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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
国の在り方 暗躍編

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第416堀:神々の対話(どきっ駄目神だらけの同窓会)

神々の対話(どきっ駄目神だらけの同窓会)





Side:リリシュ ウィードリテア教会司祭 愛の女神リリーシュ





「リリシュしさいさまー!! ありがとーー!!」

「はーい。ちゃんと前をみて転んだりしないようにねー」


私の目の前には小さな手を一生懸命振っている子供と、ペコペコ頭を下げている母親の姿が映っている。

膝をケガしてわんわん泣きながら来たあの子は、今ではああやって笑顔でこちらにお礼を言いながら帰るのだ。

いつもの光景だけど、やっぱりああいう子供たちの笑顔を見るとうれしい。

あの嘘偽りない純粋な笑顔が明日への活力になるとわかる。

この力は、やっぱり笑顔を作るものだと自信が持ててうれしい。

私はそう思いながら、こちらが見えなくなるまで手を振っている子供に手を振り返す。

そんなことをしていると、教会から人が出てくる。


「ヒフィー様。このたびは本当にありがとうございました」

「いえ。大事がなくてよかったです」

「こら、あんたもお礼いいなさい」

「……とう。ヒフィーねーちゃん」


ヒフィーちゃんが担当していた人たちみたい。

でも、なぜか男の子はぶすっとしていて、ヒフィーちゃんの顔をみていない。

何があったのかしら?


「こらっ!!」


げんこつが男の子の頭に落ちます。


「いってー!?」

「あ、あの。お母さま、私は気にしていませんし……」

「そういうわけにはいきません。お礼をちゃんと言えないような、礼儀知らずに育てた覚えはないし、この子のためですから。ほら、ちゃんといいなさい!!」

「ううっ……。ありがとうございました!!」


男の子はそういうと、走り出してしまいます。


「はぁ、あの恥ずかしがり屋め。すみません、ヒフィー様。ヒフィー様が美人だから舞い上がってるみたいで」

「え!? そ、そうなんですか? でも、まだ、子供ですし……」

「いや、あれはそういう目でした。まったく、スケベなところは父親に似てるんだから。ヒフィー様。あの子が変ないたずらしたら私に言ってください。ビシッっとげんこつ落としますから」

「は、はぁ……。と、とりあえずお大事に」

「はい。ありがとうございました」


ヒフィーちゃんはこういうことに慣れていないのね。

まあ、お国の女王様とかしてたからそうかもしれないわね。

私も、こうやって人と触れ合う機会が減らされたから野に下ったんだし。

リテアちゃんには悪いとは思ったけど、私が目指すものとは違ったのよね。

いや、どんどんずれていったのか。

でも、こうやって、またリテアちゃんの残した教会としっかり協力できることになったからこれは喜ぶべきことよね。

……全部、ユキさん任せだけど。

と、そこはいいの。さんざんユキさんにネチネチ責められているから。

問題は、このヒフィーちゃん。

今日はちょっと忙しくなりそうだったから、ヒフィー神聖国に連絡して引っ張ってきたの。

だから、怒っていないか心配。


「お疲れさまー」

「あ、リリーシュ。いたの」

「だめー。ここではリリシュってよばなきゃー」

「……はぁ。わかったわ。でも、なんでわざわざこんな一人一人を相手に丁寧に治療しているの? 一気に大魔術で回復すればいいじゃない」

「だめよー。それじゃ、患者さんとお話しできないじゃない。あと、そんな個人の技量に頼ったやり方は、その個人がいなくなればすぐに崩壊して、さらにいらぬ問題になりかねないからだめなのよー? そもそもー、大けがとかは病院にいくんだからー」

「……道理ですね。でも、ユキさんの入れ知恵でしょう?」

「もちろーん。でもー、私もそうそう範囲回復魔術とかはしないわよー。それで、リテアが今の今までおごっちゃったからー」

「……あなたも大変なのね」

「そりゃー、神様ですからー」

「とりあえず。その間延びしたしゃべり方やめない?」

「ぽわぽわしている方が、相手の方は油断してくれるからいいのよー。ま、ユキさんとかにはまったく通用しないけど」

「あれは別格でしょう。ルナ様にだって、容赦ないんだから」

「不思議よねー。ああ、そういえば今日は無理に連れてきてごめんねー」

「気にしていないわ。久々に、人と自然に触れ合った気がする」

「あらー? タイゾウさんとはもう疎遠?」

「そんなわけないわよ!! あの人はもう私の半身!! 平民との触れ合いって意味でよ!!」

「あらあら、お熱いことで。私、ヒフィーちゃんが幸せそうで嬉しいわー。赤ちゃんももうすぐかしらー?」

「あ、赤ちゃん!? そ、そんなに早く生まれるわけないでしょう!?」


いくらなんでも反応が初心すぎるわ。

まさかとは思うけど……。


「……ヒフィーちゃん。まさか、一回もしていないなんてことはないわよねー?」

「してるわよ!! 毎日愛し合っていますとも!! だけど、リリシュが言うようにひと月二月で子供が生まれるわけがないじゃない!!」


ああ、なるほど。テンパっているのね、この子。

思わぬ夜の生活暴露に驚いちゃったわ。

タイゾウさんもこんな子相手に大変ね。

でも、ヒフィーちゃんはいい反応してくれるから、もうちょっとだけ遊ばせてねー。

ちゃんと夜には返しますからー。

ということで、もうちょっと根ほり葉ほりどう聞こうかと考えていたら、ふいに声をかけられました。


「おーおー。相変わらず、おっそろしいな。ぽわぽわを装って、相手の弱みを聞き出そうとしているとはな。いや、この場合は変わっていないから喜ぶ場面か?」


そこには、旅の格好をした腕の太いおっさんが立っていました。


「誰? リリシュの知り合いですか?」

「さあー。こんな、小汚いおじさんは存じませんねー。受付の方はあちらですよー」

「あ、どうも……」


私がそういうと、そのおっさんは頭を下げて、そのまま受付の方へ……。


「って、行くか!! 本当に相変わらずだな、リリーシュ!!」

「え? リリーシュの名を呼んでいる? この人は誰ですか?」

「敵ですねー」

「敵!? ユキさんたちに連絡を……」

「待て待て!! 見ろ、なにも武器を持っていない!! ちゃんとウィードへの入国許可の身分証もある!!」

「えーと……リリーシュ?」

「あらー。神様の力でごり押ししてきたと思ったのに、残念だわー。農耕神ファイデ」

「農耕神!?」


そう、このうだつの上がらないおっさんは、なんと神様で農耕専門だったりします。

日がな一日、畑をいじるのが大好きな変人です。


「そうだ。って、俺が農耕神ってあっさり言っていいのか?」

「大丈夫よー。このヒフィーちゃんも神様だからー。よその大陸の」

「はぁ!?」

「そこはどうでもいいのよー。特にあなたたちに教えることはないんだしー。で、なんの用できたのかしらー?」

「いや、そんなことじゃないだろう? ちゃんと説明してくれ。一体何が起こっているんだ?」

「そっちが先よー。今の今まで私の手伝いをしてこなかった馬鹿共の相手をしてもらえるとか思っていないでしょうねー?」

「まてまて、それに俺は関係ないだろう。俺がいつも間に入ってとりなしていたんだろうが」

「といっても、どうせ顔を出したのは残りの馬鹿共からのお願いだからでしょー?」

「……そうだ」


あの、馬鹿共め。

自分たちで直接モノも言えないか。

相変わらずでほっとしたというか、情けないというか。

自分も含めて、ユキさんとの差に涙が出てきそうですね。


「えーっと、よくわかりませんが、ここで立ち話する内容では無いと思うのですが……。どうしますか?」

「そうねー。とりあえず、奥の応接室に行きましょうか。追い返しても無駄な気がしますしー」

「流石に、今回は引き下がれないからな。そうしてくれると助かる」


思いのほか、ファイデの方は真剣な顔つきでそう告げます。

彼がそんな顔をするのは畑を荒らされたときぐらいのもの。

やっぱり、よほどなことなのでしょう。

まあ、ある程度予想はできますが。



とりあえず、ファイデを応接室に通してきて、お茶を淹れて、話を聞くことにします。


「しっかし、不思議なお茶だな。緑色のお茶か。なんというか、当然のことだが独特の渋みやら香りがあって、ほかのお茶とはまた違う。これもこれでありだな。美味い。このお茶といい、ウィードの物資は向こうにいても多少手に入れることがあって、なかなか興味深かったが、ウィードの中に入ってさらに驚きの連続だ」


しかし、ファイデはまず世間話を優先したいようです。

ですが、私としてはさっさと本題を話してほしいので……。


「ぐだぐだ喋ってないでー、本題に入ってくださいな。いまさら世間話なんて間柄でもないでしょう」

「いや、あながち本題といえば本題をしゃべっているんだがな。まあいいか」


ファイデはお茶を置いて、ヒフィーちゃんに視線をやります。


「彼女には?」

「彼女は私のお友達ですからねー。誰かさんたちよりは信頼していますから。全然問題ありませんよー」

「……お前は、なんでそんなに毒を吐くかな。愛と癒しの女神だろうに」

「それは、自分の胸に聞いてみやがれー。それとも忘れましたかー? 私がこの大陸の一大信仰の対象となったことに嫉妬して、人々に問題が起きたときに、自分の信者じゃないからと助けてくれなかったくせにー」

「それは、あいつらだけだろうが。俺は支援しただろう?」

「何を言ってやがりますかー? ならなんであなたは今の今まで私と疎遠だったのですか? 私と協力していれば、あのような食糧難はなかったでしょうー? 結局、あなたも自分の範囲を決めていたということでしょう?」

「……それは、すまない」

「いえー。謝ってもらう必要はありませんよ。結局のところ、私たちも人と変わりないということです。感情を抜いて考えることはできませんしー。私も同じです。私が頭を下げれば助けられることだったかもしれないのに、あなたに頭を下げてきてもらうという選択しかしなかったのですから」


……きっと、ユキさんならそんなプライドなんてないのでしょうけど。

あの人にとってのプライドというのは、たぶん私たちからは計れないようなものでしょう。


「えっと、その、お互いいろいろあるのはわかりましたが、ファイデ殿のお話を聞いてはどうですか? わざわざ、来てくれたのですから」

「そうねー。ヒフィーちゃんの言うとおりね。で、なんの用かしら? なにか、さっきの世間話が本題と関係あるとかなんとかいってたけどー?」

「ああ、そうだ。このウィード……。いや、このダンジョンを作ったユキとかいうやつの情報が欲しい。リリーシュ、お前なら知っているだろう? こうして、ウィード内に教会を建てているんだから」

「なるほどー。ルナ様から聞かされた、彼にようやく興味をもったのですかー?」

「俺はな。……だが、ほかのやつらがどうにもな」

「ああー。なるほど、だから、ファイデが情報収集役として私に接触してきたのですねー」

「どういうことですか? こちらの大陸の神々はユキの存在を知っているのでしょうか?」

「そうですよー。一応、便宜を図ってくれって言われてたのー。まあ、私の管轄下に来たから、険悪なよその神はほとんど無視の状態だったのー」

「だが、そうもいかなくなった。ヒフィー殿がこの大陸の世情にどこまで詳しいか知らないが、このウィードというダンジョンを作り上げた、ユキというやつがわずか数年で、大国をまとめ上げ、信じられないほどの国力を有し、連合体制まで作り上げた。これは問題だ」

「それは、素晴らしいことではないですか。ルナ様もお喜びになっていますし、何が問題なのですか?」


ヒフィーちゃんは純真ねー。

いえ、一人でやらなければならないという呪縛から解き放たれたからこそ、そういう反応ができるのよねー。


「簡単よー。昔の私と同じー。ユキさんが一人で上手く行き過ぎているから、嫉妬しているのよー」

「ええっ!? って、私も同じようなことをしていましたね……」

「まあ、簡単に言えばそうなんだが、それなら俺がわざわざ出てくる必要はないだろ?」

「そういえばそうですね。ではなぜ、ファイデ殿が?」

「これも簡単よー。ユキさんが自分の素性がばれるようなことはしないから。どうせー、どう調べてもわからないから、私に接触してきたのでしょう?」

「……そうだ。良ければ、そのユキという人物のことを聞かせてほしい」

「そうねー……」


さてー、勝手に話を進めると怒られそうだしー、ユキさんにコールをつないでおきましょう。

しかしながら、あの馬鹿共も動くことになりましたか、ユキさんがのんびりするのはまだまだ先になりそうですねー。





残念なトップ会談が始まる!!

さあ、神に祈りましょう。


いや、勘弁願いますわ。


ということで、農耕神ファイデ登場。

色々真面目ですが、その真面目がギャグにしかならないという悲しさ。

不思議と思う人もいるでしょうが、現地の人から見ればって感じなので、我慢してください。


何度か同じようなこといいましたが、人って納得できる範囲で自分の都合のいいように答えを出しちゃうもんなんです。


例えば、貧乏だった知り合いがいきなり大金を抱えていたら、宝くじか泥棒したかぐらいにしか思わないでしょう? 

自分で稼いだ!! と言われても、そんなわけない。と言ったり思ってしまうでしょう。証拠でも見せない限りは。


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