第507堀:現状のマトメ
現状のマトメ
Side:ユキ
「さーて、3人はウィードの観光に放り込んできたし、今はちょっと情報をまとめるか……」
俺はようやく、3人、カグラ、キャサリン、ジョージンへの説明を終えて、執務室に戻っている。
無論、あの3人の方にはちゃんと案内役として、シェーラやラビリスたちがついているので問題ない。
というか、アスリンやフィーリアも久々のウィードだし羽を伸ばしてもらうためでもある。
普通なら俺も観光に付き合うのだが、今回はそうもいかない。
「で、ユキ。情報をまとめるというのは?」
「今までは場当たり的だったからな。ちゃんと情報をまとめて、考え直すためだよ」
ジェシカの質問にそう答える。
言った通り、今回の出来事の対応は、本当に場当たり的だった。
皆と相談をしようにも、召喚されて連絡が取りにくかったというのもあるが、分断されていて、取れる行動も限られ、何より、情報もないまま、戦闘に巻き込まれた。
普段の俺ならば隠れて過ごすと思うのだが、嫁さんや子供たちの安全の為、制圧する方向で動いた。
結果として、現状は早急に合流できたから今のところは問題がないといった感じだ。
こういう場合は、すでに終わったことなのでメリット、デメリットで整理しなおす。
まずはメリット、DPが5000倍かかるような場所で、DPを生み出す捕虜を得られたのは僥倖と言ってよかった。
情報を得るという意味でも、現地のお偉いさんたちを押さえられたのはよかっただろう。
次にデメリット、この状況を作り出すのに、ウィードという存在があちらの大陸にばれたということ。いいように聞こえるかもしれないが、国家として動かなくてはいけない分、制限も出てくる。
新大陸の時のように、傭兵と偽って、各地を飛び回るというのはなかなか難しいだろう。
個人的にはぶらぶら動けないのはつらいのでデメリットということだな。
更に、魔物の動員制限が課せられている状況。
魔力云々も原因の一つだが、ジョージンから得られた情報でさらに魔物が使いにくくなった。
まさか、一国のお姫様が生贄に使われたなんて話が出てくると思わなかったからな。
そんな状況で魔物なんて使えば、黒幕扱いされるのは目に見えている。
となると、スティーブ率いるゴブリン大隊か、ジョン率いるオーク大隊が比較的使えるのだが、ゴブリン、オークも正直珍しい部類で、行動すると目につくだろう。
「えーと、これが情報整理ですか?」
「そうだな。まあ自軍の状況ってところだな。制限が著しいってことだ。国として動くことを強制されて、魔物はうかつに使えない。バイデの防衛に人手を割かなくてはいけないし、こちらでの外交窓口も作らないといけない。ということで、新大陸の時みたいに、傭兵ですと言って情報をじっくり集める暇はなさそうだ」
「といっても、私たちの大陸に来た時の傭兵は傭兵で制限はあったでしょう?」
「まあな。でもウィードで動くのと、無名の傭兵で動くのは、与える脅威度が全然違うからな。相手が油断してくれない。そういう意味で、俺はめんどくさい」
「ああ、確かに。今回の、フィンダール帝国を抑えたことは遅かれ早かれ伝わって、ウィードは警戒すべしと言われますね」
「あ、そっかー。帝国を簡単に止めたんだから、そういう意味で警戒されるんですね」
「リーアの言う通り。警戒されるだけならまだいいが、変なことをしてくるところも出てくるだろうからなー。傭兵の時は、あくまでもただの一組織、しかもただの傭兵、戦争屋だからな。警戒するにしても程度がしれるってことだよ」
「あくまでも、傭兵は仕事の一種ですからね。国と比べるのが間違いでしょう」
「だから、ここで傭兵として情報収集に回るというのはすでに不可能に近い。国として動いている現時点で、人員がまず足りない。ウィードのメンバーとばれたら何をされるかわからん。って感じだな」
まあ、必要とあらば、スティーブやジョンたちを密偵として動かせばいいんだけどな。
霧華も来られたらそっちに従事してもらおうと思うけど、アンデッドはどうなるかまだ分からないしな。
どうしようもないなら、モーブたちを投入ってことになるだろうな。
「ということで、まずウィードの状況を、超簡単にまとめると、やること一杯過ぎて、人手が足りない。ウィードという国の名前で動いている以上、迂闊な行動は避けないと無用なトラブルの元。ってところだな」
「なるほどー」
「まあ、当然といえば当然ですね。それで、今後はどう動くつもりですか?」
「次は当然その話になるよな。で、今度は周りの状況だ」
そもそも、場当たり的な対応になったのは召喚という行為で、呼び出された、というか誘拐されたのが原因。
で、その呼び出された理由が、死にたくないから、英雄を呼び出したと来たもんだ。
これが、無所属に近い単独戦力であれば、そのままハイデンに伝わっているおとぎ話の再現で済んだんだろうが、残念ながら、ウィードの重鎮を巻き込むことになったから事態がややこしくなった。
フィンダール帝国VSハイデン王国という図式に、第三軍ウィードが参戦したことになる。
まあ、ややこしいと言っても、話が進んだ今、下手に英雄を呼び寄せるよりはマシになったとは言えるんだが。
「マシなんですか?」
「マシだよ。話を聞く限り、ハイデンの武闘派連中が暴走しているのが、事の発端だ。帝国の方で魔物騒ぎはあったが、今回の戦いに魔物は関与してないから、俺たちが呼び出された原因としては、これしかない。つまり、今回の件は単独の英雄を呼び出したとしても、帝国を撃退しただけでは終わらない。俺たち以外が呼ばれたなら、下手をすると、帝国と戦いつつ、ハイデンの内部の処理をしなければいけない状況になっただろうな」
「うへー。そうかー、王妃様を助けようって話がでていますし、それを単独でしないといけなくなるんですね」
「なるほど。確かに、そういう意味ではカグラは一番良い相手を召喚したというべきでしょうか?」
「どうだろうな。国の被害は少なくなるだろうが、バイデという領地を失ったし、脅威度では最悪レベルの国が現れたともとれるしな。使いやすい単独の英雄の方がまだよかったかもしれないぞ?」
「その場合、カグラは血反吐を吐いて、国を救うために、その英雄と血の海を渡ることになりそうですからね。それを良しとするのはなかなかいないでしょう。と、そこはいいとして、私たちウィードが参戦したことによって、フィンダール帝国とは早急な和解の席が設けられ、ハイデンの内部争いに早急に着手できるということですね」
「そうだ。この大陸もルナから聞いた以上に、ジョージンなどの話から色々変なところがあるが、それらを調べるためにも、国と国の争いは邪魔でしかない。ウィードの安全の為にも、今回の騒動の原因と言えるハイデンの決着が最優先ってことだな」
そういいながら、ホワイトボードに、目的の整理と書いて、やるべきことをその下に書き込む。
目的の整理
最終的な目的
・バイデがある大陸の魔力異常の調査 現状優先度は低い
理由としては周りの安全が確保されていないから
最終目的を達成するための処理すべき事柄
・バイデの安全を確保 優先度は高い
ウィードと繋がっている拠点を守らないといけないから
・バイデを守るために周辺国との関係を円滑化 上記の話に関係するので優先度は高い
現在その周辺国が交戦に近い状態
・魔力の研究 優先度は高い
主にウィードメンバーの活動に支障がないかを調べる
・フィンダール帝国で起こった生贄による魔物召喚事件 優先度は低い
最終目的への足掛かりではあるが、今は放って置くしかない
・他国の情報収集 優先度は低い
必要不可欠ではあるが、今はそちらに手を割いている暇はない
バイデの安全確保及び、守るために周辺国との関係円滑化に必要な事柄
・ハイデン、フィンダールとの話し合いを設ける
フィンダール帝国とはすでに話の為に動き出している
ハイデンは、不穏な話が多すぎて、話し合いになりそうにないと予想が立てられている
・なのでハイデンには別手段でおとなしくなってもらう予定
話ができる相手を引きずりだす
ハイデンをウィードで占領というのは現実的ではないので却下
追記
ウィードでの業務もこなさなければいけない
・大陸間交流の支援など
コトン。
と、ペンを置いて一息つく。
「……こんなもんだな」
自分で書きつつ、憂鬱になってきた。
新大陸の時は、傭兵ということで自由にやっていたのに、今回はそうもいかないからなー。
亜人の村を適当に守るのと、バイデという交易都市をウィードの庇護下で守るのは全然違うからな。というか、個人的には亜人の村はなくなってくれた方がよかったと思うレベルだったしな。
ジルバ帝国とエナーリア王国から譲られた、ホーストが治める穀倉地帯、ベータンという街もあるが、あれはあくまでも、ジルバ、エナーリア両国の持ち物で、外交の問題とかは全部上に丸投げでよかった。
だが、今回のバイデはそういった雑事も全部ウィードが処理しないといけない制限がある。
しかも、ウィードから人を連れてくるなんてのはできないので、嫁さんたちで処理しなければいけない。
ラッツから聞いたが、今回のことが下手にばれると、ウィードの国民感情が抑えられなくなる可能性が非常に高いとのこと。セラリアやエリスも同意しているので、身内でなんとか安定化まで持っていかないと、さらに面倒になるという状態だ。
ドッペルでの簡易移動もできない現状では、ウィードとバイデを本体が行き来して、ドッペルを使うということになるので、非常に手間がかかるし、ウィードが抱えている問題はバイデがある大陸だけではない。
今のところ大きな問題はないが、ウィードのある大陸とヒフィー達がいた新大陸との大陸間交流も動き出しているので、そのサポートもあるのだ。
おかげで、ヒフィーやタイゾウさんたちをこっちの問題に引っ張りだすのは難しい。
無論、一国王であるタイキ君も同じだ。
文字通り、ウィードの少数精鋭、ほぼ身内でどうにかしろという状況になっている。
前に新大陸に行ったときは、大体面倒ごとは終わってたからよかったものの、今回は色々始めたとたんだったからな。
「うへー」
「……こう、文字にされると、やることは山積みですね」
「一個一個潰していくしかない。はぁ、面倒だけどな。とりあえず、その一歩として、この資料作りだ。ウィードに残ってたメンバーはまだ詳しい話を正確に理解してないからな。バイデの安全を確保するためにも、しばらくは頑張らないとなー」
で、しばらく作業をしていると、観光案内をしているシェーラから連絡が来た。
『カグラさんが、食べ過ぎで動けなくなったので、帰る時間が遅れそうです』
定番のネタになりつつあるよな。
「仕方ないですよねー」
「当然ですね。食事が美味しいからいけないのです」
俺としては普通なんだけどな。
はい。
とりあえず、召喚された時からのまとめです。
今回はかなり制限がかかっております。
魔物部下はほぼ使えず、いろいろやらないといけません。
つまり、暴れん坊嫁さんズの出番ということです。
久々の、堂々とした俺TUEEEが拝めるかもしれません。
あ、違うか、嫁TUEEEですな。
さて、そこはいいとして現実は2017年3月18日。
モンスターハンターダブルクロスが発売。
やらねば!!
クックぐらいまでなら、初期装備でやれるんだけど、他は時間ぎりぎりになるとか一撃死するからマゾプレイだよな。




