火祭り(その後)
「…つまりレオは火魔法が使えるってこと?」
「そうらしいな。あの土壇場で突然使えるようになったから俺もまだ信じられねえけど。」
助けに来てくれたレオの前でモーセのように火の海が割れたのは、レオの持つ火属性魔法の影響らしい。
シャルロットの火送りの時、レオは謹慎がまだ解けていなかったから伯爵邸で待機していた。だけど森の方で煙が上がっていたのと信号弾を見て駆けつけてくれたらしい。
「レオが来てくれて本当によかったよ、ありがとう。お父様とお母様も、レオにすごく感謝してた。」
「どういたしまして。無茶はするなとか待機命令にはちゃんと従えって怒られたけどな。」
苦笑するレオの手には包帯が巻いてある。
燃えた枝が落ちてきたせいで打撲をしたらしい。火魔法が使えるとは言え、火災現場は危険が多い。
レオの他に火魔法の使い手がいなかったとは言え、一人で助けに来るのはあまりにも危険だ。
「…うん、火魔法使えなかったらレオが危なかったもん。助けてくれて、本当に嬉しかったけど…無茶は僕もしてほしくない…」
こういう時なんとなく護衛と護衛対象という関係性が歯痒い気がしてしまう。
「…そうだな。シャルルが俺のこと心配してくれてんのはわかる。でも、友達のことは守りたい」
「う…そうだよね。」
友達って言われると何も言えない。私だって同じ状況なら飛び出していたと思う。
萎れる私を見てレオはシャルルの気持ちもわかるからと続ける。
「だから、俺は無茶って言われないくらい強くなるよ。火魔法も使えるようになったし、剣術も『身体強化』も」
解決法が強い…!
「シャルルが「世界一のイケメン」になるなら、俺は世界一の護衛になるから」
レオがにっと笑って宣言する。世界一の護衛ってめっちゃ強そう。
「それ、すっごくいいね…!いいな、世界一の護衛ってめっちゃかっこいい」
「だろ。イケメンに護衛は付き物だしな」
付き物…なのか、SPみたいな?この世界らしい価値観だ。
でもなんか嬉しいな。レオとシャルルが友達でいれるのはきっとレオのこういうところのおかげなのだろう。
「護衛といえば…あいつらはどうなったんだ?マクシミリアン様の」
「捕まったみたい。過失だけど、放火罪になるから」
レオが思い出したように口を開く。
そう、結局あの火事の原因はマックス様の護衛達だったらしい。
マックス様から注意を受けたのを逆恨みして嫌がらせをしようとしたのが動機だとか。もともと迷子になるように別のランタンを置いて沼地に誘導し、元々のランタンを隠していたのだが…。
魔道具のランタンをケチって街で買った
普通のランタンを置いたらしく、街の人の証言と焼け残ったランタンから犯人が判明した。
あの沼地には泥炭が眠っていて、強風でランタンが倒れた拍子に引火したのだろうというのが調査に来た役人の見立てだ。
犯人は王族の護衛であったり、燃えてしまったのが儀式を行う森であったり、ロベール家の騎士のレオが助けたりで王家との関係が拗れることはなかった。
マックス様も私も擦り傷一つなかったしね。
火送りとその後の調査を終えるとマックス様とアンリエット様も王都に帰らなくてはいけない時期で…。
別れの時にはマックス様も私も少し泣いてしまった。
マリアンヌ様ともマックス様とも文通しようと約束を結んだし、会えなくなるのは寂しいけれど。
アンリエット様が「今年の冬は王都においでなさい」とお誘いをしてくれたのでそれを楽しみに頑張ろう。
二章はこれで完結です!
ここまで読んでくださりありがとうございました…!高評価や感想(特にエピソードタイトルの案など…)いただけるととても喜びます。




