第13話 商人
チュチュン。。チュンッ
えっ?おかしい。。。一人でベッドに入ったはずなのに。。
全裸のキョウコとツクヨミが添い寝しているんだが?
しかも、二人で両側から肘をついた態勢で
俺の顔を見つめている。。。
朝チュン事後の乙女の気持ちが良くわかりました。はい。。
「二人とも、俺にはまだ早すぎるから!」
「いえ、昨夜は初めての対人戦の後でしたので、
坊ちゃまが、うなされたりしないかと思い。。。」
キョウコ。。。お前。。。ありがとうな。。。
「それで?キョウコさん、全裸の必要性は?」
「ありません。しいて言えば欲望に。。。」
帰せ!おれの純朴な感謝の気持ちを。。。
「そういえば、特にトラウマになった感じは無いな」
これも異世界補正だろうか?
「まあいい。一応ありがとう!大丈夫みたいだ。」
「「もったいないお言葉」」
今日の朝食はいつもと似て非なる物だった。
倹約した材料ではあるものの、香辛料がしっかりと
効いており、シェフの腕で素材の質を補っている。
「おいしい朝食は活力になるね!」
「そうだな、質素倹約は食事以外で行う事にしよう。」
父上も気づいたようだ。食事は重要だよね。
すっかり、俺の配下の専用になりつつある会議室に
集合すると、皆に当面の予定を伝える。
「今日は休暇日としてくれ。緊急の事情が出た場合に
連絡が取れる所にさえ居てくれれば良い。」
ま、姉様たちはお小遣いを使いに出るんだろうけど。。
「明日からだが、基本的にスサかサスケをリーダーとして
6人編成で討伐依頼をこなしてくれ。」
「それ以外の6人は3人が休暇、2人が僕のお供だ。
しばらくは、商会立ち上げの準備とスキルの研究、
工房技術の把握や人材発掘などを行いたいと思う。」
「「「かしこまりました(承知)」」」
コンコンッ
「お坊ちゃま、先ほど先触れが参りまして、
シェア商会のリムル様が後ほど伺いたいとの事ですが、
如何がいたしましょう?」
リムルさん。あの気の毒な御婦人か。。
「午前中の予定は無いから何時でも良いと伝えてくれ。」
「かしこまりました。」
程無くして、リムルの到着が知らされる。
キョウコとツクヨミを引き連れて応接室へと入る。
「こんにちは。リムルさん」
「おはようございます。ラファエル様。。。」
リムルさんの挨拶のカーテンシーが途中で固まる。
「し、失礼いたしました。」
「侍女様の御召し物が非常に素晴らしかったので、
つい、目が離せなくなってしまいました。」
「あはは、うれしいです。僕のデザインなのですよ?」
「まあ!失礼ですがどちらで縫製を?」
「マイル服飾店ですよ。彼には僕個人の御用商人
第一号になってもらいました。」
「やはり、マイルさんでしたか。
そのミスリル入りの生地は亡き主人がマイルさん
しかできないと言って製作を依頼した生地なのです。」
「なるほど、意外な縁ですね。
いや、マイルさんの腕と真摯な仕事なら当然でもあるか。」
「さて、本題に入りましょう。
本日ご足労下さったのは、先日の商隊救援の対価に
ついてと言う事でよろしいですか?」
「はい、本来はすぐにお支払いすべきでしたが、
積み荷の納期が迫っていたため、遅くなり申し訳
ありません。」
「いえいえ、こちらが言い出した事ですから。
納期の方は大丈夫でしたか?」
「・・・いえ。。納期に2時間ほど遅れたために
納品先の商会に受領を断られてしまって。。。」
「差し支えなければ、積み荷を教えてください。」
「構いませんが、少し特殊な物で木炭です。
ラクエ大森林近くで伐採した木材を炭焼き窯で
燻して作った燃料です。」
「燃料として優秀なのですが、この国ではそれほど
広まっていないために販売先が限られるのです。
元々は東方の勇者様が開発されたものなのですが。」
「なるほど、馬車15台だとおおよそ60t位ですか」
木炭の品質にもよるが1000/kgとして100万x60t
6000万円で金貨60枚か。。。
「リムルさん、その木炭はいくらで販売する契約でした?」
「確か、金貨50枚でございます。
正直言いますと仕入れ値が金貨25枚ですので、
護衛代等を払っても非常に良い商売でした。」
「ですけれども、金貨25枚の負債が払えませんので
主人も亡くなった事ですし、商会を畳んで精算しよう
かと思っております。」
「幸い、先方の商会がこんな年増の私を金貨20枚で
借金奴隷として購入してくださると仰ってますので。」
お?きな臭いな~~
「キョウコ、サスケを呼んでくれる?」
「かしこまりました。」
「え~と、リムルさん?」
「は、はい?」
「あなた自分が美人だって自覚あります?」
「い。一応。。主人と一緒になるまでは
お恥ずかしながら貴族様などからも多く
求婚頂いてはおりました。。。」
「あ~なるほどね。
そして、今回の取引先の商会主にも求婚されて
いましたよね?」
「えっ!?なぜそれを?」
「サスケ。来たか。」
「はっ!」
「リムルさんの商会の近辺、今回の盗賊の尋問結果、
積み荷の発注先商会、闇ギルドの周辺を調べてくれ」
「人員は自由に使って構わん。早急に調べろ。」
「御意!」
「さて、リムルさん。今回の件は調査をしますので
しばらく待ってください。木炭は私が買い取りましょう。」
「まず、金貨50枚の積み荷の救援報酬として、
金貨5枚をお願いいたします。
これは積み荷の10%に当たり、一般的な
報酬の30%に比べると格安かと思います。」
「そして木炭の対価、金貨50から差し引いて
こちらが金貨45枚をお支払いする。
という事でいかがでしょうか?」
「よ、よろしいのですか?」
リムルさんがテーブル越しに迫って来る。
・・・リムルさんの大きいお胸の谷間が。。。
まずい!キョウコとツクヨミから殺気が。。。
「リムルさん、落ち着いてください。」
「で、ですが、少なくとも救援費用は正規のとおり
30%をお支払いしないと。」
「では、大人の顔を立てる形で20%としましょう。
これ以上は譲りません。金貨40枚をお支払いします。」
「わ、わかりました。よろしくお願いいたします。」
「キョウコ、契約書を作成してくれ。」
「よろしいのですか?木炭60tはイーストなら
一瞬で捌けますが、こちらでは少々厳しいのでは?」
「気にするな、慈善事業をする気は無い」
「差し出がましい口を訊きました。申し訳ありません。」
「かまわんよ?契約書を頼む」
「かしこまりました。」
「では、リムルさん。大金貨で申し訳ないが4枚ある
確かめてくれ。」
「ツクヨミ、スサか誰かに木炭を引き取らせてくれ」
「かしこまりましてございます。」
「リムルさんは、夕刻にもう一度この屋敷に来て
もらえるかな?今回の襲撃の全貌を教えてあげる。」
「?は、はい。では夕刻にまた伺います。
本当に、本当にありがとうございました。」
リムルは深々と頭を下げて退出していった。
さて。。何から手を付けるかね~
襲撃事件自体はサスケ待ち、木炭はスサ待ちだから。。
「マイステータス オープン」
********************************
ラファエル ロンドベル
種族 人族 性別 男
年齢 5歳 Lv 31
HP 610 / 610
MP 3751 / 3751
筋力 124
耐久 122
敏捷 119
知力 120
魔力 121
【スキル】
wiki Lv 3 / 5 UP ※
経験値増加 Lv 4 / 5 UP ※
血族 Lv ∞ ※
鑑定 Lv 5 / 5 UP
刀術 Lv 4 / 5 UP
盾術 Lv 3 / 5 New
体術 Lv 3 / 5 UP
指揮 Lv 3 / 5 UP
読書 Lv 5 / 5
算術 Lv 5 / 5
礼節 Lv 4 / 5
並列思考 Lv 1 / 5 New
【加 護】
主神アルテイシアの加護 ※
火精霊の加護
水精霊の加護
風精霊の加護
土精霊の加護
光精霊の加護
闇精霊の加護
時空神の加護
【魔 術】
火魔術 Lv 3 / 5 New
氷魔術 Lv 3 / 5 New
水魔術 Lv 3 / 5 New
風魔術 Lv 4 / 5 New
土魔術 Lv 3 / 5 New
雷魔術 Lv 3 / 5 New
光魔術 Lv 4 / 5 New
闇魔術 Lv 3 / 5 New
時空魔術 Lv 4 / 5 New
生活魔法
【称 号】
転生者 ※
アルテイシアの使徒 ※
性豪
辺境伯家 次男
覇王の卵
********************************
おお、しばらくステータス見てなかったからな~
オリハルコンのガントレットを使っていたら
スキルの盾術が生えてきた。
「並列思考」は女神さまのチョイスかな?
忙しいから助かります。
現在2つの事を同時に思考する事ができる。
あとは、時空魔法で付与が使えるように
なったが、アイテムボックスが500MP、付与が300MPで
合計800MP必要のようだ。
今の最大MPだとマジックバッグ4つを作るのが
やっとだな。。。
使えそうな魔術の方は闇魔法の隠蔽
MP50と暗闇MP200、光魔法の欠損回復
(エクスヒール)MP500かな?風魔法の飛翔
MP500は自分一人だけ空を飛んでもな~
ほとんどが、最大MP増えないと使えませんな。
ふむ。。。
「キョウコ、ツクヨミ?
ニムルのシェア商会に送り込んで、裏で経営をするのに
最適な人間は誰だ?」
「「マナミです。」」
「ほう、同意見か。何故だ?三姫だろ?
商会の番頭など務まるのか?」
「マナミは元々読み書きと算術に優れております。
また、武術は小刀と暗器を得意としており、目立たずに
安全を確保できます。」
ツクヨミが妹姫を自慢するように語る。
「商会経営は商会を立ち上げるプランの軌道修正で
時間短縮になります。
絶対に裏切らない人選としても、商会の拡大にも
最適の人選かと思います。」
キョウコが意見を添える。
「わかった。マナミにスキル「血脈」を使って
算術Lv5と並列思考Lv1を与えよう。」
あとは、報告待ちかな?
コンコンッ
「スサです。木炭の引き取りが終わりました。
品質は申し分ないかと思います。」
「ご苦労!一袋だけこっちに持って来てくれ」
「御意!」
「よし、とりあえずサムエルの所に行こう。
ツクヨミは概要を説明してマナミを連れて来てくれ。」
「かしこまりました。」
キョウコと共にキッチンにやって来ると
サムエルとマコト、アズサの三人が夕食の仕込みを終えて
軽食を取りつつ休憩をしているところだった。
「ラファエル坊ちゃん、今日はどういたしました?
また、美味しい食材を持って来て下さったのですか?」
「3人共お疲れさま。今日は食材じゃないんだ。木炭だよ?」
「サムエルは使ったことがあるかい?」
「いえ、話には聞いておりますが薪の倍の値段がしますし
実際に使ってみたことは無いですな。」
「ふ~ん、マコトとアズサは使った事あるよな?」
「は、はい。。。東方では薪よりも木炭が主流ですから。」
アズサが答えてくれる。
「うん、そうだね。サムエルは勘違いをしているね。」
「勘違いですか?」
「そもそも、根本的に薪と炭は使用用途が違うんだ。
木炭の特徴は?」
「えっと、煙がほとんど出ないが高価ってとこです。」
「うん。正解はね。
薪は炎を上げて燃焼するため、火が付きやすく
煙が出やすい。
また、炎により暖を取るのに向いている。
木炭は品質に左右されるが、火が付きにくい。
灰の中でも火が消えないので火種にも使用できる。
また、煙が出にくい上に、薪よりも高温になるが
熱が集中しているので、直接暖を取るには向いていない。
高品質な炭は使い方によるが、薪の倍以上燃焼を続ける。
同様に高品質な炭は炭の量で火力の調整がしやすい。」
「ま、キッチンに限ると
そもそも煙が出ず、燃焼時間が倍以上なので、
薪よりも燃料代が安い。
加えて、火力調整が可能で低温でじっくりと火を入れる
料理が可能になる。って事だね。」
「なるほど。。。マコト、アズサ!知っていたのか?」
「「はい。」」
「で、でもこちらでは薪とのことだったので。。」
めずらしく慌てた顔をして、マコトが言い訳している。
大人しいけど料理オタクな子だからね。。
「いや、なるほど、東方出身の二人が火力調整に苦労して
いたのはそういう事だったのか。」
「坊ちゃん、いろいろ試してみたいので、その木炭を
譲っていただけませんか?」
「良いよ~本格的に使う場合は僕から買ってね!
60t持ってるから!」
「ははは、かしこまりました。」
「マナミ~、見てたよね?同じように領都内を一周
営業してきてごらん。1tは試しに無料で配っても良いよ。
試供品サンプルって奴だね!」
「かしこまりました。」
「それから、ツクヨミは領都の鍛冶屋を同じように
回ってみてくれる?鍛冶屋には高火力を売りにしてね。」
「かしこまりました。」
「最終的にはシャム商会に燃料部門を作ろう。
これからはエネルギービジネスが主流になるからね。」
朝から少し頑張りすぎたので、少しお昼寝をする。
肉体年齢は未だ5歳だからね。
目覚めると、出かけたツクヨミの代わりにシノブが
待機していて、目を覚ました俺に
「サスケが帰還して報告があるそうでございます。」
と告げながら、紅茶を入れてくれる。
キョウコさんは?いや、
いつも通り隣で服を着ている最中です。。。
「サスケ、報告を。」
「はっ。ラフィー様のお睨みのとおりです。
領都のAクラス商会であり、辺境伯様の御用商人で
ある「カシム商会」が黒幕でございます。」
「カシムはリムル様を何としても手に入れようと
かなり前からシャム商会に嫌がらせをしていたようです。
商会主はリムル殿に知られないように、払い除けていた
ようですが、今回はカシムが闇ギルドに依頼して
盗賊団を手配したために不覚を取ったようです。」
「カシムは御用商会の立場を利用して、
一昨年から領都の商業ギルド長にも就任
しており、専横を極めていたようです。」
「やはりか。女一人のために良くもまあ。。」
「それと、商隊の護衛をしていた傭兵団もカシムの子飼い
でグルだったようです。」
「本当にすべて仕込まれていたのだな。」
「ちょっと酷すぎて、リムルさんに話せないな。」
「いえ、もうすべて聞こえましたので大丈夫です。」
リムルさん。。。もう来ていたのね。。。
「リムルさんどうしますか?
まだ商会を畳んで奴隷になりますか?」
「いえ。カシムと刺し違えてでも敵を取ります。」
良し来た!釣れたな。
「それは勧めませんね。条件を受けて頂けるのなら
全力でお手伝いして、リムルさんの安全も確保しますが。」
「どんな条件でも受けます。私の体でも命でも商会でも。
カシムの破滅をこの目で見るまでは死ねませんから!
お受けいたします。」
「了解した。こちらの条件は簡単です。
シャム商会の経営権の70%を僕に下さい。
その権限で私の配下から人を送り込みますので
その人間を総番頭に指名してください。」
「もちろん、損はさせません。
まずは僕個人の御用商人とします。
資金も含めて全面的なバックアップをして
5年以内にSランク商会になっていただきます。」
「そんな事が可能なのかは正直言いますと半信半疑ですが
承知いたします。
残された息子たちも育てなくてはなりませんから
助かります。私自身も配下の末席にお加え下さい。」
「すべてが終わってからも考えが変わっていなければ
もう一度申し出てください。」
「かしこまりました。」
良し、細工は終わったな。父上の所に乗り込むか。
「父上、ラフィーです。」
「おう、入りなさい。」
キョウコ、シノブ、サスケとニムルさんを引き連れて
書斎に入室する。
「ん?初めて見る顔が居るね?」
「はい、この方は昨日お話しした盗賊の襲撃を受けた
シェル商会の商会主の奥様でニムルさんです。」
「どういう事だ?
その件は今ちょうど、セバスやスタッドと
相談していたところだ。
気の毒だとは思うが今は何もしてやれんぞ?」
って、言いながらもニムルの胸元をチラチラ見てる
父上。。。かわいいな。。。
どの母さまにチクろうかな~
「いえ、僕の方でもサスケを使って少し調べてみました。」
「黒幕はカシム商会の商会主ですよ?父上。」
「なっ、何を。いや、サスケは隠密だったのか?」
「御意、生き残った盗賊の証言、闇ギルド、傭兵ギルド
及びカシム商会の黒い噂を調査いたしました。」
「ラフィー様の見立て通り、カシムは若い頃からニムル様
に恋慕していたそうです。
結婚を機に諦めていたのですが、御用商人とギルド長の
権力に酔って横恋慕を始めたそうです。」
「シャム商会の番頭によると、1年ほど前にカシムから
ニムル様を譲るように申し出があったそうです。
商会主が断るとギルドでの両替ができなかったり
契約業務を断られたりしたそうです。
最近では他の商会もギルド長の不興を買うのを恐れて、
シャム商会とは取引を控え始めていたそうです。」
「白旗を上げないシャム商会に業を煮やしたカシムは
闇ギルド副マスターであるアシッドに相談を持ち掛けて
Cクラス盗賊団(巌窟王)とDクラス傭兵団(闇夜の鷹)
を紹介して貰ったそうです。」
「闇ギルドの内情など誰に聞いた?」
「アシッド本人を拉致しました。
両手両腕を切り飛ばしてお願いしたら素直に
聞いていない事まで教えてくれました。
証言が必要かと思い生かしたまま、衛兵詰所の
牢屋に 保護しております。」
「盗賊団(巌窟王)は闇ギルドの女ギルドマスターである
メラードが自ら、カシムからの相談料の一部を使って
立ち上げたそうです。配下の盗賊団を増やして上納を
増やしていたようですね。」
「傭兵団(闇夜の鷹)の方は、かなり前から
闇ギルドとの付き合いがあったようです。
彼ら自体はさほど危ない橋を渡らず、せいぜいが
今回のように護衛を放棄して逃亡する程度ですので
発覚しても処分が軽い上に、今回のように訴える
商会主自体が死亡する事が多く、発覚する事も無い
ために常習犯になっていた様です。」
「最終的にカシムはニムル様を同意の上、肉奴隷として
買う事が出来るとあって、今夜は闇ギルドのメラードも
呼んで祝杯を上げる予定だそうです。」
サスケは報告を簡素に纏めた数枚の羊皮紙を俺に渡して
後ろに下がった。俺はその報告書を父上に渡す。
「ふう。俺も耄碌したものだな。カシムが。。。そうか。。。」
父上は責任を感じているのか先程までの覇気がない。
「セバス、冒険者ギルド、傭兵ギルド、魔導師ギルドと
生産者ギルドのギルドマスターを呼べ!
1時間以内にギルドマスター本人が来いと伝えろ!」
「御意!」
「スタッド!領兵1個中隊を招集しろ、治安維持活動だ!」
返事をしようとするスタッドをキョウコが制止する。
「父上、乗り掛かった船です。カシム商会への強攻は
私の配下に任せて頂けませんか?」
「しかし、いや、良いだろう。ラフィーが指揮を取れ。」
「スタッド、領兵は防壁門と衛兵詰所の警備強化だ!」
「御意!」
「会議室に行くぞ!」
足早に会議室へ移動する。
驚いたことにすでに会議室には2人の人間が居た。
「ほう、もう来たかご苦労!ラシール、リシール。」
いかにも魔術師と言った感じの黒いローブを纏った姉妹?
がそこに居た。ちょっと怖くて鑑定ができない。
ばれるよね~
「お初にお目に掛かります。
私は魔導師ギルドのマスターやってます。
ラシールです。こっちは妹のリシール、
一応サブマスターです。よろしゅう!」
「初めまして僕はラファエル、領主の次男です。」
「噂のラフィーくんやね~、すごい魔力持ってるね!」
関西弁みたいな喋り方するな~
キョウコ。。。眉間に皺が寄ってるよ?
うちの配下。。。もう少し殺気抑えてくれないかな?
「怖い怖い。今日はお仕事やからまた今度やね!」
「ええ、また今度時間のある時にお願いします。」
話を切り上げたと同時に4人の人間が入って来た。
「失礼いたします。冒険者ギルドに何用でしょうか?」
「タキールか、黙って座って待っているかラフィーに
挨拶でもしていろ。」
一緒にやって来た2人の女性が辺境伯の機嫌の悪さに
びくびくしている。って、受付嬢のシャルさんじゃないか?
肩をすくめた男がこちらにやって来て言う。
「おう、お前がラフィーか?俺が冒険者ギルドのマスター
タキールだ、こっちはアキナでシャルは知っているな?」
あーこりゃダメだ。知らんよ?
「下郎が!誰に口を訊いている!一度死んでみるか?」
キョウコが切れて殺気を叩きつけている。
シノブまで刀の鯉口切っているし。。。
止める間もなくキョウコがタキールに襲い掛かる。
タキールはアキナとシャルを突き飛ばして安全を
確保するのが精一杯のようだ。
「死ね!氷牙連切斬!」
キョウコが神速の踏み込みで青白い刀身の刀を振りながら
叫ぶと一気に周囲の温度が下がり、鋭い氷の咢が連続で
タキールに襲い掛かる。
上から襲い掛かる刃を受け止めても、ほぼ同時に下から
切り上がる刃が直撃する。
これが間を置かず3連続で襲い掛かっている。
さすがはギルドマスター、とっさに上からの刃を躱して
下からの刃を迎撃した。しかし2連撃目を迎え撃った後に
力尽き上からの刃が直撃した。
「ちっ!シールドx2」
盾術のレベルアップで手に入れた、対魔対物シールドを
タキールの斜め下に連続で張る。
パキーンッ
どうやら一枚目は破られて霧散したが、二枚目で
防御できたようだ。
「勝手なことをして申し訳ありません。」
ちっとも悪いと思っていない事を隠さずキョウコが言う。
「いや?構わんよ?分をわきまえん奴には良い薬だ。
父上、問題でも?」
「構わんよ!今回の件は俺がこういった輩に対して
甘い顔をしていたツケが回ったんだからな。」
「タキール、退出は許さん。死ぬならそこで死ね。」
「は。。い。。。」
散らかった部屋の片付けにメイド達が入って来る。
だが、むしろ殺気が増してさらに室温が低下した気がする。
あーレイコ達3人か。あのメイド服怖さの象徴になりそう。
片付けをしている間に頑固そうなおじいさんが
一人で入って来た。こっちは生産ギルドかな?
「何やら剣呑な雰囲気じゃが失礼する。」
父上に一礼すると俺の所に来て
「坊主がラファエル坊か?麒麟児じゃと聞いておるよ。
生産ギルドのギラルじゃ。よろしく頼むよ。
そうそう、鍛冶工房の連中が木炭を気に入ったようで
生産ギルドでの備蓄販売を提案してきた。
後ほどで良いので50tほど購入させてくれ。
言い値で構わんよ。今回の礼も含んでおるからのう。」
「わかりました。こちらこそよろしく」
生産ギルドのマスターはまともそうで良かった。
今後の技術開発に不可欠だからな。
最後に時間ギリギリになって、傭兵ギルドが3人で
入室して来た。一人はちょっと酒臭いな。。
入って来た途端に血だらけのタキールを見つけて
訳が分からずに狼狽えている。
「傭兵ギルド、コンドル。ずいぶん遅かったな。。。
まずはラファエルに挨拶して座れ。」
傭兵ギルドのマスターは酒臭い男のようだ。
後ろに控えている一人の男は少し雰囲気があるな。
「お初にお目に掛かります。
傭兵ギルドのコンドルでございます。
今後ともよろしくお願いいたします。
後ろに控えるのは、サブマスターのタリームと
Aランク傭兵クラン(蒼穹の矢)のマスターの
ハルメットでございます。」
後ろの二人も揃って頭を下げる。
ほう、Aランククランか。。。
「初めまして。A級冒険者パーティーのA級冒険者で
領主次男のラファエルです。よろしくお見知りおきを。」
3人ともぴくっとしたな?
危機察知能力はちゃんと高いようだ。
傭兵ギルドとて阿呆ばかりでは無いか。。。
「スタッド、皆に説明を!
詳細はサスケを貸してくれるか?ラフィー。」
「構いません。サスケ、父上の言うとおりに。」
「御意!」
一通りの説明が終わった後には全関係者が青ざめていた。
続けて父上が警告する。
「コンドル。まだ生きているか?事情は分かったな?
俺は少し甘かったようだ。まさか、御用商人が。。
ギルド長が俺の顔に泥を塗るとはな。。。」
「家内の意見では、お前ら一族郎党打ち首が妥当だそうだ。」
それはそうか。貴族への不敬でも最悪の部類だからな。
封建社会では連帯責任は理不尽では無いんだよな。
「とりあえず、決定している事項だけを告げる。
カシムに教えたい奴は教えても構わんよ?
俺も貴族だってことを身を持ってわからせるだけだ。
1、今夜祝賀会をしているカシムとメラードを捕らえる。
2、捕り物はラフィーが指揮して行う。
3、邪魔する者は理由の如何を問わず切り捨てる。
4、カシム商会は解体、カシムの個人資産および商会の
資産はすべて没収とする。
5、シェア商会のリムルを商業ギルドマスターに任命する
6、シェア商会はラファエル個人の御用商人とする。
7、冒険者、魔導師、生産ギルドには金貨100枚の臨時
課税を行う。納付期限は1週間だ。
8、冒険者ギルドのマスターはタキールの意思に任せる。
誰かに交代しても良し、生き残って続けるも良しだ。
領主としては関知しない。
9、傭兵ギルドは金貨1000枚の臨時課税を行う。
他と同様に納期限は1週間とする。
加えて、Dクラス傭兵クラン(闇夜の鷹)に罰金
金貨1000枚を申し付ける。傭兵ギルドで責任を
持って1週間以内に納付させること。以上だ。」
「ちょ。。ちょっとお待ちください。」
傭兵ギルドのコンドルが口をはさんで来た。
あ、やっぱり訂正。傭兵ギルドマスター、アウト!
「キョウコ。」
「御意!」
スパンッ!あっさりとコンドルの首が飛ぶ。
「ハルメット!俺の説明が悪いのか?」
父上が悲痛な顔をしてハルメットに聞く。
「いえ、コンドルの不見識です。申し訳ありません。
金貨で命を贖えるなど、戦場ではめったにない
幸運でございます。
傭兵の面汚し(闇夜の鷹)など今夜中にも捕縛し
売り飛ばして金を作らせます。問題ございません。」
「うむ、ハルメットを傭兵ギルドマスター代行とする。
可能であれば正規のギルドマスターへの就任も頼む。」
「ははっ」
話は終わったみたいだね。
「我が命じる。エリアヒール」ボソッ
「ラフィー?」
「いえ、父上、皆が消耗しきっていたように見えたので。」
「ふっそうか。まあ良い、あとは任せたぞ!」
「承知しました。」
タキールが土下座して、何か言っているけれど知らない。
たまたま生き残ったなら良かったね?
ちなみにギラルはあの空気感の後でもちゃっかり木炭を
買い取って行った。明日の納品で良いそうだ。
さて、夕飯を取ったらもうひと頑張りしますか。
夕食はホロホロ鳥の串焼きだった。
時間をかけて炭火で焼いた肉は絶品で、父上の機嫌も
だいぶ改善したほどだ。
もちろんサムエルから木炭3tの注文も貰い、すでに
完売間近である。早々に次の便を手配させなくては。。
夕食後、すっかり掃除の終わった会議室でお茶を
飲みながら打ち合わせをする。
今回の襲撃のメインは年長組さんに任せる。
雑務ばかりで鬱憤が溜まっていそうなので。。。
ニムルさんも現場に行きたがったので、年少組さんを
護衛に付ける。今後の関係性を考えてシノブも護衛組
年著組さん4人が2方向から攻め立てる。
キョウコは俺の護衛で、姉二人は範囲魔法で援護して
脱出者を排除する予定だ。
では、行ってみよ~
カシム商会は領都の中央部、街道の十字路南東角の
一等地に3階建ての建物を構えていた。
総指揮のキョウコのハンドサインによって、
街路角の物陰から一斉に侵攻を開始する。
特に問題なく進行してゆくが、二階の窓から女性が
飛び降りたのが遠目でも確認できた。
リムルさんが駆け寄ろうとするが、シノブが制止する。
「キョウコ、頼んだ。」
「御意!」
キョウコが音も無く近寄ろうとすると、「ハイポイズン」
の詠唱が聞こえて、女が毒々しい霧に包まれた。
「ウィンドウウォール」
風魔法の壁で霧を吹きあげながら更にキョウコが接近して
あっさりと首を切り落とした。
やはり、あれがメラードだったようだ。
その後は何もイレギュラーに遭遇せずに制圧を終わった。
殺害 商会関係 42人 闇ギルド5人 私兵132人
捕縛 商会関係 38人 闇ギルド0人 私兵 0人
商会資産 土地、建物、私邸、馬車2台、荷馬車95台
金貨5742枚 奴隷34人 商品 金貨824枚
商業ギルドは金貨3500枚のみ没収(事後運営のため)
帰宅後、父上に以上の報告をして長い一日を終えると
少し元気の無いキョウコを抱きしめて寝る。。。
(キョウコ、年長組さん。ありがとね。幼子の処分を
背負わせないように切ってくれたんだね。。。)
(残金 大金貨5枚 金貨3枚 大銀貨2枚 銀貨9枚 大銅貨7枚)
当方、初めて物書きに挑戦いたします。
誤字脱字、読みにくい等のご指導をお願いいたします。
豆腐メンタルなので過激な指摘はご容赦くださいますように
お願いいたします。
ブックマークして頂いた方、感想を寄せていただいた方、
大変励みになります。ありがとうございます。




