閑話 ジェレミー3
一章直後の閑話の続きです。二章の内容を含みます。
マックス様と友達になってまだまもないある日。いつもの魔法の授業中、ジェレミーが物言いたげな様子でシャルルにチラチラと視線を向けてきた。
「ジェレミー、どうしたの?」
「えっ、ぁ…。べ、別に」
視線の逸らし方が露骨すぎる。ジェレミーは嘘つけないタイプだなぁ。
こうなったら無理に追求するのも良くないだろう。言い出すのを待ちながら魔法の練習をしているとあっという間に授業終わりの時間になってしまった。
うーん…よっぽど言いにくい内容なのかな。
こっちから水を向けてみようかな、などと考えているとジェレミーが口を開いた。
「あ、…あのさ。…会ったばっかの頃、シャルルのこと不細工って言ってごめんなさい。」
「え?……どうしたの?」
突然の謝罪に困惑して表情を伺うと、いつもの生意気な様子は見る影もない。
なにかあったのだろうか。
「王子様の話、聞いてさ。…今まで僕が言ったこととかしたことって、僕が思ってたシャルルのこと傷つけてたんじゃないかって。…思って」
「ああ…」
「不細工とか、気軽に言っちゃダメだった。シャルルのこと、傷つけてたらごめんなさい」
ジェレミーは深刻そうな顔で謝るけど、私容姿についてはノーダメージだ。
「いいよ。僕、自分のことイケメンだと思ってるし、特に傷つかなかったから。」
「イケメン…」
今一瞬呆れた顔した??私はまごうことなきイケショタですよ。
「それより魔法のこと言われた方が傷ついたかも。結局夏いっぱいかけても使えないままだし…」
ジェレミーに自嘲して見せる。…けど、土魔法が使えないままなのは正直ちょっとコンプレックスだ。才能ないのかなぁ。
「あ、…そのことも、だよね。本当にごめんなさい。」
「…うん」
「…僕はさ、魔法すごく得意で。…練習したらした分だけできるようになったから、魔法って簡単だと思ってた。だから軽い気持ちで」
ジェレミーは魔法に関しては天才肌だもんなぁ…。
「でも、シャルルはめっちゃ頑張って練習してて。…頑張ってるのに成果が出ないのって辛いし、そういう時に馬鹿にされるのってすごく嫌じゃん。」
「…うん、嫌だね」
「僕も剣術の時に言われて嫌だった。…なのに、僕、ちゃんと考えなくて…」
ジェレミーはぎゅっと膝の上で拳を握って。「酷いこといって、ごめんなさい」と泣きそうな声で言い、頭を下げた。
「…僕はいいよ。ジェレミーのこと好きだし、魔法教えてもらったしね。」
ジェレミーのことをなんだかんだかわいいと思ってるし。
「本当にごめんなさい。…ありがとう。」
塩らしい様子のジェレミーはレオにももう一度謝ったのだと続けた。
「レオ、なんて言ってた?」
「同じように許してくれた…あと、他の人にも謝りに行ったらって」
レオらしい返答だ。
「…許して、くれるかな。…いろんな人に言っちゃった」
「わからない。…相手がすごく傷ついてたらどれだけ謝っても許されないかもしれない。」
「そう、だよね。覚悟はしておくよ。」
沈んだ表情で俯くジェレミーの頭を軽くなでる。
「…僕たちはジェレミーの味方だからね。」
私が言えるのはこれくらいだ。
許すのも許さないのも相手が決めることで、もしかすると謝る機会すらないかもしれない。
それでもジェレミーは向き合おうと決めたのだ。私は彼を応援しよう。




