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らせんのきおく  作者: よへち
祐樹編
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第047話 『転職先はライバル社』



祐樹がスタン達と合流して2つの街を経た。次が『教会都市・イミグラ』だ。


「スタン。今更なんだけど『教皇様』って『ハルカ様』ってかたなんだよな?そのかたが『天人様』なのか?」


「いえ、ハルカ様は天人様の声を我々に届けて下さるお方です」


スタンの説明によると、『天人様』というのは膨大な知識を持ってこの地にくだった、この世界のことわりを知る存在なのだそうだ。

そしてその知識で人々を導き、時には戒める。その代弁者が『教皇・ハルカ様』だという。

なんか海の街で聞いた話に似ているな、と祐樹は思った。あの時は『海人様』だったのだが。


そうえいばここの所、エイが静かだ。


「エイ。どうした?」


「うむ。ユーキよ、教皇に会うんじゃよな?」


どうしたのだろう。祐樹が教皇に会うと何か都合の悪い事でもあるのだろうか。

もしくはエイの都合が悪いのか?何と言っても『魔王の側近』なのだ、彼女は。


「順番がちごうてしもうた気がしなくもないが…まあ良いか。ハルカなら何とかするじゃろ」


一斉に視線を集めるエイ。教皇を呼び捨てにしたのだ。だがその口ぶりから察するに


「なあ…もしかして教皇様と面識あったりするのか?」


祐樹の質問にエイが答えるのを皆が固唾を飲んで見守る。


「む。言っておらんかったかの?儂は『あのお方』に仕える前はハルカの元におったのじゃ」


出た。久々に来ました。祐樹の『聞いてないよ!』


しかし『教皇の傘下』から『魔王の側近』ってどんな転職なんだ。

その強さを買われて魔王にヘッドハンティングされたのだろうか。


「じゃあエイはイミグラへは近寄らないほうがいいのか?」


言うならば教皇にとってエイは『裏切者』だ。


「いや、別に問題はない。儂も久々にハルカの顔を拝んでおこう」


本当に大丈夫なのか?嫌な予感もしなくもない祐樹だが。そんな事を考えてる間にも馬車は走り続ける。


そして翌日、月陽の昼。一行は『教会都市・イミグラ』へ到着した。


---


この大陸の中心に位置して『中央教会』があり『教皇・ハルカ』の住まう街、『教会都市・イミグラ』。


さすがに人も多く活気の溢れる街だ。通りには商店が立ち並び、路地裏にもゴミらしきものも落ちていない。モラルの高さが伺える。

さらに教育も充実しているというのだ。スタンが定住を決めた気持ちも良く分かる。


街の中心には遥か高くそびえ立つ塔がある。あれが『中央教会』のようだ。


「私は商品を問屋におろした後、中央教会へ行って謁見の予約を入れておきます。この街には私たちの仮の家があるのでそちらを拠点に使って下さい」


スタンはそう言うとミラに祐樹達の案内を任せ、中央教会へ向かった。




「謁見か…」


「なんじゃ、気が進まんのか?」


そういう訳ではないのだが、『誰かと会う約束をして会う』というのが祐樹は少し苦手なのだ。

端的に言うと仕事を思い出すのだ。


「やはり待たされるのか?」


スタンは予約と言っていた、という事は順番待ちがあるのだ。さすがに教皇様にアポなしという訳にはいかないのだろう。


そんな事を話しながらスタンの借家でくつろいでいると、スタンにしては珍しく息を切らせて走って戻って来た。


「スタン、どうしたんだ?そんな慌てて」


スタンは水を一杯飲むと、息を整えてこう言った。


「き、教皇様が今すぐお会いになるそうです」


4〜5日くらいは待つだろうと思っていた祐樹は、その急展開にポカンとしている。


「…ユーキ、只者ではないとは思ってましたが貴方は一体何者なんですか?」


そうは言われても。


「ごめん、スタン。俺にも何がなんだかわからないよ」



何の覚悟も心の準備も出来ないまま、祐樹は『教皇・ハルカ』に会う事になってしまった。







『イミグラ』。まあ蓋を開ければそのまんまだな、的な意味になる予定です。

それは『ハルカ』という存在の出自にも関わる話なので、また後ほど記載します。

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