第614堀:ハイデン建国記簡易版 やはりあいつらが悪かったで章
ハイデン建国記簡易版 やはりあいつらが悪かったで章
Side:ソウタ
「さて、お茶も飲んで落ち着いたし、続きを話してください」
『ええ。そうしましょう』
水の子供っぽさに話の腰を折られたが、今はユキ君やルナさんに当時の事を伝えることだ。
私が聞きたいことも山ほどあるが、それは後でいい。
私が聞いたところで何か解決になるわけではない。
今という時間を生きている、ユキ君たちにこそ私の情報がいるのだ。
恐らく、今起きている事件は、500年前の私が戦い抜いた時代が関係しているのだから。
『しかし、これからどこを説明しましょうか。一応、今の人々に初代と呼ばれている人物たちとの出会いは話しましたが、それからの経過も詳しく説明するべきですか?』
「うーん。とりあえず、ある程度簡単にあらすじを話すというのはどうですか? そこで、疑問が出てくれば、俺の方で待ったをかけて、詳しく話を聞くという感じで。全部聞くのも時間が足りないでしょうし、かといって簡潔に説明してもこっちが理解できそうにないですから」
『そうですね。私の方もなにが原因かと言われると、判断に困りますし、全部話せと言われても、所詮は人の記憶ですからね、欠落もある。ユキ君たちに質問されて思い出すこともあると思います』
一方的に私が話しても、ユキ君たちが私を質問攻めにしても、良い結果にならないと思うので、これが一番いいだろう。
『では、まずは私がなんで、この地で変に褒め讃えられているのかというところですね……』
そう、ここはしっかり説明しておかないといけない。
別に私は特別なことはしていなかったのだ。
ただ……。
Side:神代 宗太 神代神社次男 大学生 経済産業専攻
「何がどうしてこうなった……」
俺はそんなことを呟いていた。
だってそうだろう?
つい先日まで日本の普通の大学生をしていた俺が……。
「ソウタ!! 敵が谷底に入ってきたわよ!! いまよね!?」
「まてまて!! ファブルとエノルたちが通り過ぎてない!! 巻き込むつもりか!!」
「でも、追ってきた連中の前衛が通り過ぎてるのよ!? このままじゃ、村の人たちが!!」
「おちつけ、ハイレン!! いまだ!!」
「みんなー!! おとせー!!」
「「「うぉぉぉぉ!!」」」
俺の合図で、我慢していたハイレンの声が響き、周りの人たちが一斉に気合いを声に出し、岩を落とす。
そして、その結果岩は谷底に転がり落ち、谷底を走る異形の者たちを岩で押しつぶす。
いきなりの事に、谷底を先に駆け抜けていた前衛も足がとまり、浮足立つ。
そこに、ファンブとエノルたちが反転して一気に自分たちを追いかけてきていた無事な敵の前衛に斬りかかり、相手は抵抗らしい抵抗もできないまま全員倒れた。
「やったー!! すごいすごい!! ソウタ凄いじゃない!!」
全身で喜びを表して、俺を褒めるハイレンを見て……。
「本当に、何がどうしてこうなった……」
そう言わずにはいられなかった。
だってそうだろう?
つい先日まで日本の大学生をしていた俺がなんで……。
「兵隊の指揮なんかしてるんだよーーー!?」
「うひゃっ!? な、なに? どうしたの!?」
横でびっくりするハイレンをよそに、頭をガシガシかく俺、こと神代宗太は、気が付けば異世界とやらで、生きるために必死に戦っているのであった。
何を言ってるのかわからない?
俺もよくわからん。
気が付けばそうなっていた。
生きるためには、やらなくてはいけなかった。
ただ、それだけの話なのだが……、状況が意味不明だ。
「ねぇ? ソウタ? どうしたの?」
そうだ。こんな状況になったのはこいつらのせいだ。
俺は、この世界? 地方に来て、ハイレンたちと出会い、とりあえず同行することにしたのだ。
右も左もわからないから、夢でもなさそうなので、このままじゃ野垂れ死にするのは間違いない。
だから、話が通じそうな、ハイレンではなく、ファブルとエノルについていったんだが、到着した村は慌ただしくしていて、話を聞いてみれば、魔王とかいう奴の先発軍の一個中隊がこの村に近づいていたらしく、何とかしなくてはという話になっていたのだ。
その話を横で聞いていた俺は、戦争に巻き込まれるのはごめんだと思っていたのだが、逃げたところで、どうするのかというのがあった。
魔王という人のところに逃げたところで、なんか話を聞く限り、この土地の人たちを片っ端から殺しているらしい人で、俺は殺されると思う。
となると、結論としては、ファブルたちが何かを知っているようなので、なんとかこの場を切り抜けるしかないという判断にいたったわけだ。
戦争なんてただの大学生ごときにできるわけもないから、できることは土壁を作ったり、空堀をつくったりするぐらいだと思っていたのだが、迎撃準備を始めているファブルやエノル、村人を見て驚いた。
今時、剣や槍、しかも粗末で錆が浮いていて歪んでいるのもある、時代遅れの得物を持ってやる気になっているのだ。
そこで、俺は気が付いた。
まさかとは思って、自分たちの主要武器、敵の主要武器を聞いてびっくり。
剣と槍、弓ときたもんだ。
どこの戦国時代だと。
で、どうやって戦うつもりなのかと聞けば、村は柵で囲まれているので、それを防壁として、籠城戦を予定しているそうだ。
敵が気が付かなければそのまま隠れて過ごすつもりだが、道が存在しているので、それは無いと言っている。つまり、戦闘はあると前提しているのだ。
敵は装備十分な正規軍、こっちは装備のしょぼい村人、だめじゃん。
村を守りたいというのはわかるけど、防壁を盾に村にこもってというのは上手くない。
こういう武器を持った時代の戦いというのは、民間人の保護という概念どころか、人権というものも存在しない。
敵の村や町、城なんてのは略奪対象でしかない。
なので、一度見つかると、そこは村人がいる限り襲われることになる。
逆に見つからなければ、この時代地図なんてテキトーなもので、そうそう地方の村落などは見つからない。
だから、打って出るべきだと提案したのだ。
正直な話、村にこもって戦わなければ、見つかっても放棄して逃げられるだろうという打算もあった。
だから、最初から村に籠って道を閉ざすのではなく、ゲリラ戦で削れるだけ削った方がいいと思ったのだ。
幸い、この村はノッサ平原を抜けたところのちょっとした山の中腹に存在していて、都合のいいことに谷を縫うように、村への道が伸びているので、ここで迎撃、上から弓でも射かけたらどうだといったら、採用されて、エノルが「そういう作戦なら魔術で岩でも落とした方がいいんじゃない?」と言われた。
どうやら、この近辺では魔術というものが存在していて、ハイレンがその魔術師だったらしく、谷の上に多数の大岩を用意してくれ、ファンブとエノル、そして村人の勇士が敵の誘導を請け負ってくれたというわけだ。
その結果、作戦は大当たり。
敵の一個中隊は撤退と全滅。
敵の後方をしっかり岩で潰して前衛は逃がさず全員倒したので、これでこの先発隊はただの行方不明という扱いになるだろう。
「ねえ!! ソウタってば!! 考え込んでないでこれからどうするのよ!!」
「あ、すまん。とりあえず、敵さんの武具や道具を回収しよう。あとは死体をできるだけ処分して痕跡を隠滅しておく。ここで中隊が全滅したとわかったら敵が調査してくるかもしれないから」
「わかったわ。聞いてた? ファブル、エノル」
「ああ、聞いてた。ソウタの言う通りだ。早速取り掛かる」
「ええ。さっさとかたずけましょう」
そういって、また谷の道に戻るファブルとエノルを見て、ようやく腰を下ろす。
「ふぅ……」
「あれ? 疲れちゃったの? ソウタは指示してただけでしょう?」
「そっちもそっちで疲れているのは間違いないけど、まだ俺は自分の状況を詳しく聞いていないんだよ」
「あ、そういえばそうだった。ごめんごめん。村に戻ったらこんな状態だったしね」
……このハイレンとかいう子は、相当能天気のようだ。
最初のテンションといい、さっきの戦闘の時といい、自分を女神の子供だというぐらいだからその中身は推して知るべきか。
まあ、ハイレンのことはいい。とりあえず、目の前の危機は脱した。
あとは、ファブルやエノルも交えて話を聞こう。
そして、元の世界?に帰る方法を探そう。
ここに留まっても長生きできる気がしない。
魔王とかいう人?が送ってきた先発隊は人というよりむしろ、鬼に見えた。
なんというか、ウィザード○ィのコボルトとかそういう魔物に見えたのだ。
魔術などもあるようだし、俺がどうこうできるとは思えない。
今回の戦法も、相手が落石で驚いて足を止めるという前提でやったのが偶然当たっただけだし、今後もうまく行くとは限らない。
だって、相手は見たこともない生き物だからな。俺が知っている戦法は人と人の戦いにおいて使えるものでしかない。
正直、親父の趣味で家に戦国時代小説や三国志小説が置いてあって、それを読んでいてよかったと今回限りは思った。
さんきゅー親父。
ということで、聞くだけ聞いて、帰れるなら帰る。
帰れないなら、帰る方法を探しにいく。
そういう方針でファブルたちに話を聞いたのだが……。
「すまない。その、ハイレンが偶然呼び出しただけで、俺たちは、どうソウタを戻していいのか分からない」
「ファブルの言う通り、助けてもらってひどい話だと思うけど、私もわからない」
だよな。
さっさと戻せるなら、すぐに戻してるよな。
関係のない人なんだから。強そうにも見えないし、邪魔にしかならんと思うだろう。
しかし、残念なことがある。ファブルとエノルは戻せないといったが、俺を呼び出した張本人?であるハイレンからは何も聞いていない。
俺としては、なんか話が進まない気がして嫌なのだが、本当にハイレンが俺を呼び出したのであれば、戻してくれるかもという、わずかな希望を持って聞いてみると。
「え? なんで帰るの? 私たちを助けて頂戴よ」
何言ってるの、あんた? みたいな顔をされた。
まあ、流石にファブルとエノルが間に入って説明をしてくれて、俺を巻き込んだという事実をハイレンに教えてくれたのだが……。
「やだっ!! 助けてよっ!! さっきみたいにこう、すごいこと考えて!!」
「むーりー」
そんな都合よく何度も勝てるか。
こちとら、戦争どころか、喧嘩すら片手で数えるほどしかやったことがない、平和主義者だからな。
誰だって、同じ境遇に陥ったら同じことを言うだろう。
そしたら、この女神の娘とかいう頭が春真っ盛りの奴がこういいやがった。
「よし、なら、魔王を倒せばきっとお母さんも復活して、ソウタを帰せそうな気がするわ!! だから私たちと一緒に頑張ろう!!」
……あまりの言い草に、目が点になり……。
「ふざけんなー!?」
と言ったのは、当然の反応だと思う。
Side:ソウタ
『……こんな感じで、当時の魔王軍と戦う羽目になりまして』
今更ながら、あいつはむちゃくちゃだったなーと思う。
しかも、結果としては女神だったのだから性質が悪い。
そんなことを思い苦笑いをしていると、ユキ君がルナさんにつかみかかって……。
「お前の部下にはまともな奴は1人もおらんのか!?」
「私を揺さぶったって仕方ないでしょう!? 元々、中級神から部下を引き上げたのばっかりなんだから!! というか、この話のハイレンって神の子供でしょう!? そんなことまで把握してないわよ!!」
そのユキ君の言葉を聞いて、今のこの世界の神様も碌なのいねぇんだなと把握した。
すいません。投稿遅れました。
理由はポケモンウルトラサンムーン。
仕方ないよね!!
で、やっぱり奴らが悪かったと。
さてさて、どうなることやら。




