↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

920/2365

第772堀:ようやく終わって始まります

第772堀:ようやく終わって始まります



Side:ユキ



俺がひとまず席に座ってお茶を飲んでいると……。


「随分疲れているみたいですね」

「当然だろう。14大国を招いた国際会議だ。その主催国であり、その統括をやっているユキ君は相当疲れただろう」

「ですな。私がかつて開いた復興のための6国会議でも大変でしたから、それを上回る数の国に、その一つ一つが小国ではなく、全て大国。気を使うだけで胃に穴があきそうですな」


タイキ君、タイゾウさん、ソウタさんが俺の状態を的確に分析してくれる。

そう、俺は非常に疲れている。

第1回大陸間交流会議はもちろん、その後の大陸間交流祭でも右に左に呼び出されてさんざん接待だ。

話は最初からついているのに、よりよい条件を出そうと交渉してくる連中の多いこと。

まあ、俺から何らかの譲歩を引き出せれば、かなりの評価を受けるだろう。

しかし、俺たちが報告するほど不快に思えば、逆に今後の昇進はなしとなるイチかバチかの勝負ではある。

それにチャレンジした連中は多かったということだ。特にイフ大陸の連中は、野心溢れるって感じで凄かったわ。嫁さんの引き抜きとか打診をしてきたやつは死を覚悟するレベルの無礼だぞ。ジルバの野郎わざとやりやがったとしか思えん。

おかげで嫁さんたちが家で大憤慨だし、それをなだめるのが大変だった。というか嫁はやらんぞ。


と、お茶を飲みながらそんなことを考えては心を落ち着かせる。


「ふぅ。……どうも、皆さんまたおそろいいただきましてありがとうございます」


俺はひとまず、集まってくれたみんなにお礼を言う。

ここはちゃんとしないとな。


「いえ。忙しかったのは知ってますし。無事に終わってよかったですね」

「ああ。大陸間交流会議、第1回が終わって何よりだ」

「そうですな。第1回が終わったということは第2回もあるということですからね。会議は成功とみていいんでしょうか?」

「まあ、とりあえず成功ですね。しかし、新たに問題も出てきました。ですのでそういうのをまとめて聞いてもらいたくて本日は集まってもらいました」


そう。本日日本人メンバーに集まってもらったのはほかでもない。

大陸間交流会議での純粋な報告と新たに出た問題の話合いだ。


「ああー、技術的なことじゃないから、ナールジアさんたちがいないのか」

「とはいえ、私たちにできることなどそこまで大したことはないが」

「まあ、聞くだけはできますから、言ってみてください」


と、本人たちは随分と謙虚だが、俺が欲しいのは現代日本での政治体制の知識だから、この3人以上に話し合える人物はいないのだ。

まあ、最近では嫁さんたちも地球の本を読んで政治体制などを勉強していて話にはついていけるが、その政治体制下で生きてきたわけでないので、俺が欲しい情報とは違うので、この3人に集まってもらったわけだ。


「ありがとうございます。まずは、今回の大陸間交流の報告ですが……」


とはいえ、まずは大陸間交流の状況からだ。

これを知らないと、今後の対策もクソもない。

作戦というのは状況に応じて仕掛けるモノだからな。

わかりやすくいうなれば、獲物のいないところに罠を張る狩人はいない。ということだ。


とはいえ、大陸間交流会議に重大な問題が起こったわけではない。

むしろ、実にスムーズに進んだと言っていいだろう。

まあ、嫁さんたちへの揺さぶりなどの問題はあったが、大陸間交流が無くなるような問題はないので、大陸間交流会議としては大成功といっていい。


「ひとまずは、おめでとうって感じですね」

「最初で躓くと取り戻すのが大変だからな」

「ええ。上手く行って何よりですが、しかし、人材引き抜きの方はいいのですか? まあ、対処の方向性や可能性は理解できますが、ウィードの人材がいなくなるのは問題では?」

「俺もそれは疑問に感じました。ユキさんは今後ウィードの人材が減ることへの対処はどうするんですか?」

「だな。人材の流出でウィードが乱れるようなことがあれば困ることになるだろう?」


ここは3人とも嫁さんたちとは違ってあっさり丸め込まれなかったというべきか、嫁さんたちは分かっていて黙っててくれたのかは分からんが、とりあえず説明をする。


「流石に、各組織が稼働できなくなるほど流出させる気はないですよ。ですが、黙っていなくなられるより、こちらから前もって宣言した方が制御しやすいでしょう。そして向こうにも申し入れがしやすい。人がいなくなって機能が鈍くなりつつあると」

「なるほど。そうすれば、ウィードが大変なのはそちらが持っていくからだって言いやすいわけか」

「普通なら、人手不足になるような運営を行っていたウィードを叩くべきだが、その人材を借り受けている、あるいは引き抜いた国が文句を言うなと言えるわけだ」

「まあ、そうなる前に他国への出国を制限すればいいですから、そのための言い訳にも十分使えますね」


俺の説明に納得する3人。

こっそり人を持っていかれるより、堂々と宣言した方が、後々楽ということだ。

嫁さんたちには、更により良い未来が来るとの説明をしたけど、目先の理由としては、大規模な人材の引き抜きを行わせないために管理するという目的が存在しているわけだ。


「とまあ、人材の引き抜き対策については、今からまとめているという感じですね。他の大陸の各国もウィードの方へ技術習得などの外交官とはまた違った人を派遣してくるのですから、お互いイーブンというぐらいにはなるでしょう。本音としてはすぐに使えるいい人材が手に入ればとは思っているでしょうが」

「そこはどこの国もいっしょですよ。人手は足りないですから。しかも今は連合が組まれて、戦争がかなり減りましたからね。おかげで開墾や食料増産などで一般人ですら人手が足らないぐらいですから」

「イフ大陸も同じようなものだな。連合、そして大陸間交流同盟が成った今、戦争よりも売れる物品の生産に力を入れている国が多い」

「残念ながら、私がいた大陸のほうはまだそう言う状況ではないですが、全体的には健全な活動を行っていますな。ですが、そのおかげで人手が足らないというのは何とも嬉しい悲鳴と言って良いのでしょうか?」


戦後の復興での繁盛期というやつだ。

いつかこの賑わいも終わるが、それはまだまだ先だ。

産業革命も未だに迎えていない、この魔術技術が発達しているこの世界がどう進んでいくかは分からない。

それはある意味、伸び代が山ほどあるわけで、そのための仕事も山ほどある。

おかげで、戦争や魔物との戦いで減った人手をどこの出身だろうが各国が関係なく集めている状況だ。

そういうウィードも戦争を利用して、リテアから難民をかっぱらってきたんだがな。

今では、アルシュテールがルルアやセラリアに「リテアに来て、いえ、戻ってきてくれる人はいませんか?」と聞いているぐらいだ。

数年前までは仕事がなくてスラム区画みたいなところが出来て持て余していたのに、今ではその人たちでさえほとんどが畑を耕しに行っているといった嬉しい状況で、人手が足りず、こっちに引き渡した難民を返してくれないかという状況なのだ。

無論、セラリアやルルアはあの時難民を救いもせず、放り出しておいて、何を今更と突っぱねている。

とまあ、こんな感じで、日々大陸間交流による好影響はいたるところに出ているわけだ。

無論、こうした交流が増えたり、働く場所が増えたことにより問題も出てくるがそれは各国の腕の見せ所というわけだ。


「この人手の問題も、経過を見守るということにしておいて、今回の会議で一番問題だと思ったのは、貨幣の流通拡大による、現存の貨幣では足りなくなるのでは? という懸念ですね」

「……うへぇ、お金の話ですか」

「経済学は専攻ではなかったので、そこまで力になれるとは思えないが……」

「私も軽くかじっているだけなので……」


3人とも俺が言いたいことが分かったらしく、珍しく顔を顰める。

それだけ、お金のことが面倒だというのが分かるだろう。


「金などの貴金属のやり取りは面倒ですからねー。というか含有率とか造幣局とかはどうなっているんですか?」

「そういえば、ユキ君が聞き出すといっていたな」

「ほほう。どこでお金が作られているか?ですか。非常に興味深いですね」


しかしながら、こういう探求心はあるので頼りになる。

全員が全員、為政者経験者というか現役の為政者だからな。

嫌でも、お金とは付き合う必要があるのだ。


「お金をどこで作っているかですが……」


これは嫁さんたちに説明したように、各大国に共通の鋳造道具が存在していて、貴金属の含有率も一律同じだということを説明する。


「へー。不思議ですね。お金なんて、俺たちの時代にもよく変わるのに。この世界では結構長く使われているんですねー」


タイキ君の感心、疑問に思ったところは実に正しい。

過去に存在した統一国家の金貨を未だにわざわざ鋳造道具を使ってまで生産する理由はないのだ。


「この金貨がな。確かにタイキ君の言うように不思議だな」


タイゾウさんはそう言って、ロガリ大陸の金貨とイフ大陸の金貨を取り出す。

それを見ながら、ソウタさんも口を開く。


「ですね。本来貨幣というのは、権力の象徴でもありますからね。自国の貨幣を発行することによって、国の力を国民はもちろん、諸外国にも知らしめるわけですから。でもまあ、異世界ですからね。私たちの新大陸も自分が死んで500年経っていましたが、その昔使われていた通貨のままでしたね」

「へーって、その500年前はどうやって新大陸は通貨作ってたんですか?」

「ああ、それは自国で作っていましたよ。特殊な専用の鋳造器具を使って、作った国と年月も刻印するわけです。保存の魔術がかかるようになっていまして、そうそう劣化しないようになっていたんですよ」

「「「……」」」


そのソウタさんの言葉に固まる俺たち。


「すみません。タイゾウさん。金貨を見せてもらっても?」

「……あ、ああ、構わない。私も別の金貨を調べよう」



結局その後、流通している金貨には共通に保存というか、劣化を緩やかにして、強度を高める魔術が付与されていることが分かった。

くわしいことはナールジアさんやコメット、ザーギスに回してしっかり調べるが、ようやく答えが出てきた。

つまり、身近にエンチャントアイテムが流通しているということだ。

まあ、金貨とか銀貨などの高価な通貨に限るが。

このようなエンチャントを付与できる鋳造器具があるなら、そりゃ使うわ。という結論になった。

これを作ったやつはよく考えている。これを使えば、劣化や摩耗による貴金属の消失が防げるというわけだ。

こんな金の保存アイテムというべき道具があるなら使わないでどうするということだ。


「……意外だった。通貨にこんな秘密があるとは。各国の連中は知っているんだろうな」

「おそらくそうなんでしょうね。とはいえ、なんでこの秘密を教えてくれなかったんでしょうか?」

「案外、知らないのかもしれないな。文化どころか世界も違うんだ。昔の偉人をたたえてその道具を今でも使う。そういう習慣もあるかもしれない」

「あー、まあそういうのはあるのかもしれませんね。エルフなどの長命で生きている種族もいますし、時間の感覚やモノの価値というのも色々違うでしょう」


とまあ、そんな感じで話をしていき、今後の貴金属のやり取りから紙幣への移行の話は、ひとまずは保留で、困ってからの発案でいいのではないかということでまとまった。

何から何までウィードが提案をしていたら、各国も面白くないだろうということもあるのも理由の一つ。


あとは、今後の各大陸の交流や会議の日程などを調整したあとは、俺たちが再び新大陸へと戻りシーサイフォ王国のことを調べることになるんだろうな。

と、その前に、新大陸の同盟参加国が敵対勢力に攻められた時の援軍規定の話を詳しくまとめないとな。

新大陸のハイデン、フィンダール、ハイレ教の支援は各大陸、各国は承諾してくれたが、どれぐらいの軍がどれだけの期間手伝うのかというのは決めてないからな。


はぁ、まだまだ仕事は続くか……。

ようやく終わったと思えば、また仕事の始まりか。


「やだねぇ」





普通の物語なら、ここで「みんな手を取り合って平和を守っていきました」と結ぶのだろうが……。

このひねくれた必勝ダンジョンはこれからである!!

国が出来ようが、結婚しようが、子供が出来ようが、3大陸の平和を作ろうが、結局は通過点!!


ユキが活動するための布石にすぎないのは、皆さんご存知。

そして、これからも物語はまだまだ続く。

気の長いお話ですが、これからもよろしくお願いいたします。


さあ、今度はお金の問題や、シーサイフォ王国の件だよ。

どうなっていくのやら。


あ、アクエノキって覚えてる?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。