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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

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第604堀:定番のトイレの噂

定番のトイレの噂




Side:アマンダ




「あ、あのー、デリーユ師匠はなんでそんなに、離れているんですか?」


私は、なぜか遠く……というわけではないけど、ユキさんから離れないデリーユ師匠を見て不思議に思い、そう問いかける。

だって、私たちは今、女子トイレの噂を確かめに来ているんだから、腕の立つデリーユ師匠がなぜこっちに来ていないのかわからないからだ。

いや、リーアとか、ルルア、キルエ、クリーナ、シュテン、ドレッサ、ヴィリア、ヒイロ、スタシア殿下、カグラ、ミコス、カンナさんと大所帯ではあるけど、師匠が来てもいいじゃない。……一番拳は強いんだし。

私がそんなことを思っていると、デリーユ師匠は一言。


「妾はお化けの類が好かん。怖い。だからいかん」

「……あ、そうですか」


ユキさんの腕をずっと握っているあたり、怖いのかなーと思ったらその通りだったんですね。

そこまではっきりと言われたら、何も言えないじゃないですか。

いや、私も怖いから、このメンバーの中で無手、拳で一番強い師匠が一緒だったらなーという希望があったんですけどね。

お化けとか出てきても、師匠に頼んで場所ごと崩壊させりゃいいんだよ。

というか、当初、残る3つの怪談を調べるのはやめて、場所ごとぶっ壊そうという意見があったんだけど。

流石に、学院長とソウタさんに苦笑いでなるべくやめてくれと言われたので、調査ののちにぶっつぶすかどうかを決めることになったのよね。

ちなみに、この女性ばかりの編成も、もちろん怪談の場所に合わせてだ。

女子トイレに、男が入るわけにはいかないということで、私たちが行くことになったのよね。

いざとなれば男性も駆けつけるけど、今はあくまでも調査ということで、この編成なのだ。


「私も、師匠みたいにはっきり言えばよかったのかなー」


私がそうつぶやくと、横にいたクリーナがそのつぶやきを聞いていたのか……。


「無理をする必要はない。待機組に行くといい。カグラとミコスを見捨てて」

「うぐっ」


そういわれて、カグラとミコスを見ると、私に「……一緒にいかないの?」という感じでこちらを見つめていた。

友達として仲良くなったはいいが、こういう時に仇になるわね。

あの2人は、この学院の生徒として怪談探索の調査メンバー入りが確定している。

2人とも不幸よね。

というか、一番いけないのは、ユキさんたちがトイレの怪談の話をして恐怖を煽ったからよ。

4人の日本人である、ユキさん、タイキさん、タイゾウさん、ソウタさんは楽しそうに怪談話をしていたが、傍から聞いていた私たちにとっては、ただの恐怖直撃話だ。

4人からすれば、由来とか歴史的背景とかを考えるのは楽しいのだろうけれど、そんな恐怖体験をするかもしれないけどよろしくね、と言われて送り出される方の気持ちを考えてほしかった。


「なんであんな怖い話をしたんだろう……」

「……しらないの? こういう話を知っている方が、遭遇率が高いともっぱら噂」

「わざとなの!?」

「当然。ユキが無駄なことをするわけがない。無駄に人を怖がらせるようなことは……しない」

「間があったわよ!?」

「ユキとて人。そういうお茶目があってもいい」

「お茶目って……」


何か間違ってない?

そのお茶目の方向性。


「ユキが下手に冗談を言っても、冗談に聞こえないから、こういう手合いになるのは仕方がない。例えば、気分が悪いから、戦争でも起きてくれないかな、横から割って入ってどっちともボコボコにするのに。といわれると……」

「全然冗談に聞こえないわね。ユキさんならできそうね」

「ん。逆に冗談でも仕事をしないと言われても困る。各国が」

「……そうよね。今はウィードを中心に話が色々進んでいるから、そのトップが動かないとか洒落にならないわよね」


……ユキさん。恐ろしい人!!


「はいはい。そこ、人聞きの悪いことを言うな。そんなことしないから」

「ん。それはわかっている」

「さて、まあ、カグラたちも聞いたから判ると思うけど、こういう怪談話は過剰に怖がっている人によく現れるとされている」

「そ、そんな……」

「え、えーと、ユキ先生。流石に、そ、それはないんじゃないかな……」


カグラとミコスはそういって体を小さくして怖がっている。


「落ち着け。ちゃんとフォローはするし、怖がり過ぎるから、ありもしないものを見たり、勘違いしたりするということはよくあるからな」

「なら、なおのこと怖がらせたらいけないんじゃ……」

「本物の可能性もあるから、遭遇する確率は嫌でも上げておきたいんだよ。カグラとミコスは怖がっているが、リーアとか、キルエ、クリーナ、秋天とかは怖がってないだろう。だから、比較して幻覚なのか、それとも本物なのかという判断をつけようと思っているわけだよ」


なるほど。

ただの怖がりによる幻覚なのか、それとも本当に何かあるのかを調べるために、ああいう話をしたのか。


「まあ、こういう怖い話の検証に女性を行かせるのはどうかとは思ったけど、場所が場所だからな……」

「女生徒の霊がでるって話ですよね。それだと、俺たちが入っても出そうにないですから」

「外聞も悪いしな。怪談検証と言って、女子トイレに入り浸る男性教員たちとか」

「そうですな。流石にそれは避けたいですからな……」


それもそうか。怪談なんてそんなあやふやな噂の調査の為に男性が女子トイレに入り浸るとか言われても、変としか思わないわよね。

エオイドが真面目な顔で、女子トイレで調査があるんだ。とか言ったら、まず殴るわね。


「ほかの場所から先にとも思ったんだが、残り2つの怪談は時間に制約があるからな。しかも教室の方は場所もわかっていない。真っ先に調べるにはここがよかったんだよな」


確かに、他の噂には時間に制約がある。

・夕方に見知らぬ教室が現れる

・夜の寮棟の地下には幽霊がでる

このように、夕方と夜と限定されているがこの女子トイレの噂は……。

・2階の東女子トイレは使うべからず

別に時間制限なしのオールタイムのようだ。


「というか、この東女子トイレの噂ってどんなの? タイキさんは幽霊が出るって言ってるけど?」


そういえば、噂のタイトルを聞いただけで、詳しい内容は聞いたことがない。

だって、東女子トイレなんて、位置関係上そうそう使う所じゃない。

……というか、この学院、トイレが完備されているのよね。

まあ、日本人であるソウタさんが作ったんだから当然か。

学府もようやくトイレが配備されたけど、ランサーの町の方はまだまだなのよね。

今まではトイレ自体の存在を知らなかったから、何とも思わなかったけど、いざ上下水道完備のトイレを使うと、ない地域がひどく汚く見えるのよね。

いや、実際汚いんだけど。

と、そこは今はいいか。怪談の話。


「あれ? アマンダは知らなかったんだ。えーっとね。この東女子トイレを使うべからずの話は、ここで自殺した女生徒がいたんだよ。その子がここでずっと泣き続けるとかなんとか……」

「それって実際あったの?」

「えーっと、それは聞いてないんですけど……」


そこで、ユキさんたちに顔を向けると、ユキさんは学院長に視線を向ける。

つられるように、私たちも学院長に視線を向けると、少し悩んだ様子を見せたけど口を開いた。


「……まあ、今回の調査で幽霊の有無がわかり、どちらにしろ対処されるからいいか。……ミコス君の話は本当だ。だが、まあ、詳しい内容は……女性のことを私から言うべきではないな。カンナ君」

「はい。自殺したというのは事実です。が、自殺した理由は、いじめによるものだったといわれています」

「いじめ?」

「ええ。アマンダさんの学府であるのかは分からないですが、恥ずかしながら、私たちの学院では色々な理由での妬み嫉妬からくる、嫌がらせがあり、それを苦に自殺してしまったという話ですが、自殺したのはこの場所ではなかったと記録されていて、正直あやふやで、関係があるともないとも言い切れません」


あー、ここって、貴族も来るし変に実力があったから絡まれたのね。

……でも、自殺しちゃったのか。

私なら絶対にしないけど、この手の嫌がらせは堪えるからね。

それに、私にはエオイドがいたし、サマンサとかクリーナとか、貴族なのに良い付き合いをしてくれた友人もいたから。


「本人は、いまだに学院で頑張りたいという気持ちもあったのでしょう。だからこそ、トイレに残っているという話もあります」

「「「……」」」


なんか、怖いというより、悲しくなってきた。

頑張ろうとして、死んでも学院に残っている。


「平民の女生徒で、周りの支援でようやく入学したと記録が残っていました。そういう所も関係しているんでしょうね」


そっかー。

この学院は学府と違って、魔術の才能があるからって、学費が免除になるわけじゃないんだ。

私たちがいるイフ大陸では、魔術師が希少で学府に入ることで、各国からのスカウトの対象になるから、その関係で学府は各国から支援金を貰って運営しているって話なのよね。

まあ、消耗品とか、食費とかにはお金が掛かるけど。

私たちは地元だったし、……恵まれていたんだな。

しんみりしていると、ユキさんがパンと手を叩いて、みんなの視線を集める。


「ま、本物かどうかも含めて確認する必要があるわけだ。デリーユの拳でって言うのはそういう所も含めて最後の手段だな」

「うむ。そういう話を聞いたあとで、拳での排除はあまりしたくないからのう。ということで、頑張ってくれ、皆」


それでも行きたがらないデリーユ師匠の意思の硬さに逆に驚いたわ。

まあ、エリス師匠よりもまだマシなんだよね。

エリス師匠の場合は、自分の目的に邪魔なものがあれば許可ある限り、実力行使だし。

ポープリ学長もそれでボコボコにされたし。


「じゃ、まあ、今日一日、そして真昼間からでるとは思わないけど、検証よろしく。集団で出ないなら、後で編成減らしてって感じだな」


ユキさんやタイキさんはそこまで信じていないらしく、軽い感じでそういう。

まあ、話を聞く限り、怖がらせるだけの物なのでそういう意味でも警戒していないからなのだろう。

待機組は女子トイレの近場の教室に控えて、私たちは女子トイレへと向かう。


「そういえば、シュテンちゃん。何か感じる?」

「なにもかんじない」

「そっか」


シュテンちゃんの言葉で、周りのみんながほっと落ち着く。

図書館の不思議を調べる時にも活躍したシュテンちゃんの言葉は信頼に値するのよね。

流石、ユキさんが養子に取っただけはあるわ。

……いまだに、クリーナの子供というのは違和感あるんだけどね。


「なに? アマンダ?」

「いや。なんでクリーナがシュテンの母親を名乗ったのかなーって。別に、悪いって話じゃないよ。ユキさんの奥さんたちには、もう子持ちの人がいるでしょう? その人が子供を預かるほうが自然な気がして。クリーナは子育てとかしたことないでしょう?」

「ん。それはアマンダの言う通り。でも、シュテンとは運命だったとしかいえない。ユキと同じように」

「そう。かか様は秋天と一緒の髪色。だから本当のかか様はクリーナかか様。でも、ほかのかか様も本当のかか様」

「ごめん。野暮だった」


クリーナとシュテンちゃんが幸せならそれでいいんだ。

私のくだらない常識的な理屈とかどうでもいい。


「気にしないで。私を心配したのはわかる。もちろん、母として至らないことは多々ある。けど、みんなから助けられて、学んで頑張っている」

「かか様はがんばってる。秋天もがんばる」

「ん。いいこ」


そういって、クリーナは秋天の頭をなでると、嬉しそうにする秋天。

それをみて、微笑むユキさんの奥さんたち。

……なんというか、クリーナが大人になっている。

子供ができるとやはり変わるんだろうか?

私もそろそろエオイドとの子供を真剣に考えるべきなのかな?

でも、まだ訓練中の身だしなー。

そんなことを考えていると、案内をしていたミコスが立ち止まる。


「ここが噂の東女子トイレです」


そういわれてみんな、ぽつーんと存在する女子トイレを見つめる。

周りに使っている教室はなく、なんでこんなところにトイレがあるのか不思議な感じだった。


「ここは増築して準備をしたらしいんですが、そもそも寮棟の併設が進んでいなかったので、使用されなかったらしいです」


ああ、教室を増やしても、生徒が増えないんじゃ意味がないわね。

だから、待機組が使う教室は埃まみれで掃除していたんだ。


「じゃ、さっそく行ってみようか。みんな気を付けてねー。ルルア、後ろよろしく。秋天は何か感じたら言ってね」

「わかりました」

「リーアかか様。わかったよ」


そういうことで、リーア先導で女子トイレに入っていくのでした。





定番すぎるいじめ!!

いくないよ、いじめは!!


そして、彼女たちの運命やいかに!!



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