落とし穴60堀:新しい物への心構え
新しい物への心構え
Side:ユキ
世の中、人には譲れないものというのが存在する。
傍から見れば、他人には理解されない。
だが、確かにそこには揺るぎなき決意があり、それを命題としている人も沢山いる。
なぜあなたは山に登るのか?
そこに山があるからだ。
ま、これは誤用ではあるが、ある意味、人には理解されず、しかし、確かに譲れないものが存在するというのが分かる言葉だ。
簡単に言うのであれば「趣味」だが、されど「趣味」である。
世界には、努力の方向音痴や、才能の無駄使いという、言い得て妙な言葉も沢山存在する。
くだらないことなのだが、その才能は称賛して余りある。と、評価される言葉だ。
だが、そもそも、人はくだらない方向に力を入れた時にこそ、飛躍をするのだ。
地球の技術の原点いや、知性ある生き物の原点は、好奇心だ。
いや、知性ある生き物の原点だ。
それが、今の技術につながっているのだ。
木の枝を持って、振り回すか、燃やすか、家を建てるか。
そんな発想だ。
好奇心、想像とは、あらゆるものにつながる始まりである。
「というわけで、俺たちが今からするのは、お遊びではない!!新しき人類の一歩である!!」
「おー!!」
俺の演説に答えてくれるのは、タイキ君。
そして、その横で首を傾げているのはタイゾウさんだったりする。
「……あー、ユキ君の話は分かったが。これから山にでも登りにいくのかい?見た感じ、
そんな準備はしていないようだが? 山を舐めていると死ぬぞ?」
「あ、いやいや。山は登りませんよ。今日はこれです」
タイキ君はそう言って、テレビの前に並べられてる、物体を指さす。
「なんだいそれは? なにやら機械の塊のようだが、ビデオか?」
流石は、伝説の技術者の一員だ。察しがいい。
「これは、PG4といいます」
「ぴーじーふぉー? ふぉーは四のことだな?」
「はい。Pはプレイ、Gはゲームといって、それを略してPG4です」
「えーと遊びをする4? 4号機ということかな?」
「はい」
「ということは、これで何か遊べるわけか」
本当に察しがいい。
色々説明が省ける。
「そうです。コンピューターゲームといって、遊ぶために組まれたプログラムを機械で動作させて、テレビに映像を流し込み、このコントローラーで操作して遊ぶことを目的としたものです」
「ほお。未来にはそんなものもあるのだな。しかし、なぜまた今日なんだ? 今は忙しいし、後日でもよかったのでは?」
そう。
ただPG4を遊ぶだけならいつでもいい。
わざわざ忙しいときに遊ぶ理由もない。
だが、本日は理由があるのだ。
「これです。タイゾウさん」
俺はそう言って、3つのあるものを手渡す。
「これは……君たちが言った、ゲームのデータだね。これをあの機械に読み込ませることで、この遊びが……」
そう言いかけて、タイゾウさんが止まる。
彼はある一つのソフトに目が釘付けになっている。
その名も「第六天魔王の野望 戦国立志伝説」かの有名なゲームの新作である。
「こ、このゲームの内容を詳しく教えてもらえるかな?」
「わかりました」
「とりあえず、座りましょう」
普通ならタイゾウさんをこんなゲーム遊びに呼んだりはしない。
しかし、今回はタイゾウさんに興味を持ってもらえそうなゲームも出るので一応来てもらったのだがドンピシャのようだ。
ふっ、だれもが、あの時代を駆け抜けたいと思うものさ。
とりえず、ちゃぶ台をだして、お茶を注いで、煎餅を出して準備を万全にする。
「さて、焦る気持ちも分かりますが、とりあえず、なぜ、今日なのかという質問に答えましょう。タイキ君、頼む」
「はい。タイゾウさん。俺たちが日本の品物を取り寄せることができるのは知っていますよね?」
「あ、ああ。これもその品なんだろう?」
「ええ。ですが、まだ発売していない物は取り寄せられません」
「それはそうだな……。ちょっとまて、君たちがここまで楽しみにしていた所をみるに……」
「はい。今日出たばかりの最新作です」
「……なるほど。だから今日なのか。流行り物には興味がなかったが、これは違うな。私も分かるぞ。戦国武将と肩をならべたいと何度思ったことか!! 見ろこの広告を、己の分身を作って、大名に仕え、天下統一を成せとある!! これは、我が島津が天下を取ることも可能なのだろう!?」
「はい。その通りです。ま、大体、裏の説明を見てわかったとおもいますが、そうやって戦略を立てて、敵を倒していくわけです」
「ふふふ、今孔明になれということだな!! さあ、やり方を教えてくれ!!」
今ここにきて、タイゾウさんと俺たちの気持ちは1つになった。
ま、残念なのは、あと二つのソフトの説明ができなかったことか。
まあ、日本のRPGの大金字塔のスピンオフとか言われてもさっぱりだろうし、絶望と絶望のファンタジーも操作が慣れないときついから、最初から野望だと思っていた。
あ、因みに、ダーク3はセラリアが大層楽しみにしていたので、既に渡して引き籠っている。
そして案の定、引き籠っている。あれは数日出てこないと思う。
他の嫁さんたちも、ゲームという概念が今までなかったのか、新鮮なので、ゲームでお休みということに文句はでない。
というか、セラリアほどではないにしろ、みんな新作ゲームを楽しんでいる。
……くくく、異世界万歳!!
有給が堂々と取れるって素晴らしぃ!!
日本にいたころは、適当な理由をつけて、有給とってたからな。
ほら、親戚のおじさんが亡くなったとか、何回忌とか、だれが入院したとか。
それでも、限度があるじゃん?
だから、泣く泣く、優先順位を決めて、有給を割り振るんだ。
上から睨まれるしな。
あと、ゲームは害悪だって風潮があるから、非常にやりづらい。
何言ってんだか、一大市場なのにさ。
あれを作るのにどれだけの労力がかかるとおもっているんだ!!
それを満喫するために休んで何が悪い!!
ゲームとはいまや、地球の技術の最先端。
もうすぐVRとかも出るみたいだし、よだれがたまらんですたい!!
いや、もう異世界だけどさ。
やってみたいのよ!!
いいか、ゲームであって遊びではないのだよ!!
それが偉い人にはわからんのですよ!!
趣味の為に働いているんだよ。こっちは!!
とまあ、こういうことで、本日ゲームのため、休みなのだ。
タイゾウさんに楽しんでもらおうというのもあるし、俺たちだけ楽しむのは気が引けたというやつだ。
これぐらいの贅沢は構わないだろう。
今まで頑張ったんだし、駄目神は文句言わないからOK。
「おおっ、すごく綺麗な映像だ。しかもこれは写真ではないな。作ったものだな?」
「はい。3DCGってやつです」
「うん。よくわからんが、こういうものをわざわざ作ってゲームを作るのだな。すごいものだな。映画顔負けだな」
タイゾウさんの言う通り、映画顔負けのゲームは多数存在する。
この野望もネットではよくプレイ動画を上げていて、面白いのも多数存在する。
「これがタイトル画面だな。で、このボタンを押すと……。ふむ、いろいろ項目があるな。これはいったん練習をするべきか」
「それがいいですね。それをやればある程度、このゲームのルールがわかると思いますよ」
ふう、タイゾウさんはチュートリアルや説明書をちゃんと確認するタイプらしい。
説明書を読まないで聞いてくるという面倒なタイプではなさそうだ。
悪いとは言わないが、ほかのゲームをしている連中を巻き込むことが多いので、説明書とかを読まないタイプは苦手だ。というか、邪魔だ。
「ふむふむ……。日本を上空から眺めたような感じではあるが、ちゃんと地形も……、で……なるほど……」
よし、タイゾウさんは放っておいていいだろう。
さて、俺たちもゲームに取り掛かるか。
「で、ユキさんは今日はどれをするんですか?」
「それは非常に難しい問題だ。本日は3つのビックタイトルが出ている」
「ええ。難しい問題です」
「しかし、幸いに、横でリアルタイムでプレイしてくれる人がいるから、一個除外になる」
「ですね。内容は見れますから、それを参考に後で効率よくですね。なら、のこりは二つ」
ダーク3かドラク○か。
……よし決めた。
「タイキ君。嫌でなければダーク3をやってくれ」
「いいですけど。なんでですか?」
「ダーク3は据え置き機だ。しかし、ドラク○は携帯ゲーム機。俺は呼び出される可能性が一番高いからな」
「なるほど……。わかりました!! あ、でもダーク3ってMAPとか敵ネタバレになりません?」
「あ、俺そういうの気にしない。タイキ君がやられるのをみてサクサク進めさせてもらうわ」
「そういうタイプですか。なら遠慮なくー」
2人でゴソゴソとソフトを取り出して、お互いにゲームを起動する。
無論、長期戦に備えて、飲食料をちゃんと用意してある。
我らに死角なし!!
そして、俺たちは時間を忘れてゲームをしていた。
これがいいんだよ。
時間を忘れるほど、夢中になれることってそんなにないだろう?
でも、俺たちにはあるんだ。
「旦那様。久々の娯楽中ではありますが、流石に晩御飯も抜きは認められませんのでお越しください」
あれ? キルエが少し怒ってる。珍しい。
というか、もうそんな時間か、流石に子供たちや嫁さんと団欒する時間を消費してまでゲームする気はない。
で、腰を上げると、もう一人、この部屋を訪れる。
「タイキ様もです。晩御飯は食べに戻ってくるって言ったじゃないですか」
アイリさんだ。
ああ、タイキ君も同じような約束してたのか。
まあ、王様が晩御飯をすっぽかしはまずいだろう。
「あ、ごめん。ちょうどいいから休憩するか」
タイミングいいというか、ちょうどボスを倒して一息ついたところだ。
これが、やられてたら、あと一回という、エンドレストライになるんだよな。
さて、タイゾウさんだけ残ることになるかな?
そう思って、声をかけようとしたのだが……。
「タイゾウ殿。もう、晩御飯の用意ができていますよ?」
「ん? ああ、ヒフィー殿、これは申し訳ない。えーと、セーブと……。よし、今行きます」
仲良く2人で出ていくのを、俺たちは何と言っていいのかわからない感じで見送る。
「いや、意外でもないんだが……」
「自然すぎて微妙ですね」
「どうでしょう。きっとヒフィー様は苦労すると思います」
「私もそう思います」
……そういう男が鈍感とかいうのはノーコメント。
藪蛇になりそうだし。
さ、晩御飯を食べよう!!
新作ゲームは一日15時間ぐらいだよな。
ひゃっはー発売日だー!!
さて、俺の現在の状況。
ダークソウル3 序盤のチュートリアルステージのボスを倒して、かぼたんのところへ。
戦国立志伝 織田信長に仕えて、ALL100ステで様子見。 というか今川うぜー。
DQMJ3 いま墓場の島。名前忘れた。
とりあえず、やっぱり一日48時間にしてくれ、あ、仕事の時間は伸ばさないでな。




