第251堀:フラグは乱立し水も滴る
水で濡れる。
お約束だね、期待するべし。
フラグは乱立し水も滴る
Side:ユキ
俺はそのメンバーに不安を隠せなかった。
いや、悪意はない。
だが、それを見れば誰だってそう思うはずだ。
だからこそ、彼女の純真さを知っている人ほど不安になるだろう。
「あ、お兄ちゃんだ!!」
「兄様発見なのです!!」
ここまではいい。
だが、この後の2人とあるものが問題だった。
「……あ、ユキ」
1人は無論ロリ巨乳のラビリス。
「……ユキさん」
そしてもう1人はウサミミ幼女で王女様なシェーラ。
だが、この2人の顔色は優れない。
いや、具合が悪そうなという意味ではなく、すごく困っているような顔なのだ。
で、その2人が困っている原因はアスリンが抱えているモノが原因だ。
「ばうっ」
そのモノも俺の姿を見て一吠えする。
「あ、ユキさん。すごいですねアスリンちゃん」
俺が嬉しそうなアスリンと、そのモノを見て非常に複雑な気持ちでいると、アマンダさんが俺を見つけて駆け寄ってくる。
「え? えーと、何がですか? というか、なんでアマンダさんがアスリンたちと一緒なんですか?」
とりあえず、俺は状況を把握するために、出てきたアマンダさんと会話を試みる。
なんとかして、アスリンが抱えるアレをどうにかしないといけない。
「あ、ごめんなさい。えーと、今日1階生の前で魔物退治の実演することになったんですよ。で、私とサマンサがアスリンちゃんたちのグループでやることになったんです」
「ああ、そんなことをトーリたちから聞きましたね」
「はい、トーリさんたちもすごかったですから。これなら何があっても1階生は守れます。アスリンちゃんたちのことも心配しないで任せてください!!」
そら、守れるどころか、トーリたち単独戦力でもぶっとんでるし、アマンダさんが守ろうとしてるアスリンたちもトーリたちと同等なんだけどね。
「そうですか、ではアスリンたちをよろしくお願いします。いうことを聞かなければビシッと叱っていいんで」
「はい、わかりました。っていってもいい子ですし、そんなことはないと思うんですけどね」
「で、アスリンの何がすごいんでしょうか?」
とりあえず、さっさとアマンダさんとの会話を切り上げて、アスリンを攫ってお話して、手の中に抱えるアレをなんとかしないといけない。
「あ、そうなんですよ!! アスリンちゃん、魔術の才能だけじゃないく、私と同じテイマーの才能があるみたいなんです」
いや、テイマーの才能があるどころか、アマンダさんより上だからね。
アスリン1人で千単位の魔物を動かせるからね。
というか、ウィードのロリコン魔物共は俺よりアスリンに絶対忠誠誓ってるからな。
俺がそんなことを心の中で思っていると、アマンダさんが指笛を吹くと、アスリンが抱えているアレと同じ魔物が学園から出てくる。
「この子はブラックウルフっていう狼の魔物なんですけど、アスリンちゃんが持ってる子はブラックウルフの子供なんです。魔物は人になつかないですし、ブラックウルフは特に凶暴で、私も子供の頃にこの子を拾ったんですが、仲良くなるまで時間がかかりました。あわや処分されそうになった時もあったんですが、それがきっかけで、この子と仲良くって話がずれましたね。それだけ、テイムするのが難しい魔物をすでにアスリンちゃんは仲良くしてるんです。これはすごい才能ですよ!!」
アマンダさんが興奮してはなしている。
その姿をみて、ラビリスとシェーラが困った顔をしている理由がわかった。
「私のこの子に怖がらずに撫でたりして、驚いてたんですけど、アスリンちゃんも小さいながらブラックウルフをテイムしてるんですから納得ですね」
「えへへー、お兄ちゃん、クロちゃんのこと褒めてもらったよー」
「ばうっ」
アスリンは善意でクロちゃんこと、ブラック・フェンリル・ロードを呼び出したのだ。
この、クロちゃんだが、アスリンの側近十魔獣の1匹。
つーか、アスリン的にはペット。
でも、フェンリルってどっかの神喰い狼様の名前が付いているから、ブラックウルフなんて目じゃないほどの魔物です。
レベル的には250前後なんで、聖剣使いたちは敵じゃないし、デュラハンのピース・ガードワールドですら子供同然。
というか、ピースはアスリンのペット10匹には絶対逆らわない。
この新大陸で暴れさせたら戦力的に、1匹で1国を軽く落とせると思う。
普段はクロちゃんを含め、ペット全員は基本的に、ウィードで警護をやっている。
主に学校での子供の遊び相手。つか、皆のペット。
今、子犬の姿ではあるが、本当の姿は大型トラックぐらいのサイズがあるクソデカい狼だ。
で、分かるとおもうが、ウィードで呼んだ魔物は馬鹿ではない。
全て、言葉を理解でき、上位の魔物であれば会話も可能だ。
この、クロちゃんが「ばうっ」だけの可愛い子犬ではないと言う事だ。
「アスリン、クロちゃんを借りていい?」
「うん、いいよ」
差し出されたクロちゃんを、受け取り、アマンダさんとアスリンたちに背を向ける。
「で、クロ。なんでこっちにきやがった」
「無論、我が姫の望みだからだマスターよ。あと、我が姫からいただいた名前を略しては困る。いくらマスターであれども許容できぬ。ちゃんとクロちゃんと呼んでほしい」
渋い声で返事が返ってくる。
ギャップ萌えどころじゃなくて、怖いわ。
あと、ちゃんは絶対名前じゃないからな、敬称で間違ってアスリンがつけただけだと思うよ。
「へいへい、クロちゃん。で、なんで呼ばれてこれからどうするつもりだ?」
「姫を守る。それ以外あるまい? 普段は姉妹が守りについていて、我らの出番がない。しかし、今回は我が指名で呼ばれたのだ。いつも世話になっているぶん、姫に絶対の忠義を尽くすのは問題であるわけがない」
「あそ。で、なぜおまえを呼ぶ切っ掛けになったであろう、アマンダさんのブラックウルフが、尻尾をさげたまま、全力で怖がっているんだろうな?」
「それは無論私が脅したからだ。私が呼び出された切っ掛けであるが故、生かしている。本来であれば既に殺されていても文句は言えんことをしたのだ。それを考えれば、感謝していいぐらいの待遇だ」
「は? あのイヌコロがなにかしたのか?」
「我らが姫に、牙を突き立てていた。姫はじゃれていると思っていたのだろうが、あのイヌコロの表情を見ればわかる。牙を突き立てて、どっちが上か下かわからせようとしていたのだ。まったく、あのイヌコロの主である、あの小娘の程度も知れるわ」
あー、なるほど。
まあ、アスリンのドッペル自体もレベルはクソ高いからな、噛みついたのはいいけど、全然動じないし、格上の子犬もどきは呼び出すし、アマンダさんのブラックウルフはああなるしかなかったわけか。
「経緯はわかった。で、これからのことは理解しているか?」
「無論、あのイヌコロと同じにしないでほしい。姫とフィーリア様、シェーラ様、ラビリス様の護衛をしつつ、おままごとに付き合えばよいのだろうマスターよ」
「……おままごとってな、まあ似たようなもんか。だけどな、護衛対象は一緒に行く全員に広げとけ」
「なぜだ? それではあの小娘や、魔術師の小娘も出番がなくなるが?」
「アホ。誰が、かわりにお前が実演しろと言った?一応、一時的とはいえ、このメンバーもウィードの学校と同じ、アスリンのたちの学友だ。怪我なんかすると、アスリンたちが悲しむ」
「……理解した。だが、小娘たちの手におえないのがでれば我が動く」
「まあ、その時はしかたない。アスリンたちが全力を出すわけにもいかないからな」
「うむ。姫たちの全力と言えば、我ら十魔獣も全力で動くことが含まれるからな。このような脆い学府は軽く吹き飛ぶ」
「そこら辺はちゃんと調整しろよ。この新大陸は色々未調査なことが多いんだからな」
「そこは理解している。マスターに迷惑はかけん」
「ならよし」
そんな話をして、クロちゃんはアスリンに返したが、いくらなんでも心もとないので……。
「2人とも頼む。エリスたちは3階生ってことだから、1階生には割り込みにくい」
「わかってるわ。あの2人と1匹は任せて」
「はい。アスリンもフィーリアもクロちゃんもちゃんと監視していますから、安心してください」
ラビリスとシェーラの返事の方が、クロちゃんよりよっぽど安心できるわ。
そのあとは軽く雑談をして、とエリスやトーリたちにこの学府一帯は魔力がなぜか集まっている旨を伝えて、授業の邪魔にならない程度に調べておいてくれと言って別れた。
「しかし、変な話ですよね。なんでこの一帯だけ魔物が多いんですかね?」
「さあな、でもそれが分かれば色々進むかもしれない」
現在は魔物退治の実技、実践中で学府が管理する魔物の森へ足を踏み入れている。
タイキ君とのんびり話しながらではあるが、しっかり周りには気を配っている。
エオイド君がいる手前、堂々とコール関連の機能を使うわけにはいかないのだ。
俺は、リリカルミラクルな魔術に頼りっぱなしだからな、これが封殺された時を想定した、いい訓練になるだろう。
「リーア、タイキ君、周りはどうだ? 俺としては特に気配は感じないんだけど」
「私も周りに魔物がいるとは思えません」
「俺も同じくですね」
勇者2人がそういうならほぼ問題ないだろう。
事前調査でも、ワイバーンが山奥深くにいるぐらいだし。
でもこの調査結果には驚きだ。
オークですら珍しいこの大陸でワイバーンが存在している地域があるとか。
一体何が原因なんだ?
魔力の濃度が関係あるんだろうが、空気中の魔力濃度を測る方法なんて確立してないしな。
人や魔物が魔術を発動させる時の動きはわかるんだが、うーん、スカウ○ーみたいなのないかな。鑑定かけて、いちいち確認するのもめんどいだよ。
「み、皆、余裕ですね。……傭兵ってこんなこともよくあるんですか?」
一番後ろをついてくるエオイド君がそう声をかけてくる。
「傭兵だからってわけでもないと思うぞ」
「そうなんですか?」
「普通に森で採取や狩猟とかする人は、ゴブリンとか野生の動物とかに気を付けないといけないからな」
「ああー」
「で、エオイド君は、今まで何回か、この森に入ったことがあるんじゃないのか?」
「はい、これで7回目ですね」
「だったらなんで、そんなに引き気味なんだ? 慣れたもんだろ、俺たちよりは確実に」
そう、エオイド君はこの森に入ってから、なぜかびくびくしている。
緊張しているというのとは違う、完全に腰が引けているのだ。
「すみません」
「いや、謝られることじゃないが、なんでそんな状態なのか理由を教えてくれ。何か俺たちに不備でもあったか?」
「いえ、ユキさんたちは何も悪くありません。どっちかというと自分の問題ですね」
「エオイド君本人の?」
「……はい。そうですね、黙っててあとで問題が起きてもアレですし、ここで少し休みながら話してもいいですか? 周りに魔物とかはいないんですよね?」
「ああ、俺は感じないけど、どうだ2人とも?」
「さっきと変わりません。いないと思います」
「だね。リーアさんと同じ」
「よし。なら休憩しながら、エオイド君の話でも聞こう」
まさか、ヒロインがいないと力が発揮できないとか、変な縛りがあったりしないよな?
「ユキさん、これって、あのアマンダちゃんがいないと力が使えないとか、そういうお約束じゃないですかね?」
こそっと耳打ちしてくるタイキ君、やっぱ俺と同じ思考だよな。
でも、俺たちオタク2人が同じ回答にたどり着くとか、……いやな予感がするわ。
で、水を飲んで一息ついたあと、エオイド君が申し訳なさそうに、口を開く。
「えーっと、その、僕がなんでびくびくしてたかというと……、僕は魔術が使えないんです」
「「「は?」」」
って、そうか、エオイド君は魔力操作があるだけで、わかりやすい属性魔術を習得してないんだっけ?
でも、魔力自体を武器にできるから問題なくね?
「僕は魔術を使えないですが、盗むことはできるんです」
「「「盗む?」」」
どういうこっちゃ?
スキルハント、テイカー、ラーニング関連は持ってないぞ。
タイキ君やリーアは俺の顔をみて、目で盗む系もっているの? って聞いてくるが、ないので首を横にふる。
「なんと言ったらいいのか……。あ、だれか魔術を使ってもらえますか? 炎だとありがたいです」
「ん、ああ。それぐらいなら」
俺は承諾して、軽い火の玉、ファイアーボール小を作り出す。
「す、すごいですね。さすが、学長を倒したエリスさんの旦那さんですね。無詠唱を普通にやってのけるなんて」
いや、嫁さんたち全員どころか、そこのタイキ君だってこのレベルの無詠唱はいけるぞ。
というか、嫁さんたちやタイキ君は基本的に戦士タイプだからな。
……あれ、今思えば、なんか嫁さんたちって近接戦ばっかりの職業多くね?
後衛の嫁さんってルルアとエリスぐらいじゃね?
なにこの脳筋パーティー、回復役の専門に至っては、俺とルルアしかいないし。
と、そこは置いといて、この出した火の玉をどうやって盗むんだ?
「で、これをエオイド君はどうするんだ?」
「あ、すみません。お借りしますね」
そういうと、彼は魔術の制御をあっさり奪って、自分の手元に火の玉を寄せる。
「ああ、そういうことか」
「はい、僕は誰かが使用して発現させた魔術を奪うことしかできないんです。普段はアマンダと組んでやるんで問題はなかったんですが……、ほかの人と組んで、この技を使うとすごく嫌な顔されるんですよ。おかげで、因縁つけられて、決闘騒ぎになったりして大変だったんですよ」
なるほど。というか、定番すぎるな。
「俺は、その才能はすごいと思うけど、ほかの学生はそう思わなかったわけだ」
「あ、ありがとうございます。そういってくれたのは、アマンダとクリーナと学長ぐらいです」
誰だ、クリーナって、もうフラグ立ててるのか?
やっぱエオイドは主人公だわこれ。
「剣で戦えないことはないんですけど、それじゃ評価にならなくて、魔術も使えないのについていくだけだし、アマンダにはいい機会だからって、ユキさんたちの魔物退治に参加したんです」
エオイドはそういって、俺から盗んだファイアーボールを木に投げつけ、四散させる。
あ、よかったー。火の粉レベルの魔術で、普段のレベルだと、この森貫通するまで消えないファイアーボールだったよ。
山火事ってレベルじゃねーよなきっと。
別の意味で冷や汗をかきつつ、申し訳なさそうにするエオイド君に声をかける。
「なるほどな。俺は特に気にしないから、一緒に魔物退治しようとおもうけど、2人はどうだ?」
「私は全然かまいませんよ」
「俺も異議なし。というか、ちょうどいいから、これを機に魔術覚えたらどうだエオイド?」
「え、そんな簡単に覚えられたら苦労しないよタイキ。これまでだって、僕なりにいろいろやってきたけど駄目だったんだ」
まあ、そりゃそうだろうな。
簡単に覚えられるなら、ここで俺たちに申し訳なさそうにしてるわけないもんな。
だが、それは独学だからだ。
「心配するな。ちゃんと俺が教えてやるから。俺も魔力操作つかえるし」
「え?」
「不思議そうな顔するなって、エオイドだけの特殊スキルってわけでもないから、まあ、どう使うかってのは、わからない人は多いけどな。ユキさん、ファイアーボールさっきみたいに出してもらえる?」
「ほい」
俺が、タイキ君のリクエストに応えてファイアーボールをだすと、すぐに制御を奪って見せる。
それを見たエオイド君は大いに驚いている。
「ほ、本当にできた……」
「いや、普通はできない。いや、ユキさんの魔術を奪うのは無理だ。この人何重にもプロテクトかけてるからな」
「プロテクト? でも、さっきのは簡単に制御を奪えたよ?」
「そりゃ、威力が低くてどうでもいいレベルだからな。誤爆するとひどい威力のものは制御式が個人個人で独特になるから、よほど相性が良くないと制御が奪えないぞ。覚えはないか?」
タイキ君がそういうと、エオイド君は少し考え込む。
で、答えが出たのか、はっとした顔になる。
「確か、因縁つけられた時の決闘相手なんだけど、その相手のウィンドストームを奪うのは難しかった。3回撃たれて最後の1回を何とか制御を奪って、なんとか勝ったんだ」
「……その程度ならどうにでも奪えると思うけどな」
「え?」
こっちを見るな、こっちを。
「いや、何でもない。ということで、俺が教えてやれるってのはわかったか?」
「ああ、どうか教えてくれ。彼女たちに迷惑をかけなくない。彼女たちに胸を張れる男になりたいんだ!!」
「「おおー、イケメーン」」
俺とタイキ君の言葉が重なる。
いや、仕方がない。
こんな恥ずかしいセリフをさらっと言える奴はそうはいない。
さすが主人公だ。
「じゃ、その胸を張れる男になるために、さっそく練習するか」
「今からできるのかい!?」
「ああできるぞ、ほれ、俺のウォーターボールの制御奪ってみろ」
「……タイキも無詠唱なんだね」
「いちいち凹むな、どうせこの中じゃ一番ど素人なんだからな。さっさと制御奪え」
「ひどい。……とっ、これでいい?」
「よし、その状態を魔物退治が終わるまで維持しろ」
「は? そんなの無理だよ、人から奪った魔術は長い時間維持できないんだよ。せいぜい5分だ」
「いや、お前の目の前にユキさんからファイアーボールの制御を奪ったやつがいるだろ。もう10分は経ってるぞ?」
「あ」
「まあ、維持できない理由は、その属性の魔術を習得していないから、何をどうすれば維持できるか知らないからだな。ほれウォーターボールの形が小さくなってるぞ。維持しろ」
「い、いや、維持ってどうすればいいんだよ!?」
「いや、魔力注いで足りない分を補充してやれよ」
「水の魔術を使えないんだって!!」
「落ち着け、制御を奪っているってことは水の魔術が使えているってことだ。エオイドの場合は、制御を奪って、その魔術を隔離しているのが問題なんだよ。そのまま、自分の魔力とつなげればいい。魔力制御でそうやって隔離する方が難しいことだからな、普通」
タイキ君のいうことは本当なんだが、エオイドの場合、盗人とか言われたから、魔術を触らずに隔離する。
つまり、魔術隔離を作り出すことを先に習得してしまったんだろうな。
因みに、これを練習して、昇華すれば魔術を使えなくする地帯を作り出せる。
とまあ、言うは易く行うは難しってことで、エオイド君はあっさり水球を四散させる。
原因は魔力供給が止まって、形を維持できなくなってしまった。
「ま、最初から上手くいくとは思ってない。さあ、できるまでずっとやる。今度は大きいウォーターボールな。維持できなければ、エオイド、お前はずぶ濡れになる」
「ええ!?」
「楽をして、何かを覚えられるとは思わないことだ。行くぞ!!」
「ちょ、ちょっとタイム!!」
「問答無用!!」
そして、俺には全然うれしくない、イケメン主人公の濡れ場が始まったわけだ。
まあ、まじめに濡れるほうだがな。
寒くはないけど、水を浴びて、服を乾かさず歩き回るのは、体力消耗するし、寒いだろうな。
頑張れ、エオイド、君は主人公だ!!
これは、あれだ、修行パート!!
「ユキさん」
「どうしたリーア?」
「ぬ、濡れてみません?」
「え、嫌。なんでだ?」
「ゆ、ユキさんが濡れて歩き回るとか、カッコいいと思うんです!!」
「……仕事じゃない時にやってあげるから、浮かべているでかい水球しまって?」
リーアは希望を言いつつ、上にはエオイド君にしている訓練とは比較にならない大きさの水球を浮かべている。
頬を上気させているから、下手に断ると、俺もエオイドと同じ目にあう。
「本当ですか?」
「本当、本当。だから、それぽいってしようね」
「……わかりました。ユキさんに嫌われたら軽く死ねますし、自重します。えいっ」
そういって、リーアはでかい水球を遠くに投げ捨てる。
ずざざざっ、バギッ、ドーン、ギャース!!
え、なにあの水量。
木が倒れたような音がして、最後にへんな声が聞こえた気が……。
音が聞こえた方向の空を眺めていると、その変な声の主が姿を現す。
「あ、ワイバーンにあたったのね」
「あー、ごめんなさい」
災難やったなワイバーン。
命があるだけましと思え。
そう思って、空中を旋回しているワイバーンを眺めていると、どこからか、叫び声が聞こえる。
で、その声に反応したワイバーンが声の方向へ、咆哮を上げながら下降して行く。
「ど、どうしましょう!?」
「リーア、今後はちゃんと被害のない解除をしような」
「……ごめんなさい」
リーアはしょぼんとしている。
さて、自分たちが蒔いた種だし、被害が出る前にどうにかしないとな。
さっさと、タイキ君とエオイドに事情を説明して助けに行こうと思ったのだが……。
「ユキさん、今ワイバーンが!!」
「ああ、見た」
エオイドが焦った表情でこちらに駆け寄ってくる。
決して、俺たちが原因だとはいえない。
「さ、叫び声にアマンダとサマンサの声も聞こえました!! お願いします!! 力を貸してください!!」
「「「え」」」
そのエオイドの言葉に追いついてきたタイキ君と合わせて俺たちは固まる。
「エリスさんたちもいますから、なんとか持ちこたえているはずです!! 普通なら逃げるべきなんでしょうけど、俺はアマンダやサマンサを見捨てて逃げたくないんです!! お願いします!!」
だが、俺たちは返事を返さず、ワイバーンの声と、叫び声が聞こえる方向へ走り出す。
「あ、ありがとうございます!!」
その行動を救援と思ったエオイドは嬉しそうにお礼をいって追いかけてくる。
が、俺たちはそんなところではなかった。
ワイバーンがどんな性格かしらんが、エリスたちが負けるわけがない。
しかし、今回のメンバーには魔物大好きアスリンがいるのだ、そして、アスリンを姫と忠義をささげるバカもいる。
「ウォォォーーーン!!」
「「「あ」」」
特大の狼の吠え声が聞こえて、手遅れだと思いつつも足を走らせる俺たちであった。
くそー、今回のイベントは俺たちが原因かよ!!
おら、喜べよ。
主人公の濡れ場と、ワイバーンのずぶ濡れだ。
さて、なんか日にち開けると文字数が通常4000文字ぐらいが、8000文字になっている今日この頃。
長いと思う方はごめんなさい。
さて、250掘で話した、妄想ウィザードリィ自由系ですが、活動報告で詳細をまとめてみました。
感想で、この話に返事してくれる人がいましたので、そっちで色々妄想を膨らませようぜ!!
では次回。




