第255堀:奥様は本の森の魔女、そして答え。
とりあえず、真面目な話とパンツの話です。
変態とか、ハスハスとかいうなよ。
真面目な話もあるから。
奥様は本の森の魔女、そして答え。
Side:ユキ
ペラっと、本をめくる音だけが室内に響く。
いかに彼女が真剣に本を読んでいるか伺えるだろう。
「あのー、クリーナさんでいいでしょうか?」
声をかけて本を読むのを中断させるのは忍びないが、こちらも情報収集をしないといけないので、声をかける。
「クリーナで間違いない。何か用?」
本から目を離さず即座に切り返してくる。
「お話がしたいので、とりあえず、向かいのソファーに座っていいですか?」
「ここは私の部屋ではない。自由にしていいと思う」
とりあえず、許可?はもらえたので、4人でソファーに座る。
すると、座るのを見計らっていたのか、座ったとたんに、本を読みながら彼女は質問をしてくる。
「で、何の用?」
「いえ、特にこれといったお話があるわけではないのですが……。雑談みたいなものですね、いいでしょうか?」
「……構わない。でも、真剣な話ではないみたいだから、本を読みながら聞く。いい?」
「いいですよ」
……単語返しが中心で、ほとんど表情が動かないし、本好き。
定番のキャラクターだなおい。
「えーと、まずは自己紹介ですね」
「ジルバからの編入生。ユキ、タイキ、リーア、アイリ」
……やりづれぇー。
「ははっ、ご存知でしたか」
「あの日、あの決闘場で紹介されたから。あの日決闘場にいたなら誰だって覚えている」
「ああ、あの時見ていたんですね」
「ん、肯定」
「なら、自己紹介の必要がなさそうなので、少し聞きたいことがあるんですが……」
「情報の交換は対等でなければならない。よって、そちらの質問に答えた後、私も質問をしたい。いい?」
……どうにかしろよ。
この無表情の本の虫!!
すっげーつらい。つらいよ、リアルでこんなタイプと話すなんてそうそうないからな。
はたから見ているのは、楽しいだろうが、俺は未知との接触だよ。ファーストコンタクト。
エオイド君すげーよ。これと友好関係もてるとか。
「自分たちで答えられる範囲なら……」
「ん、それで構わない。言いたくないこともあると理解している。そちらの質問も場合によっては答えられないことがあると、理解してほしい」
「はい、大丈夫です」
とりあえず、さっさと質問して、答えて、離脱しよう。
この場所にいるだけで、精神的にきついわ。
最初から読書の邪魔してるし、彼女が無表情だから、機嫌がいいのか悪いのかさっぱりわからん。
「で、質問。聞きたいこととは?」
「……この部屋は他の教師や生徒はご存知なのですか?」
「否定。この部屋を知っているのは学長、副学長、私、エオイド、アマンダぐらい。これは私が知っているだけであって、あなたたちのように独自に見つけている可能性もある。でも、私は基本ここで本を読んでいるから、私が知らない相手がいるとは思えない」
「なるほど、知る人ぞ知るってわけですか」
「肯定。秘密の部屋。本を読むのにちょうどいい場所。図書室の出入り口は騒がしい」
……学業頑張っている生徒たちを騒がしいってすげーな。
ということは、俺たちはどう考えても、彼女にとっては不快な存在というわけだ。
とりあえず、謝罪しておこう。
何かあれば、エオイド君経由で彼女をフォローして機嫌を取るべきだな。
「あ、それはすみません。読書の邪魔をしてしまって」
「いい。エオイドに続いて、自力でこの場所を見つけられたあなたたちには、私は興味がある」
「エオイド君はここを自力で?」
「肯定。と言っても、彼は偶然。あなたたちみたいに、この部屋があると確信して、動かすことを前提に探していたわけではない」
あの、分厚い本の壁と、ドア越しに俺たちが色々やっていたのを知っていたのか?
どうやってだ?
「学府の隠し部屋探し、とても興味がある」
……いや、これって普通に向こう側の音が抜けていたのか?
「あのー、もしかして、話し声がこっちに漏れてましたか?」
「ん、肯定。漏れていたというより、私しかいないから、本をめくる音以外存在しない。そこで、ドアと本の壁を挟んでいようが、ごそごそやっていれば音は聞こえる」
「……それはお騒がせして申し訳ないです」
「構わない。おかげで、楽しいことを見つけられそう。あなたたちが話していた通り、この部屋みたいに、隠し部屋が存在する。この学府は幾度もの増改築でデッドポイントが沢山存在する。でも、それが全部発見できたわけではないと思う。そして、そのデッドポイントに何か宝があっても不思議ではない」
「あ、はい。自分たちもそう思っていまして」
「ん、私の質問というのはそこ。私がそちらに同行しても問題ないか? 無論、私が知りうる限りの学府の情報提供は行う。宝を見つけた場合は、その時に決めよう」
「はぁ、こっちとしては嬉しい限りです」
突拍子もないが、クリーナはこちらに興味を持ってくれたようだ。
彼女がいれば、知られている、知られていない隠し部屋の存在を見分けられる。
これはかなりありがたい話だ。
動機も、まあ、それなりに信用できる。
「ん、これからよろしく」
それでようやく、彼女は本から目を離して、俺の顔を見てくれる。
赤髪ってそういえば、嫁さんの中にはいないな。
瞳も綺麗なルビーだ。
「エオイドから聞いた通り、面白い人」
「あ、エオイド君からも俺たちの話は聞いているんですね。で、面白いって、なにか変でしたか?」
「ん、どっちも肯定。彼の実力を上げるために協力していることと、あなたたち本人も学長に勝ったエリスと同様のレベルらしいということを聞いている」
なるほどなー。
ま、隠してもないし、彼女の言う通り、学長に勝つような存在のメンバーだから面白くはあるな。
「そして、後半の面白いという言葉は、エオイドではなく、私個人の意見」
「どういうことですか?」
「私から見てもあなたはとっても面白い人。私を見て簡単に話かける人はそうそういない。エオイドですら、こっちの様子を見ながらだった」
「いや、自分たちも様子見しながらでしたけど」
「ん、肯定。でも、何か違った。見知らぬ何かに対する視線ではなく。何か珍しいものを見たという好機の視線を感じた。ユキと、隣のタイキから」
ギクッ。
気まずさから、タイキ君に視線を向けると、向こうもこちらを見ている。
空笑いをしているから、向こうも図星か。
仕方ないよね。この手のヒロインはお約束だけど、実際見るなんて機会ないから。
「私は学府でナンバー3。畏怖や敬意、敵意の視線、感情はよくあるけど、あなたたちみたいなのは初めて。あと、リーアとアイリもよければ仲良くしてほしい。情けない話だけど、本ばかり読んでいて、女友達がいない。というか、実力の関係で怖がられる」
「あ、はい。いいですよ。クリーナさんよろしくお願いしますね」
「はい、今日からお友達ですね」
リーアとアイリはそうクリーナから言われて、すぐに席を立ち、彼女の両側に立って、彼女の両手を持ち上げ握手をする。
「いや、1人ずつ握手しろよ」
そんなに急いで彼女の両手をつぶして握手をする必要はないだろ……。
彼女が読んでいた本はテーブルで横になって閉じてしまっている。
あーあー、読んでたページ探すの手間だろうに。
「ん、問題ない。……とても嬉しい」
彼女にとっては、そんなことをされたのは初めてだったのか、無表情だった顔が少し赤みを帯びてわずかに微笑んでいる。
「きゃー、可愛いですよ!!」
「本当です!!」
「……私は可愛くないと思う。本ばかり読んでるし、人と仲良くなれる性格でもない。あと、その、女性として魅力のある体型でもない」
彼女自身も、自分の性格や体型に難があるのは理解しているのか、2人からの褒め言葉を素直に受け入れられないでいる。
でも、そんなことは2人には些細なことである。
リーアは村が壊滅して、自分自身が壊れて、それでも周りの人に助けられてここまできた。
アイリさんも相手がだれであろうと、宿屋の看板娘としての誇りをもって振る舞ってきた。
「関係ありませんよ。私たちとちゃんと話してるじゃないですか」
「ええ、これから仲良くしましょう」
「うん、感謝。ありがとう。とても嬉しい。アマンダとうまくいかなかったから、凄く怖かった……」
「へ? アマンダさんとうまくいかなかった?」
「結構気のいい人だと思いますけど……」
俺も彼女の話で不思議に思った。
アマンダさんはエオイド絡みでは暴走するが、それ以外は普通の女性だ。
というか、姉御肌というか、結構クラスでも人気はあるんじゃないか?
「何があったか教えてもらえますか? 何かアドバイスできるかもしれません」
「そうですね。知り合いが喧嘩をしているのは心苦しいです」
「「友達の私たちを頼ってください」」
「ん、ありがとう。でも、言葉で説明するのは難しい。よって、実演をしたい。いい?」
「うん、それが一番いいかもしれませんね」
「ですね。言葉だけじゃなく、当時の状況を再現するのは間違っていないとおもいます」
気が付けば、本の森の魔女と俺たちの女性2人の相談コーナーになっている。
……まあ、急ぐ話でもないけど、俺たち置いてけぼりだな。
タイキ君と顔を見合わせて、とりあえず、傍観に徹する。
こういう女性だけの話は、男が入ると邪魔にしかならないのが世の常だ。
そんな理由で、クリーナがアマンダと揉めた話を自ら再現してくれてる。
話と実演を聞いていると、今のところ問題はない。
エオイド君に友達が欲しいと話して、エオイド君が幼馴染のアマンダさんを連れてきた。
そして、クリーナも先ほどと同じようにぶっきらぼうというか、無表情で話を進める。
アマンダさんは1人でよく耐えたな。
暖簾を押しているような、通じているのか、通じていないのかわからない相手に。
まあ、エオイド君の紹介の手前、無下にもできなかったんだろうが。
「今のところ問題はありませんね」
「ええ、何が原因でしょう?」
「ん、たぶんここからが問題だと思う。アマンダと多少話せて、仮初だけど友達と言ってくれた。だから、嬉しくて、エオイドにお礼をした」
そして、クリーナはこちらに歩いてくる。
ああ、俺たちがエオイド君の役か。
クリーナが問題だと思っているんだ、これからのことに何かあったんだろう。
あれか? エオイドのラッキースケベが発動して、クリーナを丸裸にしたとか?
彼女はローブみたいなのを着込んでいるだけだし、一枚脱がせれば下着姿だろう。
普通はできる芸当ではないが、エオイド君ならやってのけるだろう。
いや、それだとアマンダさんがクリーナと揉める理由はないな。
エオイド君に仕置きして、土下座させるだろうし。
俺がそうやって、原因を考えていると、目の前のクリーナから何かを渡される。
「はい、お礼」
「あ、ども」
咄嗟にそれを受け取る。
なんか温かいな?
「ちょ、ユキさんうらやましいっす!! とてもうらやましいっす!! 美少女の脱ぎたてパンツもらうとか!!」
「は?」
俺はタイキ君の言葉を信じられないが、確かめるようにその温かい布を広げる。
……見事に赤く染色された綺麗な下着だった。
いや、さすがにウィードの既製品には及ばないけど。
「ってうぉい!?」
言葉だけで体は反応できない。
一応、お礼として渡された下着だし、演技だし!!
マジでどうすればいいんだ!?
というか、タイキ君の話からすれば今脱いだのか!?
「いーな!! いーな!! 嗅いでみたい!! ハスハス!!」
よし、ならタイキ君にくれてやろうじゃないか。
俺がこのある意味呪いのアイテムを持つ苦痛を味うとい……い?
しかしタイキ君に、脱ぎたてパンツを渡すことは叶わなかった。
「タイキ様、そんなに脱ぎたてが欲しければ、中身付きで私がお相手しますよ」
そう感情の動きない言葉を口から吐き、アイリは貼り付けたような笑顔で言っていた。
「え、あ、ちょっとまって。あれは、お約束。そう、お約束!! というか、側室の話関連じゃない、これ?」
「何を言っているんですか。中身のない脱ぎたての下着を欲するなんて、ただの変態です。あれでクリーナさんを迎え入れるようなことをしていれば別でしたが」
「いや、変態な行動は認めるけど、ネタだから、お約束だから!! 言わないといけなかったんだ!!」
「なら、今後そのような行動は無いように、私が教えて差し上げます。すみませんみなさん。ちょっとタイキ様に中身ありきの良さを教えないといけませんので、失礼します」
アイリはそういって、タイキ君を引きずって部屋を出ていく。
助けてー、と最後まで言って、消えていった戦友に俺はサメの映画を思い出した。
「ん、エオイドとアマンダも同じ反応をした。何が原因かわかる?」
え、わからんのか!?
というか、この下着どうすりゃいいの!?
ねえ、俺に非がなく下着を手放す方法だれか教えて!!
……俺も、お約束をしてしまいそうだ。
「なるほど。わかりました」
「本当?」
いや、リーアさん。俺のことを助けて?
「まず聞きたいのですが、なぜ脱ぎたての下着をエオイドさんに渡したんですか?」
「それは、この部屋に入るための夜の営みという本に、未経験の男性は女性の脱ぎたての下着が一番嬉しいと書いてあった」
ど、どうていをバカにしやがって!!
でも、当たっているから、何も言えん。
いや、美少女の下着に限るけどね。
「ふむ、クリーナはエオイドと添い遂げたいんですか?」
「……添い遂げるとは結婚すること?」
「はい、結婚して子供を作り、共に老いていく。彼と一生いたいという気持ちがありますか?」
「……よくわからない」
「なら、それが原因ですね」
「どういうこと?」
「クリーナ、いいですか? 脱ぎたての下着を渡すということは、ある意味、自分を抱いてほしいという意思表示になります。抱くというのは、無論子供を作るということです。つまり結婚しようということ。わかりますね?」
「……なるほど。確かにそういう意味になる。理解した」
「あまり人付き合いがないところが災いしましたね。で、それをアマンダさんの目の前でやるのが問題でした。いえ、クリーナがエオイドさんと本気で添い遂げたいなら問題はなかったのですが、その気持ちはなく、お礼として脱ぎたての下着をエオイドさんに渡したんですね?」
「肯定」
「ですが、エオイドさんが大好きなアマンダさんには、お礼には見えなかった。エオイドさんを取られると思ったのでしょう」
……ああ、そういうことか。
まあ、出会いがしらでそういう行為をされたら、略奪愛するぜ。って言ってるようなもんだ。
「なるほど……。アマンダにはとても悪いことをした」
「まあ、誤解ですから、私たちから説明しておきます。今度会うときはちゃんと謝って、話せば仲良くなれますよ」
「ん、ありがとう。アマンダに謝る。でも、不思議な点がある。一夫多妻は普通。なんでアマンダは取られると思った? 2人で分ければいいと思う」
「あー、それは生活に余裕がある人だけです。そして、一夫多妻を受け入れられる人が前提です。普通の一般人は一夫一妻で、エオイドさんも普通の家庭の生まれです。ですから……」
「なるほど理解した。そういうことなら、アマンダは確かにエオイドを取られる恐怖が湧くはず」
ふう、これで一息ついたな。
まず、俺の手の中にある危険物をクリーナに返そう。
リーアも誤解していないし、理解ある嫁でたすかったわ。
さて、……どうやって下着をそれとなく返せばいいのだ?
……どういう選択を選んでも俺が変態という汚名は避けられそうにないんだが。
だって、現在クリーナの脱ぎたて握りしめて、がん見して悩んでるし!?
「というわけで、今後、お礼として脱ぎたての下着を渡すのはだめですよ」
「うん、理解した。ほかのものにする」
「まあ、そのほかのものも後で教えましょう」
「助かる。リーアは一番の友達」
「そういわれると嬉しいです」
「でも、少し悲しい」
「なぜですか?」
「一夫一妻が普通なら、リーアともアマンダとも、いつか別れることになる。一夫多妻が普通ならいつも一緒にいられるのに」
……彼女にとっては初めての友達だからな。
いつか、別れが来るという現実は少しつらいかもしれない。
「ああ、それなら私は問題ありませんよ。あとはクリーナが気に入るかどうかですね」
ん? なんか話の流れがおかしくない?
「どういうこと?」
「私は既に結婚しています。そして、友達から離れる寂しさもよくわかります。だから多少ではありますが、提案ができます。私の夫は一夫多妻を地で行く人でして、かなり甲斐性もあります。というか、世界で一番といって過言ではありません」
「つまり、リーアの夫と結婚すれば、リーアと離れ離れにならなくてすむ?」
「はい、その通りです」
「……少し悩む」
いや、悩むなよ。断れよ。
リーアも魔術と知識以外は純朴美少女になに吹き込んでやがる!?
「ふむ。ならこの情報もお教えしましょう。エリスさんも同じ夫と結婚しています。というか、私たちのジルバメンバーのほとんどはその人の妻です」
「それはつまり、学長を倒したエリスとも仲良くなれる?」
「はい。というか、ほかの皆も全員、クリーナを受けいれてくれます。友達もできますし、妻仲間ですね」
「……それは魅力的」
いや、魅力的じゃないからね!!
もっと自分の身を大事にしよう。詐欺に引っかかるよ!!
「……でも、姿も見たこともない相手と結婚するのは怖い。リーアがそこまで言うから悪い人ではないと思うけど」
ですよね。ですよね!!
よし、そのまま断るんだ!!
「あ、エリスさんの夫のことは知らないんですね」
「うん、肯定。決闘の時、エリスが結婚していたというのは聞いたが、相手は誰か知らない」
「そこで、今、クリーナさんの下着を握っている人が、私たちの夫、ユキさんです」
「え!?」
そういわれて、即座にこちらを向くクリーナ。
……何を言えばいいんだ?
とりあえず、下着を返そう。
「あの、下着返します」
そういって、下着を差し出す俺。
……どっからどう見ても変質者です。
「返さなくていい」
「へ?」
「リーア、決めた。私はユキと結婚する。これでいつも一緒」
「……クリーナ、気持ちは嬉しいですけど、私と一緒にいるためにだけに、ユキさんと結婚することは許しませんよ?」
「ん、理解している。流石に私もリーアといたいだけで、好きでもない男と結婚したりはしない。ユキとは会ったばかりだけど、絶対悪い人ではないとわかる。そして、友達のリーアがここまで褒めている。だから、ユキは、きっと私と、私の子供を幸せにしてくれる人だと思う」
「素晴らしいです!! 慧眼ですねクリーナ!! さあ、ほかの皆に顔合わせに行きましょう!! 反対されるとは思いませんが、顔合わせもなくユキさんと結婚は色々問題があるでしょうから」
「ん、誠心誠意、ユキの妻たちにお願いする。……けど、リーアを頼りにしている」
「まっかせてください!!」
そんな会話をして飛び出していくリーアとクリーナ。
おーい、俺の護衛はどうするんだよ。
と、思っていたが、すぐにリエルが入れ違いで入ってくる。
「やっほー、ユキさん。リーアが急用で代わってって言われたからきたよー。ってなにパンツ持ってるの?」
「あ、いや、これは……」
もらいましたって言って信じてもらえるか?
俺がそう考えているのを見て、リエルはズボンに手をやり……。
「んー、僕のもいる?」
「いや、いらないから。とりあえず、洗濯物を預けられて、当の本人たちは飛び出したって感じだ」
「あー、なるほど」
ナイスだ俺!!
すげーぜ、リエルは納得してくれた。
そうだ、下着を握っていただけで変態扱いとか、漫画の世界だけだもんな。
……いや、婚約パンツなんだけど。
「で、この下着ってどう扱ったらいいと思う?」
「見た感じ、洗濯物を置く場所もないし、リーアたちもすぐに戻ってくると思うから、手に持ってたら? テーブルとかに洗いたてを置かれてもアレだし」
「……わかった。で、リエル、ここら辺の本を調べるから、手伝ってくれ」
「えー、こ、こんなに本あるよ?」
「リーアの代わりだろ。頼む」
「うー、わかったよ。ユキさんの頼みだもんね!!」
そしてリーアがクリーナの紹介をしている間に、俺とリエルはとんでもないものを発見することになる。
「ユキさん、これって新大陸の昔の地図みたいだよ?」
そう、地図。
凡そ400年前の、前任者と聖剣使いと魔王の争いがあった時の地図。
「みたいだな。大国の位置はほとんど変わりはないな」
「だねー。エナーリアがもうちょっと違う位置だけど、エナーリアは建国したって聞いたから、この位置の国は滅びたのかな?」
「多分な。それでスィーアが率いて国を作ったんだろ……う」
頭の中で何かが引っかかる。
今見ている地図の精度は無いに等しい、とりあえずの位置を書いているようなものだ。
でも、この荒い地図に何かを感じている。
「地図自体は適当だけど、私たちが作った地図と位置関係はほとんど同じだね」
「ああ、位置関係が間違っていたら地図ですらな……い!?」
「どうしたのユキさん?」
リエルがそう声をかけてくるが、返事をしている余裕はなかった。
気がついた、まさかこんな可能性があるとか……。
俺は無詠唱が基本だから、気が付くのが遅れたんだろう。
ちょっとまて、この体制から400年、いやそれ以上か?
いや、問題は前任者がいなくなってダンジョンの機能が停止してからだから、400年が正しいか?
まてまて、俺だけで判断するのは非常にまずい。
この地図が正確であるという確証もない。
ないが、これが事実だとすればかなり不味い。
「ユキさん!!」
「あ、リエル。すまんちょっと考え事してた」
「……無理しちゃいやだよ?」
「ああ、わかってる。と、みんなで話したいことができた。今日の夜、集まって話すよ。でもちょっと今は資料がたりない。ほかの地図がないか、調べてくれるか?」
「わかった」
リエルは俺の真剣な顔つきをみて、可愛い顔を真剣にして調べ物を再開する。
「……ここだけの情報じゃ心もとない。この新大陸の知識が豊富な人でも仲間にいれば……」
自分でそう呟いて、思い出す。
今しがた、そんな知識人を嫁に迎え入れるって騒いでた。
「運がいいのか、悪いのか。彼女の知識はあてにできそうだ」
そう言って、右手に握りしめている、彼女から貰ったパンツを眺める。
……真面目な時なのに、台無しな気がするのはなんでだろう?
さあ、ユキが地図を見みて、引っかかったこととは?
クリーナをエオイドから気が付かない内に奪い取ってしまうのか!!
どっちも、ある程度予想がつくと思うけどね!!
次回の答えを待て!!




