番犬再来(3)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の転機の物語。
そんな仲間達の感情など気にせず、武文はコテンパンにやられた武装集団の鎧の断面を見て、感心し、
「……これで実証されましたね。あなたのところでは、この一件に対処できないと」
と、家の方を向いて言った。
すると、家の中から1人の男と見覚えのある女が現れ、ペガサスは『仲介』という言葉の意味に合点がいった。
「まぁ、そう言わざるを得ないな」
「ゲッ! なんでおんねん。猛犬女!」
そう。その人物とは、以前、雲雀と死闘を繰り広げ、ペガサスに命を救われた犬飼忍であった。
ただ、前述した通り、今回は彼女だけではなかった。
「で……このオッサンは誰や? あんたの部下か?」
「無礼だぞ、貴様。私の父に向かって」
「はぁ!? 猛犬女が親父引き連れて来たんかい!」
驚いた様子で雲雀がそう言うと、忍の父は咳払いし、自己紹介した。
「初めまして、だな? 死獣神とかいう若造共。私は特別捜査5課元警視長、現相談役の犬飼源士郎だ。」
不遜な態度をとりつつも一応は挨拶をする源士郎に、青龍も礼儀として名乗り、挨拶をしようとした。
その瞬間、背後から尋常じゃない殺気を感じ、青龍は身震いを起こした。
だいたいの予想はつくが、恐々しながら振り向くと、そこには、思いがけない形で親の仇である犬飼親子と出会い、殺意に満ちたデビルアイで睨みつける柚がいた。
気持ちはわからなくもないが、彼女のためにも今はマズいと思った青龍は、慌てて会話を中断し、落ち着くよう小声で柚を注意した。
「猫宮さん! 目がデビルアイになってる!」
「けど!」
「いいからこらえて。今はまだ、気付いてないみたいだからいいけど、もしバレたら後ろから撃たれかねないよ」
そう説得されて冷静さを取り戻した柚は、彼の意見に同意し、目を元に戻した。
ホッとした青龍は自身も元の姿に戻って、話は済んだとみんなに言い、武文らと共に彼の家の中に入った。
もちろん、仇を目の前にして気が気でない柚も一緒に…………
タイトル通り忍率いる特捜5課が再登場しました。しかも源士郎まで連れてきて。
それだけに、柚としてはあまり気分がいいものではないでしょう




