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規格外の『4倍バフ』で美少女と無双する。~褐色エルフと追放ざまぁ~  作者: 麗麗(レイレイ)


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35話。最終回。


☆☆☆


ヤマンバから撤退し、大きく距離を取る事に成功した。


次は誰に挨拶に行くかで少し悩む。

俺はタダ飯パーティーで大して挨拶をしてこなかった。


挨拶を機に「あ、コイツ街から出て行く気か~」と悟られても変な空気になっても嫌だしな。

そろそろセレーネの所に向かおう。


「あの、君。少しこっちに」


そう思っていたら所、馴染みの受付嬢から声をかけられた。

向こうから話しかけてくれたなら、礼くらい言ってもいいだろう。


訳も分からず受付嬢に手を取られるまま、会場の端っこへ。

疑問に対して、受付嬢は声を潜めて囁いた。


「なぁ、明日街を出るって本当かい?」

「…………はい。今まで大変お世話になりました。それと、このことは他言無用でお願いできますか?」

「もちろんだとも。言わせてしまって済まないね」

「いえいえ。こちらの台詞です」

「お互い新人の頃からの付き合いだ。世話になったのは、それこそこちらの台詞では?」

「ふふふ。気遣いありがとうございます」


相変わらず気遣いの人だ。

どうやら端へ寄ったのは、俺への確認を取るためだったらしい。

感謝を伝える機会を作ってくれたのだろう。


「いいや、気遣いではないよ。ただの私の我儘さ」

「え?」


俺の右手を、熱を持った彼女の両手が包む。

頬を火照らせて、真っすぐな目でジッと見つめられる。


なんだか猛烈に恥ずかしい。

婚約でも申し込まれるんじゃないの、なんて馬鹿な事を考える。


「思い出が、欲しいんだ」


心臓の音が周囲の喧騒を遠ざけていく。

なんて言ったんだか、上手く聞き取れない。

欲しい…………とか、どうとか。


見つめ合う構図に、ついに耐えられなくなって視線を横にそらす。


あっ、先輩だ!

何故だろう、心が落ち着いてきたぞ。


先輩は目が合うと大股でこちらへ突き進む。

そして咆えた。


「おーい!!!」

「一夜、だけでも────」

「何してんだ主役様~!? ギルド長が呼んでんぞー!!」

「うっっるさいですよ先輩、ほらあっちにも良い酒ありますから、向こう行ってて下さい」

「え~、うーん。ならしゃーないかー。邪魔者はクールに帰るぜ! アハハハ!」


先輩は酒の元へと帰った。

帰省したんだと思う。

それだとずっと実家にいる事になるね、先輩。


向き直ると、先輩が来た時に手はほどかれていたらしい。

妙に動揺してしまったが今なら落ち着いて聞けるぞ、と改めて向き直る。


「ごめん。今なんて?」

「い、いや。…………なんでもないさ」


受付嬢はいつもの営業スマイルで微笑んで見せた。

でも、なんでもない訳がない。


一瞬泣きそうな顔をしていたから。

受付でしか関わりは無かったけど、そのくらいは分かる。


「確か…………欲しいの?」

「ぅえっ!?」

「ふふふ、お土産なら任してくれ」

「…………っな!?」


世話になったんだ、ちゃんと考えて選ぶつもりだ。

異世界転生者の感性でその街で一番似合う贈り物を見繕い、笑わせて見せよう。


「…………偶に君を殺したくなる」


ザザも良く言うんだよなぁ。

何がいけないのか、一向に分からない。


「うーん、そんな遠くないけどもお土産はちゃんと────」

「なんだって?」


言葉を遮って、受付嬢が問う。


「…………何処に行くんだい?」

「ヘリムック」


気迫に押されてつい答えてしまった。

正確な行き先は内緒にしておきたい情報だったのに。

ひと先ず、口止めをしておかなければ。


すると受付嬢が先に口を開いた。


「実は私も近々ヘリムックに転勤するんだ」


そうだったのか。

じゃあ口止めしないでいっか!

どうせバレるし。


「え、やった。そんな偶然あるんだ、その間は頼りにさせてもらうよ」

「その間?」

「街を転々とする予定なんだ」

「…………私、次の街も同じ場所に転勤するんだ。偶然だね」


次の街?

まだ決めてないぞ?


…………どういう事だ?

これって…………そういう事か?


これって…………ゲームで良くある違う街で同じ受付嬢のパターンか?

きっとスキルだ。

ソロ準s級になるとこんなサービスが受けれるとは、知らなかった。


「じゃあそん時はよろしく!」

「うん。任せてくれ!」


☆☆☆


セレーネを探して会場を見回すと、直ぐに見つかった。

中央テーブルで一人大食い大会を開催中。


隣には何故かギルド長。

あるいは『色ボケのカス』と呼ぶべきか。


速足に近づくが別段険悪ムードって訳でもなかった。

セレーネが警戒していないって事は妙な思惑ではない、かな。


「遅いよリクト君」

「クリームパンと山食パンがオススメですよ」


どうやらギルド長はセレーネの所に俺が戻って来ると思って待っていたらしい。

探して歩けば直ぐに合流出来ただろうに…………。

ギルド長はセレーネのそば待ってた、とすると俺たち二人に用がある?


「魔族討伐の件、ですか…………」

「そうそう。胸を張って褒められてなさいな」


褒められるの苦手なんだけど、礼を受け取るって言っちゃったし。

どうも先に話を通していたらしくセレーネは乗り気だった。


「浴びれる賞賛は浴びましょう!」

「よし。えーみなさん注目! 少しだけ手を止めてこっちを見てねー!」


ギルド長は声を張って視線を集めると、懐から1枚の金属プレートを出す。


首にかけている冒険者ランクを示すネームプレートと同じサイズ。

でも、色が違う。

既存のランクでは使われない白色の金属プレート。


ギルド長はプレートを俺に手渡した。


「ありがとうございます?」

「これは2人のパーティーへ送るものだよ。だからセレーネちゃんの物でもある」

「ありがとうございます!」

「はいどうも」


珍しいネームプレートに会場の視線が突き刺さり、酒飲みたちの喧騒が静まった。

そこでようやっとギルド長は説明する。


「これは10年に1度、街から一つのパーティーあるいは個人に贈られるオリハルコンプレート」


あ、めっちゃ高い金属だ。

会場が少し騒めきだす中、先輩連中では知っている者も多かったようで落ち着いた様子、音を立てないように酒を飲む先輩すらいた。


アンタだぞ先輩、目が合っただろう。禁酒しろ。


「今回の上位魔族討伐の功績を称え、リクト、セレーネのパーティーにこれを贈る」


大きくなる騒めきに、いつもは見ない真面目腐ったギルド長が咳払い一つで静める。


「オッホン。…………そんじゃ、みんな拍手~!!」


一転締まらない掛け声で、会場は拍手に包まれた。

少し耳が痛くなる、手を大きく打ち付ける馬鹿みたいな拍手。

それに合わせて、ヤジが飛ぶ。


「良い酒だったぞ!」

「頑張れよ!」「凄いですリクト先輩!」

「毒で死ね!」


しかし拍手でヤジのほとんどが聞き取れない。

でも褒め殺しよりはましだろう。


「おめです」「強くなるぞー!」

「あのオリハルコンプレートあたしも持ってるんだよ? 失くしたけど」「応援してますリクトさん!」

「追いついて見せます!」


…………聞こえてないだけで褒められてるよね?

拍手が続くなか、ギルド長が近くにやって来ると、もう一枚プレートを渡された。


見覚えのある色。

それは、憧れた金色のプレートだった。


「準s級からs級へ、今回の実績で昇格が決まった。おめでとう。リクト君」

「……はい!」

「おめでとうございます、リクト」


拍手が徐々にまばらになり、ギルド長が「奢るから一杯食べてね」と一言告げれば酒飲みの喧騒が一瞬で復活する。

ギルド長は挨拶回りと言いどこかに消えた。


「リクト、一緒に食べませんか?」


中央テーブルの大皿に見えていた皿は、個人用の盛り皿だったらしい。

セレーネは盛り皿の前に座り、空中浮遊させたクリームパンを俺に差し出した。


「ありがとう」


隣に座ってクリームパンを食べると、すかさず「どうですか?」と尋ねるセレーネについ少し笑ってしまう。


「今までで一番美味しいよ」


s級に昇格出来たらパンフェスティバルをする、そう言っていたがこうも大きい会場で食べる事になろうとは想像もしていなかった。


「今後ともよろしく」

「はいっ、末永くよろしくお願いします!!」


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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