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祝福
ことん。ことん。
洗濯機を見つめながら、ナッちゃんが難しい顔をしている。
『どうしたの?』
『んーん。まだわかんない。』
『そっか。りんご食べようよ。おいで』
『りんご好き。』
その次の夜も、ナッちゃんは洗濯機の前にいて何やら考えている様子。
ふたりで、りんごを食べた。
次の夜、ナッちゃんは、洗濯機を分解した。
『どうしたの?』
『ことん。ことん。
って作動音しか、しないから……』
『そうだね。振動の。』
『ご近所にもきっと、ことん。
て聞こえているかもしれないし。』
『うん。りんご食べる?』
『これ終わってから食べるね。』
『うん。じゃあ待ってる。』
僕はニコニコしながら、ナッちゃんが洗濯機に何かをしているのを見ていた。
朝。カーテンのあみあみから光が差し込む。
完成した洗濯機からは、ことん。ではなくて
アヴェマリアが聞こえてくる。
カッチーニの。
『りんごおいしい』
微笑むナッちゃんの頬を撫でて、僕は聞いた。
『どうして、カッチーニなの?』
『……気まぐれ。へへへ。』
ただ繰り返す一言の、
祈りの祝福の中にいながら、
切ないのはなぜなんだろう。




