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「それでは。お父様、お母様、行ってまいります」

「ああ行ってきなさい」

「…………」

「リリス?」


 ふとリリスを見るとリリスは涙を流していた。リリスに声をかけようとするが、ぼくの視界がにじむ。


「あ、れ。おかしいな。なんでぼく泣いているんだろう」


 人間を辞めた時点で涙は涸れたと思っていた。知識を探求する学徒として悠久の時を生きてきて人間らしい感情を失ったと思っていた。けれど、アレイスターがそれを思い出させてくれた。


「情けない親だな、ホーエンハイム」


 しかたないだろう。自分の息子が旅立つのに何も感じない親はいない。


「マスター」

「ああ」


 リリスに促されてぼくはアイテムを取り出す。


「アレイスター、ぼくたちからの餞別だ」


 リリスが編んだ、アレイスターの鱗から作ったローブ。

 ぼくが作った、あらゆるものを自由に収納できる容量無限のカバン。

 これらは特注の魔術礼装であり、ぼくらの思いがこもった品だ。

 ずっと黙っていたアレイスターが魔術礼装を渡すと涙を流した。


「お父様、お母様。ぼくは二人の息子に恥じないように成長してきます」

「ああ、行ってきなさい」


 それからアレイスターは人化を解いてサンジェルマンとともに飛び去っていった。

 アレイスターの姿がどんどん遠くなっていく。もう聞こえないだろうけれど、最後にこの言葉を贈ろう。


「ありがとう、アレイスター」

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