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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第681堀:君に決めた!! あれ? 前も言ったか?

君に決めた!! あれ? 前も言ったか?



Side:ユキ



休日が明けても仕事が終わっていることはない。

当然のことではあるが、面倒極まりない。


「今日はジルバだっけ?」

「ええ。そうです。まあ、ジルバ王に用事があるというわけでもないですが、黙ってやっていいことでもありませんからね」


俺の横でそう話すのはリーアとジェシカだ。

2人の言う通り、俺たちはこれからジルバの方へと訪問することになる。

R魔剣の件についてだ。

俺たちでも独自に調査するつもりだが、その許可を貰わないといけないのだ。

面倒だよなー。

と、それよりも……。


「サマンサ、エージルは国の方へ連絡はしたか?」

「ええ、昨日の内に。至急確認するとロンリ宰相様から直々に返答がございましたわ」

「こっちも昨日の内に済ませているよ。こっちはプリズムの手が空いていたから、プリズムが責任者で調べるって返答が来たよ」

「となると、確認が終わるのは明日明後日かな?」

「そうですわね」

「いやー、案外時間はもっとかかるかもしれないよ? 限られた人数でしっかり調べるだろうからね。調査の最中に紛失したら大問題だし」


あり得る。エージルの言っていることは否定できない。

アグウストでR魔剣が無くなったんだし、厳重に体制を整えて確認しても何もおかしくはない。


「そういえば、渦中のジルバはどうなんですか、ジェシカ?」

「連絡は入れました。ジルバ王が直々に確認作業を行うとのことです」

「仰々しいとは言えないか」

「R魔剣の被害に遭っているからね。確認して、自国の管理しているR魔剣が無くなっていれば、更なる危機ってやつだ。だから、ジルバ王自らって感じだろうね。ま、そこはいいとして、ホワイトフォレストはどうなんだい? あっちは誰が?」

「ああ、そっちは別の外交官が既に確認をとっている」


聖剣使いカーヤが連絡に行ったということになっている。

その実、ホワイトフォレスト全域はダンジョン管理下に置かれているので、R魔剣の監視は万全。なので流出、紛失がないのはすぐわかった。

まあ、コメットがあれから改良というか改造を加えたあのダンジョンを事前情報なしで踏破できる奴なんてそうそういないだろうがな。


「よし、それならさっそくジルバに向かいましょう」

「はい。お仕事開始です」

「がんばるよー」


そう言って、立ち上がったドレッサたちだが、残念!!


「ドレッサちゃんたち、今日は私たちはがいむしょーのほうでお手伝いだよ?」

「そうなのです。昨日、カグラたちから救援要請が入ったのです」

「まあ、6日も仕事してなかったからね。当然よね」

「任せっぱなしでしたし、ユキさんから進行状況を確認するようにも頼まれています」

「ということで、ドレッサたちはカグラたちの応援と状況確認頼む」

「むぅ。分かったわ」

「わかりました。任せてください」

「おっけー」


ということで、ジルバに向かうのは、リーア、ジェシカ、クリーナ、サマンサ、デリーユ、そして意外なところで、スティーブ。

あいつは、ジルバでは人気なんだよ。



「おいらは客寄せパンダじゃないんすけどねー」

「客寄せというより、頼れる人材ってところだろう?」

「あんまり意味は変わらないっすよ」

「ま、それに俺よりも、スティーブの方が王城に訪問しやすいからな」


スティーブの知名度はジルバの王城だけに限れば、俺や嫁さんたちよりも高い。

まあ、分かりやすいゴブリンだしな。

なので、スティーブを連れていくと……。


「スティーブ将軍ですね。お通り下さい!!」


と、顔パスである。

しかし、俺たちは……。


「あの。申し訳ありませんが、スティーブ将軍、後ろの方々は……?」

「ああ、えーと、ウィードのユキと連れの外交官っすよ」

「え!? こんなお若い方々ですか!? し、失礼いたしました。どうぞお通り下さい!!」


とまあ、新人の兵士であれば、俺たちのことは知らないぐらいことはしばしばあることなのだ。

だから、無用なトラブルを避けるためにもスティーブを連れてきたわけだ。


「そういえば、スティーブ」

「なんすか?」

「こっちの話はどこまで知ってる?」

「あー、アグウストのR魔剣が大量に紛失した件っすよね? ここに来たの」

「ああ、知っているなら問題ない。とりあえず、その件と各国への訪問の答えを伝えてジルバの戦闘地域に行って調べてみようと思っている」

「戦闘地域って、ジルバと小国群との争いの方っすか?」

「そうそう。そこに顔を出してみて、現状を確認してみる」

「確認してどうするっすか?」

「アグウストのことはいいとして、ジルバの戦争が激化するのは、大陸間交流や外務省設立が延びるだけだ。さっさと片が付くようなら無視でよかったんだがな、今回の件がなー……」

「ああ、R魔剣の流出があるとなると、長引くって話っすか」

「そうそう。ウィード側としても、恩を売るのに今回のイフ大陸問題への介入はありがたい限りだしな」


今回の事で、ウィードとロガリ大陸連合は、イフ大陸連合に多大な貸しが出来るわけだ。

ただ働きをするわけないじゃないか。只より高い物はないっていうしな。

アグウストに至っては国家転覆を防いだという大業だ。

今後の交渉や貿易に関して、こっちの意見は通しやすくなるだろう。

まあ、相手から毟り取るだけのやり方は、後々の国家間の軋轢に繋がるのは目に見えているから、ちゃんと対等なやり取りはするけどな。

と、そんな話をしながら、一旦ジルバの王城にあるスティーブの執務室へと入ると……。


「来たか」


なぜかジルバ王がそこにいた。

いや、宰相や、魔剣使いのエアまで勢ぞろいしていた。


「なんでここにいるっすか?」

「ノーブルの方から連絡がきた。あの件も含めて、今日ユキたちが来るということも聞いたからな、門から伝令を飛ばすように命令していた。まあ、先に私たちの方がこっちの部屋に着くとは思っていなかったがな」


ヤレヤレと肩を竦めるジルバ王ことフィオンハ。


「そこまで急いできたということは、あの件は結構重く見ているのか?」

「ああ、そうだ。あの報告が届いてから、こちらも急ぎ私直々に指揮を執って確認した」

「で、結果は思わしくなかったか?」

「最悪だ。締め上げていた貴族の連中が流していたことが分かった。500もだ。私もアグウストのことを笑えん」

「なんで気が付かなかった?」

「簡単だ。小国から献上された分を倉庫に納める前に横流ししていたそうだ」


ああ、それじゃ、倉庫の警備云々じゃどうにもならんな。


「じゃ、これからどうする? って言いたいが、まずは俺たちが各国を訪問した結果を伝えよう」

「うむ。そちらも大事だな。後方の安全確保はできたのか?」

「これを」


俺はそう言って、5大国の王直筆署名の不可侵条約を渡す。


「間違いないな。感謝するぞ。これで、思う存分攻めかかれる。マーリィ、ミスト姉妹に出陣させよ!! こざかしい魔剣を持った思い上がり共を制圧するのだ!!」

「「「はっ!!」」」


どうやら、既にいつでも出撃できる準備はしていたようで、命令を出すジルバ王。

その命令を受けた兵士たちが、慌てて動き出し、部屋から飛び出す。


「マーリィとミスト姉妹っていうと、魔剣使いか。それで片が付くと思っているのか?」

「絶対とは言わないが、恐らくな。今のところ、相手は魔剣を使って打って出て来たことはないと報告が上がっている。ヨキエルとローウの両将軍からの報告だ。これは信じてよいだろう」

「なるほど。そっちの将軍は既に援軍にだしたのか」

「ああ、援軍を出せば打って出てくるかと思ったがそれもない。となると、状況を考えるに、何かを待っているということだ。この場合可能性があるのは……」

「既に各国との不可侵条約は結んだし、問題となる不確定要素となると、R魔剣か」


他国の参戦が無いとなると、このままずっと城壁内にこもっているのは袋小路の逃げ道無しだ。

何か打開策があるから、こういうことを起こしていると考えるのが当然だよな。


「そうだ。量産型魔剣しかないと思っている。6大国からの援軍はあり得ない。となると、どこかの一団か小国でもいい。その者たちが量産型、R魔剣だったか? それを持って、我が軍を後方から脅かすと同時に、こもっている連中が挟撃。これぐらいしか方法はないだろう」

「確かにな」


それぐらいしか方法は思いつかない。

他に強力な兵器があるのなら既に使っているだろうし、兵力もあるのなら既に出している。

頼みの綱は、行方不明になっているR魔剣ぐらいのモノだ。

既に、小国はジルバ帝国軍に囲まれているので、こっそり輸送するのは無理。

なら、外で部隊を作るしかない。


「だからだ。その即席の部隊相手に両将軍が苦戦をするとも思えんが、無駄に兵を損ずる理由もない。そして、援軍が来たことで、相手の意思も折れるやもしれんし、奇襲にも今以上に備えられるだろう。援軍はなにせ、同じ……いや、本物の魔剣使いだからな」

「思った以上に考えているな。失敗してるくせに」

「ふん。常勝無敗などあり得ん。勝敗は兵家の常である。失敗するからこそ、次はもっと良きものへとなるわけだ。今回の失敗もその一つにすぎん」


こういうところは立派な王様だよな。

しかし、ここまでしっかりしていると、下手にこっちが裏で動くのは不味いか?


「他国からの援軍は特にいらないか?」


とりあえず、聞いておくだけ聞いておこう。


「今のところはいらないな。この不可侵条約があるだけでいい。まあ、この戦力でどうにもならないなら、援軍を頼むことになると思うが、そもそもこれでどうにもならんなら、既に負けていると思うがな」


その通りだよな。

ジルバ全軍が負けるなら、この時点で既に負けているはずだからな。


「そりゃそうだな。となると、俺たちからの援軍、支援はいらんか?」

「ウィードの力としては借りたくないな」


ほうほう。

ウィードに借りは作りたくないって話か。


「じゃ、スティーブ将軍が偶然、ジルバの戦線視察中に敵と遭遇して、やむなく応戦したってことで」

「おいこら」

「スティーブ将軍を使った使用料を払えとか言わないか?」

「あー、そこはスティーブが勝手にほっつき歩いて、戦場にでて迷惑をかけたってことでチャラでいいんじゃね?」

「まてまて」

「なるほどな。まあ、それだけでは心苦しいから、こちらから勲章と賞金でもスティーブ将軍に渡そう。かまわないな?」

「勝手にスティーブをねぎらうのはいいぞ」

「いや、どう聞いても、ジルバでも馬車馬になれって言ってるっすよね!? 勲章とか賞金もらうって、今後も使われろって事っすよね!?」


この期に及んで往生際の悪い奴め。


「本人はこういってるが、そこはフィオンハの交渉の腕の見せ所だな」

「ふむ。私とて、スティーブ将軍の反感を買うことを好き好んでするわけではない。まして、こんなトラブルがそうそうあるわけもないからな、今回だけということで頼まれてくれないか?」

「そうそう。善処するって言ってるし、他国の王が頼み込むって言うのも珍しいぞ。ご指名だ。喜びこそすれ、嫌がるなんてなんて罰当たりな」

「いや、大将が一番嫌う働きパターンでしょうに。おいらも……」


そういいかけたスティーブに俺はこういう。


「君に決めた」

「……おいらは、ポケモ……」

「いいから、仕事だ」

「……へいへい」


こうして、スティーブが偶然戦闘に巻き込まれるということになった。

まあ、部下も連れて行くから、よほどなことがない限り、問題はないだろう。

しかし、このパターン、前も言ったか?





辞令:スティーブ将軍及び旗下の部隊はジルバへの軍事演習のための赴任を命ずる。

   尚、赴任期間は1か月とする。


いやー、信頼っていいものですね。

そして、ジルバ戦線にはスティーブが投入決定で、解決したも同然?

さてさて、あとはユキたちのお仕事はどうなるのかな?



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