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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第1926堀:少し気になること

少し気になること



Side:オレリア



「ふぅ……」


私は仕事の手を止めて息を吐く。

最近は新大陸の対応も含めて業務が増えています。

とはいえ、無理をしているのかというと、そこまで無理はしていません。

そこら辺をすべてきっちりやろうとすると幾ら時間があっても足りないので、プロフさんの指導の元業務を制限して仕事を回している状態ですが……。


目の前に積まれている書類の山は増えることは無いように頑張っていますが、決して減ることもありません。

まあ、プロフさんはこれを想定して仕事量を調整しているのでしょうけど。

なんとも絶妙だといつも思い知らされます。


しかもこの書類だけが仕事ではありません。

私たちはユキ様の代わりに交渉事に出ることも多々あります。

その時間も計算してこの書類の量なのですから、驚きです。


と、そこはいいとして息を吐いたのは、今日の予定分は終わっていて、後は外回りだけだからです。

基本的に私たちの業務は、午前中にウィード内部の仕事を。

そして午後に新大陸や交渉事、訪問の仕事をこなすのです。


「もうよい時間ですね。ユキ様お昼休みの時間です」


プロフさんも仕事を終えたようで、時計を見つつユキ様にそう声を掛けます。

ユキ様は私たちと同じように書類仕事をしているのですが、どうやらまだ手を止めていないようです。


「ユキ様。仕事は終わりです。予定の量は終わっていますので、やめてください」


プロフさんがさらに声を強くしていいますが、ユキ様は書類を見たりパソコンの操作を止める様子はありません。

はぁ、私も仕事には集中するタイプなのですが、ユキ様はそれ以上です。

いえ、ちゃんと休むときは休むのですが……。


「わかってる。と、これで終わりだ。キリがわるかったからな」


ユキ様はちゃんと聞こえていたようで、ようやく手を止めてくれました。


「はぁ、ユキ様は私たちにゆっくり仕事をしろという割には、今日もご自分の仕事は予定よりも多く終わらせていますよね?」

「そりゃ出来たからな。いつ急な用事があるかはわからないし、俺が仕事を多めにしておくのは悪くないだろ」

「それはその通りですが、私たちとしてはユキ様が無理をしていないか心配です」


本当にその通りです。

私たちにはギリギリではなく余裕をもってできる量しかやるなと指示を出す割には、ユキ様はオーバーワークですから。

と、そんなことを考えていると、ホービスがお茶をもってやってきます。


「ユキ様、お茶で~す」

「お、ありがとう」


どうやらタイミングを見計らっていたホービスがお茶を持ってきています。

あのまま仕事をしているなら、お茶で強制的に止める算段だったようです。


「ふう、美味しい。さて、昼休みだ。そのあとはバラバラで活動か?」

「はい。ユキ様の側付きは私とヤユイが務めまして、グラス港町の視察と新大陸案件での外回りです。そして、オレリア、ホービスがウィードで商人たちや貴族たちの対応です。あとはグラス港町のお店の運営の視察となっております」

「ああ、そういえば、グラス港町のお店は始まったんだったな」

「はい。今のところジェシカ様の所から派遣されてきた人たちが上手く運営していますが、実際に何か問題がないかを確認してきます」


私はそうユキ様に告げます。

書類での報告と現場を見るのでは違いますからね。


「そうだな。そういう確認は大事だ。何か問題があれば俺にも報告をしてくれ。ケアもするからな」

「はい。何かあれば報告いたします」

「わかりました~」


私とホービスはそう返事をします。

いつものことではありますが、こういう報告は大事だと思います。

いつでもコールで連絡は取れるとはいえ、どこに動くかという大まかな連絡は大事です。


「よし、じゃあ、お昼に関してはどうなっていたっけ?」

「ユキ様、本日はこの場で摂る予定になっております。午後にはバラバラで動きますし」

「ああ、そうだったな」


基本的に私たちは一緒に食事をとります。

もちろん、ほかに約束などがあればそれを優先しても何も問題はありません。

とはいえ、私たちはユキ様の側付きでもあるので、基本的に一緒です。

外に食べに行くことになっても一緒に行くことになります。


「リーアはどうする?」

「私ですか~? 私ももちろん一緒にご飯食べますよ。あと、午後はオレリア、ホービスと一緒です。お花の様子を見に行くんで」

「弁当屋か。今はキャナリアじゃなくて霧華の部下が切り盛りしているんだっけ?」

「そうですね。とはいえ、3日に1度は私かキャナリアが顔を出して様子をみているんですよ。あ、から揚げとかいります?」


リーア様はキャナリア様のお供が終わった後は、ユキ様の護衛に復帰しているのですが、意外とユキ様の代わりで外回りもしています。

護衛に関しては私たちが使えるようになったということで、色々雑務を引き受けてくれます。

もちろん、訓練などもやってくれるので非常にありがたいです。

とはいえ、基本的にはユキ様の護衛が最優先なので……。


「そうだな。って、後で合流する話か? 晩御飯に追加するって話か?」

「おやつで持っていくに決まっていますよ。ユキさんの護衛ですし、私は自分の用事が終わればそっちに向かいます」

「そうか。なら来るときには連絡入れてくれ」

「わかりました」

「よし、じゃあさっそく食べるか」

「はい。お茶用意しますね。ホービス手伝うよ」

「私も」


話が終わったので私たちはお昼の準備を始めます。

とはいえ、ホービスがすでにお茶の用意をしていたので、コップを出すぐらいでしたが。


「……」

「ホービス?」


なぜか差し出したコップを受け取らずにじっとどこかを見つめています。


「おーい、ホービスどうしたの?」


ヤユイも不思議に思ったのか同じように、いえ、私の時よりも大声で話しかけると。


「ん? ああ、コップありがと~」


そういって私たちが持ってきたコップを受け取ってお茶を入れ始める。


「何かあったの? 仕事の書類で面倒な物でもあった?」

「それとも、これからの外回りで変なのがいた?」


私とヤユイはあまり見ないホービスの状態を心配して心当たりを言う。

普段笑顔なホービスが笑顔を消して一点を見つめているとか、悩んでいるとしか思えないですから。


「あ~、うん。そうなのよ~。ほら、オレリアは一緒だから分かるでしょ~。今日の面会する商人の一人」

「ああ、ぐいぐいくるものね。しかも貴族籍も持っているタイプだから」

「あ、あの人か~。私たちを露骨に下に見てくるもんね~。でも、ラッツ様とか相手には黙るんだよね」

「ラッツ様を怒らせたらウィード全体から締め出されるもの~」

「私たちもひどすぎればユキ様を通じて締めだせるんだけど。その瀬戸際ね」


そう、今回が最後のチャンスでもある。

あの人、私たちの上を知っているのにあの態度。

私たちの意見をユキ様が無視するわけがないし、実際に証拠も集めている。

今回の態度によってあの馬鹿の処理が決まります。


「まあ、とはいえ、あれの相手をするのは~ってのがあるのよ~。と、お茶煎れたし戻りましょう」


ホービスは準備を終えて先に出ていく。

多分調子はもとにもどったとは思うのですが……。


「ねぇ、オレリア。なんか様子が変な気がする」

「私もそう思うわ」

「一緒だから、ちょっと気にして」

「わかってる」


ヤユイの言葉に頷く。

私たちは出身は別だけれど、ウィードに来てからはずっと一緒に切磋琢磨してきたし、これからもそう。

ユキ様という主様を迎えて私たちの生活は順風満帆。

自分のスキルを最大限生かせるし、なおかつ世界の危機を救うべく活動もしているという、どこかの英雄譚の一端に加われたという名誉なことです。

それはホービスも同じです。

一緒にユキ様たちを支えていくと決めました。

そのホービスの表情がすぐれないというのは、そうそうあることではないのです。

だから、その憂いは取り除いておかなければいけない。

私たちの為にも、ユキ様たちの為にも。


そう思って給湯室から執務室に戻ると、テーブルの上にはすでにお弁当が置かれていて、ホービスはいつものように笑顔でお茶をユキ様たちに渡している。


「ありがとう。ヤユイとオレリアも戻ったな。さ、お腹空いたし食べようか」


ユキ様に言われて、私たちは素直に席に着く。

ホービスの件は私と一緒に外回りをしているときにそれとなく聞いてみましょう。


「じゃ、いただきます」

「「「いただきます」」」


いつものように私たちは昼食を取り始めます。


「おおっ、今日はハンバーグのお弁当ですね」

「ああ、この前、炊きだしの試作でオレリアたちと作ったんだよ。な」


リーア様がお弁当を見て驚いているので、ユキ様がそう説明をします。

確かに、このお弁当は作った記憶があります。


「え? ユキさんやオレリアたちが作ったの?」

「ああ、俺たちも料理ができないと手伝えないしな。そういう練習は必要なんだよ」

「またまた、そういいつつ、ユキさんが料理したかっただけじゃないの? 美味しいし」

「そりゃな。俺だって料理を作ってもらってばかりだと腕が落ちるしな。それにオレリアたちもこの手の料理ができて損はないということで、やったわけだ。あと、ホービスは料理の手際がよかったな。慣れている感じが前からしてたが、どうなんだ?」

「あ、はい。料理は得意というわけではないですが、よく作っていました。元々はお店の娘だったので」


あ、その顔は嬉しそうなものの、少し悲しさを秘めている。

彼女の過去だ。

私が商家の跡継ぎ争いで売られたように、ホービスにもそういう背景がある。


「そうか、なら、これからも存分に腕を振るってくれ。というか、得意料理とかがあればふるまってほしいな。ああ、嫌な話なら断っていいぞ」


ユキ様は障るような話だとわかりつつ、笑顔でそういいます。

この方はそういう所がありますよね。

忘れていた方がいいと思いつつも、惜しいと思い、それとなく後押しをする。

私もそれで商売にまた踏み出すことが出来ました。

とはいえ、もちろん地雷にもなる話であることには間違いない。

ヤユイも緊張した顔でホービスに視線を送っています。

いったい、返事は……。


「はい。喜んでごちそうさせていただきます」


そう笑顔でホービスは答えます。

というか、まぶしい。

そこまで嬉しかったわけね。

これ、心配はいらないかしら?



ということで、オレリア、ヤユイとシナリオがありましたが、ホービスはそこら辺がなかったので焦点を当ててみました。

さて、これからどうなっていくのか。

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― 新着の感想 ―
まぁ嫌い………と言うか嫌悪してる相手はなるべく関わりたくないですよね。まぁそれが会社の上司だったらアレですけど。ホービス的には今日の相手の商人がそういうタイプなんでしょう
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