表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

620/2336

第515堀:学府の今後の運営計画と渡りに船

学府の今後の運営計画と渡りに船




Side:ポープリ・ランサー ランサー魔術学府学長




今日も今日とて、学長室で書類を片づけつつ、窓を見ると、快晴。

世はすべて事もなし。

平和である。

本日も、ランサー魔術学府は魔術を修めるべく勉学に勤しむ生徒が授業を受けている。


「当初はどうなることかと思ったけど。まあ、流石はユキ殿というべきかな?」

「そうですね。こちらでも兵の編成を考えていたぐらいですから。無事でなによりです。なにせ、彼の代わりは存在しないのですから」

「本人はそういう立場や言い方は嫌いだろうけどね」

「ケーキの供給がストップすることだけは何としても阻止しなければいけません」

「ララの言う通りだね」

「「ふふっ」」


そんな風に冗談を言って、皿に乗っているケーキを口に運んでいく。

本当に冗談で済んでよかった。

まさか、ユキ殿たちが召喚という誘拐をされるなんて考えもしていなかった。

師からこの話を聞いたときは、下手をすればロガリ大陸とイフ大陸での全面戦争も起こりえたからね。

いまや、ユキ殿はどっちの大陸でも超重要人物。

それが行方不明となればお互いの不信感は高まる。

大陸間交流どころの話ではなくなるだろう。

私たちも、師から聞いた時は、救出メンバーに加わろうという話もあったのだ。

彼は私たちにとっても恩人だからね。

助けるのは当り前さ。

師や聖剣使いの因縁、そして神々の問題などを解決してもらった上に、生徒をかばってもらった上に、奥さんにしてもらったからねー。

所属としてはアグウストとローデイなのだけど、ランサー魔術学府から押し付けたようなものだしね。

まあ、クリーナはまだいいとして、サマンサは私が利用しようとしたからね。

いや、利用して、手痛いしっぺ返しを食らったんだよね。

現在は2人とも、ユキ殿となかよくイチャコラしているから、結果良ければすべてよしとしよう。


「そういえば、クリーナやサマンサは上手くやっているみたいだけど、エオイドやアマンダの教育はどうなっているんだい?」


そういえば、最近はロガリ大陸の方での、ウィードの手伝いで忙しく、そこらへんはララにまかせていて、すっかり忘れていた。

そもそも、あの2人はランサー魔術学府の顔役兼ユキ殿たちのカモフラージュの為にいるのだけどね。

まあ、それでもこのイフ大陸では伝説の竜騎士だ。

あれ? ドラゴンライダーだっけ? よく思い出せないや。

伝説の竜騎士っていっても、ウィードの戦力だと中の下ぐらいだからねー。

ふふ……、伝説って何だっけ? って言いたくなる格差だよね。


「エオイドさんとアマンダさんは、ディフェス様とクロウディア様、スィーア様が指導をしています」

「……はい? 聖剣使いたちが? なんでまた?」

「ディフェス様は軍の指揮もできますし、個人の剣技や体術は素晴らしい物があります。クロウディア様は私と同じ狩人族ですので魔術の指導に最適です。スィーア様は回復魔術に長けていらっしゃいますので、2人の訓練を少々きつくやっても問題がありません」

「ララ。わかっているだろう? そういう理由はいいから、彼女たちは彼女たちで忙しいんじゃなかったのかい?」


確か、ノーブルやヒフィーと協力して、各国の問題や、盗賊、犯罪組織の情報収集とかで大変なはずだけど。


「確かに、そういうと大変に聞こえるかもしれませんが、基本的に、ユキさんたちが設置したダンジョン機能を使った監視の総括ですからね。6か国に1人ずついても4人は余ります。聖剣使いが表立って動けば騒ぎは必至ですから」

「あー、そうか。聖剣使いが出張ると面倒しか起こらないね。ダンジョン機能による監視が主な仕事か」

「はい。といっても、その監視、情報収集もユキさんの所から派遣されたメンバーが主です。彼女たちは新参ですから」


そっか、彼女たちは私からすれば肩を並べて、時代を駆け抜けた歴戦の兵なのだが、ユキ殿たちから見れば、付き合いが短い彼女たちは私たち以上に新参者なわけだ。

私も、ダンジョンの機能を使って監視となると右も左もわからないしね。

情報収集も人海戦術が基本だし、聖剣使いの勇名なんて使うわけにもいかないし、あまり活躍の場がないわけだ。


「……なるほど。それで声をかけたら喜んで手伝ってくれたと」

「いえ、そうでもありません」

「はい? どういうことだい?」

「今訓練をつけてくれているディフェス様たち以外の聖剣使いの皆さま方は、基本的にウィードでのんびりすることが好きなようで、訓練を引き受けてもらえませんでした。炎の魔術が得意なキシュア様にはアマンダさんの指導を頼みたかったのですが、断られまして。同じく、魔物使いとしての指導をアルフィン様に頼んだのですが……」

「まあ、アルフィンは無理だろうな。でも、あのキシュアが断るかー」


あれ、戦闘大好きだったはずだけど。


「ウィードで冒険者やってる方が楽しいとのことです」

「ああ、なるほど」


納得。

こっちで情報収集やってるより、楽しいでしょうな。


「他の皆さまも、ケーキを食べるとか、温泉がないからとかで……。あれ、本当に聖剣使い様たちですか? と問いたくなりますね」

「彼女たちだって、ただの人だったってことだよ。というか、今までの枷が外れた反動だろうね。自由にってのは、彼女たちには縁遠かったことだろうから」

「……確かにそうですね」

「ユキ殿が苦情を言っているわけでもないし、いまはゆっくりさせてやろう」

「苦情と言えば、アルフィン様がお菓子を際限なく振舞うので、スティーブ殿から苦情というか、苦言といいましょうか、そんなのが来ています」

「無理。スティーブ殿には犠牲になってもらうしかない」

「ですね。私たちも流石にあれはきつかったです」


アルフィンはウィードの文化に影響を受けて、ことあるごとにお菓子を大量生産しては消費を周りに頼むことが多い。というか、味見役だね。

無論、悪意はないので、きつく言えるわけもなく。

皆でなんとか消費している。

ケーキならともかく、クッキーの山とかどうしろと。


「恋の相手、スティーブ殿に逆に嫌われそうですけど」

「彼はそんなことで人を好き嫌いするわけがないよ。できた男だ」


『あのー、ポープリさん、ララさん、アルフィンの事でちょっと相談があるっすけ……』

『ねえ、スティーブ。これ作ってみたの』

『ちょ……』


ザザーッ……。


「「……」」


一瞬、叫ぶスティーブ殿の声が聞こえた気がするが、気のせいだろう。


「……と、このような理由で、訓練をしている次第です」

「そうか。上達具合は?」

「学府の中ではとびぬけていますね」

「学府の中では……ね」

「はい。まさか、ウィードの主力に届くわけもないですし」

「そこまで高望みはしていないが。もうすぐ大陸間交流が大々的に始まるし、各国の将軍と肩を並べるぐらいにはと思っているが、厳しいか」

「流石に、それは難しいですね。実戦経験があるわけではないですから、あくまでも、学府、学び舎ですから」


戦闘能力こそあれど、対人経験が豊富でもないし、交渉能力が高いわけでもないから仕方がないか。

あくまでも、この学府は魔術の才能ある若者たちの学び舎に過ぎない。

そのあとは各国へと散って行って、士官や就職という形になるのだ。


「それはわかっているが、これから大陸間交流が始まるとなると、ロガリ大陸の魔術師たちと比べられることになる」

「……それは、そうですね」

「となると、ランサー魔術学府の立場が危うくなりかねない。元々の魔術を使うレベルが違うからね」

「安価でロガリ大陸から魔術師が流入してくると?」

「安価という表現が適切かどうかはわからないが、今以上の成果を出さなければ、近い未来、イフ大陸の魔術師は立つ瀬がなくなるかもしれない」

「……まさか」


ララはそんなことにはならないと思っているようだな……。

まあ、ウィードしか見たことが無いからそれも致し方ないか。


「それが、まさかでもない。イフ大陸にこのランサー魔術学府があるように、ロガリ大陸にも魔術国というものが存在する。しかも、ノノア殿、魔術の神が治めている。国ぐるみで魔術師育成だよ」

「……」


流石に神様が出てくるとは思わなかったのかララは唖然としている。

というか、顔が青ざめているな。

流石に脅しすぎたか。


「まあ、彼女の実力は私と同程度だよ。師の方が上だ」

「その程度で、神ですか?」

「紛れもなく神だね。彼女はその実力を有しつつ、国を作り、全国民の魔術師化を概ね成功させている」

「そ、そんなことが可能なのですか!?」

「実際見せてもらったからね。目の前に現実がある以上可能なのだろうさ。まあ無論ピンキリだけどね。最低ファイアーボールぐらいは撃てるね」

「国民全員がですか?」

「流石に小さい子供は無理だね。そういう感じで、ノノア殿はそういった方面では素晴らしい才能を見せていると言っていいだろう。我が師コメットの開発力、ヒフィー殿の国家運営能力、そして私の生徒への指導能力を併せ持ったような人だね。尖った能力はないから、ぱっと見はそこまですごくないように見えるけどね」

「……が、学府はなくなってしまうのでしょうか?」


ありゃ?

さらに不安にさせちゃったかな?


「そこらへんはちゃんとユキ殿が調整をしてくれているよ。ノノア殿とも懇意だし、魔力枯渇の原因を探る件もある。かと言って、人任せではだめだ。私たちも私たちで、イフ大陸の学び舎として他国に誇れることをしなければならない」

「その他国に誇れることが、エオイドさんにアマンダさんですか」

「そういうこと。ユキ殿の秘蔵戦力、飛竜隊には及ばなくとも、竜騎士アマンダはこのイフ大陸どころか、ロガリ大陸でも稀有な存在だ。さらに、彼女たちはユキ殿やタイキ殿、そして奥方殿たちの弟子でもある。そこは、他国に比べて一歩も二歩もリードしていると言っていいだろう」

「だから、さらなる強化をですか」

「そうだ。学府の全体の底上げはユキ殿やノノア殿、ザーギス殿たちと一緒にやっていく予定だ。それは今すぐどうにかなる話じゃない。今は我が魔術学府の顔となる者が必要なんだよ」

「それは私たちが、というわけにはいかないんですよね」

「私たちは各国の代表に当てはめると、国王と宰相のようなものだ。護衛の騎士という役割がいない。先生方を引っ張ってきてもいいが、エオイド、アマンダはユキ殿たちと繋がりがあるから、それは利用したいし、隠していると逆に変な噂が流れるだろうさ。ユキ殿に対して反意があるとかね」

「難しいものですね」

「そもそも、先生たちもあくまで魔術師だからね。騎士とはまた違うのさ。魔術騎士学科でもつくるかね」

「確かに、今後を考えるとそういう学科は欲しいですね」


そんな感じで、今後の学府運営を考えていると、不意にコールから連絡が届く。


「はい。ユキ殿、何か師が問題でも?」

『いや、コメットは特に問題は起こしていない』

「それはよかった。師の面倒を何度も見るのはごめんですからね。と、なると何用で?」

『新大陸の方でハイデン突入メンバーがかなり少ない。そこで、エオイドを貸してもらえないか? もちろん無理はさせない。男尊女卑が激しくてな、男を少しでも増やしたいんだ』

「ユキ殿の周りは女性が多いですからね。いいでしょう」


私は迷わずエオイドをユキ殿に預けることを決断する。


『いいのか?』

「いま、少しでも学府の陣容を厚くという話をしていましてね。エオイドを鍛えるのにはいい場所でしょう」

『ああ、今後のことを考えるとなー。しかし、アマンダが許してくれるかね?』

「ふむ。なら、アマンダも行ってもらいましょう。ワイちゃん頼りでアマンダ自身の経験がたりないのは懸念ですからね」

『危険度はかなり高いぞ? わかってるか?』

「わかっています。ですが、新大陸との問題を長引かせるより、その問題の解決に尽力したという方がいいでしょう。今後の為にも」

『……そんなに学府の立場はきつくなるって予想してるのか?』

「楽観できそうにはないですね。イフ大陸の各国が、ロガリ大陸の魔術師を取り込み始めたら、ランサー魔術学府は資金援助が無くなりますからね。少しでも、ユキ殿と協力して問題解決にあたっているという建前が欲しいわけです。もちろん、エオイドやアマンダを見殺しにするつもりではないでしょう?」

『そりゃない。ちゃんとフォローする』

「なら、渡りに船ということです」

『……はぁ。そこらへんも後で話し合わないとな』

「その話し合いのためにも、早急な、新大陸の沈静化が必要ですね。幸い、ディフェスたちが稽古をつけていますので、すぐにウィードに送り出します。細かい説明などはディフェスたちに任せましょう」

『そうだな。もう、ウィードでびっくりネタはいいや』


ということで、エオイド、アマンダは新大陸へと旅立つのであった。

これは、君たちの未来の為でもある。

学府が無くなれば、街も干からびる。

君たちが今後の学府の顔となるための試練だ。

それが、君たちの幸せにもつながる。


……と、思う。







世の中、どこも大変なんです。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ