その3『魔術用語』
⚫︎2大宗教
○テスナ教
通称新教と呼ばれる世界最大の宗教の1つ。
かつてベルナ教が主流であった約2500年前に、「テスナ」と呼ばれる者が、その神の絶対性を否定。そして人間の平等を説き民衆の支持を集めた。
また、当時「ある」理由により滅びかけていた人類を、「魔術」によって救った。と伝えられており、それに加えて、『魔術聖典』と呼ばれるモノを作ったとも言われ、一般民衆に魔術が広められたのもこの頃である。と聖書には記述されている。
──しかし当時は迫害の対象でもあった。
その結果、西大陸から東大陸に逃げてきた一族が、アルディス朝の始祖達である。
因みに、テスナ教はテスナは“神”であるとしており、一方のベルナ教はテスナは“預言者”。つまり人間としている。
このことから両宗教の対立は深く、現在でもその根は深いモノとなっている。
○ベルナ教
通称旧教と呼ばれるテスナ教と対をなす宗教。
その歴史はその歴史的経緯からも分かるようにテスナ教よりも古く、そもそもテスナ教は元々この宗教の一宗派である。
3200年以上前に起きた大規模な戦争の際に、地上に降り立った「ベルナ」という神が人々の前に降り立ち、数々の教えを説いた。とされている。
因みに神ベルナは善悪二元的な面を持っており、聖書には彼の救いと破壊が記述されている。
現在では、西大陸では旧教が主流の国家が大半を占めるものの、東大陸…特にアルディス王国では一部の過激派だけが信仰しているのみに留まっている。
⚪︎魔術聖典
テスナ教において、あるとされている聖典。
魔術についての解説書のようなモノであるとされているが、実はその正体は世界を滅ぼしかねない「チカラ」を封印した書。現在は世界各地に12部がバラバラに封印されており、その合体を防いでいる。
しかし、その対策が逆に対立を生み、そして戦争を引き起こす原因となってしまってもいる。
現在では科学を使った封印が進められていて、僅かな力ではあるがそれを行使することも可能。一部ではそれらを使った「実験」が行われているという風の噂も存在する。
・魔術聖典No.4
アランを殺したことで高崎が継承した魔術聖典。
その本当の力は、『大気を司り大いなる神の力』、つまり“世界中の空気を扱える力”と。
『人知を超えたる神の威光』、つまり“生物全ての経歴を探査できる能力”、のようだ。
……が封印されている為に、高崎が使えるのはパーくらいの大きさの空気の塊を発生させることと、目の前の人の名前を知る程度である。
・魔術聖典No.7
風早が所有している聖典のカケラ。
その中身は彼はまだ明らかにしていない。
⚫︎魔力
・エルダート
この世界に存在する独自の物質。
人の体内で生成され、その分解とともに莫大なエネルギーが生まれる。そして、それが『魔術』という形で現れるという。
しかし、その生成主たる者の“ 思い ”によって起こる“ 反応 ”が変わることに関しては、未だに完全な解明はなされていない。
現在では、脳がそのエネルギー変換に関与している。という説が最有力とされている。
……ちなみに、この世界の者は誰でも作れるとは言うが、その才能による差はかなり大きい。
また、魔力の行使には大きく分けて『魔術名のみの詠唱』、『それにさらなる文を加えた初心者向けの詠唱』、『独自の詠唱、または無詠唱』の3つが存在する。
⚫︎魔剣
この世界にいくつも伝わる伝説の剣。
魔術は物にも宿ることが確認されており、かつての持ち主が有していた膨大な魔力を受け取って作られたという説も。
その性能は、どれも普通の剣とは一線を画したレベルであり、一部の学者の研究のタネとなっていることは言うまでもない。
その魔力は当然、剣以外にも宿ることも多い。
・永雅
その起源ははるか昔。当時最高の繁栄を極めていた雅一族の皇帝が、一族の永遠の繁栄を目指して作らせた伝説の魔剣。
歴代皇帝達が所有し続け、その剣に宿る魔力は計り知れない。
その実力は凄まじく、まさしく永遠の繁栄を手に入れるには最高の逸品である。
・斬全刀
中雅地方に伝わる、伝説の魔剣。
魔術と鍛冶、両方で世界トップクラスの才能を合わせ持っていたとされる、ある皇帝が作ったと言う伝説がある。
その名の通り、全てを斬り裂く。例外は一部を除きない。
唯一ある弱点は、その性能ゆえに人を選ぶことだろうか?
・集祈
中雅に伝わる魔剣の1つ。革命時までは燿朝軍大将、桑炎が所有していたが、現在は風早の手に渡っている。
人々からの忠誠心、期待心などといった祈りを莫大な魔力に変える、というかなりの強さを持つ。
⚫︎魔獣
・ダーガ・ナジュラ
炎を司る、通称『魔獣の王』。
その名の通りかなり強く、その凄まじい炎は各国精鋭の強者を苦しめている。古き時代の英雄でも、ダーガ・ナジュラとの勝負で最期を迎えたとされている者は少なくない。
例えば、アルディス朝第2代皇帝などがそれに当たる。
⚫︎その他の用語
・異空間
魔力による「世界を歪める力」により作られた人口の空間。
普段は観測できない場所に存在しており、空間転移魔術によって行き来を行う。その中は人が快適に過ごせるように作られていたり、比較的安全なため、高級。重大な施設も多くはここに作られている。
・魔術封印札
アルディス軍の装備の1つでもある魔術礼装。対象の人物に貼ることで、相手の意識と魔力の合体を防ぎ、魔術の行使を防ぐ効果がある。
⚫︎詠唱魔術一覧
[ア行]
[カ行]
・声帯模写 (キネラ・レドリィ)
他人の声を出せるようになる魔術。
比較的簡単な魔術でありながら、犯罪への有効性が高いため、現在は国によって情報規制が敷かれている。
何故ルヴァンが知っていたのかは謎である。
[サ行]
・サバディラード《空間転移》
主に現実世界と異空間とを行き来する為に使う魔術。
世界で広く使われているため、近年は機械による行使を行えるようにする研究が為され、事実数十年前に実用化にまで至っている。
[タ行]
・ダナ・シディル《消失の術》
自身や他人の姿を透明化する魔術。こかなり難しい魔術であり、その行使も限られた天才にしかうまくこなせない。
効果は絶大にも見えるが、カメラなどの機械では無効化され、周りの者に違和感を感じられてもバレるなど、使い勝手は案外悪い。
・デラ・ナーヴェル (導きの光)
数ある捜索魔術の中でも最も初歩的な魔術。
手がかりを使って行使することで、その本体があるであろう方角に光が放たれるというモノ。
……普通は決して爆発などはしない。
・デ・クノ・ネルヴィ《消え失せる人音》
自身の足音といった音を消す魔術。
地味な効果であるが、潜入や脱出といった特殊な状況で活躍し、国によっては軍の必修科目であることも。
・粒子砲弾
粒子を加速させ、高速に迫る勢いで射出することで異次元的な威力のビーム的なモノを撃てる、言わば『荷電粒子砲』。
その威力から分かる通り、消費魔力はかなりのモノで、どんな天才でも連発は不可能なほど。
・ドゥテーラ・アンビス 《身体強めし力》
世界各国の軍で新人訓練の必須科目にもなっている、言わば基本中の基本の防御魔術。
その効き目は決して高くはないが、その簡単さ・即効性・効果時間・効果範囲などといった面から超一流の者でも重宝するものは少なくない。
[ナ行]
[ハ行]
[マ行]
[ヤ行]
・消えたる存在 (ユ・レリィヴェン)
自身の存在感を薄める魔術。強そうではあるが消失の術と同じで、違和感を感じられるダメなど、けっこう使い勝手は悪い。
[ラ行]
・リ・レフェ・ダヴァイナー《天使の恵みたる雫》
数ある回復魔術の中で最も素晴らしい、と言っても反論する者は存在しないであろう魔術。
その効果はとてつもなく、腕が飛ぼうが足が飛ぼうが、いや生きていればなんとかなる。……とまで言われる程である。
当然使える者は限られ、世界に10人もいないとか何とか。




