エドワード・モラン 2
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本日、二回目の更新です。
きらきらと美しく輝く金髪の上にオレンジの花の模様の入った薄いベールをかぶり、ベアトリスはしずしずと大聖堂の身廊を、エドワードの待つ祭壇前に向かって歩いて来ていた。
結婚式にはオルブライト国で行われ、ヘンウッド国王夫妻は参列したが、彼女の兄ニコラスは国に残ったようだ。国王一家が全員離れられるほど、ヘンウッド国内は平和ではないと言うことである。
(先王……ベアトリスの祖父が亡くなってから、プリチェット公爵派閥がさらに幅をきかせはじめたようだからな)
エドワードもヘンウッド国の問題はある程度把握している。
妻の実家の事情だ。無関心ではいられない。
ベアトリスがオルブライト国に来るまで、本当にやきもきしていたのだ。
あの失礼なアンジェリカ・プリチェットをはじめ、プリチェット公爵家の人間やその派閥の人間が、いつ彼女を傷付けるかわかったものではなかった。
真っ黒な本音を言えば、ベアトリスに対して目に余る行動をとるアンジェリカは、こっそり暗殺者でも送り込んで抹殺してしまいたいとすら思っていたほどだ。
けれどベアトリスは、プリチェット公爵家に味方する城内の人間を把握するために、浅慮なアンジェリカを利用していた。
プリチェット公爵はベアトリスに言わせればなかなか狡猾な男らしい。
自ら尻尾を掴ませないので、アンジェリカは彼女にとって貴重な情報源だったのだ。
情報を得るために、あえてアンジェリカの好きにさせて、時には暴力を振るわれてもそれに耐えるベアトリスに、エドワードは何度も注意をしたが、意外にも頑固な彼の婚約者は困ったように微笑むだけだった。
早くあの環境から救い出したいと願い続け、ようやくだ。
エドワードの隣まで歩いてきたベアトリスが、透けるベールの下ではにかんだ笑みを浮かべる。
(彼女は俺が守る――)
エドワードに言わせれば、ベアトリスの親も兄も、彼女に頼りすぎだった。
ベアトリスは聡明な女性だが、彼女の肩はこんなにも細く、腕も手も頼りなげで、か弱い女の子だ。そして、平気なふりをしていつも無理している。
本来ならば大勢の人間から守られて然るべき女性なのに、この細い肩にたくさんのものを背負って、彼女自身が家族の盾になっていた。
なるほど、プリチェット公爵が王位を狙っているのなら、国王や王太子は優先して守らなければならないだろう。
しかしだからと言って、こんなか弱いベアトリスが、彼らを守る盾になるのはおかしい。
頭はよくても、ベアトリスは細い剣ひとつ震えない。何かあっても、自分を守る術なんて持たないのだ。
(これからは俺の元で、心穏やかに幸せにすごしてほしい)
そのためにはなんだってするつもりだ。
そっとベールを持ち上げると、ベアトリスが少しだけ潤んだ目で見上げてきた。
誓いのキスをその小さな唇に落として、エドワードは笑う。
「愛しているよ、ベアトリス」
ベアトリスは、それはそれは幸せそうな笑みを浮かべてくれた。
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