょう」
「一つ聞くけど金はあるのか?」
「ええ、お金なら潤沢にあるわ」
「じゃあ当分は俺の村に住め全員」
「そこで時間を掛けて君の魔召石を取り出す」
「わかったわ」
「じゃあ案内して」
「ああ、わかった」
「じゃあ着いてきてくれ」
海斗はそういうと馬に乗って焔々団を村まで先導した。
そんなこんなあって焔々団が海斗の住んでいる村に来て三年が経った。
三年という月日が経ち海斗と焔々団の人々はとても親しくなり最初は姫のことを海斗は君や、姫様と呼んだり逆に姫は海斗のことをあなたや海斗さんと呼んでいたが海斗は姫のことをミューラと姫は海斗を海斗やバーリットっと呼んでいた。
それに海斗は焔々団の全員を名前で呼んでもいた。
その日は、海斗の部屋にミューラとあの日の女騎士リエルが毎日の日課である魔召石の取り出すための作業をしていた。
「よし!」
「もうすぐ魔召石取り出せそうだぞ!」
「ほんと!」
「ヤッターー!!!!!」
ミューラとリエルはそれを聞いた瞬間、ほぼ同時に喜んだ。




