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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第697堀:意外な状況

意外な状況



Side:カヤ



「んー……。朝か」


昨日は、獣神様から手紙を預かって、そのあとは特にトラブルもなく過ごせた。

流石に、あれ以上トラブルがあるようだと、国の存亡にかかわってくる。

私たちを舐めすぎ、ついでにハイエルフの国も。

連合に喧嘩を売るようなものだから。


「トーリたちは、まだ寝てるか」


トーリたちのドッペルは未だに寝ている。

つまり、トーリたちは旅館でまだ寝ているか、ご飯を食べてこちらにくる準備をしているのだろう。

私は、早番ってやつ。どこかの国に旅行に行くときは、ドッペルに早めに戻る当番が必要になる。

安全確保のためだね。まあ、ドッペルから連絡があるんだけど、一応という奴だ。


「……ユキの方はリーアが行ってるし、問題なしと」


私たちの部屋割りは3部屋で隣同士となった。

まあ、ユキの護衛兼ウィードの重鎮。そして、別の大陸からの使者という分け方だ。

あ、ちなみにカグラたちは未だに生身だから警備は厳重にしている。

近いうちにドッペルがつけられると良いね。影武者が必要と認められるってことは、カグラたちは完全にユキの身内と認められたってことだから。

ユキは、懐に入れるまでが長いからね。私たちも随分苦労した。

と、カグラたちの恋物語はいいとして、問題はこの国がどう動くかだ。

昨日の話から察するに、色々と問題が出てきている。

晩餐会で、ミヤビ女王、ワイルドお爺さんと合流したが、2人の話し合いがまとまったわけではないみたい。

ま、ユキが言ったように一日二日で答えが出るようなものじゃないけどね。

でも、近衛兵があそこまで暴走するってのは、なかなか危険な状態だ。


「……ユキに、早めに出て行くように言おう」


あの程度の兵士でユキや私たちがどうにかなるわけないが、国民感情を逆なでして、内紛なんかになれば目も当てられない。

いや、最悪、隣国に戦火が広がる可能性がある。そうなれば、ロガリ大陸連合が動かざるを得なくなる。

そうなれば当然、大陸間交流は延期。

そして、この原因を作ったユキはともかく、本当の原因であるリテア聖国のルルアとアルシュテールの胃が死ぬだろう。

昨日ルルアは必至に耐えていたけど、部屋に戻ってから酷い嘔吐をして寝込んだ。

ルルアだけの責任とは言わないけど、きっかけはリテアだから、ルルアはどうしても罪の意識が出てくる。表向きには魔王の責任になってるけど……ルルアは優しいから。

ルルアの為にも早めに出て行こう。

そっちの方面で説得すれば、ユキも頷くだろう。

ここに残っても、解決するわけでもないし。

そんなことを考えているうちに、トーリたちも起きる。


「うーん。あ、カヤ。お疲れ様」

「……おはよう、トーリ」

「毎回思うけど、こっちはこっちでお腹減るよねー」

「……さっき食べたばかりだから不思議。でも食べないとドッペルが可哀想」

「先にドッペルだけで食べてもらうわけにもいかないよね」

「うん。きっと、ワイルドお爺ちゃんとかと一緒だろうし」

「……難しい。ドッペルも過剰摂取はキツイみたいだし」


リエルはどこでもガツガツ食べるからいいけど、私やトーリは朝食をとった直後に、また朝食というコンボはなかなかキツイ。

一度、オデブーになった私たちにとっては本当に辛いのだ。


「うにゅー。やっぱりベッドは固いねー」

「そこは仕方ないのです」

「いい加減、ベッドか敷布団でも持ってくるべきかしら?」


そんな話をしているうちに、アスリンたちも起きてくる。

こっちは、ベッドの寝心地に不満があるようだ。

勿論、私も不満がある。

と、そういうちょっとしたことはいいとして、さっき考えたことを皆に伝える。

さっさと出て行こうという話だ。

皆も、ルルアの様子や、兵士の情緒不安を見ているので、反対しなかった。

仕事は終わったからさっさと帰ろうという意見に賛成のようだ。


「……ユキの所に行こう。そろそろ起きたころだろうし、帰る話もしよう」



ということで、お隣のユキの部屋へ行って、先ほどまとめた話をする。


「……というわけで、さっさと帰る」

「俺も賛成。あ、ルルアは気にするなよ。国民感情も絡んでるからな」

「……はい」


ダメだ。ルルアは昨日ユキに介抱されてたけど、相変わらずこういう類のことは打たれ弱い。

今日もしょんぼりしている。

後でおっぱいをもんであげて励まそう。あのぽよぽよは気持ちいいから。


『それについては我も賛成だが、とりあえず町中を見るだけ見てみないか? どれだけ問題があるのか我も興味があるのだ』

「うーん。わざわざトラブルを招くような真似はなー……。だが、俺たちに対するここの国民の国民感情を測るにはちょうどいいか? まあ、ワイルド王の許可がでないとそういうことはできないからな。そこだけは理解してください」

『ああ。そこは理解している』


……むう。獣神様がいらないことを。

でも、ユキの言う通り、あの兵士だけだったのか、国全体であんな感じなのか、って言うのはこちらでも調べる必要がある。

ワイルドお爺ちゃんたちから聞かれたところで、世の中王族とか貴族に逆らう奴なんていないから、問題を言う人はいない気がする。

そうなれば、正しい調査はできないだろう。

まあ、そういうのを考えて調査はするだろうけど、自国に不利な情報は伏せる可能性もある、そうなると危険が増すだけだし、私たちが現場を見る必要はあるか……。


そこではっと気が付く。私もなんだかんだで政治的な考えができるようになっているのが不思議。

いや、今までの経験からできて当然だけど、ただの村の自警団だったのがここまで成長するとはびっくり。


ま、そこはいいとして、ユキのやろうとしていることは理解できるので、特に反対意見などは出なかったが、ルルアはアスリンたちと居残りになったのは言うまでもない。

何か酷いことを言われたり、悲惨な姿をみたら、卒倒しそうだから。

そんな感じで、今後の予定を決めていると、朝食のお呼びがかかり、私たちは朝食の席に顔を出すと、やはりというか、ワイルドお爺さんやミヤビ女王もその場にいた。


「昨日はゆっくり休めましたかな?」

「ええ」

「それはよかった。で、今日はどんなご予定でしょうか?」

「妾は今日も会議じゃな。どこまでまとまるかはわからんが、話し合わなければいけないことは多々あるからのう」

「そこで、お聞きしたいのですが、ミヤビ女王はどの程度の期間、滞在予定でしょうか?」

「ん? ああ、そういうことか……」


ユキの質問に首を傾げるが、すぐに理解したのか、納得した顔になる。


「ユキ殿たちと一緒だと移動に便利じゃしな。爺との会議は今日で終わらせるかのう」

「姉様。何を……」

「何をじゃないわ。ユキ殿たちはトラブルを避けたいという話じゃ」

「ああ、そういうことか……。ふむ。今姉様と話を重ねても、国の方の実態調査もせねばならぬしのう」

「そういうことじゃ。妾たちトップが話し合っただけで、決まるわけではないし、まだまだ情報が不足しておる。国に戻って精査する必要もあるからのう。ついでに、昨日のことがあったばかりじゃ、配下の統制もできていないところにおりたくはなかろうさ」

「ぬぐぅ」


しかし、ミヤビ女王は躊躇いなく言葉でえぐる。

反論できないワイルドお爺さんは苦い顔をしている。

とはいえ、事実なのでフォローもできない。


「わかりました。今日一日ですね。私たちのほうは、城下町の方を覗いてみようと思っています」

「いや、まて。ユキ殿は余計なトラブルを避けるために、長居をしたくなかったのではないかのう?」

「ええ。ですが、今日一日で済むなら、町を見学して、住人の反応をみたり、何か産物になるようなモノがないかを探してみてもいいのでは? という話になりまして」

「あー、なるほど、実感してみたいというわけじゃな」

「はい。そちらでも調査はするでしょうが、情報は多い方がいいでしょうし、現状と比べることもできますからね」

「話はわかるが、護衛はつけさせてもらいますぞ? これで、話が流れればそれこそ冗談にもなりませんからな」

「護衛はかまいませんが、兵士と判る格好はやめさせてください。あくまでもお忍びでの一般人目線の調査ですから」

「……わかった。準備させる」

「まて、妾も行く。会議があるから早々に引き上げるが、住人の感情がどのようなモノかは妾も気になる」

「それならいっそ、わしも行くか」


ということで、3王家一緒に散歩ではなく、調査をすることになった。



「普通ですね」

「普通じゃな」

「……いや、昨日のことが一般的と思われてもな」


城下町を散策して小一時間、特に問題はなく調査できていた。

ちなみに、ルルアとラビリスたちはお留守番。

昨日の兵士がやっぱり特殊だったということだろう。

町は至って平穏だ。

なにせ、獣人が多いとはいえ、普通に人族もいる。

難民は獣人だけではない、人族も普通にいるから当然の話だ。


「不審な点というわけでもないが、物価が高い気がするな」


ユキの言う通り、4割、5割ほど私が知っている価格より高い。

これがウィードなら大ひんしゅくを買うが、物資の安定供給ができない国ならこの程度はあるだろう。

なにせ、酷いところは2倍3倍ってのがあるからね。


「そうなのか? 妾の国は基本的に配給じゃからな。価格はよくわからん」

「姉様の国はある意味異常なんじゃよ。外との交流がほとんどないうえ、エルフや魔族は子供ができ辛い。そのおかげで今までやれてきたのじゃが、姉様の国はそっちで苦労しそうじゃな」

「みたいじゃな。国民に物の値段とかいってもさっぱりじゃろう。というか、どうやって外貨を得るかも考えんとのう。入国待機の町から得られるだけの外貨では足りんだろうしな……」

「ま、そういうところも追々詰めてきましょう」


そんな感じで、町の調査では意外と、住人は人族に敵愾心はないということだった。

じゃ、あの兵士は例外みたいなものだろうか?

家族が奴隷にされたみたいな話だったから、あるのかな?

まあ、私たちだって、ユキが奴隷の首輪つけられてたら、宣戦布告と受け取るし……。

そんなことを考えていると、1人の獣人の男が私たちに、いや、トーリに近寄ってきた。

またお店の押し売りかと思っていたのだが……。


「トーリだな!? お前トーリだな!!」

「え? え?」


ん? トーリの知り合い?

まあ、冒険者やってたから、知り合いがいても不思議じゃないか。

顔には大きなやけどの跡もあるし、戦火に巻き込まれた人だろう。


「こら!! トーリが驚いているでしょ!!」

「ああ? なんだてめ……」


そう思ってたけど、その男は止めに入った、リエルを見るなり驚いた顔になり、そして物凄い怒気を見せ……。


「お前か!! お前がトーリをたぶらかしたんだな!! この混ざりものの忌子が!!」

「ひゃう!?」


そう怒鳴られて、あのリエルが泣きそうな顔になって耳をペタンと畳む。

その瞬間私はこいつが敵だとわかった。

前にリエルが言っていたクソの村の連中だ。

ユキも、他の皆も一気に殺気が高まる、しかし、そのバカはそれに気が付かず、リエルに手を上げようとして……。


バキッ!!


私たちが動く前に、トーリが既に殴っていた。


「リエルをいじめるな!! このクソ親父!!」


このクソはどうやら、トーリの父親らしい。

さて、どうしたものか……。





そして出てくる意外な人。


お前の血は何色だ!!


次回、親父死す!!

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