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異世界ダンジョンの最強清掃員~パッカー車で転生したおっさん、ゴミをプレスし国宝錬成!悪党は分別処理して極上温泉スローライフを満喫します~  作者: トール
第七章:事業拡大とエリートの挫折、そして王都を救う「最強の現場力」

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最終話:究極の大規模修繕(オーバーホール)と、永遠の定時退社スローライフ

 


 1.星の心臓のメルトダウンと、最後の「緊急出動」


 王都のインフラと経済を完全に掌握し、巨大な門前町まで形成したマイホーム兼巨大スーパー銭湯「芝崎湯」。

 従業員たちが完全二交代制と週休二日制という超ホワイト労働を享受し、平和な朝礼のラジオ体操を終えた直後のことだった。


 ――ピロリロリロリンッ!!!


 芝崎一郎の視界にポップアップした半透明のステータス画面が、これまでにない血のような赤色で激しく明滅した。

 そして、事業所の広場の中央に、強烈な光と共にポンコツ女神の立体ホログラムが投影されたのである。


「い、一郎様っ! 大変です! 世界が、世界が終わってしまいますぅぅっ!」

 女神は神々しい威厳などかなぐり捨て、涙と鼻水で顔をグシャグシャにしながら叫んだ。


「落ち着け、本社(女神)。何が起きた?」

 一郎はメガホンを置き、首に巻いたタオルを締め直した。


「この異世界『テラ・アルビオン』の星そのものの中心……すべてのダンジョンコアを統括する『マザー・コア』が、メルトダウン(完全崩壊)を起こしかけているのです! 数千年かけて星の奥底に蓄積した究極の汚染物質……『星のヘドロ』が、ついにマザー・コアを完全に飲み込みました! このままではあと数時間で星ごと爆発し、世界は致死量の瘴気に包まれて滅亡します!」


 広場に集まっていたドワーフたちや孤児たち、そして三人の極上美女(リリィ、セリア、エレノア)が、一斉に息を呑み、絶望に顔を青ざめさせた。


「星のヘドロ、ねぇ……」

 だが、一郎の表情は極めてドライだった。


「要するに、一番デカいゴミ処理場のメインボイラーが、長年の汚れの放置でぶっ壊れかけてるってことだろ? どんなにデカい機械でも、メンテを怠ればいつかはストライキを起こす。当たり前の話だ」

「い、一郎様……! 恐ろしくはないのですか!?」

「怖いのは、現場の状況も分からねぇまま放り出されることだ。原因が『ゴミの詰まり』って分かってるなら、あとは俺たちの仕事(清掃)だろ」


 一郎は振り返り、愛用の「芝崎清掃の蒼いツナギ」に身を包んだ全従業員に向かって、力強く拳を突き上げた。


「いいか、お前ら! これより我が社は、星の心臓部への『超大規模修繕工事』を決行する! レオ! お前は軽トラに乗って資材のピストン輸送を頼む! 親方は二号機を出して、コアの崩壊余波から王都を守るための強固な防波堤バリケードを築け! 地上の留守は頼んだぞ!」

「合点承知だ旦那ァッ! 王都のインフラは、俺とこいつ(二号機)が死守してやるぜ!」

 一郎は、三人のヒロインたちを振り返った。

  「リリィ、セリア、エレノア! お前ら三人はパッカー車に乗れ! 今回ばかりは総力戦だ、お前らのサポートが不可欠だぞ!」

  「一郎様と、世界の果てまでお供します!」

  「わたくしの物流管理と監査の手腕、存分にお見せしますわ!」

 一郎は、白銀に輝く愛機・パッカー車の運転席に飛び乗った。

  「よし、行くぞ相棒! 世界で一番デカいゴミ屋敷を、定時までに更地にしてやる!」


 2.最終現場マザー・コアと、パッカー車の最終形態


 マザー・コアのメルトダウンが進行する影響で、地上の王都にも激しい地震が走り、パニックが起きかけていた。

「ひぃぃっ! 大地が割れるぞ!」 逃げ惑う市民たちの目の前で、王都の巨大な城壁の一部が崩落し、街へ降り注ごうとしたその時。


 ドゴォォォォォォンッ!!


 超大型ダンプ兼・クレーン車「二号機」が、地響きを立てて躍り出た。

  「現場監督の留守に、街を汚させるかよォッ!」

 ドワーフの親方が操る二号機の極太クレーンアームが、崩れ落ちる数万トンの城壁をガシリと受け止める。さらに広大なダンプ式荷台と純度100%の魔鋼鉄の装甲を盾にして、地割れから噴き出そうとする瘴気の余波を物理的に完全に押さえ込んでいた。 圧倒的な重機のパワーが、地上でパニックになりかけた王都を完璧に護り抜いているのだ。


 一方、その頃。


「神聖オートクルーズ」を最大出力で稼働させ、星の最深部へと通じる次元の穴を突っ切った一郎たちは、やがて究極の絶望空間へと到達した。


  そこは、宇宙空間のように果てしなく暗い空洞。その中央で、星の大きさほどもある巨大な赤黒いヘドロの塊――「星のヘドロ」が、ドクドクと脈打ちながら、中心にある純白のマザー・コアを侵食していた


「な、なんて禍々しい……。これほどの穢れ、私の特級聖女の結界でも、数分持つかどうか……っ!」

 助手席のリリィが、顔を青ざめて震える。


「女神! 見てるか!」

 一郎はステアリングを握りしめ、天に向かって怒号を飛ばした。


「相手が星規模のゴミだってんなら、今の機材じゃ容量が足りねぇぞ! 世界を救ってほしいなら、最後くらい出し惜しみせずに、全予算(神聖力)をこのパッカー車に突っ込みやがれ!!」


「――承認しました!! 私の全存在を懸けた、最後の追加予算アップデートです!!」


 女神の叫びと共に、白銀のパッカー車が、恒星のような凄まじい極光に包まれた。

 車体が地響きを立てて拡張し、装甲はあらゆる物理・魔法法則を凌駕する「神代の超合金」へと変貌。多目的重機アームは大陸をも掴み取るサイズに仮想拡張され、超高圧バキュームは空間そのものを吸い込む「星間吸引システム」へと最終進化を遂げた。


 対ダンジョン専用環境浄化重機・最終形態「星間圧縮浄化プレス機」の誕生である。


「はっはっは! やりやがる! これなら星規模のゴミでも、一発でホッパーに収まるぜ!」

 一郎の重機マニアとしての血と、現場監督としての闘志が激しく沸き立つ。


「リリィ! セリア! エレノア! 結界最大出力! パッカー車の計器管理と魔力ルートの確保を頼むぞ!」

「「「はいっ!!」」」

 三人のヒロインたちが、完璧な連携でパッカー車のシステムをサポートする。


「よし……超高圧バキューム、最大出力! 星のヘドロを根こそぎ吸い上げろ!!」


 ズギュゥゥゥゥゥゥゥンッ!!!!


 宇宙をも引き裂くような、凄まじい吸引音が響き渡った。

 マザー・コアにへばりついていた数千万トン、数億トンに及ぶ「星のヘドロ」が、巨大な竜巻となって、進化したパッカー車のホッパーへと猛烈なスピードで吸い込まれていく。


 3.神技のバール一閃と、究極の次元圧殺結界


 だが、星のヘドロの最深部、マザー・コアと完全に癒着している「呪いの根源コア・ヘドロ」だけは、どれだけバキュームで吸っても剥がれなかった。


「チッ、結合部が錆びついて(癒着して)やがるな。……ちょっと手作業でバラしてくる!」

 一郎は、腰から長さ60センチの神器「解体用聖杖ただのバール」を引き抜き、運転席から星の空間へと飛び出した。


「い、一郎様っ!? 生身で宇宙空間(ヘドロの海)に!?」

「心配すんな! 俺にはお前らのサポートと、この『芝崎清掃の蒼い作業服』がついてる!」


 三十歳の男盛りに若返った究極の肉体が、宇宙空間を蹴る。

 一郎は、マザー・コアと星のヘドロの癒着部分――そのわずかな隙間を見極めると、バールのフックを正確無比に突き立てた。


「粗大ゴミの解体は、結合部を狙うのが基本だ!! オラァッ!!」


 ガキィィィィィィンッッ!!!


 テコの原理と、若返った三十歳の異常な膂力、そして全人類と女神の加護が乗った、プロの清掃員による究極の「スナップ」。

 星を滅ぼすはずだった究極の汚染物質の結合が、ただの『鉄の棒』の一撃によって、メキメキと音を立てて引き剥がされたのだ。


「今だ! 相棒!!」

 一郎がパッカー車へと飛び乗る。


 引き剥がされた星のヘドロの根源が、バキュームによってパッカー車のホッパーへと完全に収容された。


「ゴミは残さず持ち帰る! 次元圧殺結界、フル稼働!!」


 一郎はコントロールパネルの赤いボタンを、渾身の力で押し込んだ。


 ブゥゥゥゥゥン!!! ギギギギギギッ!!!


 進化した白銀のプレス板が、星を滅ぼすヘドロの全質量を、ホッパーの奥底へと容赦なく押し潰していく。

 数百億トンに及ぶ絶望の質量が、パッカー車の内部で分子レベルにまで圧縮され、神聖な魔力によって完全に中和・浄化されていく。


 ――プシャァァァァァッ!!!


 宇宙空間に、小気味よいエアブレーキの音が響き渡った。

 そして、パッカー車の排出口から、カラン……と、一つのソフトボール大の結晶が吐き出された。

 それは、星のヘドロが極限まで圧縮・浄化され、純粋な魔力の塊となった「世界樹の純結晶」であった。


 後に残されたのは、不純物を完全に削ぎ落とされ、優しく、清らかな光を放つマザー・コアと、美しく澄み渡った星の深淵の空間だけだった。


【システムメッセージ:処理完了。無害化効率:100%。世界の環境浄化プロセスがすべて完了しました】


「よし……。大掃除、完了だ」

 一郎は額の汗を拭い、フッと満足げに笑った。


 その瞬間、女神のホログラムが再び現れ、一郎の前に深く、深く頭を下げた。


「ありがとうございます……! あなたのおかげで、世界は完全に浄化されました。マザー・コアが正常化したことで、もはやダンジョンから魔物が溢れることも、瘴気が発生することも永遠にありません」

 女神は、涙ながらに微笑んだ。

「ですが……それは同時に、この世界から『危険な清掃の仕事』が完全に無くなったことを意味します」


「……へっ」

 一郎はバールを肩に担ぎ、最高に痛快な笑顔を浮かべた。


「当たり前だろ。俺たち清掃員プロの究極の目標はな、『自分たちの仕事が必要なくなるくらい、世界が綺麗になること』なんだよ。仕事がねぇなら……これからは毎日が休日(永遠の定時退社)だな!」


 4.エピローグ:永遠の定時退社スローライフ


 数ヶ月後。

 魔物も瘴気も消え去り、真の平和が訪れた王都。


 かつての事業所は、世界中の人々が癒やしを求めて訪れる究極の保養施設「芝崎湯」として、不動の繁栄を謳歌していた。


「ふぁぁぁぁぁ……っ。極楽だぜ……」


 広大なミスリル製の湯船のど真ん中で、一郎は手足を大の字に伸ばし、至福の吐息を漏らしていた。

 ボイラーの動力源には、あの時回収した「世界樹の純結晶」が組み込まれており、どんな傷も呪いも、そして日々の疲れも一瞬で癒やす最高のお湯がこんこんと湧き出ている。


「いやぁ、やっぱり自分の家のでっかい風呂は最高だ。危険な現場も残業も無くなって、毎日定時で風呂に入れる。……俺の人生、完全に上がり(スローライフ)だな」


 一郎が男としての最高の幸せを噛み締めていた、その時だった。


 ――ガラッ!!


 露天風呂の引き戸が、勢いよく開け放たれた。


「い、一郎様っ……! 本日もお背中を、奥深くまでお流しいたしますっ!」

「さあ、一郎さま! 今夜こそ、わたくしがこの極薄の湯浴み着で、朝までみっちりと『夜の残業』のお相手をして差し上げますわよ……?」

「わ、わたくしも、監査役として……一郎様のお体の隅々をチェックする権利が……っ!」


 湯けむりの向こうから現れたのは、極限まで透け透けのシルクの湯浴み着(ほぼタオル一枚)を身に纏い、顔を真っ赤に上気させたリリィ、セリア、エレノアの三人だった。


 平和になっても、王都の頂点に君臨する彼女たちの「正妻戦争キャットファイト」だけは、終わる気配が全くない。


「お、おいっ! お前ら、風呂場じゃ走るな! タイルが滑るんだから転倒(労災)するだろ!」


 三十歳の完璧な肉体に、極上の柔らかさと体温が四方八方から押し付けられ、甘い香水と石鹸の匂いが密室の大浴場に充満していく。

 悲鳴にも似た一郎の安全指導(説教)は、発情しきったヒロインたちの熱気と、お湯のバシャバシャという音に完全にかき消されていった。


 ルール違反のゴミと戦い、現場の安全を守り抜いてきた男が手に入れた、世界一綺麗で、世界一騒がしい、極上のスローライフ。


 最強のパッカー車は車庫で静かに眠り、利益率100%のインフラビジネスを成し遂げたおっさん清掃員は、こうして永遠の定時退社という「最高の福利厚生」を、心ゆくまで満喫するのであった。


【完結】






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