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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸 暗躍する影編

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落とし穴56堀:甘い日

甘い日





side:ユキ




さてさて、今年もこの日がやってまいりました。

まあ、幸いなのは、この行事がウィードに浸透していないというところか。

おかげで、憎きお菓子会社の陰謀による、犠牲者は多くないのだ。


……そう。多くはないが、犠牲者は確かに存在する。


その日の日付を地球では2月14日、イベント、行事の名をバレンタインデーという。

日本ではおなじみといえる、この悪しき行事だが、元々のバレンタインデーはこのような行事ではない。

大元のバレンタインデーの起源は諸説あるが、日本以外では、義理チョコ、友達にという風習はないどころか、別にチョコでなくてもよい。

花だったり、ケーキだったりするが、それは本当に相手への気持ちを込める一品物であるのだ。

というか、バレンタインデーに限らずそういうことをするので、基本的にバレンタインデーだからという、特別意識は存在しない。

この事実からわかるように、意図的にチョコを渡すイメージを植え付け、義理チョコや友チョコといった、わけのわからないものを押し付けて儲けようとした製菓会社の陰謀であるのは明々白々である。


しかし、このように現代日本社会におけるバレンタインデー文化として、確立しているのにも関わらず、起源、普及過程、社会的機能、歴史的意義などについては、民俗学、社会学、宗教学、歴史学、各分野から研究されるべき事項であるが、バレンタインデーに関するまとまった研究は存在しない。

つまり、そんなことは必要ないと、お勉強もできる方々も判断しているのだ。

ただの金儲けの戦略であるとはっきりしているから。


だが、確かに社会的機能に被害を及ぼしているのは、日本に住むのであれば、誰もが知っている。

いや、バレンタインデーに限ったことではなく、そういう特定の恋人同士を狙ったイベントは、独身の者に対し、鋭い刃となり、社会的孤立を実感させる凶器となりうる事を、皆々様方はご存じだろう。

子供の日などのように、誰もが微笑むことができるイベントではなく、こんな日に一人なんて……とささやかれるひどい日である。


以上の話から、異世界アロウリトにてバレンタインデーはおろか、チョコという食べ物さえ、ごく一部の街でしか売られていないので、こういう問題は関係ないかと思っていたのだが……。

やはり、そこは日本の常識として生まれ育ってきた俺にとってはブラックデイ。

忘れようにも忘れられないし、地球の知識を少しでも取り入れて、ウィードを良くしていこうという、嫁さんたちにより、忌まわしきイベントがごく一部であるがウィードに芽吹きつつあるのだ。



「というわけで、スティーブ。チョコいるか?」

「いらねーっす!! あん? 話を聞いていれば、自分も被害者側とかいう風っすけど、今じゃ向こう側でしょ!! 大将は!!」

「そういうな。今回のチョコは本命というよりも、どうすれば一般に受け入れやすいか? という実験の意味合いが強い。いうなれば、味見役だ、味見役」


そう、去年、雑誌を読んでいて偶然発見したバレンタインデーでチョコクッキーを作ったわけだが、今年はほかの物にチャレンジをして、来年ぐらいには、クリスマス、年末年始に次ぐイベントを立ち上げようとしているわけだ。

主にラッツが。

あのにっくき日本の歪んだ風習による販売戦略をいたく感心して取り入れようとしているのだ。

まあ、本人曰く……。


『甘いものを口に入れられるという日。そういうのはいいと思います。ウィード以外は、まだまだ、甘い物というのは高価すぎますし、一般の人はそうそう手に入れられません。しかし、このバレンタインデーが、甘い物を子供たちに食べさせるいい理由になります。ウィードで広まれば、ほかの国もこぞって真似するでしょうからね』


そんなふうに、子供たちのためにというラッツに文句を言えるわけがなかった。


「で、こんなけなげな嫁さんの願いを踏みにじるわけだ。スティーブは……」

「建前は聞いたっす。本音は?」

「まだまだ、ウィードの行事として提案するには至っていないから、試食役が身内しかいない」

「なるほど。だから人じゃないおいらが呼ばれたわけっすね。しかし、提案するには至らないってどういうことっすか? ほかの行事はポンポンやってたじゃないっすか」

「需要と供給、そして国家間のバランスを考えないといけない」

「なんかバレンタインデーごときで、変な言葉が出てたっすね」

「あほ。よく考えろ。今までの行事はあくまでも、ウィード内を目的としたものだ。だが、今回は国外に最初から広めるのが目的だ。しかも高価な甘い物をメインに置いたイベント。外の甘い物、はちみつや砂糖の供給率との兼ね合いがあるし、砂糖を主流としている国は貿易でさらなる増収が見込めるように見えるが、どう考えてもすぐに生産が追いつくわけはない。だからと言って、ウィードでポンとDPで砂糖を出して、各国に安値で供給すればどうなる?」

「そりゃ……。砂糖で儲けを出しているところは大損害っすね」

「そういうわけだ。無論チョコの原料のカカオとか、手に入るかすら不明だしな。万が一、バレンタインデーの商品をチョコに絞れば、ウィードに注文が集まり、丸儲けの状態になる。そうなると……」

「うん。それは方々から恨みを買うのはわかるっす」

「だから、各国でも生産ができて、供給競争がないような物を作ろうとしているわけだ。ということで、山ほどお菓子をいろいろ作っているというわけ。ホレ」


ドサドサッ。


「多いっすね!?」

「だからお前を呼んだんだよ。いい加減、どれ食ってもよく分からなくなってきたからな」

「そりゃ、こんだけ菓子をくってりゃそうなるっすよ」

「で、箱についてる番号をみて、こっちの資料に感想な。まあ、1から5段階の評価だ。甘さと美味しさだな」

「めんどくさ!?」

「面倒だが、一応、今後この大陸中で流行らせる予定の物だからな。半端なものは出せないだろう?」

「こういうのは、実験堂とかでやったほうがよくないっすか?」


スティーブはそういいながら、クッキーを口に放り込む。

なんだかんだで、手伝ってくれるからいい奴なんだよな。

そう、いい奴なんだ……。

いい奴は、最後までいい人で終わる……かも?

と、いかんいかん。


「実験堂はレシピを販売するって場所だからな。ちょっと趣旨が違うし、下手に次のイベントを考えているとばれると、面倒になる」

「なーるほど。実際、まだ、やるかやらないかわかってないっすからね。それで表に出すのはまずいっすか」

「そういうことだ。まずは第一関門の俺たちを突破しないといけない」


そう話して、俺もスティーブが食べているクッキーに手を伸ばし、口に入れる。


サクサク……。


もう、ただの小麦粉固めた食い物としか思えねー。


「しかし、甘さがないっすね。ただバター焼きしただけに感じるっす」

「そりゃな。砂糖は高級品だからな。バンバン入れるわけにはいかねえ」

「世知辛いっすね。でも、別に甘ければなんでもいいんでしょ?」

「ん? 確かにな」


甘い物といえば砂糖ってイメージが固定してた。

スティーブの言う通り、甘い物なら他にもいろいろある。


「まあ、ほかに甘い物って果物ぐらいっすからね。それをお菓子にっていうのはちがうっすよねー」

「……果物?」

「どうしたっすか大将? 別に不味くはないっすよ? こいつら。まあ、甘さは控えめっすけどね」


スティーブはそういって、味を確かめて律儀に資料に感想を書き込んでいる。

だが、俺はさっきの言葉に引っ掛かりを覚えていた。

果物……。

たしかに、スティーブの言うように果物だって生ものだし、砂糖とは違って持ち運びはできない。

だけど、果物は干したりするし、ウィードの貿易区のおかげで流通がそれなりにある。

つまり、砂糖よりは安価であり、大抵の国でいろいろな果実がある。

だが、これをそのままではバレンタインデーというより収穫祭だ。

これをどうすれば、お菓子にできるのか……。


「しかし、こう甘い物ばかりだと、総菜パンとか食べたくなるっすよね。あ、知ってるっすか? ウィードのパン屋で美味いミートパイがあるんっすよ」

「それだ!!」

「はい?」

「パイだ!! アップルパイとかあるだろう!! あれは、お菓子に分類してもいいはずだ。それでいて国々でいろいろな果物の流通はあるから、どこかに偏ることもない!! 果物の自然な甘みを使ってお菓子にできる!!」

「ああ、なるほど。それはいい案だとおもうっすよ」

「よし。これは全部スティーブにやる!! 今から伝えてくる!!」

「え? いや、こんなに食えないっすよ」

「アルフィンたちとかに分けろ。お菓子作りすぎたってことで通るだろう」

「ああ、了解」


そんなふうにスティーブとの話を終えた俺は、駆け足で家に戻って、甘い香りの中、お菓子作りをしている皆にこの案を告げる。



「ほほう。なるほどなるほど。それならいけますね。流石はお兄さん。バターなら家畜の牛から作っていますし、必要な材料も各国で取り揃えられますね」


ラッツは感心して頷く。

幸い、バターの歴史は古く。

地球でも最古の文献では古代ギリシアから確認でき、紀元前から存在している。

ということで、こっちの世界にもバターは存在していた。

またフルーツも砂糖漬けなんて本末転倒ではなく、天日干しだから問題ない。

まあレーズンパンみたいなものかね?


「そうですね。ですが、各国の主要の果物の把握からやらないといけませんね」

「シェーラの言う通りですね。貿易区の流通品の資料を取り寄せましょう」


そういって早速準備をするシェーラとエリス。


「どれがパイに合う果物とか楽しみだよね。早くトーリ作ってよ」

「こら、リエルも作るんだよ」

「……私は食べるほうで」


そんな風にリエル、トーリ、カヤも乗り気だ。

うんうん。

いい結果を生んだな。

スティーブも役に立つじゃないか。

いや、いつも役に立ってるよ?


「と、なら作ったお菓子はどうするの?」


ふいにラビリスがそんなことを言う。


「「「あ」」」


嫁さんたちもどうするか考えてなかったみたいだ。


「予定がないなら、明日学校の子供たちに配っていいか? きっと喜ぶとおもうから」

「そうだね。みんな喜ぶよ!!」

「泣いて喜ぶのです!!」


アスリンとフィーリアも賛成と。



そんな感じで俺たちは14日を迎えて、学校はその日、お菓子であふれかえって、甘い日となったわけだ。

……換気してくれ、さすがに甘い香りで気持ち悪い。




はい、ブラックデイまであと1日。

あてがあるリア充は逆立ちしてピーナッツを鼻で食べてください。

あ、家族からもらうのはノーカウントね。

彼女とかいる、幸せの絶頂の人のむ。

家族はまあ、いろいろと大変だから。


さて、この場を借りてお礼をば。

いや、特に何かあるわけじゃないよ。

ただ単に、いつもいつも修正してくれる人や、感想くれる人、返信できなくてごめんね。

この場を借りて、お詫びと、感謝の言葉を述べます。

ありがとう!!


で、ちゃんとオチがありまして、2月18日無事に艦これ改がでれば、活動日記はブログみたいに扱ってOKってことなので、艦これ改日記を書こうと思います。

ネタとしてはとっても自分の都合よく進めそうだからね。

ブラウザ版は課金しないとサクサクはいけないから、VITAは便利だよね!!


あ、あと、俺たちは自由にやる!! も本日更新します。

いやー、大変だわ。

趣味もほどほどにって感じやな。

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