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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第2001堀:彼女が力を発揮するところ

彼女が力を発揮するところ



Side:リュシ



「はい。こちらの患者は予定通りの施術を行ってください。回復魔術です。執刀関連はこちらではできませんからね。患者の投薬に関しては、いつものように昼食に確認してください。薬を隠す人はいまだにいますからね。それから来週の予定を……」


そんな感じで、私は忙しく南砦での病院の運営指揮を行っています。

普通であれば、まだまだ医療ひよっこの私がこんなことができるわけないんですけど……。


「では、今日も一日安全に、命を大事に」

「「「安全に、命を大事に」」」


私の声に、私よりも経験があるウィードの医者の試験を突破した人たちが言うことを聞いてくれます。

何ともあれなんですけどね……。

ちなみに「安全、命を大事に」というのは、ウィード病院で使う標語。

安全とは患者はもちろん私たち医療関係者も含めて。

命を大事にというのも同じで、医療はミス一つで簡単に命を奪えるから。

道具も薬も、一つ間違えば命をたやすく奪える。

そして、医者は自分の命も軽んじてはならない。

自分が生きるからこそ助けられる命があるというのを忘れてはいけいない。


そういういろいろな意味がある言葉なんです。


と、そんなことを考えているうちにみんな自分の持ち場へ散っていく。

私も持ち場へと思っていると、秘書役を務めている看護師の女性が……。


「リュシ様、本日はエノラ様の代行としてこの場にて書類の決裁をする必要がございます」

「うぇっ」

「うぇっ。と言われても変わりませんのでお願いします」


相変わらず彼女は私の抵抗をあっさり退かせて机に座らせる。

目の前に存在するのは決済書類の山。

ユキ様やオレリアたちが格闘している仕事を私がするとは思わなかったよ……。

というか、何度目の感想だろこれ?

そう、別にこの仕事、この流れは今日が初めてじゃない。


「あはは~。今日も多いね~」

「はい。何せ南砦の医療全体を取りまとめているのですから。トーリ様やフィオラ様は周辺の防衛や砦の維持、その他諸々をやっているますので、これよりも多いので、それよりはマシです」

「まあね~。でも、毎度思うけど先輩もどうして私のサポートで不満が無いんですか?」


これも毎回の会話。

何度聞いても不思議でたまらない。

この人は、いやこの南砦の医療で呼び寄せられた人たちは全員、医師、看護師、薬剤師なども含めて、私よりも経験が上であり、ちゃんとウィードの医者などの免許を取っていて、正規の職員。

どうして、見習いの試験も通っていない小娘の下についてるのか、本当に不思議。


「全然不満はありませんね。リュシ様がどのような経緯でこの場にいるのかは全員知っていますし、ルルア様やエノラ様、エルジュ様たちがどれだけ大変かは存じています。医学とは違う指揮能力や予算の配分などの計算能力、あとは人事の能力が必要なことだと常々聞いています。私たちにはとてもとても出来る気がしません」

「あ~、うん。私もそう思いました」


目の前の膨大な、そして人の命とか、本当に色々な重みがある紙束を処理できるわけがないって。


「ですが、リュシ様は出来ております。それは誰にでも出来ることではありません。得難い才能です。ルルア様やエノラ様が仰った通りです」

「うがぁぁ~! なんかユキ様の横でオレリアさんたちと一緒に色々やってたのが~!」


そう私の書類を捌ける能力とか、人事とか物資の管理とかは、ユキ様がオレリアさんたちの指導をしていて、私もついでだからと言ってやっていた。

当初は心が戻っていなかったけど、それでも覚えていた。

いや、あれが唯一のモノだと思った。

私が生きている実感だって。

そんなことを考えていると、補佐のヒナダさんが口を開く。


「そこです。私たちとはそこが違うんです。私たちは医療で命を救うことを目指しました。リュシ様はユキ様たちに救われ、医療も含めて多くの人を救う手段を目にしたのです」

「多くの人を救う?」

「はい。こんなとは言いませんが、医療で救えるのは怪我や風邪を引いた人たちぐらいです。ですが、ユキ様を中心とした……いえ、セラリア女王を中心としたウィードでなら、飢えも退けられ、野盗や魔物などの脅威からも身を守れます。それは、決して医学、医療だけではなしえないことです」

「えーと、話は分かりましたけど、先輩はユキ様派? というか……」

「ああ、言っていませんでしたか。私はプロフと同郷ですよ? まあ、スラムの孤児だったというだけの同郷ですが」

「プロフさんの!?」


びっくりだ。

ヒナダさんはプロフさんとは違い、小さくて大きいわけではなく、ちゃんとした、大人の美女だ。

というか、リテア聖国の孤児ですか……。

あそこも闇は深い。

改善してたとは聞いていますけど……。


「ええ、私もユキ様に助けていただいた一人です。とはいえ、私は回復魔術や医療の才能があったので、年下のプロフより先にいったと思っていたのですが。まったくわからないものです」

「あはは……。プロフさんは住民課ですからね~」


裏では諜報部も担っていますけど……。


「まあ、それは良いのです。ユキ様を支える同士がより良い場所に行けたのですから。と、話はそれましたが、リュシ様はそういう意味で、私たちの代わりというと違いますが、そういう決済をするのに適正があるのです」

「むぅ、それは確かにそうです」


ユキ様派というので、ちょっと話はずれていたけれど、ヒナダさんのいうことは間違いじゃない。

ユキ様がいうところの、医療の腕と人を差配することは違うってやつだ。


「というか、元々リュシ様はそういうリーダーシップがあったという話でしたし」

「あはは、周りとの調整をしなかったので、ひどい目にあいましたけど」


あの時は完全にグロで、私の心もほぼ壊れた。

身内だけで突っ走ると敵が増えてああなると、文字通り身で学びました。


「そこがよいと言うとリュシ様は嫌かもしれませんが、自分で言葉に出来るその精神力。そしてここにいる努力は並大抵のものではありません。それを私たちは知っています。エノラ様が任せると言ったように、私たちもリュシ様を信じています」

「……期待が重いです」

「そうです。その期待を背負ってユキ様たちはこともなげというには最近忙しいですが、それでもしっかりとウィードを運営していますから。リュシ様もできますよ。というか実際にできています」

「……こうして色々実績が積まれていくんだな~」

「まあ、そういうモノです」


とまあ、そんな話をしつつも私たちは自分たちの仕事である書類を裁いていく。

本当に、慣れたモノで、実績がどんどん自分の手から生まれて行っている。

そこで、不意に疑問がわいた。


「ねぇ、ヒナダさんは運営とか人事とかそういうは本当に無理?」

「……できるかできないかで言えば、できます」

「だよね。まあ、私の場合はユキ様たちの後押しとか言うのがあるからだけど、ほかの人は一切ダメって話じゃないもんね。そうだったら、ウィード以外の北とか陸上戦艦の医療とか回らないし」

「それはその通りです。というか、ユキ様やセラリア様は積極的な運営側、指揮官側を募集していますね」

「足りないもんね~。医療現場じゃなくて、いろんなところで」


ウィードの人手不足は深刻なんだよね。

いや、現場が回っていないってわけじゃないけど、ギリギリすぎるんだよ。

ユキさんとか、ウィードはもちろん、各国のとの外交もあるし、さらには闇ギルドの追跡、そして新大陸の総指揮とか、もうどれだけって感じ。

未熟な私ですらこうして投入されていることが、どれだけ忙しいかがわかるよね。


「というか、命令を聞く側も全然足りていないんですけどね。特に医者と軍人は」

「あはは~、増員の為の奨学金とか試験の数を増やすとか考えているみたいです」

「話には聞いています。確かに筆記試験だけのものは年に数回はいいんではないと。リュシ様はどう思いますか?」

「筆記試験に関してはそれでいいと思う。奨学金と衣食住の手配はね~。もらってそれだけっていうのもありそうだし、少し心配かな?」


医者になるための勉強に集中できるように、お金はもちろんお家やごはんとも手配とか……。

堕落する馬鹿が増えると思うんだよね。


「それはわかります。今までの私たちは……奨学金はありましたが、衣食住も……職業安定所がありましたし……」

「あ~、実のところ、実費で通っている人って少ないです?」

「少ないですね。というか、実費となると私たち一般ではとてもとても。何せ勉強をするために使う薬剤や器具なども、とんでもない額ですから」

「ですよね。そして、勉強もかなりって感じですし」

「かなり……で済ませているのがリュシ様の凄いところですね。アレは本当に狭き門ですよ。私は医療学校入学試験を突破できた時は、泣いて喜びましたし」

「私も喜びましたよ。まあ、感情は死んでいた時ですけど」


あの分厚い本を頭に叩き込めたっていうのが、私もびっくりだったし。

文字も怪しくて、計算なんてほぼできない田舎の小娘がですよ?


「なるほど。そういう時だからこそ、頭に入ってきたんでしょうね」

「確かに、あの時だからこそ入ったかもしれません」


なんで覚えられたのか真面目に不思議だったし。


「お聞きしますが、今試験を再度突破は……」

「あ~、無理です。基礎は満点取れる自信はありますけど」

「私もです。というと、何も覚えていないと言われる感じですが、毎回試験の内容となる教科書が変わりますからね」

「ですね。問題となる医学情報は毎年更新していますから。各大陸から常に新しい風土病とか毒とか、その特性とか資料で確認するレベルですし」

「あくまでも試験というのは、医者になりたいという熱意を測るものですからね。毎年同じ問題では意味がありませんし」


うん、同じ問題じゃ、丸暗記で突破する馬鹿もでてくるし、そんな人に治療とかしてほしくないし。


「と、話がそれましたが、今回の提案で医者、看護師、薬剤師になれる確率は上がりますので、新規に頑張ってみる人も多くなるのは間違いないでしょう」

「そうですね。私たちのように職業訓練所に住んでいない人も、今では多くいますし、そういう意味でも支援制度はありがたいはずです」


そうそう。

今のウィードはスラムで引き取った人たちだけではなく、普通に移住ということで手に職をもってくる人が多くて、その人たちも医者に転職できるチャンスがあるってこと。


「まあ、増えるまで、私たちの激務は変わらないのですが」

「あはは~。私ってこの後勉強もあるんですけど……」


こうして南砦の病院の指揮を取ってはいるけれど、未だ正式な医者ではない。

実務経験と、そのあとの本医者の試験を突破していない。

あくまでも、医者になるための学校に合格して、そのあと下っ端の資格をちょこっと取ったぐらい。

だから少しでも早く正規のお医者様になりたいんだけど……。


「ああ、それは大丈夫です。私たちが実務経験も勉強も教えて上げられますので」

「それっていつもの詰め詰めじゃないですか~」

「さっきも言いましたが、リュシ様のことに不満はありません。どうか私たちを率いてください」

「ふぎゃ~」


そんなことを言いつつも、私たちは仕事をこなしていくのだった。


あれ? 最近ユキ様との接触減ってない?

側付きだったはずなんだけど……。



リュシはしっかり育ていると、満遍なく育ちますが、その中でも相変わらず指揮能力がとびぬけています。

まあ、信長野望的に言うと統率70、武力21、知略12、政治8ぐらいが初期値って感じです。

なので村娘の時には、村長とか盗賊の政治、知略、武力に負けた感じですね。

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