歌姫
「で?なんで?」
「今のでわからなかったのか?」
「可愛らしい声の中にほんの微かにカッコいい声が入ってただろ!!!」
「う〜ん」
「まあ確かに」
「でもそれを言うなら俺が最初に聞いた曲にはカッコいい声の中に可愛らしい声が入ってた気がするけど」
「お、俺は信じているバーリットの地声はお前に聞かせた二曲目のようなカッコいい声の女性であるといつやるかは分からないしやるかも分からないが彼女がライブ配信するのを心待ちにしていよう!!」
「その時に可愛い声派の者達は思い知るだろう彼女がカッコいい声の女性であると!!!」
「ええ〜」
「バーリットの視聴者ってそんな感じで分かれてんのか!」
「え、でもそれって」
「なぁ隼人」
「なんだ?」
「じゃあもしバーリットの地声が可愛い声だったらお前はバーリットのファンを辞めるのか?」
「いや、それはない」
「そんなことで嫌いになるわけないだろ」
「あ、海斗さっきの可愛い声派とカッコいい声派ってやつ俺が前にSNSのファン仲間と喋ってる時にそういう話になっただけだからバーリットの視聴者がみんなこうってわけじゃないから勘違いすんなよ」
「そうだったのか」
「おう!」
「それにしても本当にバーリットのこと好きなんだな」
「いいや…違う」
「え?」
「好きなんじゃない」
「信仰しているんだ!!!!」
「お、おう」
「そ、そんな域にまでか」
海斗はそんな時に思い出していた。
SNSを見ていた時、ネットの男性アイドルを好きのレベルを超えていた画像を。
それは、その男性アイドルのみのグッズで部屋を埋め尽くし軽くその投稿主の書き込みを見たがおそらく九割がその男性アイドルのものだと思う。
ある程度見たら海斗は自分が立ち入っていい場所ではないとみるのをやめていた。
隼人からはそういった熱狂的なファンの兆候が見えている気がする。
いや、もうそうなのかも…………
「じゃあ俺もこれから時間がある時、聞くことにするわ」
是非そうしてくれ!!!
圧が強い。
それにしてもあの二つの声どっちも聞いたのは初めてなのに何だか聞いたことがある気がするんだよな。
気のせいだよな?




