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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸編 魔剣と聖剣

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第232掘:茶話と懸け橋の子

茶話と懸け橋の子




side:トーリ



会議のあと、特に問題もなく、ジルバとエナーリアの使者同士が共に停戦を希望して。あっさり、会談と停戦の承諾と講和条約の締結をする為に、私たち傭兵団にエナーリアまでのミフィー王女の護衛の命令がきた。

予想通りすぎて逆に注意してくれってユキさんは言って、準備を済ませて、すぐに出立することになった。

早いことエナーリアに行けるのはありがたいしね。

エージルさんが話したあの内容も心配だし。


「「「いってきまーす!!」」」

「「「いってらっしゃーい!!」」


と言っても私たちは今回お留守番だけどね。


「あーあー、僕もついて行きたかったなー」

「……リエル、私たちが行っても足を引っ張るだけ」

「そりゃ、わかってるよ。今回は力尽くってわけにはいかないしね」

「亜人の私たちが行けば反発とか生むからね。変装したラッツにエリスは大丈夫かな?」

「あの2人は大丈夫だよ。で、ユキさんについていきたいけど、調べものをするのは僕苦手だし、ついていかなくて正解かな?」

「もう、リエルってば」

「ふふふ、それにユキさんに街を頼むって言われてるしね。僕たちがここをしっかり守れば、きっと人と亜人が仲良くなれる切っ掛けになるよ」

「……そうね、リエルの言う通り。亜人の村の分からず屋どもにも、モーブさんたちが行ってるし、徐々に仲良くなればいい」

「そうだね。私たちが頑張って、ウィードみたいにいろんな種族が一緒に楽しく暮らせる場所にしようね」

「だね。僕はこういう仕事のほうがあってるよ。がんばってユキさんに褒めてもらうぞー」


リエルがそう言うと、一緒にいたアスリンとフィーリアも声が聞こえたのか……。


「リエルお姉ちゃん、私も頑張ります!!」

「リエル姉様、私も頑張るのです!!」

「うんうん、一緒に頑張ろうねー」


そう言ってリエルは2人を抱き上げる。


「きゃー、お姉ちゃん、お兄ちゃんみたい」

「姉様、このまま見回りなのです」

「よーし、行こうか!!」

「あ、こら、2人を攫っちゃだめよ!!」

「あ、待ってください」


リエルが2人を抱えたまま走り出すと、それをラビリスとシェーラが追いかけていく。

もう、リエルは相変わらずだなー。


「……相変わらず元気ね、リエルは」

「うん、でも、こんな風に自由になれるとは思ってなかった。奴隷になった時も、村にいた時も、いつもリエルが引っ張って行ってくれたんだ」

「へぇ。……そういえば、トーリとリエルって一緒に冒険者やってたっていってたね」

「そうだよ。私とリエルは一緒に色々やってきたんだ。色々やりすぎて、奴隷になったときはどうしようって思ったけどね」

「……それは私も」


少し間が空く。


「……そういえば、私の話はしたけど、トーリとリエルの話は聞いたことが無い」

「あれ、そうだっけ? なら、時間もあるし、お茶でもしながら聞く?」

「そうね、とりあえず、リエルたちと一緒に聞きましょう。みんなも興味あるだろうし、また話すのは面倒よね」

「あー、そうだね。それならどうせ移動だけで暇な、エナーリア組もコールで話そうか?」

「うん、それはいい考え。ついでに皆にユキのどこに惚れたとか聞くのも面白いかも」

「いいね。って、私はユキさんの全部が好きなんだけどなー」

「もうちょっと、具体的にって言わないと、皆全部好きっていいそう」

「うーん、難しいね。まあ、皆に連絡しよう」


そういう事で、どうせ今は暇だから、皆でお茶でも飲みながら、お話することになりました。


『ちょうどよかったわ。いい加減馬車の移動で退屈だったのよ』

『そうですね。私たちはミフィー王女さまとは別の馬車ですし、丁度よかったですよ』

「あれ、お兄ちゃんは?」

『そのミフィー王女と一緒の馬車ですよ。建前上、王族の一員ですからね』

『ある意味都合がいいですね。旦那様のどこに惚れたとか、本人の前で言えませんよ』

『なんじゃ、ルルアは意外と乙女なのじゃな? 裸で土下座したとか聞いたがのう』

『きゃー、やめてください!! アレは、一時的な気の迷いですから、今は愛で一杯ですから!!』

『なにいってるんですか、いま思えば、美味しいプレイができたかもしれませんよ?』

『エ、エリスさんまで!?』

「あー、そうだね。むふふ……今度ユキさんに頼んでみよう」

「……リエルって結構変態だよね」

「あ、トーリに言われたくないなー。わんちゃんプレイが大好きなくせに」

「だ、だめだから!! リエルなに言ってるの!!」

「ねえ、わんちゃんぷれいってなに?」

「どういうのですか?」


一緒にお茶を飲んでいる、アスリンやフィーリアが首をかしげている。

もう、この2人の前でなにをいってるのリエルはー。


「そうね、2人とも。ユキとピーをする方法の一種よ」

「こらー、ラビリス!!」


まったく、この2人にはまだ早いよ。

2人の耳を抑える。


ゴチンッ


「うにゅ、いたいです」

「ううっ、トーリ姉様、いきなりどうしたのです」

「あ、ごめんね」


咄嗟に2人の耳から手を放す。

2人は並んでいたので、2人の頭を両手で押し込んで、お互いの頭をぶつけてしまった。


「で、トーリさんとリエルさんの話だと伺いましたが?」

「あ、そうだった」


リエルはいつもこんな感じで脱線しちゃうよね。

ほんと、変わらないな。


『そういえば、2人が冒険者だったのは聞いたけど、細かいことは聞いたことはなかったわね。興味あるわ』

『時間もありますし、ゆっくり聞きますよ』


セラリアとエリスがそう促す。


「ほら、リエルどこから話そうか?」

「うーん、そうだねー。僕たちがどこから知り合ったのかってところからじゃないかな? どうせ時間はあるんだし」

「そうだね……私とリエルが初めて会ったのは、村の外れだったんだ」



私たちは同じ村に住んでいて、私は、その、村長の娘だった。

結構、箱入り娘で育てられてて、あんまり友達もいなかったんだ。

1人で家で勉強してるのも飽きて、こっそり外に出た時、リエルに会ったの。

もう、最初は驚いた。

だって、服も着ないで裸で魚を焼いて食べてたの。

それで、なにしているの?って聞いてたら、ご飯食べてるっていうんだ。

いや、見ての通りなんだけど、やっぱり昔からリエルはリエルだなって思う。

変な子だと思ったけど、話せば答えてくれるし、私にはいい友達だったんだ。

それがきっかけで、暇があればこっそり抜け出してはリエルに会いにいったんだ。

でも、ある日リエルの体に痣ができていて、不思議に思って聞いてみたんだ。


「ねえ、リエル。怪我してるよ、どうしたの?」

「あーうん。よくわかんない。大人がなぜか僕を殴るんだ。今日は上手く躱せなかったよ」

「え、そんな酷いよ」

「そうなの? 僕はいつもの事だから、普通のことだと思ったよ。なんか、この髪、白と黒が混ざってるのはうらぎりだって言ってたな」


リエルはそう言って、自分の黒い髪の部分を持ち上げる。

でも、それが何で裏切りになるのか私はよくわからなかった。


「ま、大丈夫だよ。それよりトーリの魚も取ってきたから食べなよ」

「あ、うん。ありがとう」


そう言って、渡された魚をはぐはぐ食べたけど、それでようやく気が付いたことがあったんだ。


「リエルはなんで、いつもここでお魚とか果物食べてるの? お家で食べないの?」

「んー、僕はお母さんが死んでから1人だしね。家も村長から追い出されて、川の傍の掘立小屋だし。ほらそこ」


リエルはそう言って指を指すと、そこにはただ雨風を辛うじて防げるぐらいのぼろな小屋がありました。

そして、リエルから私の祖父がそんなことをしたというのが分かってショックだった。


「あ、あのごめんなさい」

「なんでトーリが謝るのさ?」

「だって、私のおじいちゃんのせいで……リエルが」

「関係ないよ。トーリは私に優しいし、普通に話してくれる。お母さんが言ってたんだ。大事なのは話すことだって、それもしないのに家や噂だけでその人を怖がったり、拒絶したりしちゃダメだって。お母さんも会ったこともないお父さんも、最初はケンカばかりだったんだって、だけど話している内に相手のいい所が分かってきたって。そして、僕が生まれたんだって、だからさ、僕は我慢できる」

「……リエル」

「きっと、村の皆ともトーリみたいに仲良くなれる。だから、僕は我慢するよ。ケンカばかりじゃ前に進まないってお母さん言ってたもん」


その話を聞いて、おじいちゃんにリエルのことを聞いたんだけど、それが間違いだった。

おじいちゃんはリエルの話を聞くと、途端に怒り出して、リエルに近づくなっていうの。

そして、次の日、会いに行くと、顔を腫らしているリエルがいた。


「リエルどうしたの!?」

「あー、うん。村長さんが来てね、よくわからないけど、殴られちゃった。避けると村を追い出すって言われちゃって、お母さんのお墓もあるし、大人しく殴られたから、そこまで痛くないよ?」

「うそだよ。ごめんね、私がおじいちゃんにリエルの話をしたばっかりに」

「……トーリがいるから、僕は大丈夫だよ」


幼かった私も、おじいちゃんがなんでこんな酷いことをしたのか、それを知りたくなって、遠回しに村の皆に話を聞いて回ることにしたんだ。

それで、リエルが村八分にされている理由がわかった。

リエルは、私のお父さんの弟の子供で、おじいちゃんの反対を押し切って、リエルのお母さんと結婚した。

それで、おじいちゃんとリエルの家族には溝ができた。

更には、リエルのあの髪、本来ならどっちかの色、一色になるんだけど、それが混ざってるリエルは忌子なんて言われて嫌われていた。

リエルのお父さんが流行り病で死んで、リエルのお母さんとリエルだけになると風当たりが強くなって、村の人たちもおじいちゃんの圧力があって、助けてやれなかったらしい。

そして、リエルのお母さんが亡くなって、リエルをボロ小屋に追いやることに成功した。

……だけど、それから進展はしなかった。

リエルは頑なにお母さんの言葉を信じて、いつか仲良くなれると信じて耐えていたんだ。

なんとかして、村の皆にリエルを受け入れてもらうとしたんだけど、遅かったんだ……。

気が付いたら、リエルのお母さんのお墓は壊されていて、その夜に、リエルを殺すっていっておじいちゃんや、大人の人が集まっていた。

私はリエルのお母さんみたいに仲良くなれる日を待つ気にならなかった。

だって、このままじゃリエルが殺されちゃう。


「リエル!!」


私がそう言って、リエルの小屋を訪ねると……。


「ううっ、お母さん、おかあさん、いつまで我慢すればいいかな……。お母さんのお墓壊されて、僕、悲しいよ」


そうリエルのお母さんの小さな墓石を抱きしめて泣いていた。

その姿を見て決心がついた。


「リエル、逃げよう!!」

「え、トーリ? で、でも……」

「いいから!! こんな所で待つより自分たちで探しに行こう!!」


私は必死にそう言った。

こんな村にリエルがいる必要はない。

リエルを受け入れてくれる場所がきっとあるから。


「……うん。……お母さん、いつか、いつか戻ってくるからね」


リエルも私の必死さで自分の命が危ないってわかったんだと思う。

お母さんの墓石をそっと置いて、さっさと道具をまとめる。


「よし、じゃあ、僕についてきて。トーリは村の外にでたことないでしょ」

「あ、うん」

「じゃ、まずは街にでも行ってお仕事探そう。お金を溜めたら、そうだな……冒険者にでもなってお母さんが言った皆が仲良くなれる場所を探そう」

「うん、きっと見つかるよ」

「そうだね、トーリと一緒なら見つかる気がするよ」



「そして、無事に村を出て、街で必死に働いて、冒険者になって、ロシュールで戦争に巻き込まれて、ここに来た」

「うんうん、そんな感じだね。うわー、なんか恥ずかしいよ僕」


リエルは顔を抑えていやんいやんしてるけど、他の皆は真面目な顔して驚いている。


『いやリエル、すっごいハードでディープな話ですからね』


ラッツがそう言うと、他の皆が頷く。

うん、リエルはこうなんだよ。


『はい、リエルさんは今まで村の人に復讐とかを考えたことはないんですか?』


ルルアも驚いたように、リエルに聞く。


「それはないなー。だって、お母さんの言ってた通りだよ」


リエルは嬉しそうにそう言う。


『……それはどういうこと?』


セラリアは不思議そうにリエルにその意味を聞く。


「トーリと冒険して、奴隷とかになったりもしたけど、ウィードに来れた。警察に入って、問題は色々あるけど、皆仲良く暮らす為に、生きていくために頑張ってる。ね、お母さんの言った通りだよ。そして……」

「「「そして?」」」


リエルがとてもいい笑顔になって……。


「僕の髪を可愛いって言ってくれる、ユキさんに出会えたから。トーリも一緒に貰ってくれるいい男だしね。ね、トーリ?」

「うん、そうだね」


私がそう言うと、皆笑ってくれた。


『なるほど、夫がトーリとリエルに警察、そして亜人が差別されているジルバへ2人を連れて行った理由が分かったわ』


セラリアが嬉しそうに頷いている。


『2人は懸け橋なんですね』


ラッツがそう言う。


「うん、ユキさんもそう言ってたよ。きっと僕たちが新大陸で一番大事なことをするって、よくわからないけど」

『ま、リエルらしいわね』

「あ、僕は馬鹿じゃないよー、ちゃんとわからないことは聞くってユキさんに褒められてるんだから!!」

「リエルお姉ちゃんはすごいよ!!」

「凄いのです!!」


凄いな、やっぱりウィードにきて、ユキさんと一緒にいてよかった。

そしてこれからも、この笑顔の為に頑張ろう。




さあ、新大陸でのトーリとリエルの重要性がわかったでしょうか?

この2人こそ、とユキは考えているかもしれません。


あ、他のユキに惚れた話を聞きたければ、質問コーナーにでも個人指定できいてくれ、落とし穴とかでやるわ。



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