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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

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落とし穴93堀:避けられぬ運命

避けられぬ運命




世の中に存在するありとあらゆるモノは、時と共に姿形を変える。

水は熱と共に水蒸気となり空に昇り、集まって雲となり、再び雨として水に戻る。

循環といえば単純に聞こえるが、実際はそこまで単純なものではない。

埃を受け、泥にまみれ、塩を取り込み、水という物質の姿形は多種多様に変わる。

人の飲める水だったり、純水だったり、汚染物質にまみれほとんどの生物にとって有害だったり、一定の温度より下がれば固形化したりもする。

今のは分かりやすい一例であり、物質である必要もない。

それは我々人が一番よくわかっているだろう。

今まで積み上げてきた人の歴史は一様に同じものではない。

数多の文化と歴史が存在し、その時代時代特有の文化が生まれては消えていく。

そして、物語もまた同様である。

昨今、地球で多くの人々が知っている有名な童話などは、実際はもっと凄惨な話が多いのだが、現代に合わせてオブラートに包まれ、ハッピーエンドな改変が成されている。


さて、ここまで色々話したが、言いたいことはただ一つ。

「恐怖」だって進化する。


時代に文化に合わせ、恐怖も多種多様に姿形を変えてきた、ある時は天変地異だったり、ある時は魔物だったり、ある時は禁断の場所だったり、ある時は死者だったり、ある時は心霊スポットだったり、ある時はビデオテープだったり、携帯だったり、DVDだったり、ネットだったり……。




Side:ユキ




俺はそんな壮大なのか、どうでもいいのかよくわからん話を聞かされ続けたのだが、回りくどいので、さっさと答えを聞くことにした。


「ご高説はどうでもいいから、何が言いたい?」


俺の目の前にいるのは、簀巻きにされた金髪、オッドアイの美女?のルナ。自称、上級の神様らしいが今はそんなことはどうでもいい。

先ほど、久々に見に行ったお化け屋敷が、勝手に学校に改造されていたのだ。

意味が分からんと思うだろう?

俺も意味が分からん。

だから、こんなことをしたと思われる下手人をしょっ引いてきたわけだ。

晩御飯一緒に食べないか?と連絡入れたらすぐにきやがった。

自炊できない女神とかこれ如何に?

まあ、そんな感じで飯を食わせて太らせて、動けなくなったところを捕縛して、尋問しているわけだ。

お前がやったんだな?と。

そしたら今の意味不明の説明が開始されたわけである。


「旅館の次はもっと大きな舞台が必要でしょう? だから、学校。あとは病院もあったんだけど、私としては学校の方が出るものは多種多様だから、学校を採らせてもらったのよ」

「つまり、お前が精魂込めて作った廃旅館を廃校にしたわけか? 無駄にしたわけか?」

「え? 無駄じゃないでしょう? ああいうアミューズメントは年更新しないと、客足が遠のくわよ? 遊園地での目玉は季節ごとに必要だし、有名なお化け屋敷デザイナーも言ってたじゃない」

「勝手にあそこを遊園地にするんじゃねーよ!? というか、やっぱりお前が犯人か!!」

「あばばば!? ふ、振るんじゃないわよ!? ば、晩御飯がでちゃうから!?」

「でろ、でちまえ!! そんなくだらないことを考える中身なんてすべて!! 人が頑張って造った夏の自由研究を返せ!!」

「な、夏の自由研究なんてっ!? ど、どうせ、来年の夏までには、ごみでしょう!?」

「例えだ、馬鹿駄女神!! 一個の土地丸々使って、廃旅館のお化け屋敷を勝手に改築するやつがあるかぁぁーー!!」


お前はなんで、そうやることなすことフリーダムなわけ?

俺の友人たちをリスペクトしてるんじゃねーだろうな!?

飛行機の模型つくるって話が、いつの間にか次世代新型ジェット戦闘機になってたのと同じか!?


「まあまあ、せっかく作ったものが無くなった気持ちはお察ししますが、お兄さん落ち着いて。ルナもそろそろ限界ですから」

「食事のすぐ後に、嘔吐なんて見たくないわよ」


くっ、ラッツやセラリアの言う通り、この駄女神からもらいゲ○とかしたくねえから、これでやめておくか。


「うっぷ。あと一振りで今日の晩御飯が出てくるところだったわ。まったく、大袈裟なんだから」

「大袈裟じゃねーよ!? 立派な犯罪だからな!? 勝手に人の土地の建造物を改造しやがって!?」

「今の今まで忘れてたくせに」

「それとこれとは話が別だ。が、もう終わってしまったことは仕方がない。幸い人的被害は出ていないからな。俺たちのひと夏の結晶は消えたが……。で、新たにお化け屋敷を作ったという認識でいいわけか?」

「そうよ。あんな面白いことに前回は仲間外れだったから、今回は私が改造しておいたわけよ」

「今回ってことはあそこを改造したのはつい最近か?」

「んー。えーと、構想自体はヒフィーが驚いているのを見た時にできたのよ。もっと、怖がられそうなものをって。完成したのは年越し前かしらね。結構気合い入れたんだから」

「お前はヒフィーに恨みでもあるのか」

「いや、あそこまで怖がってくれるとやる気がでるじゃない? あとそれを見て楽しい」


人がクソ忙しい時期に、お化け屋敷作ってやがったのか!?

こいつはやっぱり邪神じゃね? いや、くだらないことに腐心するからやっぱり駄目神か。


「でも、あんたは空気読めないわねー。いきなり目の前に広がる廃校。そこにまず踏み込むのが通りでしょう? いきなり私の所にくるんじゃないわよ。イベントすっ飛ばしとかありえないわ」

「うっさい。しかし、話から察するに、しっかり中は作り込んでるのか?」

「もちろん。あんたの作ったしょっぱいお化け屋敷じゃなくて、向こうの心霊たちにお願いして協力してもらっているからね。現代怪異のオンパレードよ!! すごくない?」

「おーまーえーはー、本物引っ張ってくるんじゃねーよ!? この前言った異世界召喚制限の件はどうなった!?」

「それはちゃんとしてるわよ。お化け屋敷の方は私の趣味でもあるし、ちゃんと致死性の怪異は置いてきてるから。貞○とか伽○子はご遠慮願っているわ」

「当然だ!!」

「向こうも大変なのよ。貞○とか伽○子はまだメジャーだからいいけどさ、他の怪異とかほぼ忘れ去られているし、肩身狭いのよ。あとは大半、噂が風化して力が無くなっていくだけだし、こう自然保護の一環とでも思いなさい」

「俺のダンジョンは奇天烈動物園じゃないんだよ!?」

「喋るゴブリンとか、畑を耕す野菜好きのオークがいるダンジョンが奇天烈動物園じゃないって?」

「……」


くそ、否定できない。


「いまさら、お化けの一人二人、三人、百人増えてもなんの問題もないでしょう」

「数の桁が一気に増えたからな!? 名簿はあるのか!? 意思疎通はできるんだろうな!? というか、無給で連れてきたのか!?」

「そりゃできるわよ。無給というより、あの学校を住処として与えたって感じ? あとは定期的にお客、肝試しの人がきて、恐怖の感情が集まれば生きていけるわよ。恐怖を魔力として、あそこの住人が維持できるシステムになってるから」


なるほど。

そこらへんはちゃんとしているのか。

外にお化け共がでてきたなら、ゴーストバス○ーズをしなければいけなかっ……ん?


「ちょっとまて。恐怖を魔力としてというが、ここ最近は誰も近寄ってないよな? 大丈夫なのか?」

「あー、そうね? ダンジョンは魔力が多いからそこまで心配はしてないけど。あれね。3、4日断食した感じ?」

「ダメじゃねーか!? 本当に襲われないんだろうな!?」

「そこは徹底してるわよ。ま、可哀想だし、いまからお化け屋敷体験しない? 顔合わせもしておかないといけないでしょう?」




というわけで、俺たちは再び日の落ちた廃校前に集まっていた。


「……本当に、旅館が無くなってる」

「……無情だな。兵どもが夢のあととはよく言ったものだ……」


その現場をみて悲しみを滲みだしているのは、俺と一緒に廃旅館を作り上げたタイキ君とタイゾウさん。

ごめん2人とも、俺が駄目神を監視できないばっかりに……。


「さーて、これから、ドキッ!! リアルお化け屋敷 IN JAPAN HIGH SCHOOLを開始するわよ!!」


そういって場違いに張り切っているのは、ここを作り上げた駄女神。

しかし、この元気な声にこたえるものはいない。


「って、反応がないわね。というかなんでこんなに参加者が少ないのよ?」


ルナはそう不満を漏らす。

今回の参加者は俺、タイキ君、タイゾウさん、セラリア、エリス、ラッツ、アスリン、フィーリア、ヒフィー、コメット、ザーギスと11人と俺たち身内のメンバーの半数以下だ。

ラビリスとデリーユを筆頭に、シェーラ、キルエ、アイリさんはお化け怖しで不参加。

ルルア、ミリー、トーリ、リエル、カヤ、リーア、ジェシカ、クリーナ、サマンサ、ドレッサ、ヴィリア、ヒイロは最近の忙しさからすでに就寝中。

簡単に言えばタイミングが悪すぎという奴だ。


「みんな色々忙しいんだよ」

「なんで、緊急事態じゃないの?」

「いや、ルナの言うようなただのお化け屋敷なら、わざわざ就寝時間削って参加するやつはそうそういないと思うぞ」

「リアルなのよ!?」

「そのせいで怖がりのメンバーは不参加なんだが」

「そういえば、ラビリスがいなくなってるわね」

「一番怖がりだからな。そういうところは考慮してやれよ。全員がお化け平気ってわけじゃないんだからな」

「ぬぐぐぐ。やっかいね。ジャパニーズホラーはもうちょっとマイルドな恐怖にできなかったのかしら」

「お化けにマイルドとか無茶いうなよ。で、俺たちが入るのはいいんだが、どうすればクリアになるんだ?」

「あ、えーっと……、学校の中に入ると出られなくなるから、玄関の鍵を探して出てくるって言うのがルールね」

「定番だな」


どこのホラーゲームの設定だよ。


「しかし、この広い学校で玄関の鍵を探すとかかなり無茶じゃないですか? 朝になりそうな気がするんですけど……」


タイキ君の言う通り、こんなでかい学校で目的の鍵一つを探していると夜が明けそうだな。


「私は明日も仕事がありますので、あまり徹夜はしたくないのですが」

「あのー、ルナ様。私もタイゾウさんと一緒に神聖国でのお仕事があるんですが……」


タイゾウさんとヒフィーの言うことは尤もである。

俺たちウィードのメンバーだって明日は普通に仕事だ。

ただの肝試しで体力と睡眠時間を削るのはいやだ。

しかし、誰か中に入らないと中の人?幽霊?がどうなるかわからんしなー。

そんな複雑なことを考えていると、ルナは自信満々に口を開く。


「そこは大丈夫よ!! 学校内では時間が経たないから。ドアを開けて一緒に入らない限り、他の人とのブッキングもほぼなし。時間が経たないから、孤立した空間になるわけ。どお? 理想的なお化け屋敷じゃない? この広大な学校内をフィールドに、脱出を試みる一大アミューズメント!!」

「お前はどこの企画者だよ。というか、時間が経たないなら、ギブアップとかはどうすんだよ。下手すると恐怖で心肺停止するんじゃないか?」

「ああ、そこも大丈夫よ。気絶した時点で、外、玄関前に運んでくる手はずになってるから、中は時間が停止してるから、私たちから見れば一瞬で戻ってくるけどね」

「いや、流石に気絶が条件はだめだろう。任意に脱出できるアイテムとかないのか? ケガとかしたり、急病とかもう動けないってのはあるだろう?」

「あー、そういわれるとそうねー。じゃ、らしくお守りの脱出アイテムでも作っておきましょう」


そういって、ルナはすぐ手元にお守りを出現させる。

内容は「脱出祈願」意味不明。

いや、わかるけどさ、もっと別の書き方はできなかったのか。


「これを両手で持って、脱出っていえば出られるわよ。出たいとかはだめ、咄嗟に出てきそうな言葉だからね。ちゃんと落ち着いてやるのが大事」

「いや、もうテンパったら言えないじゃないか?」

「そうなったら気絶するしかないでしょう? あとは玄関に運ばれるだけよ」

「ああ、なるほど」

「急な心肺停止とかはお守りを持っていれば、異常を検知して脱出させるわ。ケガとかは一旦学校の保健室で治療ね。こっちの世界より地球の方が医療技術高いし、心霊治療で治療魔術と遜色ないから」

「いや、こんな学校の保健室で治療とかとどめになりそうだけどな」


ボロボロの看護婦とか、血まみれの医者に治療してもらうとか、逆に病気になりそうだけどな。つか、気絶するわ。


「で、一番大事な事だ。中に一体何がどれだけいやがる?」


そう、そこは聞いておかないといけない。


「え? それは一度体験してからのお楽しみじゃない?」

「バカいえ、一応雇用している感じだろ。名簿よこせ名簿!! あと個体の能力の詳細教えろや、即死系いないだろうな!?」

「そこは大丈夫だって。というか、あんたの場合。名簿もらったらその場で帰りそうよねー。よし、あんたの場合は自力で脱出できたら、成功報酬として名簿を渡しましょう」


ちっ。

俺が内心舌打ちしていると、後ろから肩を叩かれ振り返るとセラリア率いる今回のお化け屋敷に参加するうちの嫁さんメンバーがいた。


「まあ、いいじゃない。あなた。時間は経たないし、一種の娯楽でしょ? 大丈夫よ」

「はい。ユキさん。命の危険もないとのことですし、日本の魔物を見てみたくはあります」

「ですねー。お化け屋敷って言うのを体験してみたいですからー。これは夏の一儲けに繋がるかもしれない」

「あのねあのね。お兄ちゃん。座敷童さんっていうの見てみたいの」

「そうなのです。みんなを幸せにする妖怪さんに会いたいのです!!」


いや、フィーリア。あれは皆を幸せにする妖怪じゃなくて、家の繁栄と衰退を象徴するようなもんだが……。


「私としても、ユキ君やタイゾウさん、タイキ君の故郷の魔物ってのは興味があるかなー」

「同じくですね。これはこれで、魔力に関係するまた別のアプローチに繋がるかもしれません」


コメットやザーギスも乗り気か。

……こいつらわかってない。

本当にジャパニーズホラーの力をしらん。

しかし、この状況で俺が文句を垂れるのは空気が読めないか……。


「はぁ、わかったよ。でも、無理はするなよ。この中じゃ魔術もスキルも使えないただの人だからな。怖いと思ったらすぐ出てこい」

「大丈夫よ。お化けなんてやっつけてやるわ」


セラリアはいい笑顔でそういう。

……そんなに単純なら、誰も恐怖したりしねーよ。


「よーし、話はまとまったわね!! じゃ、1チーム3人で組んでいってみよーう!!」


ルナの掛け声でチームわけが始まる。

あー、もう引き返せないか。

そう思い空を仰ぎ見た瞬間、学校の3階から青白い顔がこちらをみて笑っているのが見えた……。



……俺、帰っていい?

いい思い出なんてないんだよな。肝試しの学校って……。





やっぱり入ることは避けられなかった。

さあさあ、ユキやタイキにとっては懐かしの学校の怪談だー!!


みんなの学校にはどんな怪談があったかな?



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