第633堀:先の話し合い
2018/01/10 22:13 修正
あまりにも誤字が多かったので慌てて、みんな、ごめんよ。
ルナが高硬度人外撮影して地図作ってたの忘れてたよ。みんな流石だね!!
先の話し合い
Side:ユキ
さて、正直困った。
だが、断るのもよろしくない。
「話は分かりました。しかし、現在、現地を調査している者たちがいますので、その報告を聞いて、こちらの作戦に合わせてもらうことになりますがよろしいですか?」
と、事務的に、目の前にいる、キャリー姫、スタシア殿下、そして、顔をこわばらせているジョージンに伝えると、3人とも頷いてくれる。
「それは当然ですわ。私たちだけでは、無為に殺されるのは目に見えていますから」
「はい。私たちを現場に連れて行っていただけるのであれば、一兵卒として使っていただいても結構です」
「……」
このように、キャリー姫とスタシア殿下は俺たちと一緒に、ハイレ教総本山殴り込みに加わると言っているのだ。
一緒についてきたジョージンは、どうしたものかという顔をしている。
……可哀想に。胃潰瘍とかになってないだろうな? あとで、ルルアに健康診断行わせた方がいいだろう。
「では、調査隊の報告が届きましたら、作戦会議を行いますので、それまでは、待機ということでお願いします」
「はい。わかりましたわ。協力が得られて何よりです」
「ええ。私たちが個人的に殴り込むことになるかとひやひやしていましたから」
「……」
ジョージンが頭を下げるだけで何も言わないのはこのせいか。
反対するなら勝手に行ってくると脅したわけだ。
このお姫様2人は、アージュ殿下の件で復讐を誓っているので、鍛錬を絶やさず、個人的にも実力者である。
そんな2人が独断専行をするのであれば、ジョージンの手持ちの兵では止めることはかなり難しいだろう。
だから、俺についていくというのを黙認しているわけだ。
俺もこの事態を知って放って置いたとなれば、責任はともかく、今後のハイデン、フィンダールとの信頼関係にひびが入りかねない。
まあ、その分の報酬はあるだろうが、個人的に言っているので、これを国に請求するなという意味でもある。
……相変わらず、キャリー姫やスタシア殿下はこういうところはあくどい。
いや、為政者としては当然か。
はぁ、勝手についてくる、個人的にとはいえ、それなりのフォローもいるな。
下手な装備では、足を引っ張られかねない。
ウィードで準備を整えさせるか。
……ウィードの戦力を探るってのも考えてないだろうな?
知られても、スティーブたちの特殊部隊の装備だけだから、全体が知られるわけではないんだけどな。
まあ、考えても仕方がない。
「では、一兵卒としてスティーブ隊についていくということになりますので、待機の間は、ウィードで特殊部隊の装備の扱いに慣れてもらうためにも、訓練に参加してもらうことになりますがいいでしょうか?」
「はい。それは当然ですね」
「何とか、足手まといにならない程度には、基本的なことは身に着けてみせます」
……なんでお姫様2人が軍人の特殊部隊の訓練参加に二つ返事でOKだすかね。
それだけ、復讐にとらわれているということなんだが、いろいろな意味で、この2人は凄いわ。
「じゃ、ヒイロ。命令は出しておくから。お姫様たちのウィードへの案内を頼む」
「はーい。じゃ、いこう。スタお姉、キャリーお姉」
「ああ」
「ええ。行きましょう」
この場にお姫様たちを連れてきたヒイロに案内役を頼むと、すぐに2人に挟まれて、両手をつないで部屋を出て行く。
傍目からみると、仲の良い姉妹にしか見えん。
いや、実質姉妹みたいなもんだよな……。
と、そこはいいとして、残っているジョージンに声をかける。
「……上の方にはどう報告するおつもりで?」
「……ハイレ教会が黒幕かもしれないという連絡は送っているので、ユキ様と協力して、こちらで証拠を集める……ぐらいですね。流石に姫君2人で殴り込みを予定などとは言えません」
そりゃそうだ。
結局、名高い英雄、ジョージンもこういうしがらみからは解放されないらしい。
胃の痛い話である。
さて、役職的に胃の痛い話はここまでにして、次は、国家的に胃の痛い話をするか。
「……しかし、これからどうなると思いますか?」
「これからとは?」
「ジョージン殿には申し訳ないですが、もうちょっと胃の痛い話になるとおもいます。具体的に言うと、国的な?」
「……ああ、なるほど。話し合わないわけにはいかないですな」
俺がそういうと、またまた胃を抑えるような素振りをしつつ、顔を曇らせるが、すぐに俺の意図を理解して、頷いて返事をしてくれる。
いやー。ほんと、このジョージンは切れ者だわ。
しかし、俺が出くわす将軍とかお偉方では、こういう爺さんや老兵の方が当たりが多いのはなんでだろうな?
ああ、いや、女将軍たちも、悪いわけじゃないんだけど、こうさ、一般的な、将来有望な若武者とかなんでいないわけ?
と、そんなことはいいか。まずは、ジョージンの話を聞かないとな。
「はっきりいいまして。ハイレ教の件を上手く収めたとしても、各国の混乱は避けられないでしょうな」
「やっぱり、そうなるか」
「ハイレ教の件がばれてしまえば、それを中心として祀っていた、ハイデンはもちろん、一度魔物の襲撃を許してしまった、フィンダールは各国から一段下に見られるでしょう。そもそも、信頼などあったものではありませんな。今までの所業をみて」
だよなー。
魔物を祀っていたハイレ教にいい様にやられた2国を舐めて、今が好機と動き出す国がでるだろう。
下手をすると、ハイレ教がすでに、他国にハイデンとフィンダールが混乱しているという情報を流している可能性もある。
というか、この流れだと確実だろう。
俺たちがくるまで順調だったんだから、そっちの方面でも手を伸ばしていたはずだ。
ハイデン一強時代を築こうとしていたぐらいだから、他国との繋がりを利用してあちこちの情報収集して当然だろう。
しかし、俺たちがやってきてハイデン乗っ取り計画がおじゃんになったいま、ハイデン、フィンダールから手を引いて、他国をそそのかした方がやりやすい。
他国からすれば、未だにハイレ教は信仰篤いからな。
揉めて、最後になんとか仲直りして、その原因がハイレ教が裏にいましたーって発表しても、誰が信じるかってんだ。
勝手に、国力減らして、国盗りしやすい状況を作り上げてしまったわけだ。
「というか、状況から考えて、上手く収められるわけないよなー」
「ですなー。この場合の上手くは、ハイレ教からの情報が流れずに、ハイレ教徒たちが、そろって全員が正気にもどって、私たちの国々を援護してくれるということですからな」
「しかし、その混乱に乗じて、攻めてくると思うか?」
「……ふぅむ。物理的に攻めてくるというのは、ないと言いたいですが、ハイレ教の魔物を操る術を手に入れたとなれば……」
「あー、リラ王国の二の舞か」
「はい。十分にあり得るかと。リラ王国との争乱は、ただの外交不和という形で認識されていますからな。魔物が出たという話は極秘ですし、そんな話を聞いてもまともに取り合うわけがありますまい」
「となると、面倒事になる可能性は高いか?」
「高いですな。だからこそ、我が主もハイデン王も、なるべく早くハイデン魔術学院での多国会談を行い、なんとか混乱を避けたい、あるいは、敵のあぶり出しを行いたいのでしょうな。幸い、我が国とハイデンの誤解はトップ同士だけではありますが、すでに解けていますから、何かあればこの両国が手を組んで対応することになるでしょう」
「そこだけはいい話だな」
「まあ、すでにユキ様が率いるウィードがいますから、戦争になっても負けるとは思いませんが、下手に頼ると後が怖そうですからな」
「そこはちゃんと伝えておいてくれ。ただ働きはしないって」
「わかっております。まあ、何はともあれ、まずは、ハイレ教の総本山、裏で糸を引いている連中を叩かなければ、今後の展開は厳しくなりますぞ?」
「わかってる」
中級神派の連中が関わっているのは確実で、ここで叩いておかないと、逃げられたら後を追いかけるのは大変だ。
居場所がはっきりとわかっているうちに、大本は確実に叩く。
あとは、根っこだけになるから、何かあっても大事にはならないと思いたいな。
……まったく。どこに行っても、ぺーぱー関係の話が付きまとうよな。
そして、今回に至っては敵がこの土地一帯の最大宗教ときたもんだ。
呪われているっていうのは、最初からだよな。駄目神で堕女神の祝福という呪いがあるもんなー。
「しかし、ハイレ教会の総本山に本当に中級神派の連中がいるのですか?」
「さあな。それを今スティーブたちが調べているところだ。だが、ハイレ教を隠れ蓑に信仰とか、工作を行うのに、総本山以外はやりにくいからな。可能性としては高いと思うぞ」
「確かに。ハイレ教を利用するのであれば、総本山でそれなりの地位を持つしかありませんな」
「まあ、はずれという可能性もある。だから、ジョージン殿の力を借りたい」
「というと?」
「総本山以外で、敵が潜伏している可能性がありそうな場所だな。総本山以外にも、名高い教会とかはあるだろう? その関係で、他の国にどう仕掛けているのかもわかるかもしれない」
「なるほど。地図はありますかな?」
「これでいいか?」
そう聞かれて、俺は以前、ルナが人外衛星軌道上から撮影した地図を広げる。
「ええ。大丈夫です。では……」
そこからはジョージンの証言をもとに、潜伏先や逃亡先に選ばれそうな有力な教会の位置を書き記していき、今後の問題に備える。
そこであることに気が付く。今までの事件の経過を見ると、今回のも、500年前のこともある共通点があることに気が付く。
「そういえば、フィンダール、ハイデン以外の大国の残り2国は西側の海に面しているところだよな?」
「ええ。面してるのは一つだけですが、もう一つも属国が接しているので、海を持っているといってもいいですな」
「なるほど。今気が付いたんだが、今も昔も、事件の発生は東側だ。これは偶然って思っていいのか?」
「まあ、偶然というか、前例に倣ったというべ……き」
俺の言いたかったことが分かったのか、目つきが鋭くなる。
「500年前は魔王もとい、ダンジョンマスターが東側に現れ、それに対抗した中級神派の神が西側でしたな。そして、今回もそれをなぞっている。というと、本命は西側の国にあると思いで?」
「まあ、予測の一つではある。ほら、ソウタさんたちがペーパー様をぶっ倒した国って今はどうなってるんだ?」
「……そこは、女神ハイレが生まれ、現れた地として、今では、総本山に次ぐ大聖堂となっております」
「そもそも、なんで、そこが総本山にならなかったのかって疑問もあるけどな」
「一応、激戦の地でしたからな。そして西側によりすぎというのもあったようです」
「なるほど。となると、ここに何かあっても不思議じゃないな。西側の連中に情報を流すのにもいい場所だ」
「……確かに。しかし、そんなに単純ですかな?」
「俺もそう単純だとは思わないが、調べないわけにもいかんだろう?」
「確かに。そっちの方、キュペル大聖堂の情報は集めておきます」
「頼む」
さてさて、どちらにしろ総本山を叩けば何かしら情報がでてくるだろう。
あとは、スティーブたちの働きか。
「あ、姫様たちが付いてくるって連絡しないとな」
嫌がるだろうな。
だが、これも仕事だ。頑張れ。
そしてユキはお姫様たちの受け入れをして、
今後の新大陸の行く末をジョージンと話、もっとやばいことがあると再認識する。
さてユキはこの事態をどう解決するのだろうか。




