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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸 エクス王国編

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第356堀:のんびりな旅路

のんびりな旅路





Side:モーブ






穏やかな空、広がる平原、小川のせせらぎ。

穏やかな風景だ。

気配も小動物程度で、魔物もいない。

カッポカッポと馬の足音だけが響く。

平和だ。


「暇だな」


俺は不意にそんな言葉を吐く。


「まあ、魔物自体も少ないからな。出るとしても盗賊ぐらいだろう」

「その盗賊も、こんな開けた場所で構えるなんてことはしませんね。いたらただのバカです」


ライヤとカースがそんな返事を返して、のんびり道を進む。


「……」

「……」

「……」


会話が続かない。

いや、続ける必要はないんだが、なにかこの沈黙は違うんだ。

時間を持て余している沈黙なんだよ。

仕事に集中している状態でもないし、何かやっているわけでもない。

ただボーっとしている感じなのだ。


「なあ。なんで俺たち馬に乗って、こんな長閑な道進んでいるんだ?」

「そりゃ、仕事だろ」

「なんで、こんなに緊張感がないんだろうな」

「それは、外敵もいませんし、潜入調査といっても、普通に見物みたいなものですからね」


違うんだよ。

俺はそんなことが聞きたいんじゃない。


「お前等、もっと何か話すことはないのかよ。俺ばかりに喋らせるなよ」


そう、なんで俺からずっと話を振っていんだ?

こんな長閑すぎると、話でもしてないと眠くなるわ。


「いや、無理に喋らなくていいだろう」

「ですね。こういうのんびりも悪くないでしょう。寝てても大丈夫ですよ。何かあれば起こしますし」

「だから、眠るの勿体ないって話だよ。もっとこう、なにか面白い話ないのか?」

「ない」

「ないですね」

「くそー。なんで40キロも馬で進むんだよ……。車で近くまで行けばいいだろうに……」

「いや。それは無理だ」

「というか、ギリギリまで近づいてここですからね。これ以上は人の目を警戒しないといけませんし」

「ようやく車の免許をとって、運転できるようになったのによ。また馬とか……」


そう、ようやく車に乗れるようになったのだ。

ちょいちょい時間が空いている時に、ウィードの教習所に通っていたのだ。

ユキの故郷みたいに誰でも取れるわけではなく、ウィードでの職種上仕方のないものや、俺みたいな冒険者高ランクだったり、ウィードの重役だったりすると運転免許をとれる。

まあ、金持ちの道楽みたいなものだからな。

燃料もウィードじゃないと手に入らないし、整備もできない。

まだまだ、馬車の方が世間的には便利ということだ。

個人的には車が普及すればすげー便利だと思うんだが、まだまだ技術が追い付いていないらしい。

まあ、車も日本からの取り寄せだしな。

ウィードの国産車も作れないのに、世界普及とか無理な話か。


「それは同情するが、仕事だしな」

「帰ったら同乗させてもらいますよ」

「へいへい。しかし、よくウィードに馬がいたな」


俺は思い出したように、今乗っている馬を見る。

車という、馬を軽く超える乗り物が存在するウィードなのだ。

いまさら馬を飼う理由がない。

食事、世話と車よりもはるかに維持は面倒なのだ。


「いや。普通に馬はいるぞ」

「そうだったか?」

「まあ、ウィード内部では冒険者区ぐらいですからね。馬の乗り入れは入り口で止めていますから。衛生上の問題や通行人に危険もありますからね」

「いや、それは外部からだろ。冒険者区の方も、ギルドの所有だろう?」


商人が馬無しで荷物を運んでくるわけがない。

冒険者ギルドのほうも、ダンジョンに行くのに徒歩とか鬼だとおもうしな。


「その二つはモーブの言う通りだが、ウィードも馬を普通に所有しているからな」

「そんなのあったか?」

「ある。まず1つは軍。あくまでも、ユキはこの時代の歩調にあわせているからな。戦車とかトンデモ兵器を出すのは最後の手段だ」

「ああ、そういや。あったな」

「次に、新規にダンジョンと交易を持ちたい国への移動手段。車は確かに便利だが、紛失した場合は非常に面倒だ。盗難の可能性もあるからな。なので、そこは馬ですませる」

「なるほどなー」

「そして、それらの需要に応えるために、馬を育てて販売するという場所もある」

「そこまでやっているのか」

「できますからね。他国から若馬を買ったり、生ませたりで数を増やそうとはしています。まあ、まだ初めて1年そこらですから、結果は出ていませんが。自国でやる方がいいでしょう。その分の良い干し草という餌の買い入れもありますからね。そう言うところで他国にもちゃんとお金が行くようにしているんですよ」

「……難しいがなんとなくわかった」


結局、経済関連になるわけだ。

あー、頭痛い。

俺はそんなのとは無縁の生活でいいね。

毎月安定した給料もらって、のんびり過ごすだけでいいわ。


「ま、とりあえず。今の話から分かったのは、エクス王国に行っても、俺たちが真正面から乗り込んでなんとかするのはやめておこうってことだな」

「だな。経済関連はさっぱりだし、それをどうにかする気もない」

「あと、相手にはダンジョンマスターに準じた者もいますし、俺たち3人では返り討ちにされる可能性が高いでしょう」

「そこだ。相手もダンジョンマスターってのは初めてだ。俺たちが来たのは本当にばれていないのか?」


ユキの監視体制は俺たちがよく知っている。

だから、そこが非常に気になる。

既にばれていたりとかな。


「それはないとはいえないが。まあ可能性は低いだろう」

「ですね。私たちの体はドッペルですし、ばれているのならば、制御を奪って情報をとろうとするでしょう。泳がせる意味はないですし」

「確かにな。そう言う意味でも大人しくしていた方がいいわけだよな」

「ああ。目をつけられれば監視がくるだろう。そうなれば相手が俺たちの正体に気が付く可能性も上がる」

「やっぱり予定通りなわけか。ユキが完璧に作戦を組むせいで、俺たちで話を詰める理由もないわー。話題がないわー」


俺たちがここで話しても仕方のないことだよな。

……ああ、長閑すぎる。


「まあ、エクス王都内では奴隷を買うこと以外は自由ですし、そっちの予定とかを決めたらどうですか?」

「予定ねー。とりあえず、宿を探すだろ」

「ああ、そうしないと、野宿だしな」

「どの程度の宿に泊まるつもりですか?」

「そりゃー……、あれ? 傭兵ってどの程度の宿に泊まるんだ?」

「まずはそこからだな。まあ食事処にでも行って情報を集めよう」

「ですね。そういえば美味しい物とかもわかりませんね」

「げっ、それは死活問題だぞ。ウィード並とはいかないまでも、まともな飯は食いたい」


マズイ飯で何日も過ごすとか、正直勘弁願いたい。

飯がマズイ国でありませんように!!


「そうだな。そこに力を入れるか」

「いいですね。いい放浪理由にもなりそうです」

「美味い物目当てってことか?」

「ええ。冒険者の中にもいたでしょう? 美味い物目当てで旅先を決めている連中は」


確かに、そういう連中はいたし、理由も納得できる。

門兵に仕事を探しに王都へって言ったら怪しまれる。何故なら、何かしら飯の種、つまり傭兵としての仕事、戦いの臭いを嗅ぎ取って来たということになるからだ。

王都はその国で最も治安が良くなくてはいけないし、傭兵としての仕事はお偉いさんを守ることぐらいだ。呼び出されたならともかく、仕事を探すなら、戦場に行けばいいだけだから、それは絶対に怪しまれる。


「よし、その方針でいこう。美味い物目当てなら、怪しまれることもない。ついでに観光だな」

「それならいろいろ見て、聞いて回るのも不自然じゃないだろう」

「どこに情報が転がっているかわかりませんからね。観光という理由もいいですね。武具店にもいい職人を探してーとか言えますし」

「下手に目的を決めるとそれ以外で行動しにくくなるからな」

「ま、初めての国の王都だ。お上りさんに見えるだろうさ」

「ですね。あ、そうだ、美味い物目当てと観光目的で潜入するって、ユキに報告したほうがよくないですか?」

「そうだな。後々エクス王国で合流するかもしれないし、口裏を合わせる必要はあるんじゃないか?」

「だな。今から連絡するわ」


ということで、その場でコールで連絡を取って、どういうふうにエクス王国に潜入するかをユキに伝える。


「美味い物目当てと観光で潜入するから、ユキたちが来るときは、そういう方向で呼ばれたみたいな感じで頼む」

『おう、了解。しかし、まともな潜入方法考えたな。適当に酒屋にでも行って、暴れて、目をつけられてそのまま王城へ突入かなーと思ってたんだが。囮役は無理かー』

「おいこら。なんかものすごい言葉が聞こえたぞ。まさか、俺たちに潜入方法や情報収集の方針をほぼ任せたのは……」

『お前ら、というかモーブが勢いにでものって、王城を攻め立てたら、いろいろおろそかになるじゃん? その間に一気に内部調査とかやっちゃおうかなーって。相手も人に準じたものだろうし、監視をしている以上、気をそらされることをされたら全体を見るのは難しいだろ?』

「……陽動かよ」

『そうだよ。こういうのは意図してやるのと、ただやるのは違うからな。わかる奴は分かるだろ?』

「まあな。何か狙っているやつは、全体を冷静に見てることが多いしな」


冒険者ギルドの長とか、盗賊の頭とかはそんな感じだ。


『ま、その手を使わないなら使わないでいいんだよ。俺から頼むことでもないしな。3人の危険もちょっとはあると思うし』

「俺たちの心配はちょっとかよ」

『ちょっとだよ。俺たちとは違って無名だからな。モーブたちに今から監視がついてたらなら、相手の監視体制はものすごいってこともわかるしな。監視範囲に入った時点で動きがあるだろうさ。ああ、レベルの隠蔽を見破れるって前提だけどな』

「入る時点で既に囮ってことかよ」

『おう。その反応で相手の技術レベルがわかるからな。地表までダンジョン化しているのか、地下までなのか、監視体制は俺みたいな空中映像なのか、コメットみたいな水鏡なのかとかな』

「お前の頭の中身はどうなってんだか」

『いや、普通だ。俺と同じダンジョンマスターなら、それを予想してやりそうなことを潰して回る。それだけだ』


聞いているだけではさも当然のことのように聞こえるが、お前が言う当然や普通は、明後日の方向だからな。

ま、フォローもばっちりなようだし、深く考えるのはやめておこう……。


『あ、奴隷を引き取るってのは忘れるなよ。これはちゃんとこなしてほしいことだからな』

「情報のためだもんな」

『ああ。だが、お前をいじるためでもある』

「それはやめろって!?」


くそ、奴隷をそっちの方向で見られるのは変わらないか……。

何としても、無難な奴隷を選ぼう。

俺はそう心に固く誓った。



へい!!

ついに次話で奴隷かも!!

皆の妄想を集めていろいろさせてもらうぜ!!


さて、次に重要な話があります。

4月29日に同人即売会 福岡の国際センターである「大⑨州東方祭」に参加すると言っております。

で、〆切は14日。

現在俺の原稿20000文字中5000文字。

つまり、編集とかもあって5日ぐらいには原稿は書き上げないといけないという状況。

とうことで、必勝ダンジョンの更新が少し日にちずれる可能性あり。


ああ、当日必勝ダンジョンの本持ってくるならサインぐらいはするよ。

メインは東方だから、俺から必勝ダンジョンの本を持ってくることはしないけどね。


ではでは


モーブは無事にいじられない奴隷を手に入れられるのか!!!

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